- リピート率が低い
- 業務負担が多く店舗スタッフが疲弊している
- アナログな業務が多い
昨今、このような課題を、LINE公式アカウントやLステップの活用で解消できることはご存知でしょうか。
今回は株式会社BRANCH代表の原川さんに、LINEを活用したファン化でブロック率を抑制し、デジタルクーポンの導入で年間約600万円のコスト削減にも成功した「クリーニング店でのLステップ導入事例」をご紹介いただきました。
【原川 優菜】
株式会社BRANCH 代表取締役 /Lステップ正規代理店
クリニック・接骨院・クリーニング・建築・介護業界など、幅広い業種でLINEを活用したコンサルティングに携わる。実店舗型の業態が得意。納品後お客様側でも運用し続けられるアカウントづくりを心がけており、経営者の構想を実現させる知見と行動力に定評がある。
目次
アプリで実現できなかったファン化が最大の課題
――今回ご紹介いただく事例アカウントについて教えていただけますか?
原川さん
株式会社モデル社様です。愛知県と岐⾩県でクリーニング店を38店舗展開されています。
――原川さんが構築を担当されることになった経緯をお聞かせいただけますか?
原川さん
知り合いの経営者の方から、モデル社の社長をご紹介いただきました。
――原川さんが構築に入る前から、モデル社様はLINE公式アカウントやLステップの運用をされていましたか?
原川さん
LINE公式アカウントは使用しておらず、全店舗での導入を検討されている段階でした。
それまでは自社アプリで運用されていましたが、登録のハードルが高く、リリースから2年くらいで全有効顧客約80,000⼈に対し登録者数が12,000⼈ほどで、登録率は15%程度に留まっていました。
さらに、アプリの通知を切られてしまったり、キャンペーンのご案内をするだけになっていたり、使い方にも課題を抱えていました。
――当時、LINE公式アカウント導入の検討段階だったとのことですが、モデル社様はLステップについてご存じでしたか?
原川さん
存じ上げてなかったですね。
モデル社様をご紹介いただいた経営者の方と私との話の中でLステップの話題が出て、それをきっかけにモデル社様にもLステップをご紹介しました。
懇意にされている広告代理店もいらっしゃったので、コンペのような形式で提案書を作って説明し、少しずつ信頼関係を築いていきました。
――モデル社様のアカウントはいつ頃から運用されていますか?
原川さん
2022年の2月頃からです。2年半ほど運用しています。
――モデル社様が抱えていた課題や要望をお聞かせください。
原川さん
課題やご要望は以下の通りです。
- ファン化
毎日立ち寄れるような「身近さ」を出したい - アプリの問題点の改善
・登録数とアクティブ率を増やしたい
・クーポンをもっと活用してもらいたい - 会員の囲い込み
・コロナ禍による客離れを防ぎたい
・値上げにより「単純に⾼くなった」との印象を持たれるのを避けたい
・ヘビーユーザーこそきちんと恩恵を受けられる仕組みを作りたい - コスト削減
紙ベースのクーポン(3ヶ⽉に1回発行)に、1回約300万円のコストがかかるので削減したい - 工数削減
・⾦額や店休日についての問い合わせなど電話対応の⼿間を減らしたい
・紙の会員カード忘れに対応できるように、LINEで会員番号を見れるようにしたい - 来店数の平準化
・⼟⽇にお客様が集中するので平⽇に移⾏させたい
課題はいくつかありましたが、一番大きな課題は「ファンを増やしたい」でした。コロナの影響もあって、クリーニングを出しに行くお客様が減ったからです。
宅配クリーニングなど競合の参入もあり、現場ではお客様離れを肌で感じていました。
もっとファンを増やしてお客様のリピート率を上げるのはもちろんのこと、クリーニングを出さないときでもふらっと立ち寄って話ができるお店でありたい、とのご要望がありました。
当初は、どちらかというと正統派のクリーニング屋さんといった感じだったので、キャラクターなどを取り入れて印象も変えたい、というお話もありましたね。
――より身近に感じてもらえるブランディングをやりながら、リピート率も上げて売上に繋げたいといった感じでしょうか?
