自社のSNS運用を始めて、集客や認知度アップを考えている企業も多いのではないでしょうか。
しかし、
- どのSNSを使えばいい?
- 何から始めていいのかわからない
- 企業の成功事例を知りたい
などの疑問を持った方も多いと思います。
そこで今回は、中小企業向けにSNS運用の始め方やおすすめのSNSをご紹介します。これからSNS運用に取り組もうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
中小企業こそSNS運用が必要
「誰でも情報発信できる時代」になり、SNS運用を始める企業は増えています。
特に、広告費や人件費にお金をかけられない中小企業こそSNS運用はおすすめです。
そこで、なぜ中小企業のSNS運用が必要なのか詳しく解説します。
老若男女問わずSNSを使う人が増えた
日本では老若男女問わず、SNSを利用する人が増えています。
ICT総研が行った2022年度SNS利用動向に関する調査によると、日本のSNS利用者は8,270万人(普及率82%)。2024年末には8,388万人へ拡大するとしています。
日本国内の総人口は年々減少を続けていますが、スマートフォンの普及により、SNSの利用率は上昇を続けているのです。
SNSは人々の生活に欠かせないものとなりました。そのため、企業がSNSで発信をすれば集客や認知度アップに効果的です。
今後は多くの中小企業がSNSに参入すると予測されます。早めに自社の発信方法を考えておく必要があるでしょう。
認知度アップに効果的
SNSを活用したマーケティングは、認知度アップに効果的といえます。
なぜなら、SNSは「拡散力が高い」からです。
テレビCMやチラシ、広告などでは、限られた人にしか情報を発信できません。
しかしSNSは「これいいね」「面白い」と思った情報があれば、一気に拡散されます。
結果として、費用をかけずに認知度アップや集客ができてしまうケースがあるんです。
資金が少ない中小企業にとって、SNSの活用は必要不可欠といえるでしょう。
ターゲットにリーチしやすい
SNSはターゲットにリーチしやすいのがメリットです。
SNSではユーザーが登録する際に、年齢や性別、居住地などの入力を求めます。企業はこれらの情報を元に、ターゲットを指定して広告などを出稿できます。
例えばLINE広告では、年齢・性別・地域・詳細ターゲティングからターゲットを指定して、広告の出稿が可能です。
詳細ターゲティングでは、「趣味・関心」「行動」「属性」「購買意向」の4カテゴリからターゲットを指定できます。ファッションやグルメ、不動産など、ジャンルはさまざまです。
特に地方の中小企業は、狙った地域で集客をする場合が多く、細かいターゲットを指定できる機能は助かるはずです。
各SNSの特徴やユーザー層を知ろう
いざSNS運用を始めようと思っても、どのSNSを使っていいのかわかりませんよね。
そこで各SNSの特徴をまとめて解説します。
LINE
LINEは、トーク(メッセージ)や音声通話、ビデオ通話をメインとしたコミュニケーションアプリです。
企業はLINE公式アカウントを開設し、友だち追加してくれたユーザーに対して情報発信ができます。
LINEの国内月間利用者数は9,700万人(2024年3月末時点)以上。日本人口の約80%以上がLINEを利用しています。
老若男女問わず利用されており、全SNSの中で最も利用者が多いアプリです。そのため、最初に導入しておきたいアプリといえます。
X(旧Twitter)
Xは、アメリカのX社が運営する匿名登録制のSNSサービスです。
日本での利用者数は2023年時点で6,745万人。LINEやYouTubeに次いで利用者の多いSNSです。
参照:Leading countries based on number of X (formerly Twitter) users as of January 2023
Xのユーザーは限られた文字数をポスト(旧Twitterではツイート)し、コミュニケーションを楽しめます。
そしてX最大のメリットが拡散力です。匿名性が高いため、リポスト(旧Twitterではリツイート)で他のユーザーのポストを気軽にシェアできます。ポストした投稿がバズれば、広告費をかけることなく、多くの人に認知されるでしょう。
短いテキストで情報発信できるため、SNS運用に時間をかけたくない企業や、気軽に始めたい企業におすすめです。
