
メルマガは、低コストで効率よく顧客と接点を持てるマーケティング手法です。
しかし成果を上げるには、配信後のデータ分析や継続的な改善が不可欠です。
本記事では、メルマガの効果測定に欠かせないKPIを取り上げ、それぞれの分析方法を解説します。
適切な指標をもとに現状を把握し、的確に成果を高める改善策を実践しましょう。
目次
メルマガの費用対効果は、投資額の36〜38倍
emailmondayの2025年の統計では、「メールマーケティングの平均ROI※は、3,600~3,800%」と報告されており、ほかの広告手法と比較しても高い費用対効果が期待できます。
※かけた費用に対して、どれだけ利益を得られたかを示す指標
ただし、メルマガを配信するだけで必ずしも高い成果が得られるわけではありません。
成果につなげるには、配信後の効果測定や内容の改善を行い、読者にとって価値のある情報を届ける工夫が必要です。
メルマガの費用対効果を高めるために、適切な測定方法を押さえておきましょう。
メルマガの効果測定で見るべき4つのKPI
メルマガの効果を正しく評価して改善するには、成果を数値で把握するステップが欠かせません。
その指標となるのがKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)です。
KPIとは、目標達成に向けた進捗を測る指標のことで、メルマガでは特に、以下の4つが欠かせません。
- 送信成功率:メールボックスに届いた割合を測る指標
- 開封率:メールが読まれる割合を測る指標
- クリック率:リンクの反応を確認する指標
- コンバージョン率:購読者の行動が成果につながった指標
各数値の分析で、どの段階に課題があるのかが明確になれば、効率的に改善できます。

それぞれの指標の特徴や計算方法を、順に見ていきましょう。
1.【送信成功率】メールボックスに届いた割合を測る指標
送信成功率とは、配信したメルマガが読者のメールボックスに届いた割合を示す指標です。100%を目指しましょう。
メールアドレスの入力ミスや受信拒否設定、無効なアドレスへの送信などが原因で、一部のメールが届かない場合があります。
送信成功率が低ければ、どれだけ魅力的なメルマガも読者に届かず、効果を発揮できません。
定期的にリストを整理し、エラーが多いアドレスを削除する対策が必要です。まずは送信成功率を確認し、メルマガが確実に届く環境を整えましょう。
2.【開封率】メールが読まれる割合を測る指標
開封率とは、配信したメルマガが実際に開かれた割合を示す指標です。一斉配信の場合、開封率は平均20%以下になるのが一般的です。
多くの人にメールが届いても、開封されなければアプローチできません。
開封率を高めるには、件名の工夫や配信時間の最適化が効果的です。
興味を引く言葉を件名に入れたり、読者がメールを確認しやすい時間帯を選んだりすると、開封率が高まります。
3.【クリック率(CTR)】リンクの反応を確認する指標
クリック率(CTR)とは、メルマガ内のリンクがクリックされた割合を示す指標です。
開封率の10分の1が目安です。開封率が20%なら2%のクリック率を目指しましょう。
開封されてもリンクがクリックされなければ、サイト訪問や購入などの次の行動につながりにくくなります。
クリック率を高めるには、リンクの配置やテキストの工夫が重要です。
読者が思わずクリックしたくなる魅力的な表現を使い、ボタンやリンクを目立たせると、反応を引き出しやすくなるでしょう。
4.【コンバージョン率】購読者の行動が成果につながった指標
コンバージョン率とは、メルマガを読んだ人のうち、商品購入や資料請求などの目的とする行動を達成した割合を示す指標です。
目安はクリック率の10分の1です。クリック率が2%の場合、0.2%のコンバージョン率を目標にしましょう。
コンバージョン率=(コンバージョン数÷有効配信数)×100(%)
クリック率が高くても、最終的な成果につながらなければ、メルマガの効果は十分とはいえません。
コンバージョン率を高めるには、読者がスムーズに行動できるような導線設計が大切です。
たとえば、申し込みページへのリンクを目立たせたり、余計な手順を省いて簡単に申し込めるようにしたりすると、読者の行動につながりやすくなります。
