
宿泊業を営む事業者の中には、LINEの導入に興味を持つ方や、導入したけれど今ひとつ使いこなせていないと感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ホテルや旅館などの宿泊施設が効果的にLINE公式アカウントを運用する方法を、実際の活用事例を交えてご紹介します。
目次
宿泊施設でLINEの活用が広がる4つの理由
LINEを活用する宿泊施設は増加しており、ホテル業界ではアパホテルや東横インなどの日系ホテルに限らず、ヒルトンやハイアットなどの外資系ホテルもLINEを導入しています。
なぜ宿泊業界でLINEの活用が進んでいるのでしょうか?理由には主に次の4つが考えられます。
- 顧客リストの構築
- 滞在中の案内業務の負担軽減
- OTA依存からの脱却
- 情報の到達率の改善
ひとつずつ見ていきましょう。
1.顧客リストの構築
宿泊業界でLINE活用が進む最大の理由は、宿泊施設側が自由にコミュニケーションを取れる「自社の顧客リスト」を構築できるからです。
宿泊施設の多くは、楽天トラベルやじゃらんnet、Booking.comといったOTAを主要な集客チャネルとして活用しています。
OTAは新規顧客の獲得に欠かせない存在である一方、宿泊施設側は予約時に取得する顧客情報を自由に活用できません。
OTAの利用規約により、予約管理以外の用途での使用は制限されているためです。
そのため、例えば予約時に取得したメールアドレスに対して後日キャンペーン情報を送るといった、リピート促進を目的としたメールの送信はできません。
一方、自社で顧客リストを持てば、滞在後のイベントやキャンペーンのご案内、誕生日クーポンの送付など、継続的な関係性づくりが可能になります。
国内で最も利用者数が多く、かつ開封率も高いLINEは、顧客リストの構築に最適なツールのため導入する事業者が増えています。
2.滞在中の案内業務の負担軽減
滞在中の案内業務の効率化を目的に、LINEを活用する宿泊施設も少なくありません。
例えばフロントには「ランドリーはありますか?」「1番近いコンビニは?」などの質問が頻繁に寄せられ、スタッフは同じ説明を何度も繰り返すことになります。
LINEを活用すれば、よくある質問をリッチメニューにまとめておくことができるので、フロントへの問い合わせの削減、案内業務の負担軽減が期待できます。
※引用:マホロバマインズ三浦
帝国データバンクが発表する「人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)」によると、旅館・ホテル業の正社員の人手不足割合は全業種で2位。国内で最も人手不足が深刻な業種のひとつです。
スタッフの対応を最小限にしながらサービス品質を保てる点は、宿泊施設にとって大きなメリットになるでしょう。
3.OTA依存からの脱却
現在ではほぼすべての宿泊施設がOTAを利用しており、利用客も約43%がOTA経由で予約を行なっています。

※引用:日本旅館協会「令和5年度 営業状況等統計調査」
OTAは集客に欠かせない存在である一方で、手数料は宿泊料金の8〜15%。OTA比率が高まるほど利益は圧迫されてしまいます。
そこで効果的なのが、LINEを活用した直接予約の導線づくりです。
LINEでつながっておくことで、季節ごとのキャンペーンやリピーター特典の案内をダイレクトに届けられ、自社サイトへの送客を強化できます。
結果としてOTA依存を徐々に解消し、利益率の改善や安定した集客基盤の構築につながります。
4.情報の到達率の改善
メールリストは保有しているものの、メルマガを送っても反応が悪く、なかなか読んでもらえないことに悩みを抱える担当者も多いのではないでしょうか。
発信した情報をより多くの顧客に見ていただきたいのであれば、LINEの利用がおすすめです。主な理由は次の3つです。
①開封率が倍ほど変わる
メールとLINEの開封率は以下のとおりです。
- メール:10〜30%
- LINE :60%
開封率の差については、感覚的に理解できる方も多いのではないでしょうか。
②国内で9,900万人が使っている
LINEの国内利用者数は、9,900万人を超えています。世代を問わず日常的に使われているコミュニケーションツールですから、宿泊施設の情報発信に活用しない手はありません。
③約80%がその日の内に開封する
LINEヤフー社が公表するデータによると、LINE公式アカウントからのメッセージを「その日のうちに開封する」と回答した人は約80%にのぼります。
イベントやキャンペーンのご案内など、すぐに見てほしいお知らせとも相性が良く、タイムリーな情報配信にも最適です。
宿泊施設で使えるLINE活用アイデア
宿泊施設で使えるLINE活用アイデアを、宿泊前・宿泊中・宿泊後に分けてご紹介します。
宿泊前(チェックイン前)
宿泊前からLINEは活用できます。リッチメニューに館内のレストラン情報や交通案内などをまとめておけば、ユーザーは必要な情報にアクセスしやすくなります。

※引用:鬼怒川温泉ホテル
わかりやすく情報をまとめておけばユーザーの疑問が減るため、結果として問い合わせ件数の削減にもつながります。

ホームページにLINEの登録ボタンを設置してるけど、友だちが増えない

宿泊前のお客様にどうやってLINE登録してもらえばいいの?
メールアドレスのように入力する手間がなく、友だち追加ボタンをタップするだけで簡単に登録できるLINEですが、登録する理由がなければ動いてもらえません。
例えばアパホテルでは、ホームページにLINEの登録ボタンを設置するだけでなく、友だち追加することで得られるメリットを記載しています。

