鮮魚店などの水産卸業は、FAXやチラシなどのアナログな情報発信、日々の電話対応に追われるなど顧客とのコミュニケーションに時間が取られ、利益率の改善や業務効率化に悩みを抱える事業者も少なくありません。
昨今はこのような課題を、LINE公式アカウントやLステップを活用することで解消できる事例が増えているのをご存知でしょうか。
今回は、株式会社ジャパンパシフィックマネージメント代表の冨田さんに、LINE公式アカウントとLステップを活用して売上アップ・人的コスト削減に成功した「鮮魚店のLステップ導入事例」をご紹介いただきました。ぜひ参考にしてみてください。
株式会社ジャパンパシフィックマネージメント代表取締役。
Lステップ認定コンサルタント。ハウスメーカーや医療サービス、税理士や専門性の高いサービスを販売している企業のLINE構築・運用支援が得意。「クライアントと一生のパートナーになる」をモットーに、働く皆様の想いや歴史的背景を何よりも大切にしたコンサルティングを行っている。
目次
LINE公式アカウントは運用していたが課題が山積みだった
――さっそくですが、今回ご紹介いただく事例アカウントについて教えていただけますか。
――構築をされたのはいつ頃でしょうか?
冨田さん
2023年3月です。
――現在まで運用支援もされていますか?
冨田さん
はい、サポートさせていただいてます。
――冨田さんが構築に携わる前から、小西鮮魚店様ではLINE公式アカウントやLステップの導入・運用はされていましたか?
冨田さん
LINE公式アカウントのみ運用されていました。
――小西鮮魚店様がLステップを導入するきっかけや、冨田さんが構築に携わることになった経緯をお聞かせいただけますか。
冨田さん
元々はスタッフの方々が個人のLINEで注文を受けていましたが、常時100〜200件くらいの未読が溜まった状況になってしまい、LINE公式アカウントの活用を始めたそうです。
その後、弊社でLステップを導入されたクライアントと小西さんとの間に取引関係があり、弊社のサービスに興味を持っていただいたことをきっかけに、商談する機会をいただきました。
主な課題は「膨大な顧客とのコミュニケーション」
――当時、小西鮮魚店様が抱えていた課題や要望は何でしたか?
冨田さん
当初商談をさせていただく以前から、かなりLINE公式アカウントを運用されていて、日々膨大な注文を受けていました。
ただ、注文方法などが確立できていなかったので、一斉配信のたびに店舗名を確認したり、送料や取引条件を確認するなどのコミュニケーションを行っていて、担当者がずっとスマートフォンを触っている必要があるといった課題がありました。
LINE公式アカウントと店舗情報の紐づけなども十分に出来ていなかったので、突然注文内容だけ送られてきた時の送り先など細かな確認作業を少しでも改善したい。もっと生産性の高い時間にスタッフの方々のリソースをあてたいなど、主に業務効率化の部分で要望をいただきました。
――LINE公式アカウント以外のSNSは何を活用されていましたか?
冨田さん
FacebookとInstagramを活用されていました。
――課題に対する冨田さんのご提案をお聞かせいただけますか。
冨田さん
まずは顧客から求められる情報を網羅したリッチメニューを作成することで、取引に関わるコミュニケーションの削減を提案しました。
鮮魚店は季節によってオススメしたい商品が変わるので、月ごとに自動で切り替わるリッチメニューを作成することで、いちいちその時々の旬やオススメを問い合わせをしなくてもリッチメニューをタップするだけで一目瞭然な状態を目指しました。
その他、取引先から頻繁に聞かせていた注文方法や送料などもリッチメニューにまとめることでかなりのコミュニケーションの削減ができたと伺っています。
また、競合他社と比べた強みやこだわり、小西鮮魚店としての想いなど、差別化に繋がる情報をシナリオ配信で訴求することを提案しました。
こういった考え方は、業種業態問わずに共通しますが、代表者や担当者の方に「強みやこだわりはありますか?」と伺うと山のように出てくるのに、それが見込み客や顧客に正しく伝わっていないことがよくあります。
なので、自分たちの強みを棚卸しして、LINE公式アカウントに友だち追加さえしていただければ一定の時間をかけて自動で訴求を行い、そのうちの一定数の方々が配信を見て、価値を感じてくださったり、最終的な成果に繋げる仕組みづくりが大切だと考えています。
小西鮮魚店は、テレビや新聞から取材を受ける機会も多く、業界関係者からも一目置かれる業界の先駆者的なポジションですので、そういったメディア掲載歴や取引先からの口コミを紹介するような配信もシナリオ配信に組み込んでいます。
――LINE公式アカウントへの友だち集めはどのようにされていますか?