原川さん
そうですね、以前はアプリを使っていたのですが、身近さやファン化とはかけ離れた状態でした。
アプリの運用がクーポンありきになっていたので、クーポンが欲しい人しかアプリに訪れず、稼働率があまりよくありませんでした。
これを解決するために「店舗に行かない日もLINE公式アカウントに1日に1回は訪れてもらえるようにしたいね」といった話になりました。
アプリだと開発費用が高く、実現が難しかったんですよね。
売上の面では、Lステップを運用していく中で出てきた課題がありました。Lステップで取得した数字をどう売上に繋げていくかです。
例えば売上が高い店舗は、やはりLINE公式アカウントの登録率も高く、たくさんアクション(反応)してくださるお客様が多いことが数字でわかります。
店舗ごとの営業担当者がこの数字を基に、どう売上に繋がるアプローチをするかを考えています。
数字を見える化したからこそでてきた課題ですね。
ファン化でブロック率はわずか3.7%
――課題に対する原川さんのご提案をお聞かせください。
原川さん
導⼊した施策は以下の通りです。
- ポイントガチャの導⼊(ファン化、登録数とアクティブ率アップ)
- キャラクターの導入(ファン化)
- デジタルクーポンの導⼊(クーポンの使用率向上)
- 店舗ごとの登録数と稼働率の計測(売上アップ施策への活用)
- ⾃動応答の導⼊(工数削減)
- ランクの導⼊(ヘビーユーザーが恩恵を受ける仕組み作り)
- 平⽇の付与ポイントUP(来店数の平準化)
- 来店チェックインポイントでリード時間計測の導⼊(来店間隔やリピート数の計測)
- 毎⽉のお役⽴ち配信 (ファン化、アクティブ率アップ)
- 毎⽉課題に対する企画配信
――さまざまな施策をご提案をされてますね。実際にやってみて成果はいかがでしたか?
原川さん
施策の成果は以下の通りです。
- LINEの友だち数 :34,515⼈
- ブロック率 :3.7%(ブロック数:1,319⼈)
- 初回アンケート回答率:96%
- 1⽇1回ポイントガチャの参加率:毎⽇約7,000⼈(LINE登録の約20%)が参加
アプリをLINE公式アカウントに変えて、有効顧客に対する登録率が約15%から約43%にアップしました
――LINE公式アカウントに変更して登録率が3倍近くになっていますが、アプリとはどういった違いがありましたか。
原川さん
アプリとLINE公式アカウントでは、登録のしやすさが全然違いましたね。
アプリはダウンロードしてIDやパスワードを入れて・・・と少し複雑でしたが、LINEはスムーズに登録できるので、登録率アップに繋がりました。
店舗スタッフさんの中には60歳以上の方もいらっしゃるのですが、私が説明する際も、手順を簡単に教えられる利点がありました。
――ブロック率が3.7%とかなり低いですね。
原川さん
モデル社様は、私が運用している企業様の中でも圧倒的にブロック率が低いのが特徴です。
配信については、ランク付けを取り入れて出し分けを行っていますが、それでも月に1回以上は送信しています。
ブロック率の低さからも、よくご利用されるヘビーユーザーから衣替えのシーズンに1回いらっしゃるようなライトユーザーまで「行くならモデル社かな」という教育、ファン化は達成できたと感じています。
――登録時のアンケート回答率も96%ととても高い数値ですね。
原川さん
そうですね。初回アンケートの特典として、ポイントをプレゼントする設計にしています。
――ガチャの企画はとても面白いですね。お客様の反応はいかがですか?
原川さん
ガチャを企画したのは「お客様に楽しんでもらいたい」「来店しない日も接点を持ってもらいたい」という思いからでした。
ちょうどその頃、コロナの影響や昨今の物価高のあおりを受けて、モデル社様も値上げをせざるを得ないタイミングでした。
単に金額を上げるのではなく、お客様にいい思いをしてもらえる施策を考えたいと思っていました。
それで始めたのが、ポイントガチャです。
1日1回ガチャに挑戦でき、1、10、100ポイントなどランダムでポイントを獲得できる仕組みになっています。
リッチメニューの【あそぶ】タブに「ポイントガチャ」を設置
客層的にもこの施策がフィットして、LINE登録している人のうちの2割程度、約7,000人の方に毎日参加いただいています。
例えば、毎朝4時に決まってやってくださる方がいらっしゃったり、ガチャでたまに不具合が起きると、お客様から「エラーになってますけど、大丈夫ですか」とお問い合わせがきたりします。
お客様と一緒に作っている感じがあってとても嬉しいのと同時に、毎日参加してくださってありがたいとも感じますね。
また、スコアに応じてランク分けをして、ポイント付与されるタイミングを変えることで、ヘビーユーザーの方がしっかりお得感を感じられるように設計しています。
ランクとポイントをお知らせ
こういった施策でお客様に楽しんでいただけているので、身近に感じていただくという課題はクリアできたな、と思います。
――LINE登録されてる方はどういった年齢層の方が多いですか?
原川さん
登録数は50代が一番多くて、40代、60代以上、30代、20代の順です。
よく反応していただけるという点では、40代、50代のお客様ですね。
有効会員が3万5,000人で、40代が7,956人、50代が9,330人なので、40代と50代の会員様が約半数を占めていることになります。
ただ、若者のクリーニング離れも進んでいるので、今後の課題として若者層を増やしたいね、という話をして対策を進めています。
自動応答で店舗の問い合わせ対応工数を削減
――アプリからLINEに変えて、お客様対応の面で変化したことはありますか?
