
- 人手不足で、販売や顧客対応に手が回らない。
- ITが苦手で、Webで商品をどう届けていいのかも分からない。
- いいものをつくっているのに、届け方がわからない。
そんな悩みを抱えている農家さんも、多いのではないでしょうか。
今回は、Lステップ認定コンサルタントであるBusitool Labo株式会社の新田さんに、お米農家のLステップ導入事例についてお話をお伺いしました。
LINEとECを連携して、顧客との関係をじっくり育てながら販売数を伸ばし、定期販売は1年待ちになるほどの人気商品に。
「ファンに届く」ための仕組みづくりの、工夫と変化をお届けします。
【新田 隆二】
Busitool Labo株式会社代表取締役/Lステップ認定コンサルタント
会社員時代のWeb関連業務経験を活かし、副業で始めたECサイト制作代行から現在はLINE・Lステップの構築・運用を中心にサポート。
特に中小企業や個人事業主のWeb・LINE初心者に寄り添い、「作って終わり」にしない伴走者として長期的な支援を大切にしている。
目次
すべてがゼロから。販売チャネルと運用の基盤をつくる
――さっそくですが、今回ご紹介いただく事例アカウントについて教えてください。

新田さん
――新田さんが構築に入る前から、七神氣様はLINE公式アカウントやLステップの運用をされていましたか?

新田さん
どちらも運用されていませんでした。
――Lステップの導入時期はいつ頃でしょうか?

新田さん
2022年10月頃です。
――七神氣様がLステップを導入するきっかけや、新田さんが構築に携わることになった経緯をお聞かせください。

新田さん
既存のお客様からの紹介でご相談をいただきました。
七神氣を運営されている金子様は、無農薬・有機栽培にこだわり、手間ひまかけて育てたお米を価値を理解してくださる方に届けたいと考えておられました。
お米は一般的にJAに卸す場合が多いですが、JA以外でどう販路を広げていけばいいのか分からず、悩まれていたそうです。
そこで私が、販路チャネルの整備をお手伝いすることになり、Lステップの導入に至りました。
――七神氣様が抱えていた課題やご要望を詳しくお聞かせください。

新田さん
ECでの販売や顧客管理、連絡手段など、すべてが初めてで、何から始めればよいか分からない状態でした。
まずは、基本的な仕組みを整えるところから始めたいと、ご要望をいただきました。
Lステップを活用した効果的な販売導線を提案
――課題に対して、どのようなご提案をされましたか?

新田さん
自社ECの立ち上げに向けて、必要な手段やツールを一式ご用意し、下記のようなご提案をもとに支援をスタートしました。
- 将来的な拡張性を見据え、「Shopify」を活用してECサイトを構築
- 商品案内やイベント告知、顧客対応の手段として、「Lステップ」を導入
- 配送方法や梱包資材、顧客への連絡手段など、EC運営に必要な基本情報を提供
- ショップカードやロゴ画像など、デザイン面のサポートも実施
――金子様にとっては、ECサイトでの販売やLINEの導入など、初めてのご経験ばかりだったと思います。不安を感じられることはなかったのでしょうか?

新田さん
最初に「全部お任せでお願いします」とご依頼いただいたため、ある程度ご不安は払拭できたと思います。
とはいえ、「ECサイトを作って本当に売れるのか?」という疑問はやはりお持ちでした。
実際に経験がないとイメージしづらいものなので、時間をかけて丁寧に道筋を説明しましたね。
まずは販売するECサイトを土台として構築し、LINE公式アカウントとLステップを活用して、サイトへつながる導線を作りますとお伝えしました。
準備期間中は、金子様が以前からFacebookで発信されていたこともあり、「無理のない範囲で情報発信を続けてください」とお願いしました。
これは販売開始に向けて少しずつ認知を広げる狙いがあったためです。
そして準備が整ったタイミングで、「LINE公式アカウントができました」「ECサイトもオープンしました」とまとめてお知らせする形にしました。
このように段階を踏んで進めたので、金子様には「自分でもやれそうだ」という感覚を持っていただけたと思います。
――Lステップは具体的にどのように活用されていますか?

