採用業務は時間も手間もかかり、担当者にとって大きな負担となりがちです。
日本では、2025年度の求人数が約34.2万人分も過剰になっており、労働人口の減少が顕著に表れています。このような背景から、効率的な採用がますます重要になっています。
この記事では、採用業務を効率化するための5つの方法と、便利なツールを紹介します。
採用を効率化し、限られた時間と予算のなかで優秀な人材を確保しましょう。
目次
採用を効率化する5つの方法
採用を効率化する方法は以下の5つです。
- 採用の進め方を見直す
- 評価基準を統一する
- オンラインツールを使う
- 採用基準を明確にする
- 採用代行を検討する
採用プロセスを改善し、優秀な人材を迅速かつスムーズに獲得できる環境を整えましょう。
①採用の進め方を見直す
まずは、現在の採用の流れを洗い出し、手間がかかっている部分を見つけて改善できるポイントを探しましょう。
具体的には、募集方法や選考プロセス、コミュニケーション方法を見直します。
採用の各段階で、二重に確認している点やなくても良い作業を省くことで、時間とコストを節約できます。
②評価基準を統一する
面接官によって評価が変わらないよう、公平で分かりやすい基準を作ることも大切です。
評価のブレを防ぐために、応募者のスキル、経験、コミュニケーション能力などを明確な指標で評価する仕組みを作りましょう。
誰が面接しても同じ基準で評価できるように、客観的な評価シートの作成や面接官の評価観点の共有が有効です。
統一された基準により、面接対応できる人が増えてひとりに対する負担が減り、質の高い面接を実現できます。
③オンラインツールを使う
デジタル技術を活用すると、採用担当者の仕事の負担を軽減できます。
オンライン面接ツールや応募者管理システムの活用で、採用業務の多くを自動化・簡略化できます。
オンライン面接ツールや応募者管理システムなどのツール・機能を活用すれば、場所や時間にとらわれず、スムーズな採用活動が可能になります。
④採用基準を明確にする
理想の人材像をできるだけ具体的に定め、効率的に候補者を探しましょう。
必要な能力、経験、期待される役割を明確にすると、社内での共通理解につながるだけでなく、適した求職者を集めやすくなります。
たとえば、求める専門スキルや必要な経験年数だけでなく、期待される役割や求める人材の価値観を定め、求人に掲載すると効果的です。
明確な基準は、無駄な面接や選考を減らして採用の効率を改善します。
⑤採用代行を検討する
採用代行(RPO)を活用し、採用業務の一部、またはすべてを外部の専門企業に任せる方法もあります。
専門家の知識やノウハウを活かすことで、採用プロセスの効率化や改善が期待できます。
また、採用担当者の負担を軽減しつつ、専門的な視点で適切な人材を見つけやすくなるのもメリットです。
リソースに限りがある企業にとって、採用代行の活用は効果的な戦略となるでしょう。
今、採用の効率化が必要な理由
採用業務の効率化は、担当者の負担軽減だけでなく、限られたコストでの優れた人材確保にも寄与します。効率化を推進する背景には、日本で年々労働人口が減少している現状があります。
リクルートワークス研究所の「大卒求人倍率調査(2025年卒)」では、2025年度の民間企業の求人総数は79.7万人。一方、民間企業への就職を希望する学生は45.5万人にとどまり、約34.2万人分の求人数が過剰となっていることがわかります。
採用業務は、計画立案や求人広告の作成、応募者対応など多岐にわたるタスクが特徴です。とくに新卒採用時期には業務量が増え、担当者の負担増加や作業の質の低下が懸念されます。
採用業務を効率化すれば、戦略立案や求職者への丁寧な対応に集中でき、優秀な人材の確保が可能になります。
採用の効率化で得られる3つのメリット
ここでは、採用を効率化するメリットを紹介します。
メリットを理解して自社に必要な施策を見極めることで、採用業務を戦略的に進めましょう。
採用コストを削減できる
採用を効率化すると、不要なコストを削減できて予算を有効活用できます。
削減できるコストは以下です。
- 追加の求人広告の費用
- 面接日程の調整や連絡にかかる手間
- 選考にかかる人件費
- 説明会やイベントの頻度増加による費用
効率的な採用活動により、コストを抑えながら質を保った人材確保が可能です。
