
- 選考進捗の管理に多くの工数がかかる
- メールでの連絡では応募者とのやり取りが滞りがちになる
このような課題を抱える、企業の採用担当の方は多いのではないでしょうか。
なの花薬局様は、LINE公式アカウントとLステップを活用し、採用管理システムを構築しました。
選考プロセスの見える化と効率化を図り、学生と企業の双方にとってストレスの少ない採用体験を実現しています。
本記事では、構築を担当したRe.MEDIA株式会社の西島さんに、背景や運用のポイント、実際の成果を伺いました。
【西島 翔希】
Re.MEDIA株式会社代表 / Lステップ認定コンサルタント
薬学部在学中に起業し、医療・ヘルスケア領域に特化したLINE運用支援を展開。
薬剤師資格を活かし、Lステップを使った医療系人材の採用支援、業務効率化や関係構築の仕組みづくりを手がける。医療現場の課題や文脈に寄り添った設計を得意としている。
目次
選考の複雑さと人手不足。採用現場が求めた新たな仕組みづくり
――さっそくですが、今回ご紹介いただく事例アカウントについて教えてください。

西島さん
――西島さんが構築に入る前から、なの花薬局様はLINE公式アカウントやLステップの運用をされていましたか?

西島さん
薬剤師採用ではLINEを活用していましたが、メディカルスタッフの採用には導入されていませんでした。
――Lステップの導入時期はいつ頃でしょうか?

西島さん
2024年12月です。
――なの花薬局様がLステップを導入するきっかけや、西島さんが構築に携わることになった経緯をお聞かせください。

西島さん
私自身が薬学生の頃、就活や勉強に関する情報をLINE公式アカウントで発信していて、全国に約66,000人いる薬学生の多くの方に見てもらっていました。
そのような活動の中で、さまざまな企業様から広報のご依頼をいただくようになり、一時期はタイアップ企画も行っていました。
そうしたご縁から、なの花薬局様とも以前より接点があったんです。
久しぶりにお会いした際に、Lステップを活用した採用LINEの事例や機能、費用感をご紹介したところ、興味を持っていただき、改めて詳しくお話しする機会をいただきました。
当初は、薬剤師採用向けのLINE公式アカウントのリニューアルが目的でしたが、ちょうど医療事務の採用のアカウントを立ち上げるタイミングと重なったため、今回の構築をご依頼いただくことになりました。
――なの花薬局様が抱えていた課題やご要望をお聞かせください。

西島さん
大きくは3つの課題がありました。
- 就活生との連絡がスムーズに進まない
従来の採用管理ツールでは主にメールで学生とやりとりしており、レスポンスの悪さや開封率の低さが課題でした。 - 選考フローが複雑で案内に手間がかかる
インターンシップから適性検査までの選考フローが複雑で、個別対応に多くの手間がかかっていました。
そのため、学生が自分の進捗をリアルタイムで確認できる仕組みが求められていました。 - 採用業務の効率化
薬剤師と医療事務の採用を同じチームで兼任しているため、少ない工数でインターンシップから選考エントリーまでの歩留まりを高めたいという要望がありました。
「どこまで進んだ?」がひと目でわかる。見える化で再設計した選考フロー
――課題に対して、どのようなご提案をされましたか?

西島さん
選考フローを「スタンプラリー化」することで、学生が現在の状況を視覚的に把握できるようにしました。
たとえば、初回登録だけが完了している場合はその部分だけが、説明会に参加済みならそこまでがクリアになっているというように、進捗が一目でわかる設計です。
【初回登録完了時のリッチメニュー】
【会社説明会参加後のリッチメニュー】
これにより、学生側の利便性が向上しただけでなく、企業側の選考管理の負担も軽減されています。
特に「インターンシップのエントリーを飛ばして、会社説明会から参加できる」ことは、言葉だけでは伝わりづらいため、メニュー上にわかりやすく表示するようにしました。
さらに、説明会参加後のアンケート回答をトリガーに、35日間にわたる強化型シナリオ配信もご提案しました。
このシナリオ配信は、エントリーに進んだタイミングで自動停止する仕組みです。
すでにエントリー済みの学生に、同じ案内が繰り返し届かないように配信を制御しています。
フォローアップを自動化できるだけでなく、担当者による対応のばらつきも抑えられる点が評価され、非常に喜んでいただいています。
――「スタンプラリー」はユニークな取り組みですね!