原川さん
電話対応が減りました。
店舗への問い合わせは、営業時間や料金を聞かれることが多かったので、リッチメニューに料金表を入れると同時に、自動応答でも対応できるようにしました。
当時は、細かい条件をつけての自動応答がLステップでないとできなかったんですよね。
具体的には、「毛布」と入力すると毛布の料金が表示されるように設定しています。
自動応答で料金と詳しい説明を返信
リッチメニューの料金一覧
この施策によって、電話や店舗でのお問い合わせを減らせました。
また、自動応答の入力キーワードの回数で、お客様の興味度が測れる利点もあります。
スタッフの皆様になるべく負荷かからないような、シンプルな設計にしました。
――会員証も紙からLINEに変更されたんですよね?
原川さん
そうですね。以前は、会員番号が記載された紙の会員証のみを使っていました。
LINEで会員番号を確認できるようになったので、紙の会員証を忘れたときに店舗で会員番号を検索する工数が減りましたね。
財布のミニマム化もあって、紙の会員証を持ち歩く人が減る中、LINEであればすぐにスマホを見て確認できます。お客様の利便性の向上にも繋がりました。
クーポンのデジタル化で年間600万のコストを削減
――元々紙のクーポンを発行されていたとのことですが、LINEに変えたことでコスト面の変化はありましたか?
原川さん
葉書きにクーポンを印刷して送付していた時は、印刷費や郵送料で300万ほどかかっていました。
「DonDonクーポン」というものを発行しているのですが、3ヶ月に1回のスパンで過去2年間の有効会員に郵送していたんです。
コスト削減やお客様の利便性も考えて、DonDonクーポンのデジタル化に取り組みました。
デジタル化にご協力いただいたお客様には100ポイント付与し、LINE登録していただいているうちの55%の会員様に、デジタルクーポンを受け取っていただけるようになりました。
クーポンをデジタル化
回答フォームで作成したクーポンデジタル化フォーム
リッチメニューに設置されたDonDonクーポン
――1回の紙クーポン発行と比べると、150万程度、年間にすると約600万の経費が削減されていることになりますね?
原川さん
そうですね。LINEでのクーポンに移行したお客様については、ハガキの印刷代や郵送料を削減できて、店舗で次のクーポンを手渡しする必要性もなくなりました。
――いろいろと成果が出ていますが、モデル社様から何かご感想などいただいていますか?
原川さん
営業チームと打ち合わせをしたり、社長とも2ヶ月に1回くらいの頻度でお話をしたりしていますが、お陰様ですごくご満足いただいています。
ほとんど「原川さんに任せるよ」とおっしゃっていただけているので、とてもありがたいですね。
営業会議風景
――最初の構築にはどれくらいの時間を要しましたか?
原川さん
受注してから2ヶ月くらいです。
――アカウントを見ると結構お時間かけられたのでは・・・と思いました。
原川さん
当時は朝方までやって、午前中に打ち合わせが入るような生活をしていました(笑)
――お客様の来店を平準化するために、平日に移行させる施策で何か変化などありましたか。
原川さん
そうですね。まず、元々のモデル社様の平日の来店数は、業界の中であまり高くはありません。
理由としては、平日に行きたくても行けない層のお客様がいらっしゃったり、車で行くような郊外に店舗があるケースもあったりするからです。
その中で例えば、金曜日は来店ポイントが2倍になる施策などを行って、実際に「平日に来たよ」とおしゃってくださるお客様もいらっしゃいました。
――他にもいろんな企画や施策をされていますね。
原川さん
そうですね。店舗のリアルな悩みを、LINEでどう落とし込むかを考えるのが私の存在意義だと思っているので、その時々に応じて企画を考えます。
例えば、たくさんポイントを貯めて使わないお客様がいらっしゃったので、新しく有効期限を設けて、使っていただくようにしました。使わないと意味がなくなってしまうので。
また、閑散期に合わせて「ポイント倍で使えますキャンペーン」などの施策を入れたのですが、こちらもかなり効果的でしたね。
もう1点、やってよかった施策は「来店チェックインポイント」の導入です。
来店時にQRコードを読み込んでもらうと、お客様にはポイントが貯まり、店舗では来店日が記録されます。
次回来店までの間隔やリピート数が計測できるので、店舗運営の効率化や売上向上の施策を考える上で、とても役立っています。
社長の頭の中にある構想を実現する役割を担いたい
――ここからは原川さんの経歴や、Lステップ構築を始めた経緯についてお伺いできればと思います。まずはプロフィールをご紹介いただけますか?