採用担当者の負担を軽減できる
採用の効率化で採用担当者の業務負担を軽減すれば、より必要な業務に注力できます。
事務作業を自動化して時間を節約することで、戦略立案に集中する時間を確保したり、候補者とのコミュニケーションを改善したりできます。
とくに中小企業では、採用担当者が他業務を兼任している場合が多く、業務効率化の効果が顕著に表れるでしょう。
優秀な人材を見つけやすくなる
効率化された採用プロセスでは、求職者に企業の魅力がしっかりと伝わり、良い人材を集めやすくなります。
なぜなら、効率化することで、候補者への迅速な対応やタイムリーな情報提供、選考プロセスの透明性向上に注力できるためです。
これらの取り組みにより、求職者の満足度が上がり、企業の魅力が伝わりやすくなります。
その結果、競争が激化するなかでも優れた人材を確保できるでしょう。
採用業務の効率化を妨げる4つの壁
採用業務には時間と手間がかかります。ここでは、採用担当者が感じる主な課題を説明します。
あらためて課題を認識することで、改善の糸口が見つかるでしょう。
1.絶え間ないコミュニケーションの負担
採用業務は、応募者やエージェント、採用媒体の担当者、面接官、上司など、多くの関係者と連絡を取り合うことが必要です。
たとえば、1人の応募者に対して、書類選考の結果通知、面接の日程調整やリマインド、面接官への依頼や評価の確認、最終的な合否連絡など、さまざまなやり取りが発生します。
とくに新卒採用では、複数の部署との連携が増え、対応はより複雑になります。
さらに、社内での調整や催促の必要が多いことも、採用担当者の負担を大きくしている要因といえるでしょう。
2.良い採用を目指すほど増える手間
採用の質を上げようとすると、逆に手間が増えてしまうケースも多くあります。
たとえば、採用の質をあげるための施策として、以下が挙げられます。
- 面接回数を増やす
- 採用媒体を拡大する
- 新しいエージェントを使う
- リファラル採用に力を入れる
これらの取り組みは、とくに導入時や慣れない環境では多くの時間がかかるでしょう。
しかし、採用の質を高めるために必要な挑戦です。効率化できる部分はしっかり簡略化し、新しい採用戦略にチャレンジする余裕を作ることが大切です。
3.自動化が難しい業務が多い
採用業務には、求人票の作成やエージェントの進捗管理、エントリーシートの確認、応募者の評価など、簡単に自動化できない仕事が多くあります。
これらは、採用担当者の判断が欠かせない業務です。採用は単なる事務作業ではなく、会社の人材戦略に関わる専門的な仕事です。
そのため、特定の担当者にしかできない仕事になりやすく、細かい対応に多くの工数が必要になります。
4.情報管理の難しさ
採用業務では、応募者の個人情報を扱うため、慎重な対応が求められます。
とくに中途採用では、応募者が現在勤めている会社に知られないように採用活動を進めなければならないケースもあり、情報管理には細心の注意が必要です。
個人情報を丁寧に扱おうとすると、余計に情報管理に手間がかかり業務効率にも影響するでしょう。
採用の効率化に役立つツール3選
ここでは、採用業務の手間を大幅に減らせるツールを紹介します。
デジタル技術を活用し、採用担当者の負担を軽減すると、採用の質も上げられます。
採用管理システム(ATS)
採用管理システムは、求人から内定までの採用プロセスを一括で管理できるITツールです。
無料のものから高機能なものまで、さまざまな選択肢があります。
このシステムのメリットは以下です。
- スケジュール管理が簡単
- 情報の抜け漏れを防げる
- 応募者への連絡がスムーズ
- 採用状況を一目で把握できる
企業の規模や予算に合わせて選べるので、多くの企業で導入しやすいツールといえるでしょう。
オンライン面接ツール
オンライン面接ツールを使用すれば、インターネットを使ってPCやスマホで面接できます。
対面の面接と比べて、場所を問わず面接できるため選考のスピードアップにつながります。
また、応募者の交通費がかからないのも利点です。
録画機能で面接官以外の人も面接を確認でき、さまざまな視点で応募者を評価できるメリットもあります。
LINE公式アカウント
LINE公式アカウントは、企業側から情報を発信できるビジネス用のLINEアカウントです。
