
- 紙の会員証を前提としたサービス運用が、利用促進の課題となっている
- 利用状況の把握が難しく、データを活用した運用や改善につなげづらい
こうした課題を、Lステップの活用で解決できることをご存知でしょうか。
今回は、宮崎県都城市の商工会議所様の事例をご紹介します。
提供されている企業の従業員とご家族を対象とした福利厚生サービスを、より使いやすい形に整えた取り組みについて、構築を担当された合同会社花菜の村山さんに詳しく伺いました。
【村山 美佳】
合同会社花菜代表/Lステップ正規代理店
Lステップ正規代理店として、福祉業界の知見を活かし、事業者の課題に寄り添ったLINE構築・運用サポートを提供。PRプロデューサーとしても活動し、広報視点とLINE活用の二軸のサポートを得意としている。
目次
福利厚生サービスの利用促進と状況把握に課題があった
――さっそくですが、今回ご紹介いただく事例アカウントについて教えてください。

村山さん
宮崎県都城市の商工会議所様です。
――村山さんが構築に入る前から、都城商工会議所様はLINE公式アカウントやLステップの運用をされていましたか?

村山さん
どちらも運用されていませんでした。
――Lステップの導入時期はいつ頃でしょうか?

村山さん
2022年7月頃です。
――都城商工会議所様がLステップを導入するきっかけや、村山さんが構築に携わることになった経緯をお聞かせください。

村山さん
都城市では、市と商工会議所様、それから私も所属している中小企業家同友会の三者で、「都城市で起業したい人を応援する創業塾」を開催しています。
私がその創業塾に参加してから1〜2ヶ月ほど経った頃、商工会議所の方からお電話をいただきました。
その際に、運営されている福利厚生サービスのLINE活用についてご相談を受けたことが、Lステップ導入のきっかけとなりました。
――都城商工会議所様が抱えていた課題やご要望を詳しくお聞かせください。

村山さん
利用企業の従業員様とそのご家族がお誕生日に特典を受けられる「福利厚生サービス」の運用には、いくつかの課題がありました。
ひとつめは「情報が届きにくく、サービスが十分に利用されていない」という点です。
商工会議所様では、対象店舗と特典内容をまとめた冊子を毎年4月に配布されています。
しかし、時間が経つにつれてサービスの存在を忘れられたり、冊子を見返す機会が少なかったりして、利用が進みにくい状況でした。
ふたつめは「情報の更新がしづらい」点です。
年度途中に新しい加盟店が加わったり、特典内容が変更になったりしても、更新情報を届ける手段がWebサイトしかなく、なかなか見てもらえないというもどかしさがありました。
そして最後に「利用状況の把握ができていない」という点です。
利用者は事前に配布されたカードに名前と誕生日を記入し、サービス利用時に免許証や保険証と合わせて提示します。
ただ、この方法では「どれくらいの人が、どの店舗を利用しているのか」といったデータが残らず、運用や改善につなげる手がかりが得られにくい課題がありました。
――本福利厚生サービスは、現在何社が利用されているのでしょうか?

村山さん
現在は、約30社の事業者様が利用されています。
LINEを活用し、サービス利用から利用報告までの導線を設計
――課題に対して、どのようなご提案をされましたか?

村山さん
情報が届きにくい課題については、リッチメニューからカテゴリや期間で加盟店を簡単に検索できるように設計しました。
あわせて、誕生月の月初とお誕生日当日にお祝いメッセージを配信し、利用のきっかけづくりをしています。
また、加盟店の更新情報についても、LINEとWebサイトを連動させることで、スムーズに届けられる仕組みを構築しています。
――誕生日にメッセージが届くと、「使ってみようかな」と思うきっかけになりますよね。ちなみに、Lステップ上では利用者様の所属企業やお誕生日の情報は、どのように取得されているのでしょうか?

