定期通販を活用して、効率よく商品を販売したいと考えている方は多いのではないでしょうか。
- 定期通販のしくみがよくわからない
- どのような商品が成功しているのか知りたい
- 定期購入を始めて後悔したくない
- 安定した収益モデルを作りたい
このように感じている方もいるかと思います。
今回は、定期通販の特徴やメリット・デメリット、カートシステム選びに必要な6つの機能を解説します。
目次
定期通販とは?
定期通販とは、特定の商品を一定の間隔で届けて料金をもらう販売方法です。長く使う商品や消費が早い商品に適しています。
例えば、薄毛やニキビの悩みを解消する商品は、継続的な使用が前提となるため、定期通販向きといえるでしょう。消費の早い商品とは、毎日使用する化粧水やシャンプー、サプリメントなどが挙げられます。
毎回の注文や購入を手間に感じる顧客のニーズに応える商法といえます。
定期通販向きの販売ルート
ネット販売には、主に「モール」と「自社ECサイト」を使用する2つの方法があります。
「モール」とは、Yahoo!ショッピングやAmazonなどの用意されたプラットフォームで商品を販売する方法です。「自社ECサイト」は、自身でネットショップを作成し商品を販売します。
以下に、それぞれのメリット・デメリットをまとめました。
販売ルート | メリット | デメリット |
モール |
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自社ECサイト |
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店舗の規模や売上状況に合った方法を選びましょう。規模が大きく売上が見込める場合は、割引や支払い方法に柔軟性のある自社ECサイトがおすすめです。
定期通販とサブスクの違い
定期通販とサブスクリプションは、顧客が受け取る対価に違いがあります。
定期通販は、料金を支払うと商品が顧客の手元に届きます。
一方、サブスクはサービスの利用権を購入するしくみで、必ずしも商品が手元に届くわけではありません。例えば、音楽や動画配信サービスでは、利用料金を支払う代わりにサービスを利用できるしくみです。
定期通販では商品が繰り返し手に入りますが、サブスクはサービスを体験できる期間が得られます。
定期購入を促すサービスは3種類
定期購入には以下の3種類あります。
- 同じ商品を定期的に届ける「定期通販」
- 繰り返し注文してもらう「単品リピート通販」
- 多くの種類を楽しめる「頒布会(はんぷかい)」
それぞれ特徴を知り、自分のビジネスに向いている定期購入サービスを見極めましょう。
同じ商品を定期的に届ける「定期購入」
定期購入は、一定の間隔で同じ商品が届く販売方法です。定期購入と定期通販に明確な違いはありません。
例えば、継続使用が前提のサプリメント、消費が早い化粧品やシャンプーなどが選ばれます。なくなるタイミングを予測しやすい点も、定期通販向けと言われる理由のひとつです。
重量があり、買い物に手間がかかる水やお米の定期通販も人気です。繰り返しの注文や買い物の手間を省きたい顧客のニーズに応えられます。
繰り返し注文してもらう「単品リピート通販」
単品リピート通販は、商品やジャンルを限定して販売する方法です。自社ブランドの商品を1種類、または少数のみ扱い、その商品を継続的に購入してもらいます。
定期通販では「化粧水A」も「化粧水B」も取り扱い、それぞれに多くの定期購入者を増やすことを目指します。一方、単品通販は「オリジナルブランドの化粧水C」のみを取り扱い、その商品にリピーターを増やすのが目的です。
顧客に繰り返し注文してもらうために、他社商品へと顧客が流れるのを防ぐ必要があります。特別な商品を取り扱い、ブランドイメージに共感してもらう施策が重要です。
多くの種類を楽しめる「頒布会(はんぷかい)」
頒布会(はんぷかい)は、一定の間隔で毎回異なる商品を届ける販売方法です。
例えば、紅茶の頒布会では毎回異なるフレーバーの紅茶が届きます。季節のフルーツやお酒を楽しむ頒布会も人気です。
好きなジャンルや店舗があり、いろいろな種類を少しずつ楽しみたい顧客のニーズに応えられます。
定期通販をするメリット・デメリット