Facebookは、実名登録制SNSサービスです。世界で最もユーザー数の多いSNSといわれ、2023年3月時点で月間アクティブ利用者数は38億1,000万人。日本の国内月間アクティブユーザー数は2,600万人といわれています。
参照:Meta
XやInstagramなど匿名性の高いSNSに比べ、現実世界との関わりが強いのが特徴。登録しているユーザーは、名前や年齢、性別だけでなく、出身校や結婚歴、仕事内容など、さまざまな情報を登録できます。
それにより、ターゲティング精度に優れているのがメリットです。例えば大阪で結婚相談所を運営している場合、「大阪府在住の離婚歴のある30代男性」だけに広告を打ち出すことも可能です。
細かくターゲットを分類できるため、地方でビジネスを行っている企業や、顧客の幅が狭い商品・サービスを展開している企業におすすめです。
Instagramは、写真や動画の投稿をメインとしたSNS。文章を投稿するSNSとは違い、視覚で楽しめるのが特徴です。
Instagramの月間アクティブアカウント数は3,300万以上。女性に人気のSNSだと思われがちですが、実は日本の利用者は男性が43%、女性が57%と利用者層は多様化しています。
参照:Meta
Instagramは写真や動画で商品やサービスをアピールできます。そのため、ファッションやグルメ、美容、旅行など、視覚的に訴えられるサービスを持つ企業に向いています。
YouTube
YouTubeは、世界最大級の動画共有SNSサービスです。さまざまなジャンルの動画が投稿されており、他のSNSに比べて年齢層が幅広いといわれています。国内の月間アクティブユーザー数は7,120万人(2023 年5月時点)と、日本人の多くが利用するSNSです。
特に最近は、おうち時間を機にYouTubeで動画を楽しむ人が増えました。面白い動画だけでなく、学びになるコンテンツもあるため、YouTubeに価値を感じている人も多いようです。
動画コンテンツの作成には手間がかかりますが、チャンネル登録者が増えると、認知度アップや集客に大きな効果を発揮します。参入ハードルが高い分、得られるリターンは多いでしょう。
動画制作の体制が整っている企業や、動画での発信に興味のある企業におすすめのSNSです。
TikTok
TikTokは、短尺の動画を共有できるSNSサービスです。短尺の動画に特化しており、若者を中心に絶大な人気を誇っています。
日本でのユーザー数は950万人を超え、動画市場に新しい風を吹き込んでいます。
2021年から2022年にかけてTikTokが爆発的な人気を見せたため、YouTubeでもショート動画の機能が搭載されました。
短尺動画はスマホで気軽に撮影できるだけでなく、編集の工数も少ないため、投稿しやすいのがメリット。参入のハードルは低く、動画での発信を始めたい企業におすすめです。
企業がSNS運用を始める5ステップ
運用するSNSが決まっても、どう始めていいのかわからない人もいるかと思います。
そこで企業がSNS運用を始める手順を紹介します。
- SNS運用の目的を決める
- ターゲットを決める
- 運用するSNSを決める
- コンテンツを作成する
- PDCAを回しながら継続して投稿する
それぞれについて、順番に解説していきます。
①SNS運用の目的を決める
まずはSNS運用の目的を決めます。
SNS運用では、フォロワー数やいいね数に目がいきがちです。しかし重要なのはSNSを伸ばすことではなく、何を目的にするかです。
- 新しい顧客を獲得したい
- 来店を促進したい
- ユーザーとの関係を深めたい
このように目的によって、SNS運用の方向性は変わってきます。
最初に具体的なゴールを設定し、どのように運用するのか決めておきましょう。
②ターゲットを決める
目的が決まったら、ターゲットを決めます。
ターゲットが明確になれば、運用するSNSや投稿コンテンツが定まってくるからです。
できる限り細かく設定すると、発信する情報に統一感が出て、刺さりやすいコンテンツが作れます。
例えば、「30代男性」だけでなく「関東在住」「車が趣味」「未婚」など、自社の商品に興味を持ってくれそうなターゲット像を明確にしましょう。
ターゲットは投稿コンテンツの軸となる部分ですので、細かく設定してください。
③運用するSNSを決める
目的とターゲットが決まったら運用するSNSを決めます。
SNSによって特性が異なるので、時間をかけて選びましょう。
例えば、
