
- 宿泊客の送迎予約やアクセス案内にかかる電話対応の負担を軽減したい
- OTA(オンライン旅行代理店)経由の予約に偏り、手数料負担が大きい現状を改善したい
伊豆・下田ビューホテルは、Lステップを活用し、業務効率化とOTAに頼りすぎない自社集客ルートを構築しています。
今回は、下田ビューホテルの丸山様と、構築を担当したF&A project代表の藤田さんに、Lステップ導入の背景や成果について詳しくお話を伺いました。
【藤田 圭吾】
F&A project代表/Lステップ認定コンサルタント
元エンジニア。多店舗展開している飲食店やサロンのLステップ構築が得意。構築だけでなく、運用・分析支援、HP・LP制作、動画制作、Web広告運用など、幅広くサポートしている。
【丸山 修】
丸山商事株式会社代表取締役/下田ビューホテル経営
ホテル・飲食業界で30年以上のキャリアを持つ。ホテル経営の傍ら、IT分野にも精通し、自社ネットワーク構築・管理、プログラム開発、写真・ドローン撮影などを得意とする。Lステップ導入においては、ホテル経営者としての視点から、顧客体験向上と業務効率化を重視した提案を行う。
目次
送迎予約・アクセス案内の電話対応、OTAの手数料負担が課題
――さっそくですが、下田ビューホテル様のご紹介をお願いいたします。

丸山さん
――ホテルをご利用されるお客様の主な年齢層と、利用目的についてお聞かせいただけますか?

丸山さん
当ホテルのお客様は、比較的年齢層が高く、落ち着いた雰囲気の方が多いです。
観光目的のお客様がほとんどですが、最近は一人旅のお客様も増えていて、以前に比べると、倍以上になったと感じています。
要因としては、業界全体で一人旅を推進していることや、経済状況の影響もあるかもしれません。
――藤田さんが構築に入る前から、下田ビューホテル様はLINE公式アカウントやLステップの運用をされていましたか?

丸山さん
どちらも運用していませんでした。
――LINE公式アカウントやLステップの導入時期はいつ頃でしょうか?

藤田さん
2023年10月1日からになります。
――今回、下田ビューホテル様がLステップを導入するきっかけや、藤田さんが構築に携わることになった経緯をお聞かせください。

藤田さん
オンラインで開催された、経営者の会でお会いしたのがきっかけです。
その後、丸山さんから「LINEの活用事例について詳しく話を聞きたい」とご連絡をいただきました。
何度かお話しする中で、実際にホテルにも宿泊させていただき、IT導入補助金の活用も視野に入れて、Lステップの導入をご提案しました。
――丸山様は以前からLINEにご興味をお持ちだったのでしょうか?

丸山さん
はい。連絡ツールとしてだけでなく、情報発信ツールとしての可能性に注目していました。
Lステップのような、データベース機能が充実してきたという情報も耳にしていたので、LINE公式アカウントの導入と合わせて、試してみたいと思っていたんです。
――下田ビューホテル様が抱えていた課題やご要望をお聞かせください。

丸山さん
当ホテルでは、主に3つの課題を抱えていました。
- 送迎予約における電話対応の負担が大きい
最寄り駅からホテルまでのマイクロバスの送迎予約は、ほとんどが電話で行われており、毎日同じような問い合わせに対応する必要がありました。 - 車でお越しのお客様への道案内対応の負担
ナビゲーションシステムがあっても、ホテル周辺で道に迷われるお客様が多く、電話でのお問い合わせが頻繁にありました。 - OTA(オンライン旅行代理店)利用手数料を削減したい
OTAへの依存度を下げ、自社サイトや電話予約など、直接予約の比率を高めたいと考えていました。
――予約全体のうち、OTA経由の予約はどれくらいの割合ですか?

丸山さん
全体の予約のうち、約7割がOTA経由となっています。
その中でも、「楽天トラベル」と「じゃらんnet」が特に多く、ほとんどがこの2つからの予約です。
他の旅行サイトも利用してはいますが、それぞれ1割にも満たない程度です。
送迎予約の自動化からリピーター獲得まで、LINEを活用した多角的な提案
――課題に対して、どのようなご提案をされましたか?

