経営において、リピーター獲得への意識は非常に重要です。
しかし本当に目指すべきは、リピーターではなく、ロイヤルカスタマーを増やすことです。
本記事では、ロイヤルカスタマーとは何か?意味や定義、創出するメリット、育成方法などをまとめて解説します。
目次
ロイヤルカスタマーとは?意味や定義を解説
ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)とは、一言で言うと自社のファンです。
Loyalには、忠実な、忠誠心ある、義理堅い、といった意味があり、ロイヤルカスタマーと定義される顧客には以下のような特徴があります。
- 自社の商品やサービスに愛着を持ち、繰り返し購入してくれる
- 他社の商品やサービスには見向きもしない
- 自発的に第三者におすすめしてくれる
自社の商品やサービスを2回以上利用してくれている顧客(リピーター)の上位互換と言える存在です。
人口減少に伴う消費者減は、日本国内に必ず訪れる未来です。
より競争が激化していく中で生き残るには、ロイヤルカスタマーの存在が欠かせません。
ロイヤルカスタマーと優良顧客の違い
購入頻度が高く、利用金額が多い売上上位顧客を、優良顧客と呼びます。
売上に大きく貢献してくれる顧客ですから、ロイヤルカスタマーの1人と考えるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
なぜなら
といった理由で、購入を継続する顧客もいるからです。
つまり、購入頻度が高い=自社に愛着がある、とは言い切れないわけです。
もっと安くてお得な商品を提供する他社が現れたら、簡単に乗り換えてしまう可能性もあります。
ロイヤルカスタマーを創出する3つのメリット
ロイヤルカスタマーを創出するメリットを紹介します。
新規顧客が増える
私たちが新たな商品を購入する時やお店選びをする時、決定に大きな影響を与えるのが、信頼している人からの推薦です。
例えば、自分をよく知る家族や友人、恋人から
と言われたら、高確率で行きますよね。
ロイヤルカスタマーは自発的に第三者におすすめしてくれるので、新規顧客の増加に大きく貢献します。
また、SNSに魅力を投稿してくれて、そこから新規につながるパターンもあるでしょう。
ロイヤルカスタマーが新規顧客を呼び、その新規顧客もロイヤルカスタマーにできれば、顧客が顧客を呼ぶ状態にできるわけです。
売上が伸びる・安定する
ロイヤルカスタマーは購入頻度が高いだけでなく、高単価商品の購入やまとめ買いもしてくれるので、客単価も高い傾向があります。
LTV(顧客生涯価値)が高いため、売上の底上げや安定に欠かせない存在です。
また、ブランドに特別な愛着を抱く人、例えばAppleのファンは、いくら価格が高騰しようともApple製品を使い続けるように、価格で選びません。ですので価格競争になりづらいのも魅力と言えます。
良質なフィードバックが得られる
ロイヤルカスタマーの中には、自社の良さを訴求してくれるだけでなく、至らない点があれば時に厳しくフィードバックをしてくれる人もいます。
企業からは見えていなかった課題の早期発見や、改善のアイデアが得られるなど、多くのメリットがあります。
顧客の大半は不満や気付きを積極的に伝えない、いわゆるサイレントマジョリティなので、建設的な意見を積極的にくれる存在は非常に貴重です。
ロイヤルカスタマーの判断指標
ロイヤルカスタマーなのか優良顧客なのかを判断するには、NPS「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」と呼ばれる、顧客推奨度調査を行うのがひとつの手です。
「自社の商品やサービスを、家族や友人などの第三者に勧めたいと思うか?」という問いに対し、0〜10点で回答してもらう非常にシンプルな方法です。
- 0〜6点は「批判者」
- 7〜8点は「中立者」
- 9〜10点は「推奨者」
と分類します。
上記の結果とLTVを掛け合わせると、以下のように顧客を分類できます。
ロイヤルカスタマーが誰かわかるだけでなく、属する場所に応じたコミュニケーション施策の検討や、アプローチの優先順位決めに役立ちます。
ロイヤルカスタマーを創出・育成する方法
ロイヤルカスタマーを創出・育成する方法を解説します。
自社のロイヤルカスタマーを定義する
自社のロイヤルカスタマーを定義するところから始めましょう。
- どんな人が自社のロイヤルカスタマーなのか?