新田さん
Lステップを活用し、LINEに登録いただいた方に向けて、購入までの導線をシンプルに設計しています。
具体的な流れは以下の通りです。
友だち登録
↓
初回アンケートに回答
↓
割引クーポンを配信
↓
リッチメニューからECサイトへ誘導
LINEの友だち登録はFacebook経由が多く、年齢層も比較的高めです。
そのため、操作が直感的でわかりやすい導線設計を意識しました。
一般的に、ECサイトを新規で立ち上げた場合は認知拡大に時間がかかり、すぐに販売にはつながりにくい傾向があります。
今回は事前にFacebookでの告知を行っていたので、リリース直後からスムーズに販売につなげられました。
そのほか、ステップ配信や季節ごとの企画を通じて、ファン化の施策も進めています。
金子様は米作りに強い想いを持って取り組まれている方なので、その熱量や田んぼの様子を、LINE登録時に動画でお届けするようにしています。
金子様の人柄や生産の過程を知っていただくことで、安心して購入いただける関係づくりを目指しています。
さらに、毎年2月には「逆バレンタインプレゼント」という抽選企画を実施し、当選者にはお米などをプレゼントしています。
この企画も金子様・お客様双方から好評をいただいていますね。
動画で伝える想いと抽選企画で広がるコミュニケーションの輪
――動画配信や抽選会のアイデアも、新田さんからのご提案ですか?

新田さん
基本的には私の方から、「こういうのやってみませんか?」「こんな配信はどうでしょう?」とご提案する形が多いです。
たとえば、LINEに友だち登録していただいた方へは、2日間のステップ配信を設定し、その中では動画も取り入れています。
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金子様はとても魅力的な方で、実際に現地の田んぼを見に伺ったことがあるんですが、自然も豊かで本当に素敵な場所でした。
「田んぼを背景に想いを語ってもらえたら、すごくいい動画になるな」と思い、「ここで5分くらい、お話してもらえませんか?」とお願いしたんです。
最初はあまり乗り気ではなかったのですが(笑)「この風景と、金子様の人柄はテキストでは伝わりきらないので」と説得しました。
それ以来、田んぼでの作業の様子をスマホで少し撮って送ってもらうようにお願いしています。
続けていくうちに、お客様からも「本当に無農薬で作ってるんだ」とか「田んぼの様子が伝わってきて安心する」といった声をいただけるようになりました。
やはり動画は、現場の空気感や人柄がすごく伝わりやすいんですよね。
そういう積み重ねが、不安の解消や信頼につながっていると感じています。
――お客様からの感想や反応は、どのような形で受け取られているのでしょうか?

新田さん
お客様からの感想や反応は、チャット欄に届く形が多いですね。
最初は反応がなかったのですが、1年、2年と続けていくうちに、「金子さん」という存在を覚えてもらえるようになりました。
今は、配信に対して必ず何人かから「こんな風に作ってるんですね」や「とても楽しいです!」といったコメントが届くようになっています。
数字のデータも大切ですが、金子様にとっては、こうした目に見える反応やメッセージこそが何よりの励みになります。
そのため、いただいた感想は必ずお伝えし、コミュニケーションが続くことを大切にしています。
――そうしたやりとりに加えて、プレゼントの抽選会企画も、お客様とのコミュニケーションのきっかけになっていそうですね。

新田
そうですね。スタートプランなので、仕組み自体はシンプルなんですが、そこに一手間かけることでお客様とのつながりが生まれている実感があります。
まず「抽選会やりますよ!」と一斉配信でお知らせし、「参加する/しない」の回答をフォームで回収します。
その後、スプレッドシートで抽選番号を割り振って、参加者にお伝えする形です。
抽選の様子は、無料のウェブルーレットツールを使って撮影し、音楽やナレーションなどを加えて、ちょっとした演出をして配信しています。
手間はかかりますが、その分、「参加してる感じがあって楽しい」といった声も多く、金子様にもとても喜んでいただいています。
今後も続けていきたい企画のひとつです。
LINE登録50%突破から、実店舗開拓で販売数も着実に増加
――構築の成果をお聞かせください。

新田さん
導入前から、Facebook投稿を通じて事業内容への共感を得ていたこともあって、情報公開初日にはFacebookの友達の半数の方がLINEに登録してくださいました。
ただ、その後は友だち数がなかなか増えず、販売数も控えめな状況が続きました。
そこで実店舗向けの新しい販売ルートをご提案し、金子様と私とで滋賀県近辺の店舗開拓に取り組みました。
いくつかの店舗で取り扱っていただけるようになり、POPやショップカードも設置させていただきました。
その結果、店舗に訪れたお客様がショップカードをきっかけにLINEに登録し、店舗やECでの購入につながる方が増えました。
おかげさまで、翌年の新米を待たずして完売するほどの状況です。
取り扱い店舗も少しずつ増え、滋賀県だけでなく大阪や千葉、埼玉など、さまざまな地域で「七神氣」のお米を手に取っていただけるようになっています。
定期販売は利用者多数で一旦受付終了、1年待ちの人気ぶり
――販路開拓までご一緒されているんですね。他にも取り組まれていることがあれば教えてください。