「これなら登録してみようかな」と思ってもらえる、メリット訴求を加えるのもひとつの手です。
宿泊中
宿泊中のお客様には、入浴施設やレストランの予約、備品の貸出依頼などにLINEを活用するケースがよく見られます。

※引用:鈴の宿 登府屋旅館/小野川温泉

※引用:草津温泉 ホテルヴィレッジ
その他、アクティビティの予約やWi-Fiの情報、よくある質問を載せるなど、使い方はさまざま。
都度受付に連絡をする必要がなく、スマホからサッと必要な情報や手続きを行えるため、ユーザーの利便性は大幅に向上するでしょう。
宿泊後
LINEでつながっていれば、宿泊後も継続的にアプローチが可能になります。
- 宿泊のお礼メッセージの配信
- 口コミ依頼/満足度調査
- 誕生日などに優待配信
- 季節のイベントのご案内
- キャンペーン情報の配信
など、さまざまなご案内をダイレクトに届けられるのが大きなメリットです。
「LINE登録者限定のご案内」「LINE登録者限定プラン」といった訴求をすれば、OTAを介さない直予約を促しやすく、OTA依存の解消にもつながるでしょう。
宿泊予約にLINEは活用できる?
宿泊予約の窓口としてLINEを使うのは現実的ではありません。
多くの宿泊施設ではOTAや自社予約システムがすでにありますが、それらとLINE公式アカウントの連携はできないからです。
LINEは予約の窓口に使うのではなく、自社サイトの予約ページに誘導するハブとしての活用がおすすめです。
リッチメニューに予約ボタンを設置すれば、ユーザーは迷わずアクセスでき、自社予約の増加が期待できます。
宿泊予約にはLINE公式アカウントだけでは不十分?
宿泊施設と非常に相性のよいLINEですが、LINE公式アカウント単体の運用では、顧客の属性やニーズに合わせたご案内や、自動化できる範囲は限定的です。
例えば、お子様連れやペット同伴など、顧客のニーズに合わせて配信を出し分けるのは難しいため、全員に同じ訴求になりがちです。
また、宿泊後のサンクスメッセージや口コミ依頼などの配信は、すべて手動で行う必要があります。
そのため、顧客リストは増えても運用が思うように進まなかったり、反応率が伸び悩んだりするケースも少なくありません。
こうした課題を解決し、より効率的なLINE運用を実現するために役立つのが、LINE公式アカウントの拡張ツール「Lステップ」です。
宿泊施設のLINE運用をより効率化するなら「Lステップ」
Lステップとは、LINE公式アカウント単体の運用ではできないことを可能にするツールです。導入すると具体的に何ができるようになるか、以下簡単にご紹介します。
1.顧客情報の収集と活用ができる
Lステップを導入すると、LINE上で顧客情報の取得ができるようになります。
例えば、宿泊後に以下のようなアンケートを配信するとします。

LINE公式アカウント単体でもアンケート調査は可能ですが、取得できるのは「回答数」までで、回答者の特定はできません。
つまり、フロントのサービスに満足と答えた人数はわかっても、どの友だちが満足と回答したのかは把握できないということです。
一方Lステップでは「誰が回答したか」までわかります。さらに、その情報を活用し「満足と回答した人」に絞って配信するといった、ピンポイントの訴求も可能になります。
顧客一人ひとりに合わせて情報提供を最適化できるため、より丁寧で満足度の高いコミュニケーションを実現できる点が、Lステップの大きな魅力です。
2.リッチメニューの出し分けができる
LINE公式アカウントとLステップには、それぞれリッチメニュー機能があります。
大きな違いのひとつは、LINE公式アカウントでは全ユーザーに同じリッチメニューが表示されるのに対し、Lステップでは属性や行動に応じてメニューの切り替えができる点です。
例えば「伊豆・下田ビューホテル」様では、宿泊前と宿泊中でメニューが切り替わる仕様になっています。
宿泊前

宿泊中

チェックイン時にQRコードを読み取ってもらえば、自動的にメニューが切り替わるよう設定できます。
3.宿泊後のアプローチを自動化できる
宿泊後のアプローチを自動化できることも、Lステップを導入する大きなメリットです。
LINE公式アカウント単体の運用でも宿泊後のアプローチは可能ですが、基本的に手動で行う必要があります。
一方Lステップを使えば、以下のようなチェックアウト日以降の配信を自動化できます。
- 1日後 :お礼メッセージ
- 3日後 :アンケート・口コミ依頼
- 1ヶ月後:季節のキャンペーン案内
また、アンケート結果によってメッセージの内容を出し分けたり、誕生月に特典のご案内を配信したりすることも自動化可能です。
スタッフの工数をかけずに、顧客のケアやリピート施策ができるのは、大きな魅力ではないでしょうか。
まとめ:宿泊施設とLINEは相性がいい
今回は、ホテルや旅館などの宿泊施設が、効果的にLINE公式アカウントを運用する方法をご紹介しました。
宿泊施設とLINEは非常に相性がよく、宿泊前・滞在中・宿泊後のあらゆる場面で活用できます。
ただし、LINE公式アカウント単体ではできることに限界があるため、より効率的に運用したい場合は、Lステップのような拡張ツールの活用が効果的です。









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