
採用活動における事務作業の負担やコミュニケーションの難しさは、多くの企業が抱える共通課題です。
全国に約190店舗を展開する保険調剤薬局、アポクリート株式会社様もそのひとつでした。
こうした課題を受け、より学生に親しまれるLINEを活用し、薬剤師採用におけるエントリーからコミュニケーションまでを一本化した採用体制を実現されています。
今回は、構築を担当したLステップ認定コンサルタントの西島さんに、その成果と運用のポイントをお聞きしました。
【西島 翔希】
Re.MEDIA株式会社代表 / Lステップ認定コンサルタント
薬学部在学中に起業し、医療・ヘルスケア領域に特化したLINE運用支援を展開。
薬剤師資格を活かし、Lステップを使った医療系人材の採用支援、業務効率化や関係構築の仕組みづくりを手がける。医療現場の課題や文脈に寄り添った設計を得意としている。
目次
コスト削減と採用活動の効率化をめざして
――さっそくですが、今回ご紹介いただく事例アカウントについて教えてください。

西島さん
全国で約190店舗を展開する保険調剤薬局、アポクリート株式会社様です。
アポクリート様は、医薬品の製造・卸売から調剤薬局までを手がけるアルフレッサグループの一員で、北海道から福岡まで幅広く店舗を展開されています。
今回は新卒薬剤師の採用を目的とした、LINE構築・運用支援の事例です。
――西島さんが構築に入る前から、アポクリート株式会社様はLINE公式アカウントやLステップの運用をされていましたか?

西島さん
LINE公式アカウントはすでに活用されていました。
――Lステップの導入時期はいつ頃でしょうか?

西島さん
2022年5月です。
――アポクリート株式会社様がLステップを導入するきっかけや、西島さんが構築に携わることになった経緯をお聞かせください。

西島さん
私が薬学生向けのLINE公式アカウントを構築・運用していたこともあって、そのご縁でアポクリートのご担当者様とお食事をご一緒する機会がありました。
当時使用されていた、LINEと連携した採用ツールの運用コストが高いと伺い、Lステップをご紹介したのがきっかけです。
その後実際にアカウントを拝見した上で、Lステップであれば同等の機能を低コストで実現できると判断し、構築に携わることになりました。
――アポクリート株式会社様が抱えていた課題やご要望をお聞かせください。

西島さん
もともと使用されていた採用管理ツールは、コストが高く、連絡手段もメールに限られていたため、就活生との接点が生まれにくいという課題がありました。
LINEを使用したコミュニケーションを試すべく、新たなツールも導入されていましたが、機能やサポートが限定的で、採用活動の主軸とするには十分ではなかったそうです。
こうした背景を踏まえ、「採用活動における情報発信や候補者とのやりとりを、LINEに一本化したい」というご要望を受け、構築を開始しました。
Lステップ導入時は、既存の採用ツールからの乗り換えで、月額コスト削減を最優先に取り組みました。
その後も、採用ニーズや運用状況の変化に合わせて3度のリニューアルを重ね、現在の運用体制に至っています。
3度のリニューアルで実現した運用に寄り添う設計
――3度のリニューアルでは、それぞれどんな内容や変更点があったのか教えていただけますか?

西島さん
初期構築では、以前使っていた画像や内容をほぼそのままLステップに移行し、まずはツールの置き換えによるコスト削減を優先しました。
その後、運用が落ち着いてきたタイミングで「せっかくなら、自社でデザインし直してみませんか?」とご提案し、1回目のリニューアルを実施しています。
約1年の運用を経て、学生の行動を促す仕掛けとして、選考フローを可視化する「スタンプラリー型のコンテンツを取り入れる提案を行い、2回目のリニューアルへとつながりました。
現在の構成では、よりシンプルに、学生が迷わず使える導線設計を意識しました。
インターンシップや社員紹介など、目的ごとにワンタップで進める仕様に再設計しています。
【現在のリッチメニュー】
――リニューアルの際、Lステップの活用についてどのようなご提案をされたのか、詳しくお聞かせください。