藤田さん
まず、送迎予約の自動化は、リッチメニューから、カレンダー予約ができるように設計しました。
OTAで予約されたお客様に、LINEで送迎予約ができる旨をメールでご案内して、友だち登録を促しています。
車でお越しのお客様への道案内については、予約受付完了のメールに流入経路を発行し、LINE登録後のメッセージでアクセスの案内を流すよう設定。
ホテルまでの道順動画を配信しています。
直接予約の比率を高める施策としては、リッチメニューからお客様がスムーズに予約できるよう、予約導線を最適化しました。
また、Lステップ導入により、お客様の属性や行動履歴などの情報を蓄積し、マーケティングの基盤を構築しています。
今後は、友だち登録されたお客様に対して、イベントやキャンペーン情報などを配信し、リピーターの獲得を目指したいと考えています。
――Lステップで収集した情報を使って、どのような配信をされていますか?

丸山さん
先日、はじめて興味のある宿泊プランに関するアンケート配信を実施しました。
友だち数がまだ少ないため、より効果的な配信のために、まずは5,000人の友だち登録を目指しています。
今後もLステップを有効活用して、魅力的なキャンペーンや限定情報を発信していきたいと考えています。
――リピーターのお客様と、新規のお客様の割合はどのくらいでしょうか?

丸山さん
リピーターの方は半分以下ですね。
夏休みなどに毎年ご利用いただいていたお客様も、お子様が中学校に上がると来られなくなるため、お客様の入れ替わりが多いのが現状です。
――LINEの友だち追加はどのように促進されていますか?

丸山さん
OTA経由で予約されたお客様への予約確認メールには、LINEのQRコードを掲載することができません。
そのため、お客様のメールアドレス宛に、一件一件手作業でご案内している状況です。
ここが自動化できれば、効率化を図れるのですが、LINE登録のご案内方法については試行錯誤中ですね。
また、お客様はご年配の方が多いので、LINEはメッセージのやり取り程度で、登録やサイトへのアクセスは少々ハードルが高いと感じられるようです。
ただ、宿泊のお客様は滞在時間が長いので、チェックインの際にフロントでお声がけすると、比較的スムーズにご登録いただける傾向があります。
――ホテルに到着されたお客様向けに、リッチメニューを切り替えていらっしゃると伺いました。大変興味深い取り組みですが、友だち登録数の変化はいかがでしょうか?

藤田さん
到着前のリッチメニューでは、ホテルの景色やアクセス情報、送迎サービスなど、これからホテルに向かうお客様に必要な情報を中心に構成しています。
到着後のメニューでは、ルームサービスや観光ガイドなど、滞在中に役立つ情報を充実させています。
チェックイン時に、お客様にLINEのQRコードを読み取っていただくと、リッチメニューが館内用に切り替わる設定です。
【入館前のリッチメニュー】
【入館後のリッチメニュー】
Wi-Fiのパスワードや施設案内など、滞在中に役立つ情報をLINE上で手軽に確認できるようになり、お客様にも喜んでいただけているようです。
リッチメニューの切り替えによる友だち登録数の変化については調査中ですが、スマホを使い慣れているお客様を中心に、一定数の効果があると考えています。
――その他に工夫された点はありますか?

藤田さん
リッチメニューのデザインは、お客様が最初に目にするホテルの顔とも言える部分なので、特に力を入れました。
他社のホテルサイトを参考に、どのようなコンテンツがお客様に響くのかを徹底的に調査し、ホテルの景色や客室の魅力をより引き立てるようなデザインを追求しています。
――リッチメニューのデザインも、藤田さんのチームで担当されているのでしょうか?

藤田さん
制作は、協業しているデザイナーに依頼しています。
お客様にホテルの魅力を最大限に伝えるために、デザインやコンテンツを何度も見直し、改善を重ねました。
Lステップで実現する新たな顧客コミュニケーション
――構築の成果をお聞かせください。

藤田さん
電話での予約や問い合わせ対応の、自動化が進んでいます。
LINEでの詳細なアクセス案内と送迎予約を可能にしたことで、お客様の不安を解消できたと感じています。
また、従来はお電話のみだったお問い合わせ窓口をLINEでも開設し、お客様がより気軽に質問できる環境を作れました。
――構築にはどれくらいの時間を要しましたか?

藤田さん
2ヶ月ほど要しました。
――本アカウントは現在も運用支援に入られているのでしょうか。

藤田さん
運用は、ホテルのスタッフの方と協力業者の方が行っています。
私は、日々の運用からは離れていますが、アップデートや新しい機能の追加時に、ミーティングに参加し、技術的なサポートをさせていただいています。
――丸山様はLステップを導入して、どのように感じていらっしゃいますか?