目的:和食店の来店促進をしたい
ターゲット:周辺に住む中高年層
と設定。「中高年層の方も活用している」「地域住民にリーチできる」と予測を立てます。
この場合、LINE公式アカウントを開設し、LINE広告で集客を行うという施策がおすすめです。
LINE広告のターゲティングは、市区町村単位で指定配信ができるため、店舗のある地域を狙って広告を配信できます。
このように目的とターゲットを決めることで、どんなSNSを活用すればいいのか見えてきます。
④コンテンツを作成する
SNSに投稿するコンテンツを作成します。
この時、コンテンツの内容だけでなく作成までの流れも細かくマニュアル化しておくといいでしょう。
コンテンツは商品やサービスによってさまざまです。
例えば、美容系の商品を販売したい場合、
- Instagramでおしゃれな投稿をする
- YouTubeで美容系の知識を発信
- LINE BLOGでお役立ち情報を発信
などのコンテンツが考えられます。
どんなコンテンツが伸びるのかは、実際に投稿してみないとわかりません。情報収集を行い、継続してコンテンツを作成しましょう。
⑤PDCAを回しながら継続して投稿する
SNSに限らず、ビジネスではPDCAを回していくことが大切です。
PDCAとは、
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(検証)
- Action(改善)
の頭文字をとった言葉です。
SNS運用は、一方的な情報発信ではなくユーザーの反応を確認しながら取り組む必要があります。
例えば、YouTubeに動画投稿をすると、アナリティクスでユーザーの視聴データを閲覧できます。このデータを分析して、「どんな改善点があるか」「どんな動画が好まれているか」を考えなければなりません。
ぜひPDCAを回して、伸びるSNSアカウントを作ってみてください。
LINE公式アカウントへの誘導は必須
ここまで企業のSNS運用について解説してきました。
どのSNSを活用するか考えてもらいたいところですが、必要となってくるのがLINE公式アカウントです。
なぜなら、どんなSNSで発信をするにしても、最後はLINE公式アカウントに誘導して友だち(リスト)を獲得するのが鉄板のパターンだからです。
LINE公式アカウントに誘導すると情報発信だけでなく、ユーザーの詳細なデータを取ったり、次回の利用につながるクーポンやショップカードを配信したりできます。SNSで興味を持ったユーザーに友だち追加してもらい、リスト化すればマーケティングが有利に進められるはずです。これは万が一、垢BANや乗っ取りの被害にあった時のリスクヘッジにもなります。
そもそも、SNSのフォロワーとLINE公式アカウントの友だち(リスト)は、性質が違います。
フォロワーを獲得しても、企業側からするとどこの誰かわからない場合があります。特に匿名性の高いXやInstagramだとなおさらです。しかしLINE公式アカウントの友だちであれば、ひとりひとりからデータを取ることも可能です。
さらにLINE公式アカウントは炎上対策にもなります。LINE以外のSNSだと、不特定多数のユーザーにセールスを見られ「売り込んでいる」「金儲けだ」と炎上する可能性があります。
実際にInstagram上でセールスした結果、普段の投稿とギャップが生まれ、フォロワーさんに嫌がられた事例もあります。そもそもフォロワーだからといって、すべての投稿に気づいてくれるわけではありません。特に多くのSNSアカウントをフォローしているユーザーは、どんどん投稿が溜まって流れてしまいます。
一方LINE公式アカウントに誘導すれば、興味のある友だちに直接メッセージを送れます。アカウントに対しての興味関心が高いため、個別での教育やアプローチがしやすくなります。また興味のない友だちには届かないので、炎上対策にもつながるはずです。
このように、どのSNSを活用するにせよLINE公式アカウントの開設は必須といえます。
LINE公式アカウントを活用した成功事例
LINE公式アカウントを活用した企業の成功事例を紹介します。
予約数が1年で約6倍増加(鮨 酒 肴 杉玉)
全国73店舗を展開する大衆寿司居酒屋「鮨 酒 肴 杉玉」。スシローのグループ企業であり、魚介類を活かしたリーズナブルなメニューを豊富に取り揃えています。