原川さん
新卒でクレジットカード会社勤務を経て、現在の株式会社BRANCHを立ち上げました。
前職のカード会社では、プラチナカード専属の営業部署におりまして、400人くらいの経営者様を相手に営業していました。
その中で、ただカードを作るだけではなく「カードで貯まったポイントをどうしたらいいか」とか「アプリの使い方がよくわからない」など、細かいところのご相談も受けていました。
経営者様は時間がない方が多いので、1人のコンシェルジュのような感じでいろいろと対応していたんですね。
そこから集客のお悩みなども伺うようになり、あるお客様からLINE公式アカウントの設定を質問されました。
インターネットで調べながら一緒にやっていると「LINE公式アカウントって意外と使えますね」という話になりまして。
そこからMARKELINKのホームページや堤さんの本にたどり着いて、Lステップに出合いました。
当時、実はカード会社からの転職を考えていたんですが、入りたい会社も見つからず、それなら自分でやろうと起業しました。
「今後、LINEマーケティングが活発になりそう」と感じたのもありましたね。
――得意とする業種・業態はありますか?
原川さん
元々はクリニックや接骨院が多かったです。
最近では少し珍しい業界も多くて、例えば、韓国の美容クリニックを紹介する会社様のLステップも運用しています。
他にも、デイサービスのような介護業界、建築業など業種は多岐に渡っていますね。
どちらかというと、ネット上で全部完結するような業態ではなく、実店舗で直接お客様と接するタイプの会社様が多いですね。どこかしらに対面のフェーズがある業界というんでしょうか。
Lステップをただ構築するのではなく、現場の方がしっかり理解して使えるように、お客様のITリテラシーも引き上げながら進めるのを得意としています。
――実際に店舗に出向かれることも多い印象ですが、原川さんの対応エリアはどちらになりますか?
原川さん
お客様の店舗への視察や訪問は、愛知県内と東海地方が中心になります。
オンラインでしたら全国対応も可能です。
――もともとカード会社でも経営者の方々と対面でお話されていたとのことですが、そういった経験も今の仕事に活かされていますか?
原川さん
活かされていますね。前職のときからそうなんですが、雑談をしていく中で悩みを相談され、そこからお仕事に繋がるケースがとても多いです。
悩みを話してもらいやすいことは、強みの一つかもしれませんね。
社長はやりたいことが頭の中にあるけれど、それを実現させる人材がいないケースもあります。いわゆる「No.2のポジション」です。
今後もそういった役割を担っていきたいです。
今、サポートしている会社様も、もともとはLステップから入ったお客様なんですが、運用がスムーズに進んでいるので、最近では広報室代理といった立ち位置でお仕事をしています。
社長の頭の中を整理して戦略を立てるような役割です。
カード業界にいた頃からこういったポジションを自然と確立していましたし、起業当初から「秘書代行」という名称ではありますが、同様の業務をやっていました。
Excelもホームページもチラシも全部やります。結局、Lステップだけではなく、全部関わってくるような感じですね。
――Lステップですと「構築のみ」と「運用まで含めてサポート」とではどちらの割合が多いでしょうか。
原川さん
「構築のみ」は現在やっていなくて、運用まで含めてサポートしています。
成果を出すために、現場のスタッフの方がしっかり使いこなせるようになる必要があるので「運用まで含めて」という形にしています。
構築か運用か、でいうと運用の方が多いですね。
――お仕事される中で大切にしていることをお聞かせください。
原川さん
コンサルタントのタイプはいろいろあると思います。例えば、強く先導するタイプだったり、後ろから叩き上げるようなタイプだったり。
私は半歩前を二人三脚していく立ち位置をずっと取っています。それは、前職のカード会社にいた頃からそうですね。
Lステップ一つとっても、理解度のレベルは人それぞれなので、お客様が置いてけぼりにならないように、と強く意識しながら一緒に伴走しています。
Lステップに関することに限らず「ブックマークってどうやってやるんだっけ?」といった所から一緒に進んでいくことを大切にしています。
まとめ
今回は株式会社BRANCH代表取締役の原川さんに、LINEを活用したファン化でブロック率を抑制し、デジタルクーポンの導入で年間約600万円のコスト削減にも成功した「クリーニング店のLステップ導入事例」をご紹介いただきました。
- 現場のスタッフと並走してくれるコンサルタントをお探しの方
- 店舗のリアルな悩みをLINEにどう落とし込んだらいいのかお悩みの方
- Lステップだけでなく様々なビジネス課題の実現方法についてもご相談したい方
に原川さんはとてもおすすめです。
ご相談を希望される方は、以下のHPからご連絡してみてください。