新田さん
昨年度から、定期販売を開始しています。いわゆる「お米のサブスク」です。
お米は、購入時に「玄米にしたい」「今回は白米で」など、精米具合を変えたいというご要望が多いんです。
さらに「定期の間隔を2か月ごとに変更したい」といった声もよくいただきます。
ですが、こうしたやりとりをメールで続けるのは大変で、見落としのリスクもあります。
そこで、注文から細かな連絡までLINEに一本化して、スムーズかつ柔軟に対応できるようにしました。
決済には外部サービスの「Stripe」を使っています。
システムとしても分かりやすく、管理がしやすいのもメリットです。
現在は22名の方にご利用いただいていて、新規の受付は一旦ストップしている状態です。
ここ数年、お米の価格が高騰しているじゃないですか。
そうした背景もあってか、「農家さんとつながりたい」という思いも含めて、定期購入についてのお問い合わせが増えている印象です。
再開は、2025年の秋頃を予定しています。
――配信について、ステップ配信やプレゼント企画のほかにも、工夫されていることがあれば教えてください。

新田さん
最近は、売るための配信よりも、季節ごとの農作業の様子など、日常を共有するような内容が増えています。
なかでも反響が大きかったのが、もち米を作ったときの配信です。
どう食べたらいいか分からない方も多いだろうと思い、「おはぎの作り方を動画にしませんか?」と金子様にご提案しました。
すると、スタジオのような場所を借りて、本格的な動画を撮影してくださったんです。
その動画を、もち米の販売時期に合わせて配信しました。
反応もとても良く、動画内で「レシピが欲しい方は“レシピ”と入力してください」とご案内し、自動応答を設定したところ、多くの方からメッセージをいただきました。
最初は「動画なんて無理」とおっしゃっていた金子様ですが、今では「これを配信してください」と、自ら動画を届けてくださるようになっています。
それだけ、手応えを感じていただけているのだと思います。
――構築にはどれくらいの時間を要しましたか?

新田さん
約1ヶ月です。
――本アカウントは、現在も運用支援に入られているのでしょうか。

新田さん
はい。継続して運用支援を行っています。
――七神氣様はLステップを導入して、どのように感じていらっしゃいますか?

新田さん
七神氣のお米が、滋賀県だけでなく各地の方へ届いていることを、とても喜んでくださっていますね。
LINEやWebまわりの運用はすべて弊社で担っているので、金子様には安心してお米づくりに専念いただけている状態です。
また、配信を通じてお人柄や農業への想いが伝わっているようで、投稿のたびに応援のメッセージが届くのも、励みになっていると伺っています。
「作って終わり」にしない。ビジネスの伴走者として共に歩む
――ここからは新田さんの経歴や、Lステップ構築を始めた経緯についてお伺いできればと思います。まずはプロフィールをご紹介いただけますか。

新田さん
Busitool Labo株式会社で、LINEやLステップの構築・運用代行、WEBサイト制作を行っています。
もともとは会社員としてWEB関連の仕事に携わっていましたが、副業として「せどり」や「アフィリエイト」にも挑戦していました。
その経験を活かして、クラウドソーシングでECサイトの構築代行サービスを始めたのがスタートです。
最初はサイト制作が中心でしたが、制作だけでなく、その後の継続的なサポートを求める方が多いことに気づきました。
そこでサポートも含めたサービス提供を強化したところ、収入の大きな柱へと変わっていったんです。
有給を消化しながら準備を進め、約1年前に独立しました。
――LINEやLステップとの出会いについて、教えていただけますか?

新田さん
以前から、LINEはEC業界と相性が良いと感じていました。
そんな中で、YouTubeで「Lステップ」の存在を知り、興味を持ったことが出会いのきっかけです。
Lステップ認定トレーナーの堤さんのYouTubeを見ながら、まずは独学で学びはじめました。
次第に自分でも構築できるようになったのですが、より体系的に学び、知識を深めたいと考え、正規代理店に応募しました。
実は、正規代理店にエントリーした理由はもうひとつあります。
副業時代から、独立を目指していたのですが、法人格がないと企業との取引では信頼を得にくい場面があるのも現実でした。
だからこそ、法人化に加えて「正規代理店」という肩書があれば、少しでも安心感や信頼につながるのではと考えたんです。
――LINE公式アカウントの拡張ツールはいくつかありますが、ECの視点で、なぜLステップに魅力を感じられたのでしょうか。

新田さん
他のツールもいくつか試しましたが、システム面で少し不安がありました。
特に決済機能を使う場面では、サーバーの動作が遅いと不安定になるのがネックです。
もともとシステム関係の仕事をしていたため、そういった点には敏感なんです。
また、細かいデータの取得も他のツールでは難しく、いくつか試した中でLステップが機能面で最も優れていると感じました。
――構築のみのケースと、運用サポートまで含めたケースでは、どちらのご依頼が多いでしょうか?

