昨今、病院やクリニックなどの医療機関でも、LINEを導入するところが増えています。
- LINEに興味がある
- LINEを入れたら何ができるの?
- 実際のところ導入効果はどうなの?
このような疑問をお持ちの方も少なくないと思います。そこで今回は株式会社BALSA代表の中川さんに「内科クリニックのLステップ導入事例」をご紹介いただきました。
予約やリマインド配信、口コミ対策、そして採用まで、すべてをLINEでカバーする好事例ですので、ぜひ参考にしてみてください。
【中川聖悟(しょうご)】
株式会社BALSA代表。Lステップ認定コンサルタント。2023年は1年間で75アカウントを構築、累計で携わったアカウント数は130を超える。パーソナルジムや留学エージェント、飲食店など幅広い構築・運用実績を持つ。
目次
クリニックのオープン前にLINEを導入
――さっそくですが、今回ご紹介いただく事例アカウントについて教えていただけますか。
中川さん
「そのだ内科糖尿病・甲状腺クリニック」様です。
「血糖おじさんのセルフ治療」という、23万人の登録者がいるYouTubeチャンネルを運営する、そのだ先生が院長をされているクリニックです。
――中川さんが構築に携わる前から、そのだ内科様ではLINE公式アカウントやLステップの導入・運用はされていましたか?
中川さん
そのだ先生個人のLINE公式アカウントはありましたが、クリニックのLINE公式アカウントはなく、Lステップも使っていませんでした。
――そのだ内科様がLステップを導入するきっかけや、中川さんが構築に携わることになった経緯をお聞かせいただけますか。
中川さん
弊社のクライアント「SAKIYOMI」様からの紹介です。
昨年SAKIYOMI様主催のSNSサミットというイベントで、そのだ先生と一緒に登壇させていただいたのがきっかけです。サミットでは公開コンサルのような感じで、LINEやLステップについてお話しました。
当時はクリニックオープンの3ヶ月前くらいで、絶対今から運用を始めた方がいいとお伝えした結果、導入につながりました。
――そのだ内科様のアカウントの運用開始はいつ頃でしょうか?
中川さん
2023年の9月から構築に入り、10月にアカウントのリリースを行いました。クリニックは12月にオープンしたので、オープンの2ヶ月前から運用をスタートしています。
――御社で運用代行もされていますか?
中川さん
はい、運用代行もさせていただいています。
――そのだ内科様が抱えていた課題をお聞かせいただけますか。
中川さん
課題は大きく2つありました。
- 炎上したくない
- 属人性をなくしたい
「炎上したくない」は、インフルエンサー独特の悩みです。
今までの発信から急に売り込みを出すと、嫌がる人は嫌がるんですよね。なのでセグメントを切って、クリニックに関するご案内がほしい人にだけ情報が届くようにしたい、というのがひとつ。
次に「属人性をなくしたい」は、今後の経営を見込んでのことです。属人的な経営になると、新たにクリニックを作っても、そのだ先生がいないと集客できない状態になります。そうならないために、クリニック自体にファンを作りたいとおっしゃっていました。
――今後クリニックを増やしていくつもりなんですね。
中川さん
そうですね、すでに動き始めています。
とにかくわかりやすさにこだわった構築
――課題に対するご提案や、構築のポイントをお聞かせいただけますか。
中川さん
まず炎上については、LINEを使うことでフィルターをかけられて、かつ必要な人にだけ情報が届けられるので問題なく防げます。
クリニックオープンの話題は、そのだ先生個人のInstagramアカウントでは一切せず、新たにクリニックのアカウントを作っていただき、そこでの発信をいろいろ見ていただいた上でLINEにつなげる導線を敷きました。
いきなりLINEを案内しないで、クリニックへの関心が高い人だけLINE登録してもらえるようになっています。
――最低限の教育をした上でLINEをご案内されているんですね。
中川さん
はい、LINEの外部でできる教育はすべてした上で、LINEに登録してもらう流れです。
――LINE登録後の流れをお聞かせいただけますか。
中川さん
今は登録後すぐに予約のご案内が届くようになっていますが、オープン前の2ヶ月間は、一都三県にお住まいの方に対してのみ、事前予約のご案内をしていました。
LINE登録直後にアンケートを送り、居住地を都道府県で確認して、一都三県に住んでいる方だけにクリニックのオープンを伝え、事前予約のご案内を送る流れです。
その他の地域にお住まいの方は予約につながらない可能性が高いため、事前予約の段階では除外していました。
――予約はカレンダー予約機能を使っていただいていますが、予約状況はいかがでしょうか?電話での予約も結構ありますか?