定期通販には、通常のネット通販とは異なるメリット・デメリットがあります。メリットやデメリットに納得したうえで定期通販を始めると後悔が少なくなります。
メリット
定期通販をするメリットは以下の3つです。
- 収益が安定しやすくなる
- 在庫が余るリスクを軽減できる
- 値下げ競争に巻き込まれにくくなる
順に解説します。
収益が安定しやすくなる
定期通販は、定期的に商品を購入してもらう契約のため、1人の顧客で継続的な売上が期待できます。
例えば、毎月シャンプーや化粧水を定期購入する顧客が1人いれば、1人分の収益はほぼ確実です。定期購入者が増えるほど安定した売上が確保でき、毎月の収益の予測も立てやすくなります。
通常のネット通販ではリピーターが次にいつ買うかが読めないため、こうした安定感が得られにくいのが現状です。安定した収益を得るためには、定期購入者の獲得が重要な戦略となります。
在庫が余るリスクを軽減できる
定期通販では、定期購入者の数や購入頻度から必要な在庫数を予測しやすいため、在庫が余るリスクを減らせます。不良在庫を抱える心配が少なく、在庫管理を効率的に行えます。
在庫が長期間残ると破棄せざるを得ず、損失が膨らんでしまうため、定期通販によって余剰在庫のリスクを低減できるのは大きなメリットです。
また、定期通販では取り扱い商品が限られているケースが多いことも、在庫管理をしやすくし余剰在庫のリスクを軽減する要因になります。
値下げ競争に巻き込まれにくくなる
定期通販では、自社のECサイトを利用しオリジナル商品を扱うケースが多く、価格競争に巻き込まれにくい特徴があります。
自社開発のオリジナル商品であれば、顧客は価格だけでなく品質やブランドに価値を感じて購入するでしょう。
しかし、楽天市場などのモールで同じ商品が並ぶと、顧客は「より安い店で購入したい」心理が働きます。モールでは、顧客が欲しい商品を安価な順に並び替えて検索できるため、目立つために値下げを余儀なくされる場合も少なくありません。
独自の商品やブランドを提供することで値下げ競争を避け、顧客との長期的な関係を築けます。
デメリット
定期通販のデメリットは以下の3つです。
- 軌道にのるまで時間や費用がかかる
- 割引による転売リスクがある
- 顧客のニーズに沿う商品を提供し続ける必要がある
くわしく解説します。
軌道にのるまで時間や費用がかかる
ブランド認知度を高め、定期購入者を増やすまでに時間と費用がかかります。
自社ECサイトの立ち上げには、カート・決済システムやメルマガ配信システムの導入などの初期投資が必要です。
Yahoo!ショッピングなどのモールに出店すれば、モールの知名度で集客のハードルは下がります。しかし、自社ECサイトの場合は、SEOやマーケティングなどの施策を行わなければ訪問者を増やせません。
特に新規参入企業やブランドの知名度が低い場合、顧客を安定して獲得するまでに時間やコストがかかるケースが多くなります。
割引による転売リスクがある
定期通販の商品は転売されるケースが多くあります。定期通販では、顧客獲得のため初回お試し価格やお得な定期コースを設定することが一般的です。
転売ヤーは割引を利用し、安く仕入れた商品をフリマアプリなどで正規価格で販売して儲けを得ます。特に、初回価格と正規価格の差が大きい商品は転売されやすい傾向です。
転売されると、正規価格で購入する顧客が減るだけでなく、ブランドの価値が損なわれる可能性もあります。
価格設定を工夫したり、購入時に制限を設けて転売防止を図ったりする対策が重要です。
顧客のニーズに沿う商品を提供し続ける必要がある
定期通販では、同じ商品を繰り返し提供するため、顧客が飽きてしまうリスクがあります。さらに、さまざまな企業で同じような商品が開発されるため、顧客に選ばれ続ける商品を提供しなければなりません。
顧客アンケートをもとにした商品の改善や、新しい商品を定期的にリリースするなどの工夫が必要です。
顧客の関心を引き続けるためには、定期購入者に特典を用意したり、新商品のサンプルを同梱したりして新しい提案を行う施策も効果的です。
定期購入者へのアプローチは、単なる販売目的だけでなく、顧客との信頼関係を築き長期的なファンになってもらうための大切な要素となります。
定期通販カートの比較ポイントは?6つの機能を確認しよう