西島さん
学生の中には複数社を同時に受けている方も多いので、「何を提出済みで、何がまだか」がすぐに確認できるこの仕組みは、とても好評でした。
また、選考エントリーのタイミングで、リッチメニューがエントリー者限定の内容に自動で切り替わるように設計しています。
【通常リッチメニュー】
【選考エントリー者限定のリッチメニュー】
エントリーシートの提出や適性検査の受験といった、次のアクションにスムーズに進めるよう、細かな点まで工夫を重ねています。
――一般的にインターンシップは「就業体験」というイメージです。「インターンシップを飛ばして選考エントリーができる」点も含めて、なの花薬局様のインターンシップと会社説明会の違いを教えていただけますか?

西島さん
医療業界におけるインターンシップの傾向として、就業体験を行うケースは少ないです。
多くの場合インターンシップは、会社の取り組みを紹介するウェブセミナーのような位置付けです。
仕事内容を知る機会として考えられているため、会社説明会とほぼ同じように扱われるケースも少なくありません。
なの花薬局様のインターンシップでは、処方箋の受付やパソコン入力など、医療事務の業務内容や働き方を具体的に学べるよう構成されています。
医療事務は資格が不要なため、さまざまな学部や学歴の学生が応募してきます。
そのため、業種としての特長や実際の働き方を知る貴重な機会になっていますね。
一方、会社説明会は企業全体の概要や制度について、より深く掘り下げる場です。
たとえば、事業展開しているエリアの紹介や、ライフステージに応じて全国で働ける環境など、企業としての魅力を伝えることに重点を置いています。
エントリーを後押しする、35日間のシナリオ設計
――35日間のシナリオ配信についても、詳しくお聞かせいただきたいです。

西島さん
シナリオ配信は、会社説明会で伝えた内容を振り返ってもらうことを目的にしています。
期間を35日間に設定しているのは、会社説明会後のフォローとして、この期間内にエントリーまでつなげられると考えているからです。
配信は初めの1週間ほどで、なの花薬局での働き方や職場の雰囲気を集中して伝え、その後、選考エントリーへの案内やリマインドを行っています。
【シナリオ配信1日目】
【シナリオ配信3日目】
【シナリオ配信5日目】
また、自動配信だけだと学生には冷たく感じられるため、適宜個別宛のメッセージを挟む工夫をしています。
加えて、LINEでの個別対応窓口も設けており、質問があれば直接対応できる体制も整えました。
リッチメニューは必要に応じて表示・非表示を切り替えられるため、メッセージが読みやすいように配慮しています。
【リッチメニュー表示パターン】
【リッチメニュー非表示パターン】
――シナリオ配信のどのタイミングや内容が、選考エントリーのきっかけになっていると感じますか?

西島さん
配信開始から「3日以内」が最も反応率が高く、選考エントリーにつながりやすい印象です。
配信期間が長くなるほど学生の関心は薄れてしまうため、最初の数日間のコミュニケーションが重要になります。
そのため、初動の3日間の設計には特に力を入れていますね。
エントリー状況はタグを活用し、リアルタイムで把握できるようにしています。
シナリオ配信は、選考エントリーのフォームに回答すると自動で停止する仕組みです。
たとえば「配信開始から5分後」「25分後」などの区切りでタグを付け外しすることで、どの段階で配信が止まったか(=エントリーがあったか)を把握できるようにしています。
【シナリオ配信の管理画面】
今回はスタンダードプランの構築だったので、クロス分析のような機能は使えません。
「どの配信がエントリーのきっかけになったか」を把握しやすくするために、タグ設計に工夫を凝らしました。
選考会への移行率60%を実現。丁寧な設計が成果を支える
――構築の成果をお聞かせください。

西島さん
会社説明会から選考会への移行率が60%となりました。
比較対象となる前年のデータがなかったため単純な比較はできませんが、採用活動としてはポジティブな成果だと捉えています。
もちろん、すべてがLINEの成果というわけではなく、採用担当者様の丁寧な個別対応あっての結果です。
とはいえ、一斉配信を行わず、シナリオ配信でここまで成果が出たことには、私自身も驚きました。
なの花薬局様とは今でも毎週お打ち合わせをしているのですが、「シナリオ配信、良かったですね」とおっしゃっていただけるのがとても嬉しいです。
――内定者フォローの場面でも、LINEを活用されているのでしょうか?