丸山さん
Lステップの導入により、お客様とのコミュニケーションは新たなステージに入ったと感じています。
まだ発展途上ですが、その可能性は計り知れません。
館内サービスの予約やお土産販売の自動化、お客様一人ひとりに合わせた情報配信など、Lステップを通じて実現したいことは尽きないですね。
特に、OTAとの連携による予約情報の自動取り込みは、ぜひとも実現したい機能です。
これが可能になれば、お客様とのコミュニケーションが飛躍的に向上し、より深い関係性を築けると考えています。
――藤田さんは、今後Lステップでどのようなことを実現したいとお考えですか?

藤田さん
Lステップの機能をさらに拡充し、お客様に新しい体験を提供したいと考えています。
具体的には、LINE上で商品の購入やルームサービスの予約、決済までを完結できるような仕組みを構築したいです。
LステップPlus+(Lステッププラス)(※)の、新しい機能である「L-ma(エルマ)」(※)にも注目しています。
(※)LステップPlus+は、Lステップを機能拡張するシステムやオプションの総称。
(※)L-ma(エルマ)は、LINE上にD2C向け通販システムを構築できるオプション機能です。
特に、在庫管理や決済機能がホテル運営にどう役立つのか、検討していきたいです。
Lステップには、ホテル運営を大きく変える可能性があると感じています。
これからも積極的に新しい機能に挑戦し、お客様に喜んでいただけるサービスを提供していきたいです。
エンジニアからLINE事業で独立
――ここからは藤田さんの経歴や、Lステップ構築を始めた経緯についてお伺いできればと思います。まずはプロフィールをご紹介いただけますか。

藤田さん
現在のLINE事業で独立する前は、業務用空調機の開発・製造をしている会社に勤めており、エンジニアとして製品開発に携わっておりました。
――Lステップの構築を始めたきっかけは何でしたか?

藤田さん
もともと起業したい思いはあって、オンラインサロンに入っていろいろ勉強していました。その中で「今はLINEビジネスがいい」という話があり、Lステップの存在を知ったのが最初です。
その後、認定コンサルタントの安井さんが開催している講座に参加して、Lステップについて学び、正規代理店の募集を見かけたので申し込みをしました。
前職ではVBAを使った社内の業務効率化も行っていて、プログラミングが得意だったんですよね。プログラミングのスキルが活かせそうな領域で起業したいと思っていたので、よさそうだなと思って始めました。
――オンラインサロンがきっかけだったんですね。いつ頃独立されたのでしょうか?

藤田さん
3年前くらいです。
――LINEの事業で独立しようと思われた決め手は何でしたか?

藤田さん
正規代理店になる少し前に、よく通っていたラーメン店に「LINEを導入しませんか?」と提案したところ、受注につながったことですね。
これはいけるかもと淡い期待を抱いて始めました。
――なるほど、正規代理店になる前から活動されていたんですね。対応エリアは全国ですか?

藤田さん
はい。全国対応可能です。
――得意とする業種・業態はありますか?

藤田さん
主に多店舗展開されている飲食店やサロンです。
カレンダー予約や会員登録、流入経路や条件分岐の多い事業者の構築も得意としています。
――これまでの構築件数はどれくらいでしょうか?

藤田さん
40〜50件だと思います。
――御社の対応範囲をお聞かせください。

藤田さん
構築代行、運用代行、集客支援、業務効率化、デザインをメインに、HPやLP制作、動画制作、Web広告運用など幅広く対応可能です。
――最後にご自身の強みや、クライアントワークをする上で大切にしていることをお聞かせください。

藤田さん
ヒアリングをかなり大事にしていて、何に困っているのか、どうしたいのかをしっかりと聞くよう心がけています。
先方に運用のリソースがないとか、集客の導線がまったくないような状況でLINEを導入しても、構築しただけで終わりになってしまう場合もありますので。
すぐに提案するのではなく、まずは導入すべきかどうかの見極めが重要で、実際に導入しても今はプラスにならないと判断した場合は、契約をしないようにしています。
あとはエンジニアの経験を活かして、いろんな場合を想定して対策を検討し、システムに落とし込めるところが私の強みです。
まとめ
今回は、下田ビューホテルの丸山様と、Lステップの導入・構築を担当されたF&A project代表の藤田さんに、導入の背景や効果について詳しくお話を伺いました。
藤田さんはエンジニアとしての豊富な経験を活かし、LINEを軸としたシステム構築を専門とされています。
ご相談を希望される方はぜひ、以下のHPからご連絡してみてください。