今回は、株式会社ジャパンパシフィックマネージメント代表の冨田さんに、仕組み化で販路拡大に成功した「輸入洋酒販売会社のLステップ導入事例」をご紹介いただきました。ぜひ参考にしてみてください。
株式会社ジャパンパシフィックマネージメント代表取締役。Lステップ認定コンサルタント。ハウスメーカーや医療サービスなど専門性の高いサービスを販売している企業のLINE公式アカウント/Lステップ構築・運用支援が得意。「クライアントと一生のパートナーになる」をモットーに、働く方々の想いや歴史的背景を何よりも大切にしたコンサルティングを行っている。
目次
LINE公式アカウントは導入していたが、全然活用できていなかった
――さっそくですが、今回ご紹介いただく事例アカウントについて教えていただけますか。
――初期構築をされたのはいつ頃でしょうか?
冨田さん
2021年12月頃なので、2年ほど前です。
――現在まで運用支援もされていますか?
冨田さん
はい、させていただいています。
――冨田さんが構築に携わる前から、コートーコーポレーション様ではLINE公式アカウントやLステップの導入・運用はされていましたか?
冨田さん
LINE公式アカウントは開設していましたが、ホームページに友だち追加のリンクが貼ってあるだけで、運用は全くしていませんでした。
――コートーコーポレーション様がLステップを導入するきっかけや、冨田さんが構築に携わることになった経緯をお聞かせいただけますか。
冨田さん
コートーコーポレーションの大槻社長と知り合ったのは2016年頃で、その時はLINEとは別の分野でお手伝いさせていただいてました。
その後、感染症流行の影響で売上が減少しているのではと考え、大槻社長にLINE公式アカウント・Lステップを活用しましょうとご提案し、導入に至りました。
主な課題は「営業のリソース不足」と「既存顧客へのアプローチの弱さ」
――当時コートーコーポレーション様が抱えていた課題は何でしたか?
冨田さん
課題は大きく分けて2つありました。
- 新規顧客への営業リソース不足
- 既存顧客へのアプローチの反応率の低さ
当時は営業スタッフ6人で全国をカバーしていたため、新規顧客獲得に向けた営業にかけるリソースが不足していました。
リソース不足を解消するために採用活動をするも、ある程度お酒の知識や業界での経験があり、かつ営業能力を有する人材の採用が必要なこともあり、かなり苦戦をされていました。
また、既存の取引先に対する新商品などをお知らせするアプローチの反応も年々落ちてきていて、効率を上げつつも反応率も高めたいという課題も抱えていました。
主に飛び込み訪問とFAXが中心でしたが、このアナログな営業手法に限界を感じていたように思います。
――LINE公式アカウントは手付かずの状態だったとのことですが、その他のSNSは活用されていましたか?
冨田さん
全く活用していませんでした。
――課題に対する冨田さんのご提案をお聞かせいただけますか。
冨田さん
当初相談いただいた内容は「人手が足りないから採用を強化したい」でしたが、詳しくヒアリングをしていくと、一番の課題は人手が足りないことではなく、アナログな営業手法にリソースが取られていて、売上や新規顧客獲得に直結する施策にリソースを当てられていことでした。
なので、まずは採用や教育にかかるコストを、売上や新規顧客獲得に直結するような効率的な仕組みづくりに投資してはいかがでしょうか?と提案をしました。
人にしかできない部分とLINEに置き換えられる部分を明確にして、デジタルとアナログのハイブリットで営業をしていくイメージです。
これには大槻社長もかなり評価をしてくださり、
- 反応が薄いFAXによる情報発信から、開封率が高く反応が計測できるLINEによる情報発信への移行
- 消費者や飲食店の方々と直接コミュニケーションが取れる環境づくり
- カタログや営業資料代わりにLINEを活用し、見込み客を友だちに追加していく営業手法
を提案し、大槻社長や現場スタッフの方々と二人三脚でアカウントの構築と営業手法の改革を行いました。
――根本からの見直しですね。構築に際して工夫されたことはありますか?
冨田さん
はい、このビジネスにおいて1番難しいのは、「最終的な消費者」と「コートーコーポレーションに注文してくれる顧客」が別なことですので、どうやったら消費を増やしつつ売上に直結をさせるか?ということを工夫しました。
ビジネスの流れは、
- コートーコーポレーションが酒屋さんにお酒を卸す
- 酒屋さんから飲食店の方々がお酒を買う
- 飲食店の方々がお客様にお酒を提供する
という流れです。
基本的に
- 飲食店は、お客様に売れるお酒を売りたい
- 酒屋さんは、飲食店に売れるお酒を売りたい
と考えているので、どうしても大手メーカーの定番人気の商品が売れやすく、コートーコーポレーションで取り扱っているような少し値が張る個性的なお酒は、扱ってもらいづらいのが現状です。
ではどうすれば、コートーコーポレーションにもっと注文が入るかというと、
- 飲食店の方が売りやすい理由を作ってあげて、酒屋さんに注文が入るようにする
- エンドユーザーへの認知を高め、エンドユーザーから飲食店に注文が入るようにする
のどちらかです。
そこでSNSやLINEでの発信を通じて、エンドユーザーともコミュニケーションが取れるよう設計しました。
――LINE公式アカウントへの友だち集めはどのようにされていますか?