西島さん
はい。なの花薬局様では、内定者一人ひとりに対して丁寧なコミュニケーションをLINEで行われています。
内定から入社までのフォローは、医療業界全体にとって重要なテーマです。
採用活動で起こりやすい面接辞退や内定辞退についても、LINEを活用することで一定の防止効果が期待できると感じています。
今後も、より良いフォロー体制を整えていきたいと考えています。
進捗管理の工夫で選考の効率化を実現
――その他に工夫された点はありますか?

西島さん
エントリーシートや適性検査の受検状況をLINE上で一括管理するのは、今回が初めての取り組みだったため、特に苦労したポイントのひとつです。
具体的には、進捗状況をタグで管理し、「エントリーシートは提出済みか」「適性検査はまだか」といったステータスを自動で把握できる仕組みを構築しました。
【選考管理画面】
いまだに紙でエントリーシートを回収している企業も多い中、LINE上でここまで管理できるのは大きな強みだと感じています。
この仕組みを展開していければ、さらに活用の幅が広がると考えています。
――構築にはどれくらいの時間を要しましたか?

西島さん
初回打ち合わせより、1ヶ月半でリリースしました。
――本アカウントは現在も運用支援に入られているのでしょうか。

西島さん
LINEご担当者様の操作も非常に習熟されているため、現在は必要に応じた最小限のサポートで安定して運用できています。
――なの花薬局様はLステップを導入して、どのように感じていらっしゃいますか?

西島さん
学生とのコミュニケーションツールとして、非常に有用だと評価されています。
選考に関わるスケジュール調整や予約、エントリーシートの提出から合否連絡まで、すべてをLINE上で完結できる点に、大きな価値を感じていただけているようです。
加えて、採用業務の工数が大幅に削減できたことも、実感されています。
また、シナリオ配信の提案や企業のキャラクターを活かしたデザイン、細かなシステム構築にも迅速に対応できた点も、好意的に受け止められています。
薬剤師の視点を活かした、医療×LINEの伴走者
――ここからは西島さんの経歴や、Lステップ構築をはじめた経緯についてお伺いできればと思います。まずは自己紹介をお願いします。

西島さん
「Re.MEDIA株式会社」にて、医療・ヘルスケア領域に特化したLINE公式アカウントおよびLステップの構築・運用を行っています。
私は薬学部出身で、薬剤師の資格も保有しています。
薬学部在学中には、全国の薬剤師や薬学生向けウェブメディアの会社を立ち上げています。
SNSやYouTubeでの発信に加えて、LINE公式アカウントを活用した集客や、大手ナビサイトの広報支援などにも取り組んでいました。
その頃からLステップを活用しており、そうした経験を活かしてLINE運用の事業へと展開していきました。
ちなみに薬学部を目指したきっかけは、製薬会社のMRという仕事に興味があったからです。
もともと起業志望というわけではありませんでしたが、事業が軌道に乗ってきたタイミングで法人化しました。
――学生時代に起業された頃からLステップを使っていたとのことですが、最初に知ったきっかけを教えてください。

西島さん
当時お願いしていた動画編集者の方から紹介を受けたのがきっかけです。
その頃すでにYouTubeやInstagram、Xは運用していましたが、LINE公式アカウントはまだ立ち上げていませんでした。
LINE公式アカウントの開設と同時に、Lステップも導入した流れです。
月3万円の「プロプラン」からスタートしたので、学生の私には少し負担に感じる金額でしたが、Lステップがなければ事業自体が育たなかったと感じています。
薬学生向けのLINE公式アカウント運用で特に苦労したのが、複雑な属性管理です。
薬学部は全国に約78校ありますが、それぞれの大学に1年生から6年生までが在籍しているためです。
そのため、タグ機能や回答フォームがなければ運用は難しかったと思います。
初期構築は動画編集の方にお願いしましたが、資金に余裕がなかったため、その後の修正や運用はマニュアルを見ながら手を動かして覚えていきました。
Lステップ認定トレーナーの堤さんのYouTubeを、全て見るくらい参考にして学びました。
――正規代理店になった経緯を教えていただけますか?