また、期間限定の特典を設けるなど、背中を押す工夫も有効です。
メルマガの成果を左右する+αの指標
さらに成果を高めるなら、基本的なKPIだけでなく、読者の離脱傾向やコストパフォーマンスにも目を向けましょう。
特に注目したいのは、以下の2つです。
確認したい指標 | 特徴 |
配信解除率 | メルマガの購読をやめた割合を示し、コンテンツの満足度や配信頻度が適切かを判断する |
ROI(投資対効果) | メルマガ運用にかかったコストに対し、どれだけの利益を生み出したかを測る |
これらの数値を分析すると、配信頻度や内容を見直すべきかが明確になり、無駄なコストを抑えつつ効果的なメルマガ運用につなげられます。

以下では、配信解除率とROI(費用対効果)の計算方法や改善策を解説します。
【配信解除率】メルマガの離脱傾向を示す指標
配信解除率とは、メルマガを受け取った読者のうち、配信を停止した人の割合を示す指標です。
配信解除率が高い場合、以下のような原因が考えられます。
- 内容が読者のニーズとズレている
- 配信頻度が多すぎる
- 宣伝が多すぎる
解除を防ぐには、読者が「このメルマガを読み続けたい」と思える内容を届けることが必要です。
最新の業界情報やノウハウなど、読者にとって価値のある内容を含めたり、週1回や月2回など、読者が負担に感じない頻度を意識したりする対策をしましょう。
【ROI】メルマガの費用対効果を数値で把握する指標
ROI(投資対効果)とは、メルマガの運用にかけたコストに対して、どれだけの利益を得られたかを示す指標です。
ROIを改善するには、利益を増やすだけではなく、運用コストを効率的に管理することも大切です。
たとえば、以下の施策が有効です。
施策 | 内容 |
ターゲットの精度を高める | 読者の興味や属性に応じてセグメント分けし、購読者一人ひとりに響く内容を届けて、反応を高める |
クリック率・コンバージョン率の向上 | クリックや購入に至る行動を促すために、魅力的なCTA(行動喚起)やオファーを用意する |
効果的なA/Bテストを実施 | 件名、配信時間、コンテンツの内容をテストし、最も効果的な方法を見つけ出す |
配信コストの最適化 | 配信ツールの選定や配信方法を見直し、無駄なコストを削減する |
ROIを高めるための施策を実行すれば、結果的にビジネスの収益アップにつながります。
メルマガの効果測定をする方法!役立つ3つのツール
効果測定の重要性を理解していても、定期的に数値をピックアップして計算する時間を確保するのは大変です。
そんなときには、便利なツールを活用しましょう。

メール配信ツール|メルマガの作成から分析までを効率化
メール配信ツールを利用すれば、メルマガの作成から配信、そして効果測定までを一元管理できます。
利用料金はさまざまで、無料のものから月額数千円で利用できるものまであります。
ただし、安価なツールは機能に制限がある場合もあるため、事前に必要な機能を確認しましょう。
効果測定を重視するなら、以下の指標を測定できるツールがおすすめです。
- 配信成功率
- 開封率
- クリック率
ツール選びは価格だけでなく、自社のニーズに合った機能を優先すると、より効果的に活用できます。
Googleアナリティクス|クリック後のユーザー行動を可視化
Googleアナリティクスを活用すると、メルマガ経由でウェブサイトに訪れたユーザーの行動を詳細に追跡できます。
開封率やクリック数だけでなく、その先の行動も分析できます。たとえば、以下の測定が可能です。
- 直帰率:サイト訪問後、ほかのページを見ずにすぐ離脱した訪問者の割合
- 滞在時間:ユーザーがサイト内で過ごした平均時間
- コンバージョン率:訪問者のうち、購入や資料請求などの目的の行動に至った割合
ただし、正確な測定には、メルマガのリンクへのパラメーター付きURLの設定が必要です。
どのメルマガの、どのリンクが成果に結びついたかを明確にし、次回以降の配信に役立てましょう。
MAツール|顧客データを活用する分析と自動化
MA(マーケティングオートメーション)ツールは、マーケティング業務を効率化するもので、メール配信機能も備えているのが特徴です。