冨田さん
試飲会など日常的に出展している催事等での営業活動時に、LINE公式アカウントのQRコードを持参の上、LINE内に構築したAIバーテンダーをフックに声がけをしてもらい、LINE公式アカウントに誘導するように導線を整えました。
また、カタログなども全てリッチメニューに組み込み、新規営業の際には必ず友だち追加をしていただくことで効率的に友だちを集めました。
特に催事等では、会場や日付ごとに流入経路を発行し、あいさつメッセージに当日の資料、翌日にはサンキューメッセージや特別なオファーをお送りすることで営業を効率化でき、注文にも繋がりました。
催事案内なども、初回の流入経路によって見込みがありそうな方に優先的に送られるよう工夫をしています。
「配信1通」で100万円を超える売上
――Lステップ導入後の成果をお聞かせいただけますか。
冨田さん
Lステップを導入して2年程度ですが、4,100名を超える友だちを獲得できています。※2023年12月
現在 売上としては、1配信で100万円近い売上をあげることができました。
導入した当時はコロナ禍で飲食店にお客様が来れない状況だったので、飲食店にはなかなか売れませんでした。その影響で酒屋さんへの売上は前年比約90%減になっていて、エンドユーザーに直接売る必要がありました。
数年前に補助金を活用して構築したECサイトは、商品情報が登録されたまま放置されていたので、主力商品の魅力を訴求する配信を行った結果、配信後注文が殺到し、わずか数日で100万円近い売上になりました。
Lステップ導入以前は酒屋さんや飲食店など(BtoB)のみで事業を行っていましたが、導入してからはエンドユーザー(BtoC)への販売も売上の柱になっています。
――現在はLINE以外のSNS運用もされていますか?
冨田さん
XとInstagramを運用しています。
SNSへの投稿キャンペーンを行ったり、インフルエンサーとのコラボ企画を行ったりして戦略的にバズを起こした結果、注文が殺到し、一時期在庫がなくなるほどの反響が取れたこともあります。
インフルエンサーとのコラボ企画
Xでは営業担当の方に、コートーコーポレーションで取り扱っている商品に関するすべての投稿を引用リポストしてもらっています。
引用リポスト
――クライアント自身の頑張りも効果が出ていますね。
冨田さん
やっぱりLINEを運用していくにあたっては、クライアント自身に成功体験をしていただくことが大事だと考えています。
現場に熱が入らないと、どれだけ優れた施策も絵に書いたモチになってしまうので、LINE運用に本腰を入れていただくために、クライアントと一緒に目標を設定し、挑戦し、上手くいった成功体験や喜びを分かち合うことを大切にしています。
100万円売り上げた時の配信内容も本当にシンプルなものでしたが、1本8,000円くらいの商品が飛ぶように売れて、大槻社長や現場の方々もすごく喜んでくれました。
そういった成功体験を積み重ねることで、一つ一つの提案に真摯に向きあっていただけるようになったと思います。
――コートーコーポレーション様はLステップを導入して、どのように感じていらっしゃいますか?
冨田さん
大槻社長は、今まで接点がなかった見込み客との接点もできたと喜んでくださいました。飲料関係者からも評判で、挑戦して本当に良かったと言ってくださっています。
一番反応が良かった「AIバーテンダー」
――本事例の構築にはどれくらいの時間がかかりましたか?
冨田さん
少なくみても150〜160時間くらいはかかったと思います。
特にAIバーテンダーというコンテンツでは、全体像のマップ作り、クリエイティブ写真の手配、デザインや構築、テストなどかなり重たい作業でした。
AIバーテンダー
日数ベースだと、2ヶ月程度かかったと思います。
――いろいろなカクテルが出てきて楽しいですね。何種類くらいのカクテルが設定されているのでしょうか?
冨田さん
約20種類です。どんな質問をした結果、最終的にどんなカクテルを出すかを考えるのが大変でした。
コートーコーポレーションと取り引きのあるバーテンダーの方々と、カクテルの案を出しました。近年ノンアルコール飲料の需要も増えているので、お酒が飲めない方向けにノンアルコールカクテルも充実させました。
――ノンアルコールまで考えてくれるのは素晴らしいですね。
冨田さん
はい、こういった気配りも飲料関係者の方々から評価をいただいています。
ただお酒を勧めるだけではなく、お酒が苦手な方やバーに行ったことがない方でも、バーに行ってみたくなるような世界観を伝える工夫をしました。
――AIバーテンダーを作ろうと思ったきっかけをお聞かせいただけますか?