誰でも無料でアカウントを開設でき、メッセージ配信やチャット機能が活用できるほか、配信の自動化や自動応答メッセージの設定も可能です。
LINEを使って応募者とつながることで、次のメリットがあります。
- すぐに連絡できる
- 自動応答で初期対応を効率化できる
- リアルタイムで情報提供できる
とくに、スマホを使う若い世代に適しており、応募者との距離を縮めてコミュニケーションを円滑にするツールです。
Lステップの活用で採用を効率化した事例を紹介
LINEの活用で採用を効率化するなら、LINE公式アカウント専用の拡張ツール「Lステップ」が便利です。
ここでは、Lステップを活用して採用の効率化に成功した事例をお伝えします。
採用業務の工数を5分の1に削減した事例
イベントの企画・運営を行う「株式会社ライドエンターテイメント」は、LINEを使ったアルバイト採用において多くの課題を抱えていました。
採用希望者への対応や個人情報の収集に時間がかかり、担当者が一日中その対応に追われていたのです。
そこでLステップを導入した結果、次のような改善が実現しました。
- 個人情報登録フォームを自動送信し、情報収集を自動化
- 求人情報の一斉配信を効率化
- ボタン形式のアンケートで応募者の意向を簡単に把握
- タグ機能を活用して採用者・不採用者への連絡を一括管理
- 年末調整用の個人情報も自動で収集
これにより、採用業務にかかる時間は従来の5分の1まで短縮され、業務が特定の担当者に集中する問題も解消されました。
企業理解を深めるコンテンツを自動で配信した事例
廣瀬製紙株式会社で取締役を務めるWEB採用シニアエキスパートの馬醫光明様は、LINEの友だち追加後、最初の5日間で段階的にシナリオ配信を行う仕組みを導入しています。
シナリオ配信とは、あらかじめ設定したメッセージを自動的に指定された順序で送る機能です。
この仕組みを活用し、求職者が企業や仕事への理解を深められるよう、以下の内容を順番に配信しました。
- よくある質問の回答
- 選考ステップの案内
- エントリーフォームへの誘導
- VR工場見学の案内
- YouTube動画によるコンテンツ紹介
このように段階的な情報提供を行った結果、企業への志望度が高い求職者の応募が増え、採用のミスマッチも減少しました。
採用後の新人研修を自動化した事例はこちらをご覧ください。
採用の効率化ならLキャスト!説明会や研修を自動化しよう
「L-CAST(Lキャスト)」は、LINE専用のオートウェビナーマーケティングツールです。
事前に録画した説明会や研修をオンラインで自動配信できる、いわゆるオートウェビナー(自動化されたウェビナー)を簡単に実施できる点が特徴です。
このツールは「Lステップ」との連携により利用可能で、手間をかけずにオンライン会社説明会を実施できます。
LキャストとLステップを組み合わせ、会社説明会の申し込みページ作成からリマインド配信、当日の運営、参加後のフォローに至るまで、採用イベントの一連の流れを自動化できます。
とくに学生の利用率が高いLINEを活用することで、応募者が気軽に参加できる環境を整えられる点が大きな魅力です。
研修に活用する場合、誰がどの動画をどれだけ視聴したかを把握でき、進捗確認が容易になります。
さらに、研修動画の内容に応じたミニテストをLステップの回答フォームで作成し、視聴後に回答してもらう仕組みを併用すると、個々の理解度の把握も可能です。
このような便利なツールの活用で採用活動や研修を効率化し、採用担当者の負担を軽減しながら、採用の質を高めましょう。
【まとめ】採用の効率化してより良い人材確保を叶えよう
採用業務の効率化は、企業にとって大切な取り組みです。
便利なツールを活用しながら適切な方法で採用を進めると、次のメリットがあります。
- 採用にかかるコストを下げられる
- 採用担当者の仕事の負担を軽くできる
- 優秀な人材を早く見つけられる
デジタル技術の発展により、オンライン面接やLINEを使った採用支援ツールなど、新しい採用方法が増えています。
大切なのは、単に仕事を減らすことではなく、優秀な人材を惹きつける採用活動を行うことです。
採用を効率化し、応募者とのコミュニケーションを大切にしながら企業の魅力を伝えることで、より優れた人材を確保しましょう。