冨田さん
LINE友だち追加広告やInstagramからの流入が多いですね。
アカウント公開後3ヶ月で月商平均約200万円増加
――Lステップ導入後の成果をお聞かせいただけますか。
冨田さん
アカウント公開から3ヶ月で、月商の平均が約200万円増加しました。
Lステップを導入したことで既存顧客からの反応も上がりましたし、シナリオ配信を通じて休眠客からの問い合わせにも繋がりました。
また、友だち追加をしただけで取引に至ってなかった見込み客からの注文も増加しました。
要因としては、あくまで想像ですが、Lステップ導入前はLINEに友だち追加をしたものの直接取引がなくても問い合わせを受けてもらえるのか、注文して良いのかと躊躇してしまう様子が感じられていたように思いましたが、注文や問い合わせの導線をわかりやすくしたことで、新規の注文に繋がったと感じています。
――月商平均が200万円増加するのはかなり大きいですね。配信内容も何か工夫はされているのでしょうか?
冨田さん
配信内容としては、商品の良さを伝えるためのライティングや写真にはかなりこだわっています。
ただ「オススメです!」というのではなく、なぜオススメなのか?「美味しいです!」ではなく、どう美味しいのか?
そういった、見た人の想像を掻き立てるような訴求を心がけています。
小西鮮魚店2代目社長の小西さんはもともとプロダクトデザイナーだったこともあり、商品の魅せ方をすごく大切にされている方でした。
魚の写真1つとっても価値を伝えるためのこだわりがあり、Lステップ内で使われてる写真もほとんど小西さんが撮影してくれたものです。
LINEに限らずすべてのSNSで「魚一匹の価値を高める情報発信」を大切にしています。
例えば、大きさを伝えるために魚を手に持ったり、魚の色味が分かるような工夫をしたり、1つの魚でも複数の角度から写真を撮ったり、とにかく情報発信が丁寧です。
商品やサービスを販売するうえで、価値をわかりやすく伝えるって当たり前のことですが、それを実践するのはなかなか大変です。
そういった部分に注力してくださっているのも、成果につながった要因だと思います。
――しっかりと視覚的に訴求することで注文につながっているんですね。
冨田さん
そうですね。
友だち追加後のシナリオ配信で顧客との信頼関係を構築して、一斉配信で注文に繋げる良い流れができたと感じています。
シナリオ配信の一例として、小西鮮魚店がこだわっている神経締めをしている動画を送っています。
ただ活きの良さや新鮮さを訴求するよりも、実際の下処理をしている動画をお送りする方が、圧倒的に説得力があるのでシナリオ配信に組みましたが、反響もたくさんありました。
――こだわりがあるからこそ、良い情報発信ができるんですね。
冨田さん
はい、特に魚のような毎日仕入れの状況が変わるような商材の場合、それをどれだけタイムリーに分かりやすく訴求できるかで成果は大きく変わってくると思います。
今日はこれが獲れましたよとか、今日の目玉はこれですよっていうのは、 InstagramやFacebookなどのプル型の情報発信だと発信してから見込み客に届くまでどうしてもタイムロスがありますが、LINEを活用して情報発信をすることで自分たちの商品に関心を持ってくれている方々に対してプッシュ型でタイムリーな情報を届けることができます。
一方で情報発信が増えると注文はもちろんですが、それに伴う質問が増えます。
例えば「送料はいくらですか」とか「どれぐらいから送ってもらえますか」など、複数の見込み客から似たような質問が届くので、1件1件対応していたらあっという間に時間が経ってしまいます。
なので、注文数が増えてもスタッフの対応工数は極力増やさない仕組みづくりを意識しました。
――お客様の層の変化はありましたか?
冨田さん
客層の変化というよりは、以前からLINE公式アカウントを追加はしてくれていたものの新規注文に至らなかったお客様から、どんどん注文をいただけるようになったと伺っています。
これも注文方法や商品発送の流れなどをキレイにまとめたからだと思います。
――スタッフからの評判はいかがですか?
冨田さん
もともと使っていたLINE公式アカウントとLステップでは操作性が違うところがあるので、最初は使いこなすのに大変だったそうですが、今ではうまく活用してくれてます。
今回、小西さんから一緒に働くスタッフの方々も会社の顔として全面に押し出していきたいという要望をいただいていたので、スタッフごとにアイコンや名前を変えてメッセージを送れる設定をしたり、リッチメニューにも月替りでスタッフの方々の顔と名前を載せています。
こういった施策はすごく細かい部分ですがスタッフの方々からも好評だったと伺っています。
――現場の業務はどのように改善されましたか?
冨田さん
まず、LINE公式アカウントに友だち追加してくださった方向けにプロの方か一般の方かを聞くためのアンケートを行って、プロと回答してくださった方には店舗情報を記入していただくための店舗登録フォームに誘導する導線を作りました。
結果として、店舗の住所や電話番号、定休日や責任者の名前など注文に必要な細々とした情報を見込み客側から記入してくれるようになったので、大幅にコミュニケーションの削減に繋がりました。
ここはかなり業務の削減に貢献できたと思います。
アカウントの評価はお客様から89.7点を獲得
――配信頻度はどれくらいですか?