顧客データを活用して、ターゲットを属性や興味関心にもとづいて分類でき、関心の高い顧客に最適なメールを届けられます。
そのため、開封率やクリック率の向上が期待でき、反応を得やすい配信リストが作成可能です。
さらに、エラーが頻発しているメールアドレスを自動で検出し、配信リストから除外する機能が付いているツールを選べば、手間をかけずに配信成功率を高められます。
メルマガの効果測定で数値を改善する7つの方法
メルマガの効果を正しく測定しても、適切な改善をしなければ成果に結びつきません。
具体的な改善策として、以下の7つが挙げられます。
- 件名を工夫して開封率を高める
- 差出人名に個人名を入れて信頼感を高める
- 配信時間を工夫して開封されやすくする
- リンクの設置場所を最適化してクリック率を上げる
- 画像や装飾を工夫して視認性を向上させる
- 配信リストの質を見直してターゲット精度を高める
- 複数チャネルを組み合わせて効果を高める

各施策を段階的に取り入れ、数値を着実に向上させていきましょう。
①件名を工夫して開封率を高める
メルマガの開封率を上げるには、件名の工夫が不可欠です。
受信者がはじめに目にする件名で興味を引かなければ、開封はされません。受信者が思わず開封したくなるような表現が必要です。
たとえば以下のように、限定性や具体的なメリットを前面に出した件名は開封されやすくなります。
- 「本日限定!⚪︎⚪︎を無料プレゼント」
- 「⚪︎⚪︎するだけで売上アップ!成功事例を紹介」
また、スマートフォンでの表示を考慮し、件名は全角30文字以内に収めましょう。長すぎると途中で切れてしまい、伝えたい内容が伝わりません。
件名を複数パターン作成してA/Bテストを実施する方法も、反応が良いフレーズを見つけられるためおすすめです。
②差出人名に個人名を入れて信頼感を高める
メルマガの差出人名も、信頼を高めるために必要な要素です。
企業名だけでなく担当者の個人名を入れると、受信者に親しみやすさや信頼感を与えます。
特に、すでに接点のある顧客やリピーターに向けた配信では、個人名が入っているほうが「知っている人からのメール」と認識され、注目してもらえるでしょう。
企業のブランド力を活かしつつ、個人の名前を加えて、親しみやすく信頼されるメルマガを目指してください。
③配信時間を工夫して開封されやすくする
メルマガは、配信する時間によって開封率が変わります。ターゲットの生活スタイルに合わせて、最適なタイミングを見極めることが必要です。
一般的に、ビジネス向けのメルマガは平日の通勤時間(7~8時)や昼休み(12~13時)、退勤前後(17~20時)が開封されやすい時間帯とされています。
ただし、主婦層やシフト勤務の方など、ライフスタイルが異なるターゲットには、別のタイミングが適している可能性があります。
ターゲット層によって適した配信時間は異なるため、過去の配信データの分析やA/Bテストの実施で、開封率が高い時間帯を見つけましょう。
④リンクの設置場所を最適化してクリック率を上げる
メルマガのクリック率を高めるには、リンクの設置場所の工夫が有効です。読者が自然にクリックできる位置に配置すると、多くの反応を得られます。
一般的に、本文の冒頭や中央付近にリンクを配置すると、クリックされやすくなります。特に重要なリンクは、スクロールしなくても見える位置にあるのが理想です。
また「詳しくはこちら」だけの記載より、以下のように具体的なメリットを伝える表現のほうが、クリックされやすい傾向です。
- 「▶ 今すぐ⚪︎⚪︎を試してみる」
- 「【限定公開】⚪︎⚪︎の成功事例をチェック」
A/Bテストでどのパターンが効果的かを検証し、ターゲット層に響く文言を見つけましょう。
⑤画像や装飾を工夫して視認性を向上させる
メルマガの視認性を高めるには、画像や装飾を効果的に活用するのも効果的です。
文字だけのメールよりも、適度にビジュアル要素を加えると、読者の興味を引きやすくなります。たとえば、以下の工夫が有効です。
- 商品の魅力を伝える写真を挿入する
- グラフや図を使ってデータを分かりやすく示す
- CTA(行動喚起)ボタンを目立つデザインにする
ただし、画像が多すぎると読み込みに時間がかかったり、テキスト情報が埋もれたりする可能性があるため適度なバランスが大切です。
