今回は株式会社GIFTの古川さんに「コールセンターのLステップ導入事例」をご紹介いただきました。
Lステップ導入前の課題
- 入電の対応コストが大きい
- 混雑する時間帯に受電率が低下し、クレームに発展することもある
- 契約後6ヶ月以内の解約件数が多い
- 代理店制度を導入しており、各販社にも顧客対応の負担を軽減させたい
Lステップ導入後の成果
- 一次対応をチャット化し、電話対応件数を40%削減
- 混雑時の未通を緩和。LINE導入から現在まで未通によるクレームはゼロ
- 契約者向けフォローメッセージの配信をRPAを活用し自動化、解約率を10%改善
- オペレーター機能を使い、各販社の顧客管理業務の効率化と分担が可能
既存の顧客管理システムとLステップを連携し、管理側の工数を増やさず、オペレーターの負担を緩和し、顧客満足度も向上している好事例です。ぜひ参考にしてみてください。
【古川 和樹】
株式会社GIFT IT事業部ディレクター/Lステップ正規代理店
Lステップの構築だけでなく、RPAを活用した企業のDX化を推進している。Lステップと外部システムとの連携を自動化させ、Lステップだけでは実現できないマーケティング施策の立案や、業務効率化の提案を得意とする。
目次
自社で成果が出たやり方を横展開
――今回ご紹介いただく事例のクライアント様についてお聞かせください。
古川さん
Tアシスト株式会社様です。コールセンター事業を展開されており、通信関連のアウトバウンド業務が中心となっております。
今回は、WiMAXというモバイル端末のアウトバウンド業務において、顧客獲得後のカスタマーサポートとして活用いただく事例でございます。
――御社が構築に入る前から、Tアシスト様はLINE公式アカウントやLステップの運用をされていましたか?
古川さん
いえ、どちらも導入されていませんでした。
――Lステップの導入時期はいつ頃でしょうか。
古川さん
2024年10月から導入しました。
――Tアシスト様がLステップを導入するきっかけや、御社が構築を担当する経緯をお聞かせいただけますか?
古川さん
Tアシスト様と弊社はもともと業務上のつながりがありまして、交流会で担当者の方にLステップ導入を提案させていただいたのがきっかけです。
実は弊社もコールセンター事業を運営していて、Lステップを活用しているんですよ。入電の対応コストの削減ができたりキャンセル率が低下していたり、Lステップの導入によりさまざまな課題の解決につながっています。
弊社での取り組みを横展開すれば、同様の成果が見込めると予測できますので、導入および構築のご依頼をいただきました。
――現在も御社で運用支援をされていますか?
古川さん
はい、各種設定の調整でサポートを継続的に行っています。
最大の課題は1人につき1時間ほどかかる「入電コスト」
――Tアシスト様が抱えていた課題や要望をお聞かせください。
古川さん
課題やご要望は次のとおりです。
- 入電の対応コストが大きい
顧客対応はすべて電話で対応しており、端末の設定方法やスマホ端末の操作方法のお問い合わせが多く、対応時間も長引くため、オペレーターのリソースがかなり奪われていた。 - 待ち呼によるクレームを防ぎたい
お問い合わせが混雑する時間帯があり、受電率が低下。お電話がつながらないお客様が、クレームに発展する場合がある。 - 代理店の負担を減らしたい
代理店制度を導入しており、各販社にも顧客対応の負担を軽減させたい。 - 解約を抑止したい
契約後6ヶ月以内の解約で戻入(れいにゅう)が発生するため、継続率を向上させたい。 - 配信を自動化したい
顧客管理は既存のCRM(顧客管理システム)で行っており、CRMの進捗情報に合わせて自動的に配信を行いたい。
WiMAXを利用するにあたり、お客様にしていただくことが2つあります。1つはWiMAXの端末の設定、2つ目はご利用されているスマートフォンのSIMロック解除と、格安携帯への変更手続きです。
上記2つをオペレーターが電話でサポートしながら進める流れになっていて、対応時間は1人のお客様につき1時間ほど。契約を取れば取るほどリソースも増えていく状況で、ここが1番の課題でした。
――電話がなかなかつながらないと、クレームになってしまいそうですよね。オペレーターの方の負担がますます増えてしまう気がします。
古川さん
おっしゃる通りで、お電話が集中する時間帯には、なかなかつながらないお客様も出てきてしまいます。
普通のお問い合わせだったらいいんですけれども、そもそもがクレームで電話をかけてきてるお客様ですと、ただでさえ温度が上がっている中で電話が繋がらないことにより、さらに炎上してしまう場合もあります。
――ちなみに、代理店制度とはどのようなものなのでしょうか?