村山さん
利用企業の把握については、年度はじめに配布されるポスターに「利用企業番号」が記載されており、その番号を友だち追加の際に送信してもらうようにしています。
この番号をもとに、Lステップ上で自動的にタグが付与されるため、「この人はこの企業に所属している」と判別できる仕組みです。
お誕生日については、利用企業番号の入力後に、誕生日登録の案内をしています。
案内に沿って登録フォームにアクセスし、氏名などとあわせて誕生日を入力してもらう形です。
――利用状況の把握については、どのような提案をされましたか?

村山さん
「どのお店をどれくらいの人が利用したか」という情報の可視化については、少し頭を悩ませました。
いくつかの方法を検討するなかで、当初は「プロプラン」の導入をご提案しました。
各店舗に専用のQRコードを設置し、お客さまに読み取ってもらうことで利用記録が残る仕組みを考えたからです。
ただ、予算との兼ね合いもあり、今回は「スタートプラン」での構築となりました。
そこで、各店舗ごとに異なる「回答フォームのQRコード」を設置し、利用者はそれを読み取り、フォームで送信(=利用報告)してもらう方法を採用しています。
個人の特定はできませんが、「どのお店で、何回利用されたか」を把握できるようになりました。
匿名での回答とはいえ、サービスがどれくらい活用されているかを把握するうえでの手がかりになっています。
利用者のリッチメニュー画面には「お誕生日特典を利用する」ボタンを設け、そこからQRコードにアクセスできるようにし、スムーズに使ってもらえるよう導線を整えました。
【使い方はリッチメニューに設置された利用ガイドから確認できる】
LINEを軸に利用者・加盟店双方との関係性を強化
――構築の成果をお聞かせください。

村山さん
まず、加盟店情報やサービス内容をタイムリーに利用者のみなさまへ配信できるようになったので、情報伝達の効率が大幅にアップしました。
利用者様も必要な情報をすぐに把握できるようになり、サービスへの理解と満足度が向上につながっています。
また、LINEを通じてサービスの利用データを収集・管理できる仕組みが整い、データを活用した運用や改善にもつなげられるようになりました。
商工会議所様としては、加盟店をもっと増やしていきたいという思いがあるんです。
「たとえば温泉施設の利用がこれだけ多い」といった数字を示せるようになったことで、新たな店舗にお声がけする際の後押しにもなっているようです。
――LINE導入については、利用者様への友だち登録促進と、もう一つ加盟店様へのご案内の2つのアプローチがあると思います。それぞれ、どのように取り組まれているのか、お聞かせいただけますか?

村山さん
利用者様への案内は、毎年4月に各事業者で実施いただいていますね。
具体的には、社内掲示用のポスターで「こういうサービスが使えるので、LINEを登録してください」と知らせています。
その際、どこの店舗で使えるのかをまとめたパンフレットと、LINEの利用方法を説明した案内も一緒に配布いただいています。
加盟店様には、現場で混乱が起きないように、QRコードを印刷した案内を用意しました。
営業担当の方が1軒1軒店舗を訪問し、「今後はLINEのシステムを導入することになりました。こちらのシールをレジに貼ってください」とお渡ししています。
「おめでとう」が届く、仕組みのひと工夫
――その他に構築で工夫された点があれば教えてください。

村山さん
そうですね、誕生日配信の仕組みでしょうか。
リマインドの自動化は、プロプランの「アクション管理のスケジュール設定」を使えばスムーズに実装できます。
ですが今回は、スタートプランでの運用だったため、別の方法で仕組み化する必要がありました。
誕生日配信は月に2回行っていて、1回目はその月の「月初」、2回目は「誕生日当日」の朝に届くようにしています。
月初の配信は、「今月お誕生日ですね。おめでとうございます」というメッセージとあわせて、「このサービスが使えますよ」といった配信を私が手動で行っています。
そして2回目、誕生日当日の配信が特に悩んだポイントでした。
具体的には、「誕生日が条件に合致した日にメッセージが届く」という構造を採用しています。
すべてのユーザーが必ずどこかの日に該当するように、365日分を20年分用意するという設計になりました。
――20年分ですか!初期構築、大変でしたよね。

