ECサイトの競争が激化するなか、売上向上のための効果的な施策が求められています。
単なる商品販売ではなく、顧客との持続的なコミュニケーションを実現する仕組みづくりが重要です。
そこでおすすめなのが、LINE公式アカウントとLステップを活用したマーケティング戦略です。
今回は、株式会社クレーン代表の平さんに、楽天市場でLステップを活用して売上高4倍超えを果たした「アパレル事業のLステップ事例」をご紹介いただきます。
【平 賢介】
株式会社クレーン 代表取締役 / Lステップ認定コンサルタント
アパレルメーカーの立ち上げ・現役EC運営者の知見を活かしたLステップ構築が強み。Amazonや楽天市場などの計6モールでの販売実績をもとに、LINE周りだけでなく商品開発、商品生産、集客、販売まで一貫してサポートしている。
株式会社クレーン様の公式サイト:https://crane-fukuoka-japan.com/
課題はLINEとECショップの効果的な連携
――さっそくですが、今回ご紹介いただく事例アカウントについて教えていただけますか?
平さん
今回は「AUNI BELLES(アウニィベルズ)楽天市場店」の事例をご紹介します。
アウニィベルズは、宮崎県にあるアパレルショップで、中国や日本メーカーから仕入れ・生産したものをECで販売している会社です。メイン商材はパーティードレスとルームウェアです。
主な販売先はAmazonですが、楽天市場、Yahoo!ショッピング、auモールでも販売しています。
――平さんが構築に入る前から、AUNI BELLES様はLINE公式アカウントやLステップの運用をされていましたか?
平さん
楽天市場用のLINE公式アカウントを運用していました。
――楽天市場用のLINE公式アカウントは、通常のLINE公式アカウントと比べてどのような違いがあるのでしょうか?
平さん
楽天市場のLINE公式アカウントは、楽天に申請してアカウントを付与される特殊な仕組みになっています。LINE公式アカウントの利用料金も楽天に支払います。
「お友だち追加広告」が管理画面になく、「LINE広告」の別アカウントからしか広告を出せないのが特徴です。
楽天市場から撤退すると、アカウントもなくなる注意点はありますが、楽天の集客力で友だちを集められる点や、楽天市場内でさまざまな分析ができる部分はメリットだと思います。
――楽天市場以外のLINE公式アカウントも運営されているんですか?
平さん
いいえ、現時点で運営しているLINE公式アカウントは、楽天市場に特化したものだけになります。そこまで管理しきれないというのが主な理由です。
――Lステップの導入時期はいつ頃でしょうか。
平さん
2022年7月頃です。Lステップ正規代理店の卒業課題案件として構築したので、私にとっては初めてのお客様になります。
もともとクライアント様は、アパレルメーカーをメイン事業としている弊社のお客様であり同業者のため、情報交換しながらお付き合いさせていただいていました。
そんななかでLステップの構築を提案したところ、快く受け入れていただき、話が進んだ経緯があります。
私自身がLステップ正規代理店の講座内で、自社のアパレルメーカー「MUNNY(ムニー)」のLINE公式アカウントを楽天市場に特化したもので構築していました。
そのアカウントを見せながら使い方をご説明したところイメージにつながり、クライアント様も楽天市場のLINE公式アカウントで運用することが決まりました。
――現在まで運用支援もされていますか?
平さん
はい。現在、実際に運用しているのはクライアント様ですが、継続して支援中です。もう2年以上はお使いいただいております。
今は、楽天市場の運用アドバイスも含めサポートしています。
私は楽天市場の支援をしていますが、クライアント様はAmazonの運用にくわしく、Amazonは運用をサポートしてもらっている状況です。お互いがEC方面でサポートし合っています。
――楽天市場とAmazonの運用の仕方は異なるものですか?