古川さん
簡単にいうと、フランチャイズですね。
Tアシスト様がWiMAXを営業できる許可を持っていまして、Tアシスト様の傘下に入るとその権利を使えるイメージです。
傘下の代理店が複数いて、Tアシスト様の名義で電話営業ができる仕組みになっています。
――なるほど、代理店もLステップを導入しているのでしょうか?
古川さん
いえ、代理店はLステップを導入していません。
代理店はすべて、Tアシスト様の名義でお客様に電話をしていますので、ひとつのアカウントに集約できています。
タグで代理店を分けて、オペレーター機能を使い、各社自分のお客様だけ対応する仕組みです。
――すごく効率化につながっていそうですね。「契約後6ヶ月以内の解約で戻入が発生する」とはどういう意味でしょうか?
古川さん
WiMAXをご契約いただいてもすぐに解約になってしまうと、WiMAXを提供する企業の収益にならないため、6ヶ月以内に解約されてしまった場合インセンティブが減る、という意味です。ですので、短期解約の抑止も要望に挙がりました。
一次対応を電話からチャットへ
――諸々理解しました、ありがとうございます。ではここから、課題に対する御社のご提案をお聞かせください。
古川さん
はい、提案内容は次のとおりです。
- チャットボット機能の導入
よくある質問(FAQ)や、端末設定方法などの対応を自動化し、オペレーターの負担を軽減。顧客はLINE上で素早く問題解決ができるため、顧客満足度も向上。 - 一次対応のチャット化
一次対応を電話からチャットに置き換えることで、混雑時でもオペレーターの負担が大幅に軽減。必要な顧客のみ電話対応を行う仕組みを構築し、対応の効率化を実現。 - オペレーター機能の利用
代理店にオペレーター権限を付与することで、1つのLステップアカウントで複数の販社が顧客対応を行える仕組みを構築。各販社の顧客管理業務の効率化と分担が可能に。 - フォローアップメッセージのシナリオ構築
築契約後1〜6ヶ月間で、顧客の解約防止を目的としたフォローアップメッセージを自動送信。利用方法の提案や注意点を配信し、顧客の利用促進を図る。 - CRMとの連携
既存のCRMと連携し、顧客の進捗状況や契約情報に基づいて自動で適切な配信を行う仕組みを導入。RPAやPythonを活用し、業務プロセスを自動化。
順を追って解説します。
まず1番の課題となっていた、WiMAXの申し込み後に行う端末の設定や格安携帯への変更手続きの電話サポートを、LINEで自動化しました。
端末の設定方法や格安携帯への変更方法をまとめた資料が、WiMAXの端末が届くタイミングに合わせて、自動で配信される仕組みになっています。
設定方法
資料を確認いただければお客様ご自身で設定できますので、現在は一次対応を電話からチャットに置き換え、必要なお客様だけ電話対応をする流れにしました。
電話だと1人ずつしか対応できませんが、チャットなら複数人同時にサポートが可能ですから、大幅な工数削減につながっています。
――かなりの効率化になっていそうですね。解約抑止策についてもお聞かせいただけますか?
古川さん
端末が到着した日を起点に6ヶ月間、WiMAXは持ち運んでどこでも使えますよとか、ご家族と共有して使えるので通信費を抑えられますよといった、WiMAXを使うメリットやお役立ち情報を月に1回配信しています。
配信はシナリオを組んでいますので、すべて自動で送られます。
――フォローアップも自動化できているんですね。次に「既存のCRMと連携」についてお聞かせください。
古川さん
コールセンターなので、すでにCRMを利用されていて、お客様とのやりとりなど、情報はすべてCRMに入力するオペレーションになっていました。
これまで通り既存のCRMに情報を入力しつつ、Lステップにも情報を入力するとなると、お客様の対応コストが削減できても、今度は管理側のコストが増えてしまいます。
そこが導入の障壁になってしまうので、CRMとLステップを連携してCRMに入ってる情報をもとに、例えばアクション管理とかで、自動でお客様の状況に合わせてシナリオを送信するような仕組みを作りたかったんですね。
――既存のCRMとLステップの連携はできるんですか?
古川さん
はい、RPAという業務自動化ツールを使ったりプログラムを書いて連携したり、適したやり方は状況によって異なりますが、連携は可能です。
CRMが更新されると、Lステップの方にも自動で情報が反映される仕組みを構築しました。
もともと弊社がRPAやプログラミングの技術を持っていまして、Lステップの正規代理店になってから、掛け合わせて使えることがわかって始めた感じです。
――既存CRMとLステップの連携はすごい便利そうですね。既存のCRMとの連携を実現している話は今回初めて聞きました。
古川さん
あまりないですよね。ここが弊社の強みだと思っているところです。
――既存のCRMに情報が追加されたら、例えばLステップの顧客情報にタグがついて、自動でシナリオ配信などのアクションが動くようなイメージで合ってますか?