さまざまな種類のカートシステムがあり、どれを選べば良いのか迷いますよね。
カートシステムを比較するときに確認したい機能は以下の6つです。
- 顧客情報を簡単に管理できる機能
- ページ遷移が少ない一体型のフォーム機能
- いろいろな支払い方法に対応する決済機能
- 販促メッセージ施策を効率化できる機能
- 自由なキャンペーン施策を実現できる機能
- LINEと連携して使える機能
必要な機能を把握し、スムーズに定期通販をスタートさせましょう。
顧客情報を簡単に管理できる機能
顧客情報を簡単に管理できるカートシステムを選ぶと、効率的な運営につながります。
定期通販では、配送中・休会中・再開・解約対応中など、顧客のさまざまな状況を管理する必要があります。毎月異なる商品を届ける「頒布会」形式の場合は、管理がさらに複雑化するでしょう。
定期購入者が少ないうちは、Excelなどでも管理できますが、規模の拡大が見込まれる場合は、早い段階から管理を自動化できるシステムの導入がおすすめです。
顧客管理機能が充実したカートシステムを選ぶと、決済状況の自動反映などで作業効率がよくなります。ミスを防ぎつつ顧客対応のスピードを上げる工夫が大切です。
ページ遷移が少ない一体型のフォーム機能
購入手続きの途中で顧客が離脱しないようにするには、支払いまでのページ遷移が少ないカートシステムが有効です。
フォームの使いやすさも購入率に大きく影響します。試用期間を利用して実際に操作性を確認し、顧客の視点でどのように感じるかをチェックしましょう。
例えば、入力項目が少なく、必要な情報がスムーズに入力できるようなフォーム設計は、購入者の離脱を防げます。顧客が「面倒だ」と感じない、スムーズな購入体験を提供するのがポイントです。
いろいろな支払い方法に対応する決済機能
さまざまな決済方法を取り扱うカートシステム選びは、機会損失を防ぐためにも重要です。
クレジットカードやコンビニ払いだけでなく、Apple PayやQRコード決済など、さまざまな支払い方法が選べると、幅広い年齢層が便利に使えます。
その場で手軽に支払いを完結できる決済方法は、クレジット情報を登録していない新規顧客の獲得にも効果的です。
顧客の手間を省ける工夫を取り入れると、顧客が「また利用したい」と思える快適な購入体験を提供できます。
販促メッセージ施策を効率化できる機能
販促メッセージ施策を効率化できるカートシステム選びは、定期購入者の満足度や新規顧客の獲得につながります。
例えば、購入からしばらく経った顧客にリマインドを自動で送信する機能があると、店舗側の手間なく顧客に商品の魅力を再認識してもらいやすくなります。
また、商品の使い方や効果を改めて伝えるメッセージを定期的に送れば、他社商品への乗り換えを防ぐ効果も期待できるでしょう。見込み客の購買意欲も高められます。
販促メッセージ施策を効率化できる機能を活用すると、定期購入者や見込み客へのアプローチが楽になり新規顧客の獲得に注力できます。
自由なキャンペーン施策を実現できる機能
独自のキャンペーンを展開できる定期通販カート選びは、リピーターを増やすために重要です。
クーポン配布や会員限定のセールなどの施策を簡単に実施できる機能があれば、店舗側に負担なく顧客の購買意欲を高められます。会員ランクやポイントの付与など、顧客との接点を増やす施策も有効です。
さらに、上位モデルや関連商品の提案ができるアップセル・クロスセル機能は、売上に直結する効果が期待できます。
LINEと連携して使える機能
顧客のファン化を目指す場合、より密なコミュニケーションが可能になるLINEとの連携機能も大切です。
メルマガの開封率は10〜30%のため、アプローチが叶わない顧客が一定数存在します。一方LINEの場合、メッセージを「ほぼすべて確認する」と回答したユーザーは約60%です。
LINEには、企業や店舗がユーザーとやり取りする使い方に適した「LINE公式アカウント」があります。友だち追加してくれた顧客にタイムリーにメッセージを送れるため、必要なタイミングで的確なアプローチが可能です。
便利なコミュニケーション手段を活用し、顧客との関係を強化しましょう。
定期通販の成功事例
成功事例を知ると、定期通販の具体的なイメージを持ちやすくなります。
ここでは、以下の3社の成功事例を紹介します。
