- 発注や案件管理に追われて、残業が続いている…
- クライアントから、もっと早く提案して欲しいと言われる…
- 応募者とのコミュニケーションが煩雑…
そんなお悩みをお持ちの管理者の方は、多いのではないでしょうか。
特に、人材派遣会社やキャスティング会社は、クライアントから受注した案件に対して人材を募集し、応募者の選定から派遣、業務報告までの一連のプロセスを円滑に進めることが求められます。
しかし多くの企業が、円滑なコミュニケーションや日々の業務効率化に、大きな課題を感じています。
今回は、株式会社ジャパンパシフィックマネージメントの冨田さんに、1000人以上のインフルエンサー管理を効率化させた「インフルエンサーキャスティング事業のLステップ導入事例」をご紹介いただきました。
株式会社ジャパンパシフィックマネージメント代表取締役。Lステップ認定コンサルタント。ハウスメーカーや医療サービス、税理士や専門性の高いサービスを販売している企業のLINE構築・運用支援が得意。「クライアントと一生のパートナーになる」をモットーに、働く皆様の想いや歴史的背景を何よりも大切にしたコンサルティングを行っている。
見込み客ではなく、信頼関係から始まった仕事
――さっそくですが、今回ご紹介いただくクライアント様について教えてください。
冨田さん
今回紹介するクライアントは、飲食店に特化した集客支援を行っている株式会社イット様です。
事業内容としては、SNS運用支援を中心に複数のサービスを展開しています。
今回はインフルエンサーキャスティング事業において、インフルエンサーへの受発注や案件管理の領域でLステップを構築させていただきました。
――初期構築をされたのはいつ頃でしょうか?
冨田さん
2024年3月です。
――冨田さんが構築に入られる前から、イット様はLINE公式アカウントやLステップの導入・運用はされていましたか?
冨田さん
LINE公式アカウントを運用していましたが、Lステップは導入していませんでした。
主な使い方としては、抱えているインフルエンサーに対する発注作業を個別メッセージで行っていました。
――イット様がLステップを導入するきっかけや、冨田さんが構築に携わることになった経緯をお聞かせください。
冨田さん
元々イットの伊藤社長は、共通の知人からの紹介で出会いました。
見込み客としてではなく、人柄が素晴らしい方なのでぜひ会ってみてくださいと、紹介いただいたことがきっかけです。
食事をしながら、伊藤社長が掲げているビジョンや目標に対して、現在感じている課題を伺った際に、「冨田さんだったらどうやって解決しますか?」と相談を受けました。
LINE公式アカウントや、Lステップ構築のサービスをセールスするつもりは一切ありませんでしたが、自分だったらこんなふうに解決すると思いますと、アイディアベースの提案をさせていただいたんです。
伊藤社長より「ちゃんとお金を払うので、仕事として依頼させていただきたいです」と仰っていただき、後日改めて会社へお伺いし具体的な提案を行いました。
1000人以上のインフルエンサーを2名で管理
――当時、イット様が抱えていた課題は何でしたか?
