数ある機能の中でも特に目を引く存在のリッチメニュー。
LINEの中で独自性を表現でき、設置するボタンによってはユーザーの利便性を格段に高められる非常に便利な機能です。
こだわりのデザインや導線で構築したいと思うものの、なかなかアイデアがまとまらず、悩まれている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はY's works株式会社代表の安井さんに、リッチメニューの見せ方と使い方が秀逸な「カーディーラー」のLステップ導入事例をご紹介いただきました。
【安井しほり】
Y's works株式会社代表。Lステップ認定コンサルタント。Lステップの構築・運用サポートに加え、日本で唯一の認定講師として、Lステップ公式の活用セミナーの講師を担当している。構築後の内製化サポート(自社運用をする上で必要な知識とスキルの提供)にも定評がある。
目次
グループ内で初のLステップ導入
――さっそくですが、今回ご紹介いただく事例のクライアント様を教えていただけますか。
安井さん
カーディーラーの「ボルボ・カー・沼津」様です。
――安井さんが今回、ボルボ・カー・沼津様の構築を担当されることになった経緯をお聞かせください。
安井さん
ゼロタス・デザインスタジオ株式会社のクリエイティブディレクターを務める、和田さんという方にご紹介いただいたのがキッカケです。
和田さんは、ボルボ・カー・沼津様のマーケティングや経営的な相談も受ける中でLINEを導入してみては?と提案され、LINEのチームを作ることになりました。
和田さん率いるチームの一員として、LINE構築に携わらせていただいています。
――安井さんが構築に関わる以前から、ボルボ・カー 沼津様ではLINE公式アカウントの運用をされていましたか?
安井さん
LINE公式アカウントは運用されていました。今回のタイミングで、Lステップを導入いただきました。
――沼津店以外の店舗でも、LINE公式アカウントやLステップは導入しているのでしょうか?
安井さん
一部の店舗でLINE公式アカウントは運用していますが、Lステップは現状沼津店のみです。
――ボルボ・カー・沼津様の構築はいつ頃されたものですか?
安井さん
構築のお話をいただいたのは2022年の春頃です。リリースまでに1年近くかかったので、まだ公開3ヶ月くらいの最新アカウントです。(2023年9月時点)
――2022年の春頃と言えば、コロナ禍で半導体不足などの話題があったと記憶していますが、構築に影響はありましたか?
安井さん
そうですね。ボルボ・カー・沼津様の方でもさまざまな検討がされている時期だったため、リリースまでに時間がかかりました。
Lステップ導入の目的は2つ
――ボルボ・カー・沼津様が抱えていた課題や、Lステップ導入の目的をお聞かせください。
安井さん
大きくは2つありました。
①見込み客や新規来店のお客様への販売訴求を強化したい
②オーナー様の来店回数を増やしセールススタッフとの絆を深めたい
昔に比べて点検の回数が減っており、それに伴いオーナー様のご来店機会も減っているようです。
ご来店の機会が少ないと各種サービスや商品のお話をする機会も少なくなるため、店舗ではさまざまなイベントを企画して来店の機会を作り、オーナー様とのコミュニケーション頻度を高めたいとおっしゃっていました。
――確かに購入後は定期点検などの用事がない限り、店舗に行くことはないですよね。ちなみに、店舗でどのようなイベントを開催されているのでしょうか?
安井さん
フラワーバイキングや地元の銘菓をフィーカとして提供したり、お子様がいるファミリー層向けにK-1選手との餅つき大会などの企画を検討していたり、さまざまなイベントがあります。
――面白いですね。あいさつメッセージで送られるアンケートの最後に、趣味を聞く項目がありましたが、イベントのアイデアを得る目的で設置されているのでしょうか?
安井さん
そうですね、おっしゃる通りです。また、配信の内容を検討する時の材料にもなります。車に乗って何がしたいのか?が見えていると、例えば「ドライブが好きな人」にはドライブ情報を配信するなど、1人1人に合った訴求がしやすくなります。
あいさつメッセージ
アンケートの最後に趣味を聞く項目が設置されています。
「勧められるままにLINE登録してみたけど、登録しておく理由が見えない」とならないよう、あいさつメッセージでは今後得られる情報やLINEでできることが説明されています。
ユーザーの属性に合ったコミュニケーションを取るために、初回の配信でアンケートを送り、顧客情報を取得するのは構築の定石。
アンケートは簡単に答えられそうで、かつ回答するメリットをつけ、回答率を高める訴求もされています。オーナー様と新規のお客様で、質問の内容を分けているのもポイントです。
初回の配信を見るだけでも、さまざまな工夫が凝らされていることがわかります。
なお、アンケートに回答すると、リッチメニューが表示される仕組みになっています。
かっこいいデザインですね。いろいろタップしてみたくなります。
――イベントがあるとオーナー様との接触頻度は増えそうですね。
安井さん
そうですね。ただLINE導入前は、イベントはメールやハガキでのご案内になっていて、思うように参加者を集められない時もあったようです。
――LINEの登録導線はどこに設置されていますか?