西島さん
薬剤師採用は、エリアによって就活スケジュールにバラつきがあります。
特定のエリアでは選考開始時期が厳格に定められており、それに応じた対応が必要でした。
そこで、友だち追加時に取得した大学情報をもとに、ボタンの表示/非表示を自動で切り替える仕組みを構築しています。
【初回登録フォーム】
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たとえば、まだ受付を開始していないエリアでは、選考会のボタンをタップしても「選考希望エリア」の画像が表示されないようにし、エントリーに進めない仕様としています。
【選考受付中エリア】
【選考受付前エリア】
こうした自動化によって、現場の負担を減らし、よりスムーズな運用が実現しました。
運用面では、学生との個別チャットを除き、インターンシップ・選考会の日程更新や満席時の募集停止、一斉配信の画像作成など、事務作業をすべて引き受けています。
アポクリート様は、学生が多くの企業とLINEでつながっている状況をふまえ、一斉配信は必要最低限にとどめ、個別チャットで必要な情報を丁寧に届ける方針です。
こうした体制により、採用担当の方が学生一人ひとりの対応に専念できる環境を整えています。
合同説明会後のインターン移行率62%達成、事務作業は9割削減
――構築の成果をお聞かせください。

西島さん
インターンシップへの移行率は、直近の合同説明会を起点にみると62%となりました。
この数字のインパクトですが、1回の合同説明会からのエントリー率が10〜20%という企業が多い中での結果です。
採用担当者様の人柄や細やかな個別チャットに加えて、学生が使い慣れたLINE上で、気軽にエントリーできる導線を設けた点が、成果につながったと考えています。
【気軽にエントリーできる導線を設計】
またインターンシップや選考管理など、運用面の業務はすべて弊社で代行しています。
これにより、採用担当者様が学生対応に専念できる体制が整い、事務的な作業は9割削減されました。
Lステップを前向きに活用いただいたことで、よりスムーズで成果につながる運用が実現しています。
――構築にはどれくらいの時間を要しましたか?

西島さん
初回の構築は1ヶ月ほどで納品しています。
――アポクリート様はLステップを導入して、どのように感じていらっしゃいますか?

西島さん
Lステップを活用したことで、事務作業の負担が大幅に軽減されていると伺っています。
また、弊社の運用サポートについても高く評価されており、細やかな体制が整っているため、安心して運用を進められているようです。
継続的にブラッシュアップを行っており、その取り組みにもご満足いただいています。
薬剤師の視点を活かした、医療×LINEの伴走者
――ここからは西島さんの経歴や、Lステップ構築をはじめた経緯についてお伺いできればと思います。まずは自己紹介をお願いします。

西島さん
「Re.MEDIA株式会社」にて、医療・ヘルスケア領域に特化したLINE公式アカウントおよびLステップの構築・運用を行っています。
私は薬学部出身で、薬剤師の資格も保有しています。
薬学部在学中には、全国の薬剤師や薬学生向けウェブメディアの会社を立ち上げています。
SNSやYouTubeでの発信に加えて、LINE公式アカウントを活用した集客や、大手ナビサイトの広報支援などにも取り組んでいました。
その頃からLステップを活用しており、そうした経験を活かしてLINE運用の事業へと展開していきました。
ちなみに薬学部を目指したきっかけは、製薬会社のMRという仕事に興味があったからです。
もともと起業志望というわけではありませんでしたが、事業が軌道に乗ってきたタイミングで法人化しました。
――学生時代に起業された頃からLステップを使っていたとのことですが、最初に知ったきっかけを教えてください。

西島さん
当時お願いしていた動画編集者の方から紹介を受けたのがきっかけです。
その頃すでにYouTubeやInstagram、Xは運用していましたが、LINE公式アカウントはまだ立ち上げていませんでした。
LINE公式アカウントの開設と同時に、Lステップも導入した流れです。
月3万円の「プロプラン」からスタートしたので、学生の私には少し負担に感じる金額でしたが、Lステップがなければ事業自体が育たなかったと感じています。
薬学生向けのLINE公式アカウント運用で特に苦労したのが、複雑な属性管理です。
薬学部は全国に約78校ありますが、それぞれの大学に1年生から6年生までが在籍しているためです。
そのため、タグ機能や回答フォームがなければ運用は難しかったと思います。
初期構築は動画編集の方にお願いしましたが、資金に余裕がなかったため、その後の修正や運用はマニュアルを見ながら手を動かして覚えていきました。
Lステップ認定トレーナーの堤さんのYouTubeを、全て見るくらい参考にして学びました。
――正規代理店になった経緯を教えていただけますか?