古川さん
その通りです。
――めちゃくちゃ便利ですね。
古川さん
めちゃくちゃ便利です。ちなみに、CRMの情報をLステップに入れるだけでなく、Lステップに追加された情報をCRMに反映させることもできます。
例えば、データをCRMからLステップに反映し、お客様の状況に合わせてシナリオを送ります。お客様が配信に対して行ったアクションを今度はCRMに反映すれば、オペレーターはCRMだけで進捗確認ができるわけです。
チャット対応はLステップの画面で行いますが、その他の作業は既存のCRMでできますので、Lステップの使い方を細かく覚える必要もありません。
――なるほど。余談ですが、コールセンター以外、例えば医療クリニックなどでも業界専用の顧客管理システムを使っていますが、RPAやプログラムを使えば同様に、Lステップと自動連携できるのでしょうか?
古川さん
ツールによっては連携できないものもあるかと思いますが、基本的には連携できます。
――CRMとLステップの自動連携は難しいため、CSVを使って手動で情報を入れるか、もしくはどちらかの導入を見送るケースが多い印象でした。
古川さん
そうですよね。Lステップが便利なのはわかるけど、既存のシステムと両方操作が必要となると管理側の手間が増えてしまうため、導入の障壁になりがちですが、弊社ですとそのあたりの課題はクリアにできます。
電話対応件数を40%削減し、解約率は10%改善
――御社ならではの強みですね。それでは次に、構築の成果をお聞かせいただけますか?
古川さん
Lステップ導入後の成果は次のとおりです。
- 電話対応件数の削減
チャットボット導入により、電話対応件数が40%削減され、オペレーターの負担が大幅に軽減。 - 顧客満足度の向上
問い合わせ対応がスムーズになり、混雑時の未通を緩和。ローンチしてから現在まで未通によるクレームはゼロ。顧客から「LINE上ですべて解決できた」との高評価を得る。 - 解約率の改善
フォローアップシナリオによる解約防止策で、契約後6ヵ月以内の解約率が10%改善。契約継続率が向上し、収益増加に寄与。 - 販社の対応効率化
代理店ごとのオペレーター権限導入により、各販社での顧客対応が効率化され、販社ごとのコスト削減と迅速な対応が可能になった。 - 業務プロセスの自動化
CRM連携による進捗情報の活用で、適切なタイミングで必要な配信が可能となり、電話対応件数の削減や顧客満足度の向上に寄与。導入の障壁になっていたCRMとLステップの連携を手動対応する必要がなくなり、管理リソースを使うことなく導入できた。
――Lステップを導入いただいてからまだ2〜3ヶ月しか経っていない中、電話対応件数が40%も削減できたのはすごいですね。
古川さん
はい、コールセンターにおいて電話の対応工数40%削減は、めちゃくちゃインパクトがあります。ちなみに弊社のコールセンターでも、40%ほどの工数削減に成功しました。
Lステップ導入前は、何かお知らせがあるときは都度電話をする必要がありましたが、今はLINEで送れますし、留守電でつながらなかった場合に何度もかけ直す作業もありません。
また、一次対応をチャットにして、お待たせする時間を短縮できたことにより、クレームの発生頻度も大幅に下げられています。
ちなみに一次対応は一般のオペレーターがして、クレームで対応が難しい場合は責任者に代わるのが基本の流れなんですけど、お客様によっては「あなたが対応して」とおっしゃられて、電話を代わらせてもらえないんですよ。
そうなるとオペレーターには精神的な負荷がすごくかかりますので、積み重なれば離職してしまう人もいます。
その点一次対応がLINEでできると、電話をする前にクレームとわかる場合もありますから、最初から責任者が入れるんですよね。LINEの導入は、オペレーターの精神的な負荷の軽減にもつながります。
――顧客から高評価を得たとのことですが、お客様から直接お声が届いたのでしょうか?
古川さん
そうなんですよ。端末の設定やSIMロック解除などを電話説明ではなく、LINEをみてできてよかったとお声をいただきました。
――さっそく反響があったんですね。営業時間内に電話をするのが難しい人や、サポートなしで操作できてしまう人の場合、自分のタイミングで設定できた方がいいと思う人も多そうです。解約率もすでに10%改善されているんですね。
古川さん
はい、件数が多いので、10%の改善でも収益はかなりプラスになっています。
LINEがあるとすぐにコミュニケーションが取れたり、端末が届くタイミングで設定方法のメッセージがきたり、ユーザーも安心感があると思うんですよね。
申し込みをして、その後コールセンターにかけても全然電話がつながらないと、例えばご家族から「大丈夫?騙されてない?」と言われ、不安で解約に進む人も中にはいます。
電話対応からLINE、チャット対応に変えて対応をスムーズにしたおかげで、不安からくる解約は防げているはずです。
――さまざまなコストが改善されていますね。ちなみにTアシスト様は、Lステップの操作をされていますか?