村山さん
もっとシンプルな仕組みにしたかったのですが、試行錯誤の末、現在の形に落ち着きました。
いま振り返ると、たとえばハラケアシステム様のように「AとBのシナリオを繰り返し動かす」構築方法も選べたかもしれません。
また、その他の取り組みとして、年に1回、利用者の方を対象に満足度調査のアンケートを実施しています。
2024年は3月に実施し、回答者には商品券などの特典を用意しました。
設問の例としては、「このサービスを使ったことがありますか?」「また利用したいと思いますか?」といった内容が中心です。
最初の質問で「利用したくない」と回答された方には、その理由も伺っていて、「タイミングが合わなかった」「使いたいお店がなかった」といった声が寄せられました。
アンケートの結果は、サービス運用の戦略にも活かされています。
ちなみに、このときの回答者数は100名ほどでした。
当時のLINEアカウント登録者が200人ほどだったことを思うと、かなり多くの方に答えていただけた印象です。
現在は登録者数も400人ほどまで増えており、少しずつ広がってきている感覚があります。
――構築にはどれくらいの時間を要しましたか?

村山さん
約2ヶ月です。
――本アカウントは、現在も運用支援に入られているのでしょうか。

村山さん
はい、引き続き運用支援をしていて、具体的には、配信文の作成や配信の代行を行っています。
全体向けの配信では「今月のおすすめ店舗」をご紹介しています。
おすすめ店舗情報の配信は、毎月担当の方へ「今月はどのお店をご紹介しますか?」と確認して、その情報をもとに私が配信文を作成する流れです。
できるだけ新しく加入した店舗や、まだパンフレットに掲載されていないお店を優先してご紹介しています。
毎月新店舗があるとは限らないため、その場合は、まだ紹介していない加盟店を取り上げることが多いです。
――商工会議所様はLステップを導入して、どのように感じていらっしゃいますか?

村山さん
実際に、こんな感想をいただいています。
なかなか利用者の方の声を聞く機会がなかったので、LINEを通じてアンケートを実施できたのは良かったです。
利用者のニーズが分かったことで、提供店舗さんへの声がけの候補も考えやすくなりました!
Lステップとの出会いが転機に
――ここからは村山さんの経歴や、Lステップ構築を始めた経緯についてお伺いできればと思います。まずはプロフィールをご紹介いただけますか。

村山さん
LINEの仕事を始める前は、長く福祉の仕事をしていました。
祖母が交通事故に遭い、介護が必要になったのをきっかけに、大学で「社会福祉士」の資格を取り、障がいのある方の支援に携わっていました。
その後、結婚・離婚を経てシングルマザーになり、再婚を機に田舎への移住を決めたんです。
憧れていた暮らしでしたが、移住先には福祉の仕事がほとんどなくて。
「じゃあ、自分で仕事を作ろう」と思い、これまでの経験をもとにブログを書き始めました。
そのブログが広く読まれるようになって、並行してインスタのフォロワーも少しずつ増えていきました。
――ブログやインスタでの発信がきっかけで、LINEやLステップの活用につながったのでしょうか?

村山さん
そうですね。
発信を通じて出会った方とは、どうしても一期一会になりがちでした。
たとえば「この商品、この人に合いそう」と思っても、毎回DMでやりとりするのは手間も時間もかかるんです。
ブログも、検索で来てくれた人が商品を買ってくれても、リピートにはなかなかつながらなくて「もっと継続的に提案できたら」と感じていました。
ブログも、検索で来てくれた人が商品を買ってくれても、リピートにはなかなかつながらなくて「もっと継続的に提案できたら」と感じていました。
そんな中でLINE公式アカウントを使い始め、最初は個別に「こういう商品どうですか?」と送っていたんですが、全員にやるのはさすがに無理がありました。
そこで、Lステップの「ステップ配信」という機能を知り「これなら効率よく、ちゃんと伝えたい人に届けられるかも」と思い、すぐ取り入れたんです。
――正規代理店になった経緯を教えていただけますか?