- パーソナライズ×ヘアケア「MEDULLA」
- 美容と健康をサポート「オルビス株式会社」
- 北海道のじゃがいも農家「ファームキムラ」
何の商品をどのように定期通販しているのかを見てみましょう。
パーソナライズ×ヘアケア「MEDULLA」
MEDULLA(メデュラ)は、株式会社Spartyが展開するパーソナライズヘアケアブランドです。
ユーザーがオンラインでいくつかの質問に答えるだけで、髪質や悩みに合ったヘアケアアイテムをカスタマイズしてくれるサービスを展開しています。
定期通販では、自分専用のシャンプーやトリートメントを販売。さらに、初回限定でヘアブラシや洗い流さないトリートメントとのセットも販売しています。
SNSやLINE広告、テレビCMなど多様な場所で積極的にプロモーションを行い、認知を拡大しています。
美容と健康をサポート「オルビス株式会社」
オルビス株式会社は、化粧品やダイエットサポート食品などを扱うビューティーブランドです。
「オルビス定期お届けプログラム」では、人気のスキンケア商品だけでなく、飲むスキンケア「オルビス ディフェンセラ」や栄養補助食品「ヘルシーリードプロテイン」なども定期販売しています。
もともと通信販売からスタートしたオルビス株式会社ですが、今では店舗展開も進め、ブランドの認知を広げています。
また、LINE公式アカウントを活用して顧客とのコミュニケーションを強化。友だち数は3,300万人まで増加し、保有しているユーザーデータを基盤として認知や新規顧客の獲得、ファン化までのすべてをLINE公式アカウントで展開しています。
北海道のじゃがいも農家「ファームキムラ」
「ファームキムラ」は、北海道にあるじゃがいも農家です。従来は農協への出荷が中心でしたが、新たに個人向けの定期販売を始めました。
ファームキムラでは、自社ECサイトを持たず、LINE公式アカウントと「Lステップ」と呼ばれるLINE公式アカウントの機能を拡張したツールを組み合わせて運用しています。
「じゃがいものサブスク」の新しい発想と、北海道産じゃがいもの美味しさが支持され、多くのファンを獲得しています。
定期通販に関するよくある質問
定期通販に関するよくある質問に回答します。
定期通販は食品向け?
定期通販は食品に限らず、化粧品やサプリメントなど、使用頻度が高く消費の早いものに向いています。
毎回購入する手間を省ける手軽さや、単品価格よりも安く手に入るお得感が定期購入の魅力です。
継続的な使用で効果が期待できるスキンケアや薄毛ケアアイテム、重量があり持ち運びが大変な米や水なども人気です。
日常的に必要で一定のペースで消費される商品は、定期購入のメリットが最大限に発揮されます。
定期購入をしている人はどれくらいの割合ですか?
サービスや商品を定期購入したことがある消費者は41.1%にのぼります。
参照:ECのミカタ
サブスクリプションの認知が広まり定期購入のハードルが低くなったことで、多くの消費者が定期通販を身近なものとして受け入れているのでしょう。
定期通販を考えている企業や店舗にとっては大きなチャンスです。
定期購入をやめる理由は何ですか?
定期購入をやめる理由として、以下のような問題があります。
- 商品が余っている
- 効果が実感できない
- 体に合わない
- 価格が高くて続けられない
「商品が余っている」理由で解約する顧客には、お届け周期を柔軟に変更できるサービスが有効です。さらに休会システムがあると安心できるでしょう。
「効果が実感できない」「体に合わない」と感じる顧客には、正しい使い方のご案内や、効果に気づいてもらうしくみ作りがおすすめです。
正しい使い方を分かりやすく説明するイラスト付きパンフレットや、体の変化を確認するチェックシートを同梱するのも良いでしょう。
顧客の解約理由を調査して対策を工夫すると、ほかの定期購入者の解約を防げます。
定期通販は効率化重視!機能にこだわり愛される運営を
定期通販は、顧客のニーズに寄り添った商品を定期的にお届けし、安定した収益を見込める販売方法です。
店舗側の負担を減らしながら顧客の購入体験を快適にするシステム選びで、効率的な運営を目指すことが大切です。
運営の効率化により、新しい施策やより丁寧な顧客サポートが実施でき、顧客のファン化や定期購入者の増加につながるでしょう。