冨田さん
僕自身、昔バーテンダーをやっていた経験があります。
よくバーに初めてきたお客様が「マティーニ」や「コスモポリタン」というカクテルを注文します。
カクテルとしては有名ですが、中に何が入ってるか、どんな味がするかなど、バーに来たことがない方が知ってるわけもないので、どうしてそのカクテルを頼まれる聞くと、映画「007」や「セックス・アンド・ザ・シティ」で主人公がカクテルを飲んでる姿を見て、自分も飲んでみたくなったと言われてました。
そういった経験から、その商品の美味しさや価値みたいなものも大切ですが、
飲んでみたいと思うきっかけを作ることが出来れば消費に繋がるのでは?と仮定をしました。
AIバーテンダーを通じて「このカクテルを飲んでみたい」と感じて、近所のバーや酒屋さんに行く方々が一定数いれば、コートーコーポレーションへの注文に繋がるかと考えました。
もちろん、AIバーテンダーで出てくるカクテルを作るために必要なスピリッツやリキュールは、すべてコートーコーポレーションで取り扱っているお酒です。
レシピと違うお酒を使っても似たようなものは作れますが、結果としてはレシピ通り作りたいというニーズもあり、飲食店や酒屋さんからの注文増に繋がりました。
――すごく良いものができあがりましたね。AIバーテンダーのコンテンツを作るうえで、一番大変だったことは何でしたか?
冨田さん
AIバーテンダーの提案に対して、納得していただくのが一番大変でした。
提案当初の大槻社長の反応は「プロのバーテンダーがみたら、しょうもないコンテンツだと思われてしまうのではないか」といったもので、終始半信半疑でした。
ところがいざ運用を開始してみると、タップ率も高く、エンドユーザーはもちろん、多くのバーテンダーの方々からも好評で、InstagramやXなどのSNSにもどんどん拡散され、最終的には非常に喜んでいただけました。
――リッチメニューには何かこだわりはありますか?
冨田さん
リッチメニューを作るにあたっては、デザインは極力シンプルに、掲載する情報を絞ってあれもこれも情報が渋滞しないように気を付けました。
酒屋さんや飲食店はもちろん、世界中のメーカー関係者の目に付いた時に、パッと見た第一印象で安心に繋がるようなデザインを心がけました。
――情報取得のためのアンケートは実施してますか?
冨田さん
コートーコーポレーションの場合、注文をいただくタイミングでの情報取得はしていますが、よくある友だち追加時のアンケートは実施していません。
――セグメント配信はされていますか?
冨田さん
コートーコーポレーションでは、酒屋さん・バーテンダーなどのプロとエンドユーザーの一般を分けて配信を行っています。
その他には、各地で行われるイベント等から流入した際のタグでセグメント分けを行って、近隣でイベント開催される際の案内などを送るなどもしています。
絵に描いた餅で終わらせない「実行力」
――冨田さんの拠点はどちらですか?
冨田さん
会社は大阪府です。
――対応エリアは全国ですか?
冨田さん
はい、全国対応しています。
――得意とする業種・業態はありますか?
冨田さん
ハウスメーカーや不動産、整形外科や美容外科など自費診療の医療サービスなど、単価の高い商品を取り扱う企業や、会計士・税理士のように契約期間が長い商品を扱っている企業の支援が得意です。
その他、リスティング広告からメルマガ誘導、資料請求、見積もり、相談、問い合わせなどをゴールとして運用しているような企業も得意ですね。
――構築後、運用まで担当するケースが多いですか?
冨田さん
基本的に構築単発の依頼は受けていなくて、コンサルティング契約とセットで受けています。
Lステップ構築はスタートでしかないので、納品後提案した通りに運用できるようサポートしたり、事前の想定と違った結果が出た場合に即座に修正したりしながら、精度を高めていくような支援をしています。
――どういう経緯でご依頼がくるケースが多いですか?
冨田さん
既存クライアントからの紹介が一番多いです。その他、協業先からの紹介やSNS経由も多いですね。
――冨田さんのYouTubeチャンネルも好評ですよね。
冨田さん
サポートさせていただいているクライアントとの対談動画では、良いことも悪いことも赤裸々に公開しているので、さまざまな方面から面白いと評価をいただいています。
――冨田さんの強みや、クライアントワークをする上で大切にしていることをお聞かせいただけますか。
冨田さん
強みは、絵に描いた餅で終わらせない実行力です。とにかく現場主義で、理想論者にならないように常に気を付けています。
クライアントワークでは目先の利益に囚われず、クライアントと二人三脚でお客様や関係各所から信頼を得られるような、マーケティング施策を提案することを心がけています。
つい、目先の利益に走りがちですが、長期的に見た場合どうなのか?信頼を目減りさせるような施策になっていないか、常に自問自答をしています。
真剣に取り組んでいる分、時にはクライアントとぶつかることもありますが、苦楽を共にしながらも結果として成果をあげることで、共に成長の喜びを分かち合える関係づくりを大切にしています。
まとめ
今回は株式会社ジャパンパシフィックマネージメント代表の冨田さんに、輸入洋酒会社のLステップ導入事例をご紹介いただきました。
Lステップの構築だけでなく運用込みでご依頼したい方、二人三脚でしっかりと寄り添ってもらいたい方に、冨田さんはぴったりです。ご相談を希望される方は、以下のHPからご連絡してみてください。
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