村山さん
Lステップを使いはじめてから売上がかなり伸びてきました。
同時に「こうしたLINEの運用技術を企業も求めているらしい」という情報を耳にしたんです。
まだ正規代理店制度を知らなかった頃でしたが、「じゃあ学んでみよう」と思い、Lステップ認定トレーナーの堤さんのコンサルタント講座を受講しました。
その後、マネクル主催の講座にサポーターとして参加し、正規代理店になったという流れです。
――村山さんはPRプロデューサーとしても活動されていますが、広報に携わる中で、LINEやLステップの役割や魅力はどう感じていますか?

村山さん
LステップやLINEは、お客さんとの「一対一」の関係性を深めていける点が大きな特徴だと思っています。
一方で広報は、企業からマスメディアに向けて、より広く認知を取っていくためのもの。
全体的な認知度を上げるには有効ですが、一対一のつながりはどうしても薄くなりがちです。
広報活動とLINEを組み合わせることで、伝えたい想いを、より確実に、そして丁寧に届けられるんじゃないかと感じています。
――対応エリアは全国ですか?

村山さん
オンラインで全国対応可能です。
宮崎県在住のため、県内では訪問対応も行っています。
――構築のみのケースと、運用サポートまで含めたケースでは、どちらのご依頼が多いでしょうか?

村山さん
ほとんどの場合、運用サポートもセットでご提案しています。
業務改善系のご相談では、構築後3〜4ヶ月ほどサポートし、ご自身で運用できるようになるケースが多いです。
リニューアルなどの場合は、別途ご相談のうえ対応させていただいています。
――得意とする業種・業態はありますか?

村山さん
福祉関係の案件では、自分の経験を活かせる場面が多いですね。
前職で福祉の現場にいて、事務的な業務も含めて幅広く担当していたので、現場の事務の方がどんなことで困るのか、どこに課題を感じているのかがよくわかるんです。
だからこそ、お手伝いできる部分があると思っています。
――乙房こども園様の事例からも、内製化研修に力を入れておられる印象を受けました。現場を見る中で「内製化を進めたほうがいい」と感じる場面が多かったからでしょうか?

村山さん
そうですね。
最初の頃は、内製化を目的とした研修は実施していなかったんですが、それだとなかなか活用まで進まないケースが多かったんです。
「箱だけ作って終わり」になるのは、やっぱりもったいないと感じていました。
そこから「きちんと使いこなしてもらうことが何より大事」だと考えるようになり、サポート体制を強化しました。
認定コンサルタントの安井さんから、研修の進め方を教わり、以降は納品時の説明を丁寧に行いながら、月次対応でも繰り返し操作をご案内しています。
【研修の様子】
Lステップの使い方などは、説明動画を撮って納品時にお渡ししています。
LINE上に直接送ると閲覧期限が切れて見れなくなる場合もあるので、再生リストにまとめて、いつでも見返せるようにしていますね。
実際に活用できる状態を目指し、一緒に進める形を大切にしています。
――最後にご自身の強みや、クライアントワークをする上で大切にしていることをお聞かせください。

村山さん
専門用語や横文字は、なるべく使わないようにしています。
たとえば「リスケ(リスケジュール)」のような言葉も、地元の工務店さんには伝わらない場合があるんですよね。
業界内では当たり前でも、相手に伝わらなければ意味がないので、わかりやすい伝え方を意識しています。
もう一つ意識しているのは、レスポンスの速さです。
私自身、待たされるのが苦手なので、お客様にもなるべく不安やストレスを感じさせたくなくて。
すぐに返せないときでも「〇日にお返事しますね」とひと言添えるようにしています。
何でも気軽に相談できる雰囲気をつくることが、自分の強みだと思っています。
まとめ
今回は、合同会社花菜の代表・村山さんに、都城市商工会議所でのLステップ導入事例についてお話を伺いました。
当初は、福利厚生サービスの情報が十分に届かず、どのくらい利用されているのかも把握しきれない状況が続いていました。
Lステップの導入により、運用の改善だけでなく、利用者や加盟店との接点づくりにも変化がうまれています。
LINEを活用した業務改善や、「広報」と「LINE活用」の両面からのサポートに関心をお持ちの方は、ぜひ以下より村山さんへお問い合わせください。