冨田さん
週平均4〜5回の配信を行っています。
――ブロック率はどれくらいでしょうか?
冨田さん
ブロック率は11%台に抑えられています。(2023年6月現在)
――「プロの方向け」か「一般の方向け」で配信内容は変わりますか?
冨田さん
タグ付けをして、プロの方しか買わないような商品は「プロの方向け」に配信しています。
例えば、1つ5万円位するようなウニの折やマグロの柵など、店舗でした取り扱いが難しい商品や高額商品の案内をする時にセグメント配信をしています。
――他に回答フォームを活用しているものはありますか?
冨田さん
シナリオ配信の中で、アカウントの見やすさや使いやすさに関するアンケートを実施しています。
このアンケートでは、100点満点中89.7点を獲得しました。
ここでいただいたお客様の声をもとに、アカウントや配信内容のブラッシュアップも行っています。
求人にもLINE公式アカウントを活用
――求人の応募もできるようですが反応はありますか?
冨田さん
そんなに多くはないですが、反応はありますね。
――採用までサポートできてるのは素晴らしいですね。鮮魚店って聞くと大変そうなイメージがありますが、そのあたりはいかがですか?
冨田さん
確かにこの業界は朝も早く、体力仕事なので簡単な仕事ではありません。
ただ、その中でも小西鮮魚店では業界でも率先的に働き方改革に取り組んでいます。
給料や福利厚生が充実しているのはもちろんですが、有給や取得しやすかったり、業界では珍しく残業手当や早出手当もしっかり出していたり、採用の際に経営理念をきちんと伝えたうえで共感をしてくれた方のみ採用するなど、働いてみたくなるような組織づくりを徹底されています。
その他、テレビや新聞など様々なマスメディアで優れた会社として紹介されていることも採用力の強化に繋がっていると思います。
――結局は会社や社長の魅力が大切ってことですね。
冨田さん
はい、いくら見せかけだけの魅力を訴求してもいつか必ずバレます。
これはお客様に商品やサービス、採用を訴求する時でも同じです。
日々ビジネスモデルや商品・サービス、社内環境などの改善に努力をされているからこそ、情報発信に重みが出るし、きちんと伝わるんだと思います。
僕たちはそういった情報発信のお手伝いをさせていただくに過ぎませんが、少しでもクライアントの課題解決のお役に立てればと思って日々業務にあたっています。
絵に描いた餅で終わらせない「実行力」
――冨田さんの拠点はどちらですか?
冨田さん
会社は大阪府です。
――対応エリアは全国ですか?
冨田さん
はい、全国対応しています。
――得意とする業種・業態はありますか?
冨田さん
ハウスメーカーや不動産など単価の高い商品を取り扱う企業や、整形外科や美容外科などの自費診療の医療サービス、その他リスティング広告やMeta広告などWeb広告を活用している企業を得意としています。
あとは、会計士や税理士のような契約期間が長い商品を扱っている事業者や、講師・著者など専門性の高い業種も得意です。
――構築後、運用まで担当するケースが多いですか?
冨田さん
基本的に構築単発の依頼は受けていなくて、コンサルティング契約とセットで受けています。
Lステップを構築するだけではなく、構築後施策を検証して改善を繰り返しながら精度を高めていくようなサポートを目指しているので、構築後も継続的にお付き合いさせていただくクライアントが大半です。
――どういう経緯でご依頼がくるケースが多いですか?
冨田さん
既存クライアントのつながりで連絡いただくことが多いです。
LINE公式アカウントの運用を行っていない広告代理店やコンサルティング業の方から紹介をいただくこともありますし、セミナーの講師として講演させていただいた場で問い合わせをいただくこともあります。
その他、YouTubeチャンネルもやっているので、YouTubeなどのSNS経由もあります。
――冨田さんのYouTubeチャンネルも好評ですよね。
冨田さん
ありがとうございます。
やっぱり、クライアントからの生の声はとてもリアリティがあるので見込み客やクライアントからはもちろん、同業者の方々からも評価をいただいています。
――冨田さんの強みや、クライアントワークをする上で大切にしていることをお聞かせいただけますか。
冨田さん
まとめ
今回は株式会社ジャパンパシフィックマネージメント代表の冨田さんに、鮮魚店のLステップ導入事例をご紹介いただきました。
Lステップの構築だけでなく運用込みでご依頼したい方、二人三脚でしっかりと寄り添ってもらいたい方に、冨田さんはぴったりです。ご相談を希望される方は、以下のHPからご連絡してみてください。