安井さん
現在は店舗のみです。すべてのお席にQRコードを置いて、担当から登録のご案内を差し上げています。
”憧れの車をいつもそばに”をテーマにしたリッチメニュー
――話は戻りまして、ボルボ様の課題に対する御社のご提案をお聞かせください。
安井さん
そうですね。大きく分けて3つの着地を目標としました。
①見込み客のリスト化と来店訴求
②オーナー様の顧客満足度向上
③予約の自動化による業務効率化
見込み客は主に「LINEで最新情報やデジタルカタログが見れますよ」という話から誘導してリスト化しています。
デジタルカタログとは、LINE上で見られるカタログです。車種ごとの特徴を眺めるだけでなく、気になる箇所をタップできるようにして、接触頻度を高めていくような作りにしました。
リッチメニュー上部のタブを「Model Catalog」に切り替えると、車種一覧が表示されます。
同画面ではさらに「EV・ハイブリッド・48V ハイブリッド」で切り替えられるようになっており、カテゴリーごとに車種を閲覧できるようになっています。
気になる車をタップすると、左下のように拡大表示に切り替わります。車体に設置されている虫メガネマークをタップすると、箇所に応じた特徴の説明が表示される仕組みです。
――リッチメニューの見せ方がすごくいいですね。見やすさも操作性も非常によくて、LINEでこのデジタルカタログが見れるのはとても魅力だと思います。
安井さん
この見せ方は私の方で実現したくて、ご提案して入れさせていただきました。電車を待っている時や通勤中など、ちょっとした時間にも手軽に見ていただけたらと思って作りました。
――「VOLVO診断」をすると、診断結果に応じたリッチメニューが表示される仕組みになっているんですね。
安井さん
そうなんです。自分のライフスタイルに合った車種を知るヒントとして、診断コンテンツを作りました。
せっかく診断をしていただいても、単に「この車種がおすすめです」と表示されるだけでは一瞬で流れてしまい、なかなか記憶に定着しません。
”憧れの車をいつもそばに”をテーマに、診断結果をリッチメニューに反映し、アカウントを開く度に自分に合う車種が目に留まるような設計にしました。
車は人生でも数回の限られたお買い物。たくさん悩んで検討し、やっぱりこれがいい!と決定する方が多いと思うので、カタログでも”とにかくもっと見たくなる”工夫が重要だと思っています。
リッチメニューから「VOLVO診断」をやってみます。
最後に「診断結果を見る」押すと、、、
診断結果は「XC90 RECHARGE」。リッチメニューが切り替わりました。
お客様の「おぉ!すごい!」といったリアクションが目に浮かびます。
アカウントを開く度に欲しい車が目に入ったら「やっぱりいいなぁ」が積み重なり、欲しい気持ちが高まりそうです。
仮にマークしていなかった車種が表示されたとしても、診断をキッカケにどんな車なんだろう?と詳細を見たくなる人は多いでしょうから、宣伝効果も期待できそうです。
――これだけ車種があると、構築は大掛かりだったのではないかと思われますがいかがですか?
安井さん
そうですね。構築中にマイナーチェンジもあって、公開までに2回画像の差し替えがあったことも加味すると、なかなか大掛かりでした。
また、車の上に文字を入れてはいけないなど、ボルボ様の定めるデザインのルールがありますので、ボルボ様に精通したデザイン会社と組んでいるからこそできる構築だったと思います。
――本件のようにクライアント様からデザイン含め構築を依頼された場合は、どのように対応されていますか?
安井さん
デザインやライティングなどができるメンバーとチームを組んでいますので、丸っとお引き受けしております。
導入3ヶ月で業務効率化につながる
――オーナー様の顧客満足度を上げる施策は、利便性の向上でしょうか?