西島さん
法人化のタイミングで、Lステップを軸に事業を展開していくと決めていました。
広告や動画編集などを広く手を伸ばすのではなく、「医療・ヘルスケア領域のLINE活用といえばRe.MEDIA」と認識いただけるよう、専門性を高めたい思いがあったんです。
そのうえで、正規代理店であることは、今後変えられない価値になると感じ加入を決めました。
――構築のみと運用込みではどちらの方が多いですか?

西島さん
以前は、構築のみを納品するパターンが中心でした。
ただ、運用がはじまると、しっかり活用されている企業さんがいる一方で、Lステップがほとんど使われずに止まってしまうケースも見受けられました。
その差を目の当たりにする中で、構築だけでは不十分で、「何かあればすぐ聞ける」という関係性が必要だと感じるようになったんです。
現在は、サポート内容に応じてプランを分けながら、運用支援にも積極的に関わる形にシフトしています。
――対応エリアは全国ですか?

西島さん
はい。全国対応しています。
対面での訪問が可能な場合は、できるだけ直接お会いしてお打ち合わせさせていただいています。
――得意とする業種・業態はありますか?

西島さん
私自身が薬剤師ということもあり、「医療・ヘルスケア業界」が主な領域になります。
現在は採用や人材サービス、派遣・転職といった分野のサポートが中心ですが、今後は歯科医院や治療院など、患者さん向けのLINEにも力を入れていきたいと考えています。
――医療系の採用支援に関わられていて、他の業界と比べて、何か違いや特徴を感じられることはありますか?

西島さん
医療職種全体にいえることですが、新卒採用はまだ売り手市場です。
一般的にはエントリーシートを書いて、何社も選考を受けるのが当たり前ですが、医療職に関しては「就職先が見つからない」という方は少ないと思います。
そのため、企業側は学生をどう惹きつけるかに必死ですし、魅力が伝わらなければ選ばれない現実があります。
もうひとつの特徴は、学生側も企業側も就職活動の早期化が進んでいる点です。
他業種よりも、1年先を見据えて動いているイメージですね。
そのため、早期に接点を持つ分、関係性を長期間保つ必要があります。
離脱を防ぐには、インターンなどの設計や、再び接点を持つための導線づくりが欠かせません。
説明会からインターンへ、インターンからエントリーへとつなげる仕組みが重要です。
――これまでの構築件数はどれくらいでしょうか?

西島さん
約30社ほどです。
基本的には私一人で担当していて、デザイン部分のみ外部のデザイナーにお願いしています。
現在はフルオーダーで構築していますが、「フルパッケージまでは必要ないけれど、LINEがあると便利」というニーズにも応えられる、汎用性のある展開も検討中です。
たとえば、ベースとなるデザインを私が用意し、それぞれの企業のコーポレートカラーに合わせてカスタマイズしていくイメージです。
納期も、今回の案件のように1ヶ月半かけてじっくり作り込むのではなく、もう少し短期間での提供を目指しています。
――最後になりますが、ご自身の強みや、クライアントワークの中で大切にしていることをお聞かせください。

西島さん
一番大切にしているのは、「即レス・即対応」です。
とくに医療系の現場では、まだDX化が進んでおらず、導入時にてんやわんやになってしまうケースも多くあります。
だからこそ、「いつでも連絡してください」とお伝えしています。
土日であっても、電話でもZoomでも対応するという姿勢を見せるだけで、「何かあったら西島さんに」と頼っていただける。
その信頼が、継続的な関わりにつながっていると感じます。
もうひとつは、「ひとつのチームとして共に進む」スタンスです。
LINEの領域に限らず、対面のミーティングにも参加して、チームの一員として伴走する姿勢を大切にしています。
大きな会社ではなかなかできない小回りの利く動き方が、Re.MEDIAだからこそ提供できる価値だと思っています。
まとめ
今回は、Re.MEDIA株式会社の西島さんに、なの花薬局様のLステップ導入事例についてお話を伺いました。
西島さんは医療系資格の専門知識を生かして、LINEを軸に医療・ヘルスケアに特化した、事業全体に寄り添う伴走サポートを強みとされています。
ご相談を希望される方はぜひ、以下のHPからご連絡してみてください。