西島さん
法人化のタイミングで、Lステップを軸に事業を展開していくと決めていました。
広告や動画編集などを広く手を伸ばすのではなく、「医療・ヘルスケア領域のLINE活用といえばRe.MEDIA」と認識いただけるよう、専門性を高めたい思いがあったんです。
そのうえで、正規代理店であることは、今後変えられない価値になると感じ加入を決めました。
――構築のみと運用込みではどちらの方が多いですか?

西島さん
以前は、構築のみを納品するパターンが中心でした。
ただ、運用がはじまると、しっかり活用されている企業さんがいる一方で、Lステップがほとんど使われずに止まってしまうケースも見受けられました。
その差を目の当たりにする中で、構築だけでは不十分で、「何かあればすぐ聞ける」という関係性が必要だと感じるようになったんです。
現在は、サポート内容に応じてプランを分けながら、運用支援にも積極的に関わる形にシフトしています。
――対応エリアは全国ですか?

西島さん
はい。全国対応しています。
対面での訪問が可能な場合は、できるだけ直接お会いしてお打ち合わせさせていただいています。
――得意とする業種・業態はありますか?

西島さん
私自身が薬剤師ということもあり、「医療・ヘルスケア業界」が主な領域になります。
現在は採用や人材サービス、派遣・転職といった分野のサポートが中心ですが、今後は歯科医院や治療院など、患者さん向けのLINEにも力を入れていきたいと考えています。
――医療系の採用支援に関わられていて、他の業界と比べて、何か違いや特徴を感じられることはありますか?

西島さん
医療職種全体にいえることですが、新卒採用はまだ売り手市場です。
一般的にはエントリーシートを書いて、何社も選考を受けるのが当たり前ですが、医療職に関しては「就職先が見つからない」という方は少ないと思います。
そのため、企業側は学生をどう惹きつけるかに必死ですし、魅力が伝わらなければ選ばれない現実があります。
もうひとつの特徴は、学生側も企業側も就職活動の早期化が進んでいる点です。
他業種よりも、1年先を見据えて動いているイメージですね。
そのため、早期に接点を持つ分、関係性を長期間保つ必要があります。
離脱を防ぐには、インターンなどの設計や、再び接点を持つための導線づくりが欠かせません。
説明会からインターンへ、インターンからエントリーへとつなげる仕組みが重要です。
――これまでの構築件数はどれくらいでしょうか?

西島さん
約30社ほどです。
基本的には私一人で担当していて、デザイン部分のみ外部のデザイナーにお願いしています。
現在はフルオーダーで構築していますが、「フルパッケージまでは必要ないけれど、LINEがあると便利」というニーズにも応えられる、汎用性のある展開も検討中です。
たとえば、ベースとなるデザインを私が用意し、それぞれの企業のコーポレートカラーに合わせてカスタマイズしていくイメージです。
納期も、今回の案件のように1ヶ月半かけてじっくり作り込むのではなく、もう少し短期間での提供を目指しています。
――最後になりますが、ご自身の強みや、クライアントワークの中で大切にしていることをお聞かせください。

西島さん
一番大切にしているのは、「即レス・即対応」です。
とくに医療系の現場では、まだDX化が進んでおらず、導入時にてんやわんやになってしまうケースも多くあります。
だからこそ、「いつでも連絡してください」とお伝えしています。
土日であっても、電話でもZoomでも対応するという姿勢を見せるだけで、「何かあったら西島さんに」と頼っていただける。
その信頼が、継続的な関わりにつながっていると感じます。
もうひとつは、「ひとつのチームとして共に進む」スタンスです。
LINEの領域に限らず、対面のミーティングにも参加して、チームの一員として伴走する姿勢を大切にしています。
大きな会社ではなかなかできない小回りの利く動き方が、Re.MEDIAだからこそ提供できる価値だと思っています。
まとめ
今回は、Lステップ認定コンサルタントの西島さんに、調剤薬局における薬剤師採用でのLステップ活用事例について伺いました。
西島さんは医療系資格の専門知識を生かして、LINEを軸に医療・ヘルスケアに特化した、事業全体に寄り添う伴走サポートを強みとされています。
ご相談を希望される方はぜひ、以下のHPからご連絡してみてください。