古川さん
お客様対応のチャット以外での操作は基本的にありません。
「よくある質問」をLINEに集約しておりまして、各質問の回答を作る部分は対応いただいていますが、Lステップへの反映は弊社で対応しております。
――その他、構築する上で工夫した点や、こだわったポイントがあればお聞かせいただけますか?
古川さん
お客様には70代の方とか、結構年配の方も多いんですよね。
たくさん文字があると小さくて読みづらいとか、複雑な仕様だと使ってもらえないため、余計な言葉は使わず、とにかくシンプルな構築を心がけました。
――本事例の構築にはどれくらいの時間を要しましたか?
古川さん
1ヶ月半程度で構築完了しました。
――構築後、どれくらいで成果が見え始めましたか?
古川さん
2週間程度で、受電数削減と対応満足度向上の効果が確認されました。解約率の改善は2ヶ月目以降に明確に成果が見えました。
――Tアシスト様はLステップを導入して、どのように感じていらっしゃいますか?
古川さん
「顧客、オペレーター、各販社それぞれから高評価を受けており、業務効率が格段に向上した」と非常に満足いただいています。
今回はWiMAXの事例をご紹介させていただきましたが、Tアシスト様はWiMAX以外にも光回線などさまざまな商材を扱われていまして、現在合計4つのLステップアカウントを運用中です。
――コールセンター業界とLINEの相性はすごくよさそうですね。
古川さん
電話しかツールとして使っていないコールセンターは、本事例のようにLINEを活用すれば確実に業務効率化につながるので、間違いなく喜んでもらえると思います。
Lステップの構築・運用以外にも、さまざまなサービスを提供している
――御社ではLステップの事業はいつからされているのでしょうか?
古川さん
2024年の1月です。正規代理店講座を卒業してから、LINE公式アカウント運用事業を開始しました。
――コールセンター事業やRPA事業などをされている中、なぜLINE運用の事業を始めようと思ったのでしょうか?
古川さん
もともとタクシー広告などでLステップの存在は認知していました。
弊社コールセンターのアルバイトの中に、「Lステップのコンサルタントをやりたい」と言っていた人がいまして、そこでより詳しくLステップについて調べたんですよね。
Lステップを導入することで、クライアントの業務効率化や顧客満足度向上に寄与できると確信し、正規代理店の養成講座の募集がきたときにやってみようという話になり、僕に講座を受けてみないかとお声がかかりました。
――なるほど。古川さんはもともと、御社でどのようなお仕事をされていましたか?
古川さん
コールセンター業界で、CRMツールの導入支援や業務効率化のコンサルティングを行っていました。
――御社の拠点はどちらですか?
古川さん
北海道です。札幌に本社があります。
――対応エリアは全国ですか?
古川さん
はい、全国対応しています。
――得意な業種・業態はありますか?
古川さん
コールセンター業界や通信事業、フランチャイズチェーンなどです。
――御社の対応範囲をお聞かせください。
古川さん
Lステップ構築・運用、Webデザイン、動画制作、RPA構築、CRM導入支援、DXコンサルティングなど、クライアントの課題に応じた幅広いサービスを提供しています。
――最後に御社の強みや、クライアントワークをする上で大切にしていることをお聞かせください。
古川さん
当社の強みは、Lステップ構築だけでなく、Lステップと外部システムとの連携を自動化させ、Lステップだけでは実現できないマーケティング施策の立案、業務効率化のご提案が可能なところです。
また大切にしていることは、次の3つです。
- 課題解決型アプローチ
クライアントの業務フローや課題を深く理解し、的確なソリューションを提案することを心がけています。 - コミュニケーション
プロジェクト中も定期的な報告や相談を行い、クライアントとの信頼関係を築くことを重視しています。 - 成果にこだわる
導入後の運用支援やフォローアップを通じて、成果がしっかりと数字で見える形にすることを目指しています。
――本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
まとめ
今回は株式会社GIFTの古川さんに、コールセンターのLステップ導入事例をご紹介いただきました。CRMとLステップの連携により、さまざまなコストが改善された好事例でしたね。
既存の顧客管理システムとの連携がLステップ導入の障壁となっている事業者の方はぜひ、古川さんに相談してみてください。