- 煩雑な作業を自動化したい
- 顧客対応の優先順位を見える化したい
- メールの見落としを減らしたい
このような業務課題を、LINEの活用で解決する事業者が増えてきているのをご存知でしょうか。
今回は株式会社BALSA代表の中川さんに、留学エージェントのLステップ導入事例をご紹介いただきました。
【中川聖悟(しょうご)】
株式会社BALSA代表。Lステップ認定コンサルタント。2023年は1年間で75アカウントを構築、累計で携わったアカウント数は130を超える。パーソナルジムや留学エージェント、飲食店など幅広い構築・運用実績を持つ。
目次
メールでの手動対応を効率化したかった
――さっそくですが、今回ご紹介いただく事例アカウントについて教えていただけますか。
――中川さんが構築に携わる前から、タビケン留学様ではLINE公式アカウントやLステップの導入・運用はされていましたか?
中川さん
LINE公式アカウントは導入済みでしたが、Lステップは導入前でした。
LINE公式アカウントは3〜4年運用しており、友だちは3,000人程度。オウンドメディアからLINEに誘導して、カウンセリングを希望する人にはご案内を流すなど、集客窓口として利用されていました。
――タビケン留学様がLステップを導入するきっかけや、中川さんが構築に携わることになった経緯をお聞かせいただけますか。
中川さん
きっかけは当社のクライアント様からの紹介です。
タビケン留学の社長がそのクライアント様とつながりがあって、1年前くらいにマーケティングについて相談をされたようです。
最初はInstagramに関する相談だったようなのですが、LINEも入れた方がよいという話になり、僕につないでいただきました。
――タビケン留学様のアカウントの運用開始はいつ頃でしょうか?
中川さん
運用開始は2023年の8月頃です。
――現在まで御社で運用代行もされていますか?
中川さん
はい、当社で運用代行もさせていただいています。
――タビケン留学様が抱えていた課題をお聞かせいただけますか。
中川さん
メールでの手動対応を見直し、業務効率化・工数削減をしたいとご相談いただいたのが最初です。
カウンセリング(個別相談)を経て成約した後、ビザの申請や語学学校・ホームステイ先の手配など、留学やワーホリに行く前に必要な準備のサポートに入るのですが、やりとりをすべてメールで行っていました。
こういう書類をくださいとか、何をいつまでにしてくださいとか、すべてメールで送っていたイメージです。
渡航先やビザの種類など、人によってご案内が変わるため手間が多く、リマインドの漏れやユーザーの見逃しもある状況で、なんとか効率化したいとおっしゃっていました。
自動化とスコアリングで業務効率化を実現
――課題に対するご提案や、構築のポイントをお聞かせいただけますか。
中川さん
集客用と成約した人向けで、アカウントを2つ作りました。
- 集客用のアカウント :タビケン留学【相談窓口】
- 成約した人向けのアカウント:タビケン留学【準備用】
集客用のアカウントは主に、カウンセリングに流すことを目的としたもので、成約した人向けのアカウントは、渡航準備のサポートを目的としています。
集客用のアカウント(タビケン留学【相談窓口】)では、友だち追加時にヒアリングフォームを送っています。
ヒアリングフォームに回答いただくと、リッチメニューが表示される仕組みにしています。
ヒアリングフォームは最初、回答フォームに移行して記入いただくパターンと、トーク画面にテキストで記入いただくパターンで、A/Bテストを行いました。
結果、回答フォームに移行して記入いただくパターンの方が回答率が高くて、現在の形を採用しています。
また、ヒアリングフォームに回答すると、カウンセリングの予約フォームが送られる2段階の導線にしています。
カウンセリングの予約フォームに入力がなくても、ヒアリングフォームの情報があれば直接アプローチできるので、ヒアリングフォームに入力してもらうことを1つのゴールにしています。
――ヒアリングフォームの回答率は、どれくらいを目標にしていますか?
中川さん
80%です。現時点では70%弱の回答率です。
――ヒアリングフォーム未回答者の方へ、リマインドを送っていますか?