安井さん
そうですね。点検・車検、イベントの予約がLINEからできるようになった点は、オーナー様にとって嬉しい変化ではないかと思います。
ちなみに、イベント関連のご予約にはLステップのカレンダー予約機能を使っていますが、点検・車検の予約はボルボ様の方で予約システムを構築されたため、今回Lステップの予約機能は使っておりません。
ただ、ユーザー目線ではLINEから予約ができるのは変わらないので、便利になったと感じていただけると思います。
オーナー登録を済ませると、リッチメニュー上部右端のタブ「Owener's page(オーナー専用ページ)」が閲覧できるようになります。
「Owener's page」では、点検や車検の予約ができる他、担当者への問い合わせもスムーズにできるようになっています。
ちなみに「LINE公式アカウントのリッチメニュー」と「Lステップのリッチメニュー」では、できることが異なります。
LINE公式アカウントのリッチメニューは、すべてのユーザーに同じ画面が表示される仕様です。ユーザーごとに画面の切り替えや出し分けはできません。
自在な表現ができるのは、Lステップのリッチメニューならではです。
安井さん
店舗イベントのご案内をLINEで配信し、そのままLINEで予約もできるようになったのはオーナー様だけでなく、セールススタッフにも大きなプラスになっています。
例えば洗車のイベントが土日に結構あるのですが、これまでは予約が埋まっていないと、金曜日の夜にセールススタッフが担当のお客様に「ご参加いかがですか?」と電話でご連絡していたようです。
でもボルボのオーナー様は経営者の方も多くて、金曜日の夜はなかなか捕まらないんですよね。セールススタッフも他の業務で忙しいと電話優先にはできません。
なので予約が埋まらない時も多かったのですが、ご案内をLINEに切り替えて、LINEで予約もできるようにした結果ほとんど埋まるようになって、セールススタッフが電話をする必要がなくなりました。
業務効率化につながってとても喜んでいただいています。
またオーナー様としても、イベントの件で度々電話がかかってくるよりも、LINEでお知らせが届いた方がありがたいですよね。
――電話でイベントの集客をするのは大変そうですね。
安井さん
基本メールで対応するように、という方針のようですが、メールだけだとご案内が行き届かず、予約が埋まらないので電話するしかなかったようです。
――電話の手間がなくなり、予約は埋まるようになり、いいことしかないですね。
安井さん
そうなんです。なので、どんどんLINE登録してもらってくださいと伝えています。
――ちなみに洗車のイベントとは、どのような内容なのでしょうか?
安井さん
いつもよりお手頃な価格で洗車ができるイベントです。手洗い洗車と機械洗車が選べて、手洗い洗車でも2,000円(税別)でお願いできます。
――アカウントを公開してわずか3ヶ月、登録導線は店舗のみの状態で目に見えた成果が出ているのはすごいですね。ボルボ様の構築で、安井さんのこだわりポイントが他にもありましたらお聞かせください。
安井さん
ありがとうございます。あとはライティングですね。お客様にいかにわかりやすく伝えるかを意識しています。
例えばボルボ様のイベントには、「プロドライバーの試乗会」というものがあります。
どのような内容かを伺うと、さまざまなメーカーの車をテストするプロドライバーの方がいて、その方と一緒に試乗ができる。ボルボと他のメーカーの違いやそれぞれのメリットなど、フラットに的確なアドバイスをもらえるイベントとのことでした。
購入前にいろんなメーカーの車に乗ったことがある人に相談して、フラットな意見がもらえるってお客様からするとすごく大きな価値ですよね。
ひとつひとつヒアリングを徹底して訴求ポイントを見つけて、お客様により価値が伝わるよう伝え方を工夫しています。
――ボルボ様のアカウントは、構築後の運用サポートもされていますか?
安井さん
そうですね。配信は私たちで担当しています。
――どれくらいの頻度で配信されていますか?
安井さん
今は週に1回、月に4回のペースで配信しています。
――セグメントは細かく分けていますか?
安井さん
現時点では「オーナー様」と「新規のお客様」の2つです。
なぜ2つだけにしているかというと、今後自社運用をしていくにあたり、最初からあまり細かく設定してしまうと運用が難しいからです。
沼津店のご担当者の方に慣れていただくまでは、2つでやっていこうと思っています。
――クライアント様によると思いますが、構築後の運用サポートは大体どれくらいの期間されていますか?
安井さん
構築後、最低半年は運用サポートに入らせていただきたいとお願いしています。
構築をしただけで引き継いでも、うまく回らなかったり運用できなかったりするケースがほとんどなので、半年から1年のサポート期間は必要と考えています。
安井さんの強みは「アイデア力・わかりやすさ・内製化」
――安井さんの拠点は静岡ですか?
安井さん
いえ、愛知県の名古屋です。
――対応エリアは全国ですか?