中川さん
いえ、ほぼほぼLINEからの予約で埋まっていて、電話予約は月に10〜20件くらいしかありません。
予約画面
なお予約が完了したタイミングで、当日の持ち物のご案内が自動で送られます。
――持ち物のご案内も非常にわかりやすいと思います。内科のクリニックで予約がほぼLINEってかなりめずらしいですよね。
中川さん
ここまでLINEを活用できているクリニックは、他にないと思います。
――予約の変更やキャンセルも自由にできるようにしていますか?
中川さん
はい、できるようにしています。キャンセルした方にはリマーケティングとして週1回配信をしているのですが、2割〜3割は再予約につながっています。
――予約のリマインドも送っていますか?
中川さん
リマインドは予約日の前日と、当日の3時間前に送られるよう設定しています。
――その他、構築のポイントはありますか?
中川さん
内科のクリニックはLINEを使い慣れている人たちばかりが来るわけではないので、とにかくわかりやすさにこだわって作ろうという話になり、わかりやすさ重視で作っているのがひとつの特徴です。
来院までのステップを画像で説明したり、リッチメニューの予約ボタンを大きくしたり、空き日程のボタンを目立たせたり、使いやすいデザインを心がけました。
――駅からのアクセスや診療の流れを動画で紹介しているのも、とてもわかりやすいと思いました。繁華街のビルの中にあるクリニックって、行き方や入口がわかりづらくて少しストレスになる時もありますが、ここまで丁寧に解説があればまず不満は出ないと思います。
中川さん
とにかくわかりやすさ重視で、クリエイティブをたくさん使っています。このあたりはそのだ先生がしっかり協力してくださるので、本当に助かっています。
――ご自身が普段発信しているインフルエンサーでもあるので、どうすれば伝わるかわかってらっしゃるんでしょうね。渋谷のどこの改札から出ると1番早く到着するか、比較動画まで作られているのはさすがだなと思いました。
中川さん
そうですね。あと、そのだ先生はなんでも実験してみたいという思考が強い方なので、僕の提案は大体通って、一緒にやってみようかとなるのも魅力です。
例えばInstagramの発信についても提案を聞いていただけるので、LINE登録前の施策もコントロールができています。クライアントの熱が高くて一緒に頑張れること、これがうまくいくプロジェクトの共通点です。
オープン初月からLINE経由の予約が350件
――構築の成果をお聞かせいただけますか。
中川さん
オープン初月からLINE経由の予約数が350件、2ヶ月目も300件を超え、3ヶ月目は350件の予約を獲得しています。
トータルでは月に380件くらいの予約があって、10〜20件程度が電話予約、あとはLINEからの予約なので、9割以上の予約はLINEから入っています。
――すごい成果が出てますね。
中川さん
順調ですが、月間MAX500件ほど対応できるクリニックなので、まだまだ伸ばしていきたいところではあります。
今のところ大体4割が新患、6割が再診の割合で、新患の予約も順調に取れているので、しっかり再診につなげられれば予約は伸びていくと思っています。
実はLステップのカレンダー予約を使うか他の医療系のツールを使うか、そのだ先生と何度も議論を重ねたんですよね。結果的にカレンダー予約を選んでよかったと思っています。
――カレンダー予約を導入してよかったと思われるポイントをお聞かせいただけますか。
中川さん
カレンダー予約の決め手は2つありまして、1つは面倒な登録作業が不要な点です。
医療系のツールだとメールアドレスの認証などがあって、会員登録がすごく面倒なんですよ。登録が面倒で離脱しちゃう人もいるだろうと思い、避けたいと考えました。
もう1つは、追客ができるところです。カレンダー予約を使うと、誰がいつ予約や来院したか記録をすべて残せて、かつリマインドの自動化ができます。
仮に年に1回検査が必要な人に対して1年後にリマインドが送れたら、めちゃくちゃ患者さん想いのクリニックができるよね、という話からLステップに決まりました。
実際LINEで予約ができるのはユーザーから好評です。また運用する中で、カレンダー予約がクリニック側の業務効率アップにもつながることがわかりました。
予約時にご相談内容を入力できるようにしているので、来院前に相談内容を確認できるからです。例えば、今日の何時にエコー検査があるとわかっていたら、事前に検査準備ができます。
来院してから検査準備をするのは時間がもったいないらしくて、Lステップの予約機能によって準備時間が短縮できているのは、とてもありがたいとおっしゃっていました。
その他、一般内科、糖尿病、甲状腺など、診療項目は複数ありますが、予約すると項目のタグが付き、項目ごとの月の診療件数も追えるようにしているので、データ確認をする上でも重宝しています。
――カレンダー予約機能が活躍していて嬉しい限りです。アカウントのリリースから4ヶ月で友だちが4,000人を超えていますが、SNSからの流入が多いですか?