中川さん
はい、未回答の方には30日間のシナリオを組んでいて、体験談を送ったりお役立ち情報を送ったりしつつ、ヒアリングフォームへの回答の促しもしています。
――未回答の方はしっかり追いかけているんですね。
中川さん
そうですね。あと、ヒアリングフォームへの回答が重たいと感じる可能性も加味して、カルーセルで回答できる簡易版のアンケートも用意し、友だち追加から1時間後、シナリオが流れる前に送っています。
カルーセルのアンケートは「留学の意思・渡航時期・語学学校への通学期間・検討している国」の4問に絞っています。
――その他工夫されている点はありますか?
中川さん
ヒアリングフォームとアンケートはどちらも、スコアリングを入れています。
例えば「渡航時期」の項目では、
- 半年未満 :3点
- 半年〜1年以内:2点
- 1年以上先 :1点
「語学学校への通学期間」の項目では、
- 9ヶ月以上:4点
- 5〜8ヶ月 :3点
- 3〜4ヶ月 :2点
- 1〜2ヶ月 :1点
といった具合で点数が加算されていき、合計スコアが高い人から優先して対応できるようにしました。なおスコアが低い人たちは、一旦ナーチャリングするようにしています。
――業務効率化ですね。配信は定期的にしていますか?
中川さん
「はじめてのワーキングホリデーセミナー」というセミナーのご案内や、ワーホリビザ申請開始のご案内など、適宜配信しています。
――リッチメニューも回答フォームも見やすいですね。2カ国留学の回答フォームは特に見やすくていいなと思いました。
中川さん
ありがとうございます。情報量が多いアカウントなので、見やすく表現することを心がけました。
リッチメニューでは、留学までの流れや国ごとの情報が見れるようにしています。
2カ国留学はタビケン留学さんが推しているプランでもあるので、しっかり訴求しています。
――既存のLINE公式アカウントの友だちは、どのようにLステップに移行されましたか?
中川さん
アカウントは作り直して、友だち0人の状態から構築し直しました。
既存アカウントには対応中のお客様もたくさんいて、Lステップを入れてトーク履歴が追えないとか、急に配信が増える状況は避けたいという先方の意向があり、新たにアカウントを作ることになりました。
――作り直しをされたんですね。友だち追加の導線はどこに設置されていますか?
中川さん
オウンドメディアです。インフルエンサーを使ったPRなどもされていますが、今はオウンドメディアからの流入がほとんどです。
――既存のLINE公式アカウントの友だちは、今後Lステップへの移行はされないのでしょうか?
中川さん
実はつい先日行いました。
タビケン留学【相談窓口】のアカウントは、もともと運用していたLINE公式アカウントのリプレイスとして作ったものなので、タイミングを見て既存のアカウントは廃止し、新たに作ったアカウントに一本化したいと思っていました。
運用開始から数ヶ月経って移行のご案内ができるタイミングがきて、ちょうど送客したところです。
――成約してすでに留学やワーホリに行っている、もしくは留学が終わり帰国した方々に対してのアプローチもされていますか?