安井さん
はい、全国対応しております。
クライアント様は静岡や大阪、埼玉、九州など、愛知以外が多いです。ハワイやカナダなど、海外の方からお問合せをいただくこともあります。
会いに行ってしまいたくなるタチなので、オンラインだけでなくお邪魔することもよくあります。
――海外からのお問い合わせもあるんですね。海外に拠点のある日系企業や、海外在住のインフルエンサーの方などでしょうか?
安井さん
さまざまですが、例えば大学です。日本人の留学生を集めたいカナダの大学から、お問合せをいただいたことがありました。
でも私英語できなくて、大学の担当の方もカタコトの日本語だったので、英語が話せる人を間に挟んで一緒にZoomをして、なんとかかんとか対応しました(笑)
――大学の方はどうやって安井さんにたどり着いたのでしょうか?
安井さん
その時はYouTubeをやっていて、YouTubeからのお問合せでした。
――やはりSNS経由のお問い合わせから進展するケースが多いですか?
安井さん
いえ、私の場合はご紹介がほとんどです。自社営業はしていなくて、8割から多い月は9割の案件がご紹介です。
――紹介のみで埋まってしまうのはすごいですね。多くの方から信用・信頼されている証拠だと思います。
安井さん
ありがたいです。本当に周りの方のおかげでどうにか活動させていただいています。
――安井さんが得意とする業種はありますか?
安井さん
カーディーラー様や工務店様、ブライダル業界など、高額商品を扱う業種のアカウント構築に多く関わらせていただく機会が多いです。
――安井さんの強みや、クライアントワークをする上で大切にしていることをお聞かせください。
安井さん
①アイデアと提案力
②わかりやすい構築
③内製化サポート
の3つだと思っています。
<①アイデアと提案力について>
私自身がこれまでに15種類ほどの職業を経験してきて、いろんな業界・業種に関する知見を持っています。
また、クリエイターに経営学を教える講師もさせていただいているので、経営の根本を考えたご提案から、プロモーション・商品企画まで、さまざまなお手伝いをさせていただいております。こうした豊富な経験から、アイデアと提案力には自信があります。
<②わかりやすい構築について>
私たちの構築は、わかりやすさにすごくこだわっています。
弊社では構築が「ゴール」だとは思っていません。クライアント様が運用する中で初めて、さまざまな成果が生まれていくものと考えています。
そのため構築の上で、友だちの「便利」>クライアント様の「便利」>構築側の「便利」を元に、多少手間や工数がかかっても【誰がみてもわかる構築】を目指して、制作もお手伝いさせていただいております。
自分にとって便利な構築ではなく、運用を担当される方にとってわかりやすい構築ができるのは、講師業や内製化サポートの経験があるからこそできることだと思っています。
<③内製化サポートについて>
内製化サポートとは、クライアント様ご自身が自社で運用を進めていくために必要なスキルを、プログラムを組んでご提供するものです。
ただLステップやLINE公式アカウントの操作説明をするのではなく、配信の時に役立つマーケティングの話なども盛り込みながら、担当者様ご自身が考え実行できるまでを「習得」していただけるように研修しております。
――安井さんは、クライアント様に内製化サポートができる人材育成もされていると伺いました。
安井さん
はい。クライアント様への内製化研修ができるスキルを身につけ、ワンランク上のコンサルタントになるための「内製化スキルマイスター講座」を行っています。
私が今Lステップ公式で担当させていただいている活用セミナーは、Lステップの操作を理解したい人が、自ら予約してくる講座です。
一方内製化研修は、社内で上から運用担当に割り振られた人がやってくるもの。モチベーションが高い人ばかりではありません。
ただ形式的に教えるのではなく、きちんとスキルを習得していただくのがゴールなので、いかにお客様のモチベーションを上げていくか、教え方だったりご担当者様のレベルに合わせたプログラム設計だったりが必要になってきます。
プログラムの組み方や話し方、モチベーションの管理方法など、研修していく上で必要なスキルをご提供しています。
Lステップを「教えること」を弊社ほど得意にしているところはないかと思います。構築後の運用は自社でしていきたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
まとめ
今回は、Y's works株式会社代表でありLステップ正規代理店の安井さんに、「ボルボ・カー・沼津様」の導入事例をご紹介いただきました。
デジタルカタログや診断、各種予約や担当への連絡導線など、Lステップリッチメニューの見せ方・使い方が秀逸な、安井さんのアイデア力が光る好事例でしたね。
初期構築は専門家に依頼して、ゆくゆく運用は自社で行っていきたいと考える方に、安井さんはぴったりです。ご相談を希望される方は、以下のLINEからご連絡してみてください。