中川さん
初動はInstagram経由が多くて、その後はYouTubeとオウンドメディア経由が多いです。
SNSだけでなくオウンドメディアも強くて、最近はオウンドメディア経由がかなり増えています。
――広告でのリスト獲得はされていないですか?
中川さん
今はしていません。ただ、今後やってみる可能性はあります。
あと、そのだ内科では建物の窓にLINEのQRを設置しています。エンタメっぽい試みで面白いですよね。
――これは目立ちますね(笑)反響はありますか?
中川さん
日本のど真ん中に流入経路を設置してます(笑)
まだ数は少ないですが、LINE登録と予約もありました。Google Mapに写真付きでコメントしてもらえるなど、意外と反響あるんですよね。
――クリニックも評価がすごく大事ですよね。
中川さん
おっしゃる通り、評価は来院数に影響を及ぼしますので、とても重要です。
またお客様の声をみると
- 「LINEから簡単に予約ができて便利」
- 「LINEの行き方案内を見ていたので迷子にならずに済んだ」
- 「前日に予約確認のお知らせがくるのがありがたかった」
など、LINEに関するコメントも多数寄せられています。
――予約機能以外でも、LINEを活用していますか?
中川さん
はい、活用しています。例えば、クリニックのカウンターにチェックインのQRコードを置いていて、QRコードを読み込むとオンライン問診票が開き、そのまま受付ができるようになっています。※問診票は外部の電子カルテのシステムです。
また、チェックイン時のQRコードを読み込むと、10分後に次回予約のご案内メッセージも自動で届くようにしていて、次回の予約もその場で決めていただくような流れにしています。次回予約のメッセージから、再診全体の6割くらいが取れています。
――めちゃくちゃ便利ですね。配信はどのくらいの頻度でされていますか?
中川さん
週に2回くらいですね。まず週に1回、空き日程のご連絡は必ずしています。
そして10日に1回くらいの頻度で、お役立ち情報も送っています。
お役立ち情報の配信は、受診後のブロック防止対策でもあります。定期的にタメになる情報がもらえたらブロックされづらいですし、またタイミングが来た時に来院につなげられると考えました。実際お役立ち情報を回遊して入っている予約もあります。
――お役立ち情報も成果につながっているんですね。ちなみに、ブロック率はどれくらいを目安にしていますか?
中川さん
目安は20%以内です。SNSからの集客がメインの場合、20%を超えたら少し高いかなと思います。現状は10%以下なので良好です。
LINEでダイレクト採用もできている
――リッチメニューに採用情報もありますが、ダイレクト採用も進めているのでしょうか?