平さん
はい、違うと思います。Amazonは、お店に商品だけを置かせてもらってるような状態で、販売者を「出品者」と呼ぶのが特徴です。
商品ページに自由にLINEの友だち追加バナーを貼り付けられないので、Facebookなどのほかのプラットフォームの活用や、購入された商品に同梱して買った方にアプローチする方法に制限されます。
一方、楽天市場はテナントを借りて出店するイメージで、販売者は「出店者」と呼ばれます。商品ページに友だち追加バナーを貼り付けることも可能で、多彩なアプローチが可能です。
ただ最近では、楽天市場もAmazonもそれぞれの良いところを取り入れている印象で、今後も少しずつ変わってくると思います。
――AUNI BELLES様が抱えていた課題やお悩みをお聞かせください。
平さん
クライアント様は、LINE公式アカウントを運用していたものの、運用方法や効果がよくわかっていない状況でした。
LINEへ友だち追加してくれた人にクーポンを配信する施策は行っていましたが、その施策からどれだけの効果が出ているかは把握できていなかったようです。
そのため、効果的な売上アップに活かしきれていませんでした。
とにかく売上がこぼれている部分があるかもしれないから、それを防ぎたいとの要望も聞いています。さらに、商品レビューを増やしたいとの思いもありました。
友だち追加から口コミ獲得までの導線作り
――ご要望に対して、どのような提案や構築をされたのでしょうか?
平さん
まずは、楽天市場からLINE友だち追加の導線を作るために、バナーの設置を提案しました。
購入者にレビュー投稿を促すメッセージを、自動化できるように構築したのもポイントです。
また、楽天市場のイベントに合わせ、簡単にカスタマイズできるメッセージテンプレートも作成してお渡ししています。ただ、最近の配信を見ると、バナーだけの訴求をメインにしているようです。
――楽天市場内にLINE友だち追加のバナーを設置するにあたって、意識したポイントはありますか?
平さん
LINEの友だち追加バナーは、商品ページの最上部と下部に配置しました。
というのも、アウニィベルズが取り扱うパーティードレスや結婚式の2次会用ドレスは、特定の機会を目的に商品を探しているお客様が多いと感じています。
商品ページに入ってくる方は「パーティードレス」で検索し、多くのサムネイルのなかからアウニィベルズの商品を選んできた方ですので、商品ページに入ってきた時点で、ある程度購入意欲が高い状態であると考えました。
そのため、商品ページの最上部、さらに商品への理解を深めたあとに目にする下部にクーポンの案内が入ったバナーを設置し、購入や友だち追加を促す仕組みにしています。
【楽天市場の商品ページ】
実際に、商品ページ内の最上部のバナーからの友だち追加は、全お友だち追加数の約8割を占めています。
――8割は大きい数字ですね。クーポンの使用条件でこだわっている点についても教えていただけますか?
平さん
「3,000円以上購入したら使える」といった条件を設けず、ほぼすべての商品に使えるクーポンを意識しました。成約率を上げるために、利用を制限しないほうが効果的だと考えたためです。
現在は、クライアント様が「1,500円以上」の条件を設定していますが、それでもアウニィベルズの平均客単価は約4,000円です。そのため、実質的にほとんどの商品に使用できる状況は変わっていません。
【友だち追加時に配信されるクーポン】
とくに、これから必要になる商品を探しているお客様に対して、最後の後押しとなるクーポンになるように心がけました。
――購入者のレビュー投稿を促すメッセージの自動化についても教えていただけますか。
平さん
レビュー数を増やす施策としては、未購入の友だち追加者を主なターゲットと考え、3段階のシナリオを構築しました。
まず、友だち追加直後のあいさつメッセージで特典クーポンを配信し、登録翌日には商品を購入したかどうかを確認するメッセージを送ります。
【友だち追加翌日の配信メッセージ】
購入確認メッセージで「はい、買い物しました。」に回答した方に向けて、楽天の注文番号をLINEと連携するための案内をお送りする仕組みです。
購入確認のメッセージは、ほとんどが購入者からの回答にはなりますが、7割程度の回答率を達成しています。
また、1週間後には、購入者に対して商品の感想を聞くための配信を設定しました。
【友だち追加1週間後の配信メッセージ】
星3つ以上の評価を付けた場合はレビュー投稿を促しています。
対して、星2つ以下の評価をつけた場合は、意見を聞くための回答フォームに誘導する設定です。
――バナーごとの友だち追加数や回答率といった、データを取りながら戦略を考えている印象を受けました。ほかに効果を測定するために取得しているデータはありますか?