中川さん
はい、留学を検討中の方々への導線と、留学を決めて準備段階に進んだ方への導線ができたので、次のステップとして今まさに動き始めているところです。
対象は成約後の方だけではありません。LINE登録はしたものの何もアクションを起こさない方も中にはいますし、カウンセリングまで進んだけど成約しないケースもあります。
そういった方々に対して、2〜3年まったくリマーケティングができていない状況だったので、追客やナーチャリングもLステップでできないかと考えました。
まずはアンケートを送り「留学前・留学中・帰国済み」のどこに該当するか、留学中の場合はどこの国にいるかなど確認します。
オーストラリアに留学中の人にはフィリピン留学のご案内をしたり、留学が終わって帰国した人にはイングリードをご案内したり、現在の状況に合ったメッセージが届くよう、複数の分岐を作りました。
――留学サポートのほか英語のコーチングサービスもあるので、留学検討中・留学中・帰国後の方、すべてにアプローチできるわけですね。
中川さん
そうなんです。リマーケティングの運用は数日前から開始したばかりなのでまだ成果は語れませんが、親和性はあると思っています。
煩雑な業務を自動化し、工数削減に成功
――続いて、タビケン留学【準備用】のアカウントについて、構築のポイントをお聞かせいただけますか。
中川さん
はい、タビケン留学【準備用】というアカウントでは、国別・ビザ別で訴求が変わる仕組みを構築しました。
どこの国に、何のビザで渡航するかで流入経路を用意し、それぞれの人に合うシナリオが流れるように設定しています。
例えば「オーストラリアでワーホリをする人」には、オーストラリアのワーホリに必要な情報の入力を求めるフォームが送られるイメージです。
必要な情報はすべてLINEで送ってもらい、提出いただいた情報をもとにタビケン留学の担当者が申請代行を行います。
ご自身で申請が必要な項目については、お願いしたい作業を送り、手順を細かくお伝えしています。
ビザの申請が終わり、申請が下りるのを待つタイミングになったら、今度は滞在準備シナリオを配信します。
滞在先やフライト情報も把握しておきたいため、情報の共有をお願いしています。
渡航の2週間前になったら、入国カードの書き方や現地での口座開設の情報など、渡航後に必要なマニュアルを送ります。
最後に、現地に到着するタイミングでフライトおつかれさまでした、お困りのことがあればチャットください、とメッセージが流れるようにしています。
――完璧な流れですね。
中川さん
また、リッチメニューの上部に「渡航前チェックリスト」という項目を作っています。
渡航に必要な項目を洗い出し、準備が完了したものからチェックを入れていただくようにしています。
チェック状況を担当者が確認して、チェックが付いていない項目があればリマインドを送り、忘れず準備していただける仕組みを構築しました。
Lステップを入れる前は、これらの情報をすべてメールで1通ずつ送っていました。自動化できることは全部自動化し、運用側の手間とユーザーの見落としを減らしています。
――担当者のタスクは大幅に減っているわけですね。【準備用】のアカウントでは、リッチメニューの使い方のご案内があったのが印象的でした。
中川さん
リッチメニューをしっかり活用いただくために、操作方法のご案内を用意しました。友だち追加時のあいさつメッセージで送っています。
渡航先の国に応じたリッチメニューが表示されるよう設定していて、ユーザーが自分のタイミングでほしい情報を受け取れるようにしています。
例えば、渡航前・渡航後のお役立ち情報をタップすると、テーマ別でカルーセルが表示されて、必要な情報を確認できます。
渡航するまでと渡航後に必要なサポートを、LINEで網羅的に行えるようになりました。
――リマインドの設定が多そうですね。
中川さん
リマインドを設定している箇所は多いです。ただ、あまりシステムっぽくなり過ぎるのも嫌という先方の意向もあり、リマインドの頻度はそこまで多くしていないです。
――コンテンツも分岐も多く、構築はかなり大変そうな印象ですが、完成までにはどれくらいの時間を要しましたか?
中川さん
構築期間は2ヶ月弱です。その後先方での動作確認やテスト期間があり、スタッフさんに操作方法をお伝えする、いわゆる内製化までした上でリリースしたので、トータルでは5ヶ月くらいかかりました。
留学の経験がないと、留学エージェントが何をしているのか、そもそも留学までに何を用意してどのような手続きをするかのイメージがないんですよね。
うちのメンバーは最初、案件理解に苦戦していて、そういう意味では難しい構築だったと思います。
課題だったメールでの手動対応をゼロに
――運用開始して間もないタイミングですが、成果は出始めていますか?
中川さん
課題だったメールでの手動対応をなくし、Lステップで自動化できるところはすべて自動化して、スコアリングで対応の優先順位付けなどもできているので、業務効率化・工数削減につながっています。
あとはメールからLINEに変えたことで、連絡の見落としが減っているなど、ユーザー側の利便性が上がっているのも導入成果と言えると思います。
――タビケン様はLステップを導入して、どのように感じていらっしゃいますか?