さらに、本文の見出しを太字にする、箇条書きを使うなどの工夫を加えると、読者がスムーズに内容を把握できるでしょう。
⑥配信リストの質を見直してターゲット精度を高める
メルマガの効果を高めるには、配信リストの質が重要です。単にリストを増やすのではなく、興味・関心の高い読者に届けられるような見直しが必要です。
とはいえ、最初からメルマガの登録を促すのはハードルが高い場合もあります。
そこで、まずは「LINE公式アカウント」の友だち登録など、気軽にはじめられる接点を作るのもひとつの方法です。
LINE公式アカウントとは、店舗や企業から情報を発信できる、ビジネス用のLINEアカウントです。
LINEで短文のメッセージを通じて関係を築き、関心が高まったタイミングで詳しい情報を届けられるメルマガへ誘導すれば、質の高いリストを作成しやすくなります。
⑦複数チャネルを組み合わせて効果を高める
メルマガの開封率が伸びない場合、メールだけでなく、他チャネルの活用も効果的です。
若年層を中心に、メールよりもLINEに馴染みがある世代には、メルマガだけでは情報が届きにくい傾向です。
たとえばメルマガ配信前に、LINEで「⚪︎時に大切なお知らせをお送りします!」と事前案内すると、注目度が高まります。
また、メルマガを読んでもらえなかった場合に、LINEで補足情報を送ることも可能です。
メールとLINEを組み合わせれば、読者の情報取得スタイルに合わせて柔軟にアプローチできます。
効果測定だけではメルマガの費用対効果を高められない
メルマガ配信だけでは十分な成果は得られません。大切なのは、読者の関心に応じて段階的にアプローチすることです。
たとえば、リンクをクリックしたが購入に至らなかった読者と、クリックしなかった読者では、次のアプローチが異なります。それぞれに適したフォローを行うと、高い成果が期待できるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、LINE公式アカウントの機能拡張ツール「Lステップ」です。
Lステップなら、行動履歴やタグ情報にもとづき、読者一人ひとりにパーソナライズされたメッセージを送れます。
購入に至らなかった読者に実践的な活用法を配信し、リンクをクリックしなかった読者には再アプローチが可能です。
メルマガの効果測定をより活かすなら、LINEとメルマガの組み合わせで個別対応する「One to Oneマーケティング」を取り入れてみてください。
メルマガ×LINEで効果測定の効果を高めるなら「Lメール」
メルマガの費用対効果を高めるには、LINEとメルマガを併用する戦略が有効です。
なかでも、Lステップと組み合わせて活用する「Lメール」は、LINEとメールを効果的に使い分けながら、顧客へのアプローチを最適化できる機能です。
Lメールを利用するには、Lステップの契約が必須ですが、これにより、Lステップに蓄積された顧客データ(行動履歴やタグ情報)をもとに、効果的なセグメント配信が可能です。
具体的な活用例として、以下が挙げられます。
- 新商品やキャンペーン情報をメールで配信し、LINEのリマインドで注目を集める
- メール配信後、反応がなかった読者にLINEでアプローチし、配信コストを抑える
- LINEで関心を示した読者にメールで詳細な情報を提供し、購入意欲を引き出す
LINEの即時性とメールの情報量の組み合わせで、顧客の関心を引き、高い成果を生み出しやすくなります。
効果測定をもとに改善を重ねながら、Lメールを活用し、効率的でパーソナライズされた情報発信を目指しましょう。
メルマガの効果測定で費用対効果を高めて売上アップへ
メルマガの費用対効果を高めて売上をアップさせるには、送信成功率や開封率、クリック率、コンバージョン率などの指標を、定期的に測定・分析することが欠かせません。
効果測定ツールを使い、各指標にもとづく改善策を実行しましょう。
具体的には、以下の要素の見直しで数値の向上が期待できます。
- 件名
- 差出人名
- 配信時間
- リンク設置場所
さらに、メールに加えてLINEなど複数チャネルを活用すると、多くの接点が作れます。
データ分析をもとにした改善を重ねて費用対効果を高め、売上向上を実現しましょう。