冨田さん
大きく分けると4つの領域に課題がありました。
- インフルエンサーのスカウト業務
- 発注作業
- 案件管理
- 飲食店への提供サービスの質向上
具体的には以下の通りです。
1. インフルエンサーのスカウト業務における課題
各種SNSやブログなどからDMを送信し、協業が決まればLINE公式アカウントへ誘導する中で、DMとLINEのアカウントが紐付いていませんでした。
そのため、インフルエンサーのフォロワー数や活動エリアなどの情報を一元管理できず、アナログな管理方法に頼っていました。
2. 発注作業の課題
インフルエンサーごとの報酬基準や過去の受注履歴、投稿のインプレッション数、いいね数などの詳細な情報を、LINE公式アカウントのメモ欄で管理していました。
セグメントを分けて管理することが難しく、発注作業の効率化を阻んでいたと思います。
また、返信速度や受注の際の返答内容も、インフルエンサーによってムラがありました。
飲食店から依頼を受けた後、それに合うインフルエンサーの選定から提案までに、多くの時間がかかっていたことも大きな課題でした。
3. 案件管理の課題
2名のスタッフで、1,000人以上のインフルエンサーの案件管理を行っていました。
発注内容の確認から発信内容のチェック、請求書の確認まで、膨大な量の業務に追われ、効率的な運用が困難でした。
同じような質問が何度も届くなど、インフルエンサーへの対応もかなり負担だったように思います。
4. 飲食店への提供サービスの質向上における課題
派遣するインフルエンサーの中には、食事のマナーが悪かったり、遅刻をしたりするなど、飲食店側の印象を悪くするケースがありました。
最悪のケースでは、クレームに発展したこともあったそうです。
このような事態を防ぐために、インフルエンサーの対応を含め、サービスの質をどのように向上させていけるのか、その点が大きな課題と感じられていました。
――2名で!とても信じられないです。
冨田さん
はい、本当に大変だったとおっしゃっていました。
伊藤社長が目標とするビジョンを達成するには、効率化が必要不可欠な状態だったと思います。
――課題に対する冨田さんのご提案をお聞かせいただけますか。
冨田さん
今回は、大きく分けて3つの提案を行いました。
具体的には以下の通りです。
- インフルエンサー登録フォームの作成〜インフルエンサーの各種情報を一元管理
- タグや友だち情報欄を活用したセグメント配信による発注
- インフルエンサーに対する業務マニュアル作成と案件報告フォームの作成
まず、インフルエンサーの情報を効率的に管理するために、LINE公式アカウントへの友だち追加時に情報を入力いただく、登録フォームを作りました。
主に、アカウントのURLや、活動エリア、性別などを記入していただいています。
飲食店からは、インフルエンサーをキャスティングしてほしいという依頼だけでなく、客層やターゲットに応じて性別や年代、得意な業種など様々なリクエストをいただくことも多いです。
こういったニーズに応えるために、発注の際には都度細かくセグメントを分け、条件に合ったインフルエンサーに対して案件の案内をお送りできるようにしています。
これにより、飲食店からの依頼に対応するためのインフルエンサーの募集〜選定〜提案までの期間が、従来の約1週間から2〜3日まで大幅に短縮され、短期間での提案が可能になりました。
活動地域やフォロワー数、投稿内容など、様々な条件でセグメントを分けることで、大規模案件のような一斉配信から、特定のインフルエンサーの絞り込みまで、柔軟に対応できるようになりました。
一言でグルメ系インフルエンサーと言っても、年齢や性別、その他ラーメンが専門だったり、寿司が専門だったりと得意な分野は人によってさまざまです。
抱えているインフルエンサーの特徴を、ポートフォリオ化できるようにしました。
また、友だち追加後インフルエンサー登録フォームに、情報を入力していない方にのみ、複数回のリマインドメッセージを入れることで、登録忘れも防止しています。
――友だち追加はどのようにされていますか?
冨田さん
主な友だち追加経路としては、各種DM経由、自社HP経由、広告経由などです。
また、先日新たな取り組みとして、インフルエンサー同士の紹介キャンペーンも行いました。
インフルエンサーの方にはインフルエンサーの友人が多いので、紹介した側・された側双方に特典を用意し、それらを自動で検出できるような仕組みにしました。
その他、少しでもインフルエンサーからの信頼獲得につながればという思いから、有名インフルエンサーの投稿の中から、工夫点が素晴らしいバズった投稿の解説集を作成し、友だち追加時特典にしています。
【友だち追加時特典】
その投稿がなぜバズったのかをプロ目線で解説して、自分の投稿にもすぐに活かせるように作りました。
とても大変でしたが、伊藤社長の「一緒に仕事をしてくださるインフルエンサーの方々に対して少しでも役に立ちたい」という想いから作成しました。
インフルエンサーの方々に、感想を聞くための回答フォームをお送りしていますが、「参考になった!」「早速自分のアカウントでも取り入れてみたい!」など、嬉しい感想をたくさんいただいています。
――友だち登録をしてくれた方のうち、インフルエンサー登録フォームに情報を登録してくれる方の割合は何%くらいですか?