同社では、今まで折込チラシをメインで集客を行っていました。しかしコストや運用面の負荷軽減のためにLINE公式アカウントを導入。すべての店舗がLINE公式アカウントを開設し、本社側がメッセージ内容や配信スケジュールを一括管理しています。
またLINE上で飲食店の予約ができる「LINEで予約」も大きな成果をあげています。
予約を増やすために、来店客数が少ない月・火・水の3日間限定で使える割引率の高いクーポンを配信するなど、さまざまな施策を実施。その結果、2021年12月と2022年12月を比較すると、「LINEで予約」経由の予約数は約6倍にまで増加しました。
参照:LINEヤフー for Business 来店客数が増加!メッセージ配信がカギを握る「LINEで予約」活用
LINE公式アカウント経由の購率が3倍に(ohora)
インターネット事業を手掛ける株式会社デジタルガレージ。2021年から韓国発のセルフジェルネイルブランド「ohora(オホーラ)」の日本展開を担っています。
同社では、既存のお客様にアプローチするためにメルマガを導入していました。しかし情報を届けられるお客様が限定されるため、LINE公式アカウントの活用を開始したといいます。
アカウント開設後は、ECサイトで友だち限定クーポンを配布。購買意欲の高いユーザーをLINE公式アカウントに誘導し、つながりを作るようにしました。
その後は、きめ細やかなコミュニケーションを心がけ、LINE公式アカウント経由の売り上げは導入当初と比べて3倍にまで増加しています。
参照:LINEヤフー for Business LINE公式アカウントを活用して売り上げアップ!ユーザーへの購入促進方法
約1年で友だち数1万人を突破(Re&Go)
NISSHA株式会社とNECソリューションイノベータ株式会社が共同開発した「Re&Go」。
使い捨て容器の削減を目的とした、容器のシェアリングサービスです。
同サービスでは、LINE公式アカウント経由でサービス利用ができる仕組みとなっています。
- LINE公式アカウントを友だち追加しユーザー登録
- リッチメニューにある「容器を借りる」からQRコードの読み取り画面を呼び出し、店舗で提供される容器に記載されたQRコードを読み取る
- 返却する時はリッチメニューの「容器を返却」をタップし、返却スポットに設置されたQRコードを読み取る
これにより、サービスを利用したい人は必然的にLINE公式アカウントに登録する形となります。
一般的なシェアリングサービスは、アプリのダウンロードが必要です。一方で「Re&Go」はLINEを起点としているためユーザーの利用ハードルも下がり、活用してくれる人が増えると予想。その結果、約1年で友だち数は1万人を突破しました。
参照:LINEヤフー for Business ゴミ問題解決のインフラを目指して。容器シェアリングサービス「Re&Go」がLINE公式アカウントを選んだワケ
LINE公式アカウントの効果をより高めたいならLステップ
LINE公式アカウントをより効率よく活用したいなら、Lステップがおすすめです。Lステップとは、LINE公式アカウントの機能を拡張したマーケティングツールです。LINE公式アカウントよりも細やかなマーケティングができ、顧客管理にも役立ちます。特にSNS運用では、フォロワーをLINE公式アカウントに誘導しリスト化することが大切です。
そこで役立つのがLステップです。
例えば、美容系のInstagramアカウントからLINE公式アカウントに誘導。Lステップの回答フォームを活用し、友だち追加時のアンケートとして配信します。
すると友だちひとりひとりの属性や興味関心がデータとして残り、収集した情報を元に配信が行えます。
LINE公式アカウントでもアンケートは実施できますが、回答結果とユーザーは結びつかず、誰がどんな回答をしたかまではわかりません。例えば「美容サロンに月1回通っている」と回答した人数はわかるものの、個人を特定できないイメージです。
Lステップであればアンケートと個人が結びついているため、「美容サロンに月1回通っている」と回答した友だちを特定し、「月1回以上利用してくれている方へ限定クーポンをプレゼント」といったセグメント配信も可能です。
またアンケートで得た情報は自動的に保存されるように設定でき、手作業で集計する必要もありません。
特定の友だちだけに配信すれば、ブロック率が下がり、反応してくれる人も増えるはずです。
このように、LINE公式アカウントとLステップを掛け合わせれば、SNS運用がさらに効率化できるでしょう。