平さん
楽天市場のLINE公式アカウントならではの機能を使い、楽天市場へのアクセス数・客単価・転換率を計測できる計測タグを設置し、LINE経由の売上を正確に測定しています。
楽天市場の場合、スーパーセールやお買い物マラソンなどのイベントが定期的に開催されるので、イベント終了後に売上が落ちたり、イベント期間外にカゴ落ちが生じたりすることは珍しくありません。
そのため、カゴ落ちや売上の減少などのデータにとらわれすぎず、イベント時に買ってもらえるようにお気に入り登録を促す施策を考えているところです。
――イベントの影響はやはり大きいのですね。イベントに向けたメッセージテンプレートについても、くわしくお聞かせいただけますか?
平さん
先ほどもお伝えした通り、楽天市場はお買い物マラソンやワンダフルデー、スーパーセールなどのイベントが定期的に開催されます。
イベントでの売上効果を高められるようにとの目的で、簡単にイベント内容がわかる仕組みを整えました。
とくにスーパーセールは、しっかりと対策することで、通常月の8倍ほどの売上が見込めるインパクトがあります。
そのため、イベントを絡めながら週1回程度の配信で、イベントと連動したマーケティング施策を展開しています。
――リッチメニューも平さんが作られていますか?
平さん
はい、運用がしやすいリッチメニューを意識して作成しました。
というのも、以前1年間ほど使用していたリッチメニューには、「毎日入店ポイント」を入れていたのですが、管理が大変とのことで一時期リッチメニューを外していたんです。
そのため、今回はとくに管理のしやすさを考慮して作成しています。
レビュー数やクーポン獲得率をアップし売上高4倍超え
――構築の成果を教えていただけますか?
平さん
まず、友だち追加後のクーポン取得率が90%に達しました。これは売上にも大きな影響を与えています。
さらに、レビュー数の変化もありました。
2019年10月:1件
2024年10月:19件
と、大幅に増加しています。
売上高は、楽天市場だけで4倍以上に成長しました。
2021年:7,662,671円
2023年:31,099,996円
と、飛躍的な伸びを見せています。
楽天市場とLINEの相性が良く、楽天市場の商品ページへのアクセス数に対して0.1〜0.2%ずつお友だちが増えている印象です。
――かなり大きな成果につながっていますね、ちなみにレビューは、評価が1や2のものも入りますか?
平さん
いえ、2年間運用していますが、低評価はまだ0件なんですよ。
――クーポン取得率をみてもLINE経由の購入は多いでしょうから、その中で低評価0件は驚異的ですね。
平さん
そうですね、お客様の満足度は高いので売上も順調に伸びているんだと思います。
――今回の構築で、意識した点やこだわったポイントがありましたらお聞かせください。
平さん
できるだけシンプルにし、クライアント様が運営しやすい構築を心がけました。
楽天市場の購入履歴はLステップとAPIでつなげられないため、まずは購入したかどうかを確認するシナリオを作成したのがポイントのひとつです。
また、ECショップの運営はLINEだけでなく、メルマガ、ショップ運営、出荷発送、追いかけメッセージなど、総合的な施策の掛け合わせが大切だと感じています。
そのなかでもLINEは重要な施策のひとつで、しっかり運用すると相乗効果を生み出せることを念頭に置きながら構築しました。
また、お客様が商品を購入すると楽天内のリストに顧客情報が追加されて、メルマガでのフォローも可能になるため、よりマーケティング戦略の幅が広がっています。
各施策がしっかりとつながり、お客様との接点を多面的に作ることで、より効果的なマーケティングを目指しています。
――メルマガも結構使われていますか?
平さん
はい、楽天市場から送るメルマガはよく使います。
弊社で運営している楽天ショップのメルマガの開封率は、70%からいいときは80%くらいあって、たぶん他社もそれくらいの水準なんですけど、楽天から送るメルマガって開封率が高くて有効なんですよ。
――楽天メルマガの開封率がそこまで高いとは知りませんでした。
平さん
他のモールはわからないですが、楽天は高いですね。なので、LINEと楽天メルマガは両方使いましょうとお話しています。
――本事例の構築にはどれくらいの時間を要しましたか?