冨田さん
友だち追加数に対するインフルエンサー登録フォームの回答率は、80〜82%で推移しています。
詳細な個人情報の入力を求めている中で、この割合はかなり優秀だと思います。
――その他の課題については、どのような提案をされましたか?
冨田さん
その他の課題解決に向けた提案としては、インフルエンサーに対する業務マニュアル作成と、案件報告フォームの作成をしました。
マニュアルは、インフルエンサーへの発注の流れや撮影日当日までのやり取り、来店後の流れや請求書のやり取りなど業務の内容を細かくヒアリングし、明確に言語化して作りました。
作成したマニュアルは、リッチメニューに掲載して、案件受注前に必ず見ていただくようルール化しています。
インフルエンサーからの質問も減り、管理者の負担を大幅に減らすことができました。また、この施策を行って以降、一度も飲食店からのクレームがないそうです。
結果として、提供サービスの質向上につながったと思います。
――業務マニュアルも、冨田さんが作成されたのでしょうか?
冨田さん
はい。イチから作成しました。
【業務マニュアル】
訪問前の下準備から退店後のアクションまでフェーズごとに細かく記載している。
「当たり前」や「常識」は人によって全く違うので、受注の流れはもちろん、外食のマナーや、「到着時間の〇分前にこういった連絡をする」といった部分まで言語化し、マニュアルへ盛り込みました。
案件報告フォームには、対応後3日以内の案件フォーム入力、1週間以内のインサイト提出など、必要事項に期限を設定して、インフルエンサーへ報告を求めるようにしました。
提出がない場合には、リマインドを入れる仕組みにしています。
また細かい点ですが、請求書の書き方も人によってバラバラで、何度も再提出を求めるようなケースもありました。
そういった課題を解決するために、請求書テンプレートを作成して、テンプレートに沿った提出をルール化しました。
――レポート提出や締め切りなどの約束事が多いと、インフルエンサーの中には「仕事が増える」「面倒くさい」と感じる方もいるかと思います。
インフルエンサーの皆さんからは、具体的な仕事内容に関する約束事について、どのような意見が多いのでしょうか?
冨田さん
おそらく多くの方が、面倒だと感じていると思いますが、あえてこういった面倒な作業を依頼することで、質の高いインフルエンサーのあぶり出しをしています。
作業一つひとつを丁寧に行うインフルエンサーの方は、来店時の対応も素晴らしく、結果として顧客満足度を高めてくださいます。
加えてちょっとした工夫の一つとして、インフルエンサー登録フォームに「一言PR」欄を用意しました。
必須項目でもないこういった項目に、気遣いや思いやりのあるメッセージを記入してくれる方を優先的に起用するようにしています。
また、案件報告フォームには「良かった点」という欄を用意し、インフルエンサー目線で利用したお店の良かった点を記入いただき、レポートにまとめて飲食店へ提出するようにしました。
これも本来必要ではない内容ですが、インプレッションや保存数だけではなく、インフルエンサーの生の声は、飲食店の魅力を深く掘り下げるための貴重な情報源です。
情報をレポートにまとめ報告を行うことで、新たな気づきのきっかけになるなど、同業他社が行っていない付加価値づくりにもつながったと思います。
キャスティング業務の作業工数を40%削減
――その他、Lステップ導入後の成果をお聞かせいただけますか。
冨田さん
なんといっても事業全体の作業工数が減ったことですね。従来と比較して、40%程度削減したと聞いています。
これは何かで計測したわけではないので、あくまでクライアントの肌感覚ですが、業務がとても楽になったと喜んでいただいています。
浮いたリソースを新規事業に充てることができ、結果として飲食店の方々からの満足度が向上し、リピート率が上がったという声も耳にしました。
――構築には、どれくらいの時間を要しましたか?