中川さん
自動化して工数削減できた点について、よかったと言っていただいています。
あとは顧客の属性でメッセージを分岐させて、オファーができるようになったのはめちゃくちゃいいとおっしゃっています。
――スタッフの方はみなさん、Lステップの操作はできますか?
中川さん
資料や操作手順の動画をお渡し、毎週ミーティングをする中でひとつひとつ説明をして内製化を進めた結果、操作できるようになりました。
――構築後、運用まで担当するケースが多いですか?
中川さん
そうですね。僕らは少し特殊で、基本的に「運用込み」で担当させていただくスタンスでやっています。構築のみのご依頼はまったく受けておりません。
初期構築費用は0円で、その後の運用で費用をいただく形を取っています。
――初期構築0円は中川さん以外で聞いたことがないですね。
中川さん
僕らだけだと思います。僕は個人的に、初期構築でまとまった費用をいただくのを良しと思っていないので、やりながら増築していくスタンスにしています。
――大体どれくらいの期間、運用サポートされていますか?
中川さん
1年契約が多いです。
――初期構築でまとまった費用がいらず、運用をサポートしてもらえるのは魅力的だと感じます。
中川さん
どれくらいの成果が出るかわからないものに、最初に高額な投資をするのって結構リスクに感じると思うんですよね。
売上を上げながらであれば、ランニングコストを回収しながら運用できるので、無理なくご依頼いただけるのではないかと思っています。
Lステップは構築してからがスタート
――運用は何名くらいでフォローされていますか?
中川さん
僕含め3名です。その他の案件も2〜3名でフォローしています。
――構築プラス運用サポートとなるとかなりの人数が必要そうですが、何名くらいのチームを組まれているのでしょうか?
中川さん
計10名ですべての案件を回しています。
――10名で多くの案件を管理しているのはすごいですね。
中川さん
メンバーが本当に優秀なので回せています。
――中川さんの拠点はどちらですか?
中川さん
東京です。
――対応エリアは全国ですか?
中川さん
はい、全国対応です。
――中川さんが得意とする業種はありますか?
中川さん
特に業種でこれというものはありません。LINEの規約に触れるものでなければ、何でも対応しています。
――こういう課題解決が得意、といったものはありますか?
中川さん
1番相談として多いのは、Instagramのフォロワー数やYouTubeの登録者数は多いけど、思うように収益化できていない、取りこぼしが多いなど、商品はあるけどなかなか売れないという課題です。
――商品をまだ持っていないインフルエンサーの方からのご相談もありますか?
中川さん
あります。ただ、商品設計から一緒にさせていただくケースはほぼありません。
商品設計に関しては特化したプロがいると思うので、僕らがゼロからお手伝いする領域ではないかなと思っています。
――LINE以外、例えばInstagramやX、YouTubeなどの運用サポートはされていますか?
中川さん
できますが基本的にはしていなくて、LINEの構築と運用サポートに特化しています。
もし諸々込みでというご依頼であれば、InstagramやYouTubeなど、各媒体に強い専門家をメンバーにアサインして、対応するようにしています。
――最後に中川さんご自身、あるいは中川さんのチームの強みや、クライアントワークをする上で大切にしていることをお聞かせください。
中川さん
構築して終わりではなくて運用までお付き合いするところ、数字にコミットして運用できるところが強みだと思っています。
特に運用ですね。僕たちは構築してからがスタートだと思っているので、運用までサポートすることに重きを置いています。
あとはクライアント様はもちろん大事ですが、クライアント様のクライアント様、商品やサービスの利用者を意識するよう心がけています。
制作物のクオリティが高いのは当たり前。アカウントを見てくれる人たちの心情を汲み取って構築しよう、という話はよくメンバーにしています。
まとめ
今回は株式会社BALSA代表の中川さんに、留学エージェントのLステップ導入事例をご紹介いただきました。
初期構築のコストを抑え、運用までしっかりサポートをしてもらいたい方に、中川さんは非常におすすめです。ご相談を希望される方は、以下のHPからご連絡してみてください。