平さん
Lステップ正規代理店卒業案件だったため、講師のサポートを受けながら、約2か月間かけて丁寧に構築しました。
――構築後、どれくらいで成果が見え始めましたか?
平さん
2〜3か月ほどかけて、徐々に成果が見えてきました。
構築直後は楽天の売上もまだ多くなかったため、1週間ごとに1時間ほど運用アドバイスをしていました。
もちろんLINEの効果だけでなく、商品構成などをしっかりされているからこその成果ではありますが、そこから運用のやり方を覚えてきて、徐々に売上が上がってきた印象です。
――AUNI BELLES様は、Lステップをどのように感じていらっしゃいますか?
平さん
友だち数の増加とともにLINE経由の購入率も高まり、売上に大きく貢献しているため、しっかりと効果を実感されています。
現在はスタートプランで契約していますが、Lフレックスとアパレルメーカーの相性が良いと考えており、今後プロプランへの変更も検討しているところです。
正規代理店でのお仕事について
――ここからは平さんの経歴や、Lステップ構築をはじめた経緯についてお伺いできればと思います。まずは自己紹介をお願いします。
平さん
2009年に中国の広東省広州市に移住して、アパレルメーカーを立ち上げています。21歳で専門学校を卒業後、アパレル業界に入り、29歳で独立。それ以来、中国のアパレル生産の中心地で事業を展開し、今年で15年目を迎えます。
最初の7年くらいは、アパレルメーカーさんのOEMで生産委託という形でやっていました。当初は工場の一室を借り、お客様からデザインを受けて製品を制作するOEM事業を中心に事業を展開。香港でも同時期に事業を立ち上げ、アパレル業界でキャリアを重ねてきました。
現在もOEMは受けていますが、2020年2月から自社製品としてマタニティアパレルブランドMUNNY(ムニー)を立ち上げ、自社でデザインした製品をAmazonや楽天市場などで販売しています。ですので、EC販売はかなり得意分野です。
Lステップ正規代理店になってからは、ECショップを中心にLINE構築・運用をさせていただいております。
2021年の夏、LINEのセグメント活用に興味を持ち、Lステップと出会いました。最初は使い方がわからず放置していましたが、イノベーション大学の合宿への参加をきっかけに、本格的にLステップの世界に踏み込みました。
コンサルティングを目的に入ったわけではなく、むしろLステップの操作を学ぶことが主な目的でした。しかし、参加後にコンサルティングの奥深さを知り、現在に至っています。
――対応エリアは全国ですか?
平さん
はい、全国に対応しております。
――得意とする業種・業態はありますか?
平さん
アパレルやEC運営が得意分野です。
実際に経営者としてEC事業を行っておりますので、Lステップ構築だけでなく、EC周りも手厚くサポートできます。
あとは、美容室や工務店の構築実績もあります。ジャンル問わずご相談いただきたいです。
――ご自身の強みや、クライアントワークをする上で大切にしていることをお聞かせください。
平さん
ご提案やアドバイスだけでなく、実際に手を動かしてサポートできるように心がけています。
アパレルメーカー・現役EC運営者として、クライアント様と同じ立場で提案やサポートができるのが強みです。業界の情報をいち早くキャッチできるため、すぐにクライアント様へ共有できます。
また、自社で取り組んでいる業務改善の方法や成功した施策、失敗した施策もクライアント様に提案しております。
――Lステップ代理店になって変わったと感じることはありますか?
平さん
アパレルメーカー・現役EC運営者かつ、Lステップ構築もできる代理店はそうないので、その部分を褒めていただくことが多いです。
また、同業者からのお仕事依頼も増えました。そのなかで事例がたまってくるので、自分のアパレルやEC事業に落とし込み、クライアント様のサポートに役立てています。
まとめ
今回は株式会社クレーン代表取締役の平さんに「AUNI BELLES 楽天市場店」のLステップ導入事例をご紹介いただきました。
実際にアパレルメーカーを立ち上げ、EC運営をしてきた平さんだからこそできる、きめ細かな施策が散りばめられていました。
LINEの構築や効果的なマーケティング戦略について相談をご希望の方は、ぜひ以下の平さんのLINEにご連絡してみてください。