冨田さん
約2ヶ月です。
――現在も運用支援をされていますか?
冨田さん
はい。させていただいています。
――構築に関して、Lステップだから実現できたことはありますか?
冨田さん
- ノーコードで開発できる
- コストを抑えられる
- 短期間で納品できる
- インフルエンサーが日常的に利用しているLINE上で完結できるため、新たなアプリのダウンロードが不要
といった点は、Lステップだから実現できた部分だと思います。
もちろん、最初は操作方法など少し難しく感じる部分もあるかもしれませんが、基本的な操作に関しては1ヶ月もあれば十分に使いこなせるほど簡単です。
導入時の現場への負担が最小限に抑えられるところも、Lステップの優れている点だと思います。
――自社アプリ開発と比べていかがでしょうか?
冨田さん
これはよく見込み客の方からご質問いただく内容ですが、自社アプリとLステップを比較した場合、それぞれにメリット・デメリットは存在します。
しかし、中小企業様においては、Lステップの方に軍配が上がるケースが多いと思います。
費用面や納期の他に、利用者にアプリをダウンロードいただき、さらにログインまでしてもらうというハードルは非常に高いと感じています。
期待するほど成果がでなかったという声も少なくありません。
新しく開発したアプリを頻繁に利用する習慣がないお客様に、どんなに魅力的な情報を送ったとしてもなかなか見てもらえませんし、情報発信の意味がなくなってしまいます。
LINEのように誰もが日常的に利用しているツールで、情報発信やコミュニケーションが取れるのはとても大きいです。
絵に描いた餅では終わらせない「実行力」
――冨田さんの拠点はどちらですか?
冨田さん
会社は大阪府です。
――対応エリアは全国ですか?
冨田さん
はい、全国対応しています。
――得意とする業種・業態はありますか?
冨田さん
ハウスメーカーや不動産など単価の高い商品を取り扱う企業や、整形外科や美容外科などの自費診療の医療サービスで、特にリスティング広告などWeb広告を活用している企業を得意としています。
あとは、会計士や税理士のような契約期間が長い商品を扱っている事業者や、講師・著者など専門性の高い業種が得意です。
――構築後、運用まで担当するケースが多いですか?
冨田さん
基本的に構築単発の依頼は受けていなくて、コンサルティング契約とセットで受けています。
Lステップを構築してそのまま納品しても、きちんと運用できるクライアントは少ないので、基本的には継続的にお付き合いさせていただくクライアントが大半です。
――どういう経緯でご依頼がくるケースが多いですか?
冨田さん
既存クライアントのつながりで連絡いただくことが多いですが、法人のクライアントを持つ会計士、弁護士などの士業や別領域のコンサルティング会社など各種専門家の方々からご紹介をいただくことも多いです。
その他、僕がYouTubeチャンネルをやっているので、YouTubeなどのSNS経由やセミナー経由もあります。
LINE公式アカウント/Lステップに関する書籍も出版したので、最近は書籍経由でのお問い合わせも増えてきました。
――冨田さんのYouTubeチャンネルも好評ですよね。
冨田さん
やっぱり、クライアントとの生の声はとてもリアリティがあるので見込み客やクライアントからはもちろん、同業者の方々からも評価をいただいています
――冨田さんの強みや、クライアントワークをする上で大切にしていることをお聞かせいただけますか。
冨田さん
まとめ
今回は株式会社ジャパンパシフィックマネージメント代表の冨田さんに、インフルエンサーキャスティング業におけるLステップ導入事例をご紹介いただきました。
Lステップの構築だけでなく運用込みでご依頼したい方、二人三脚でしっかりと寄り添ってもらいたい方に、冨田さんはぴったりです。ご相談を希望される方は、以下のHPからご連絡してみてください。