中川さん
はい、クリニックの告知をした段階で働きたいとコメントをくださる人が何名かいて、採用も溜めておこうかという話になり、LINEに求人と応募フォームを設置しました。
クリニックのInstagramアカウントのハイライトに求人情報を載せていて、そこに入ると採用専用の流入経路があって、そこからLINEに登録すると、採用の案内が送られる導線があります。
LINEから応募はすでに何件かいただいていて、採用にもつながっています。
――もう採用もされているんですか、すごいですね。これからクリニックを増やすにあたって、LINE経由で継続してダイレクト採用ができるようになったら相当なコスト削減になりますね。
中川さん
おっしゃる通りです。なのでこれからは採用も強化していきます。
――予約や問診表のオンライン化、リマインド配信や口コミ対策の自動化、そしてダイレクト採用、理想的なアカウントだと思います。
中川さん
本当に、めちゃくちゃいいアカウントだと思います。ただ、簡単に真似できないアカウントでもあります。
今回のそのだ内科様のように、オープン前であればLINE・Lステップの導入はおすすめできますが、従来の医療システムを入れて運用中のクリニックで、途中からLステップに切り替えるのは結構無理があります。
クリニックに導入するということは、看護師さんや医療事務の方にシステムの説明や使い方の落とし込みも必要だからです。現在使っているシステムやオペレーションがある中で、急にすべてをLINEに置き換えるのは簡単ではありません。
クリニックがLINEを入れられる状態で、現場へ落とし込んで日々運用をするところまでできなければ、そのだ内科様とまったく同じ状態にするのは難しいと言えます。
――なるほど。これからオープンするクリニックであれば同じような構築もできますが、すでに別のシステムが入っている中で再現するのは難しいんですね。
中川さん
できないわけではないですが、実現するにはお互いかなりの馬力が必要です。
――御社では内製化も行っているのでしょうか?
中川さん
はい、僕らはクリニックがオープンする前に、看護師さんと医療事務の方に向けて、Lステップでは何ができて、どう操作すればいいかを実務レベルで落とし込みまで行いました。
――これから立ち上げるクリニックにとって、そのだ内科様はとてもいい事例ですよね。
中川さん
はい、かなりいい事例だと思います。
Lステップは構築してからがスタート
――御社では構築後、運用まで担当するケースが多いですか?
中川さん
そうですね。僕らは少し特殊で、基本的に「運用込み」で担当させていただくスタンスでやっています。構築のみのご依頼はまったく受けておりません。
初期構築費用は0円で、その後の運用で費用をいただく形を取っています。
――初期構築0円は中川さん以外で聞いたことがないですね。
中川さん
僕は個人的に、初期構築でまとまった費用をいただくのを良しと思っていないので、やりながら増築していくスタンスにしています。
――大体どれくらいの期間、運用サポートされていますか?
中川さん
1年契約が多いです。
――初期構築でまとまった費用がいらず、運用をサポートしてもらえるのは魅力的だと感じます。
中川さん
どれくらいの成果が出るかわからないものに、最初に高額な投資をするのって結構リスクに感じると思うんですよね。
売上を上げながらであれば、ランニングコストを回収しながら運用できるので、無理なくご依頼いただけるのではないかと思っています。
――運用は何名くらいでフォローされていますか?
中川さん
僕含め3名です。その他の案件も2〜3名でフォローしています。
――構築プラス運用サポートとなるとかなりの人数が必要そうですが、何名くらいのチームを組まれているのでしょうか?
中川さん
計10名ですべての案件を回しています。
――10名で多くの案件を管理しているのはすごいですね。
中川さん
メンバーが本当に優秀なので回せています。
――中川さんの拠点はどちらですか?
中川さん
東京です。
――対応エリアは全国ですか?
中川さん
はい、全国対応です。
――中川さんが得意とする業種はありますか?
中川さん
特に業種でこれというものはありません。LINEの規約に触れるものでなければ、何でも対応しています。
――LINE以外、例えばInstagramやX、YouTubeなどの運用サポートはされていますか?
中川さん
できますが基本的にはしていなくて、LINEの構築と運用サポートに特化しています。
もし諸々込みでというご依頼であれば、InstagramやYouTubeなど、各媒体に強い専門家をメンバーにアサインして、対応するようにしています。
――最後に中川さんご自身、あるいは中川さんのチームの強みや、クライアントワークをする上で大切にしていることをお聞かせください。
中川さん
構築して終わりではなくて運用までお付き合いするところ、数字にコミットして運用できるところが強みだと思っています。
特に運用ですね。僕たちは構築してからがスタートだと思っているので、運用までサポートすることに重きを置いています。
あとはクライアント様はもちろん大事ですが、クライアント様のクライアント様、商品やサービスの利用者を意識するよう心がけています。
制作物のクオリティが高いのは当たり前。アカウントを見てくれる人たちの心情を汲み取って構築しよう、という話はよくメンバーにしています。
まとめ
今回は株式会社BALSA代表の中川さんに、内科クリニックのLステップ導入事例をご紹介いただきました。
初期構築のコストを抑え、運用までしっかりサポートをしてもらいたい方に、中川さんは非常におすすめです。ご相談を希望される方は、以下のHPからご連絡してみてください。