新田さん
ほとんどのケースで、LINEの構築だけでなく、その後の運用や販路開拓、事務局的なサポートまで長期的に関わることが多いです。
「LINEを作ったけど、どう使えばいいのか分からない」と言われる方が多くて、「じゃあ全部こちらでやりますね」とお引き受けしています。
なので、最初から運用ありきで組み立てているんです。
すべての案件がそうというわけではないですが、一度関わったら、先方から「もう大丈夫です」と言われるまでは、基本的に継続してサポートを続けています。
――対応エリアは全国ですか?

新田さん
はい。拠点は千葉ですが、全国対応しています。
――どういう経緯でご依頼がくるケースが多いですか?

新田さん
今はほぼ100%紹介です。
これまでご一緒したクライアントの方から、新たに声をかけていただくケースがほとんどですね。
――LINE公式アカウントやLステップの導入に対して、最初にどういった説明から入ることが多いのでしょうか。

新田さん
「Lステップ」という言葉を知っている方はまだ少なく、最初からLINEの話をしてもピンとこない方が多いです。
LINE公式アカウントも「無料で使えるもの」と思われていて、「そこにお金をかける」という発想自体がない方が多いですね。
たとえばホームページなら「20〜30万円かかる」と理解されていても、「LINEでそんなに?」と驚かれることもあります。
だから最初は、「LINEで何ができるか」よりも別の視点から話を始める場合が多いです。
私はEC系の案件をよく担当しているので、「ECサイトは作っただけでは売れませんよ」という話から入ります。
例えるなら、太平洋の真ん中にお店を出すようなもので、集客の仕組みが必要なんです。
しっかりECサイトを作った上で、InstagramやFacebookなど既に運用されているSNSからどうお客さんを誘導するか。
その流れの中で「LINEを取り入れましょう」と提案しています。
――得意とする業種・業態はありますか?

新田さん
実店舗をお持ちの事業者さんとのお仕事が多く、得意としていますが、ご要望に応じてさまざまな業種に対応しています。
たとえば、
- 女性起業家さんのオンラインサロン
- 動物病院
- エステサロン
といった事例があります。
LINEだけでなく、ECサイト制作や決済導入(※ユニバペイの正規代理店です)など、Webまわりのことも幅広くご相談いただけます。
「販売を始めたいけど、何から手をつけたらいいかわからない…」という方にも、丁寧でわかりやすいご提案を心がけています。
――構築から運用まで、全てお一人で対応されているのでしょうか?

新田さん
基本的には私が中心になって対応しています。
というのも、「新田さんだからお願いしたい」と言っていただく方が多く、 特に夜間のトラブルにも柔軟に対応できる体制を、個人で整えているのが大きいと思います。
お店では、夜の9時や10時に何か起こることも多いです。
「困ったらいつでも連絡してください」とお伝えしていて、可能な限りその場で対応するようにしています。
ただ、デザインは専門のデザイナーさんにお任せしています。
Canvaなどでラフを作って、「このイメージでお願いします」とお渡しするようなスタイルです。
構築のご依頼もだいぶ増えてきているので、全体の方針は私が決めながら、一部は外部の方に手伝っていただいていますね。
Lステップの他代理店の方からのご連絡をきっかけに、少しずつ関係を広げています。
信頼できそうな方にお願いしながら、体制を整えている段階です。
――最後にご自身の強みや、クライアントワークをする上で大切にしていることをお聞かせください。

新田さん
基本的に「作って終わり」にはしたくないタイプなんです。
Lステップは、構築して少し説明しただけでは、使いこなせるものではないと思っています。
無理のない範囲で、一緒に運用を進めていくようにしています。
私のクライアントは、大手企業よりも中小企業や個人事業主の方が中心で、WebやLINEに不慣れな方も少なくありません。
専門用語を並べても伝わらないので、「セグメント配信」や「シナリオ」などは、噛み砕いてわかりやすく伝えるよう心がけています。
クライアントのビジネスがうまくまわるよう支えながら、安心して仕事を任せてもらえる関係を築くことを、いちばん大切にしています。
まとめ
今回は、Lステップ認定コンサルタントであるBusitool Labo株式会社の新田さんに、米農家のLステップ導入事例についてお話を伺いました。
LINEとECと組み合わせた丁寧な導線設計と、ファンとの継続的な関係構築で、無農薬米を「ただ売る」のではなく、「想いと一緒に届ける」を実現されています。
「運用まで伴走してくれる、頼れるパートナー」をお探しの方は、以下のLINEから新田さんへご連絡ください。