- ロイヤルカスタマーにはどんな特徴があるのか?
- どういう人がロイヤルカスタマーになりやすいのか?
NPSを実施してLTVと掛け合わせて、ロイヤルカスタマーに分類された顧客を分析すると、いろいろヒントが掴めるはずです。
ナーチャリングの設計をする
ナーチャリングとは、顧客育成のことです。
顧客層ごとに育成方法、コミュニケーションの取り方を考えるイメージです。
例えば、ロイヤルカスタマーにロイヤルカスタマーであり続けてもらうためのアプローチと、離脱候補者層をロイヤルカスタマーに引き上げるためのアプローチでは、当然コミュニケーションの取り方は異なります。
ペルソナを設定し、カスタマージャーニーマップ※を作成すると、施策の設計がしやすくなるので、ぜひ試してみてください。
※顧客が商品やサービスを認知してから、購入に至るまでの行動や感情の変化などの動きを、時系列で可視化したもの。
顧客とのコミュニケーションを増やす
商品・サービスの使い方やお役立ち情報、関連する豆知識、困った時の対処法、サポートを受ける方法など、有益な情報を発信し、コミュニケーションの機会を増やしましょう。
きちんと商品やサービスの魅力を理解してもらえるよう努めれば、顧客離れの抑止につながり、その分ロイヤルカスタマーになる可能性がある人を増やせます。
情報発信の手段は、メールや各種SNSに加えて、LINEの活用がおすすめです。
LINE公式アカウント(ビジネス用のLINE)を開設し、顧客に友だち追加してもらえば、LINEで情報発信ができるようになります。
LINEはメルマガの6〜20倍も開封率が高いと言われており、情報の到達率を上げるために非常に有効なツールです。
分析と改善をする
どのような施策も、たった1度の検討で完璧なものにはなりません。
実践して数値を確認し、改善を繰り返すのが基本です。
少々脱線しますが、「1:5の法則」と「5:25の法則」をご存知でしょうか?
マーケティングの世界でよく語られる法則で、意味は以下の通りです。
「1:5の法則」
新規顧客に販売するコストは、既存顧客に販売するコストの5倍かかる。
「5:25の法則」
顧客離れを5%改善すると、利益が25%改善する。
既存顧客のケアより新規獲得に注力しがちですが、既存顧客を大事にした方が、少ない労力で大きなリターンが得られるということです。
ですので、目に見える成果が出るまでに時間がかかるかもしれませんが、粘り強く改善を繰り返しましょう。
ロイヤルカスタマーを創出・育成する方法
ロイヤルカスタマーの育成に有効なマーケティング手法を解説します。
One to Oneマーケティング
One to Oneマーケティングとは、顧客1人1人の属性や興味関心、行動履歴などに合わせてアプローチを行うマーケティング活動のことです。
おさらいですが、NPSとLTVを掛け合わせると、顧客は以下のように分類できます。
- ロイヤルカスタマー
- ロイヤルカスタマー候補者層
- 離脱候補者層
- 広報担当者層
- 無関心者層
- 非協力者層
顧客1人1人の属性(年齢や性別など)に加え、顧客層ごとに育成方法を変えるのも非常に有効です。
例えば「離脱候補者層」は、他人におすすめしないけど、自分はたくさん利用する人たちです。特に好きではないのに利用する理由には、通いやすい、価格がちょうど良い、などが考えられます。
一方「広報担当者層」は、他人におすすめしてくれるけど、自分はあまり利用しない人たちです。好きなのに利用しない理由には、気軽に通えない、高価でなかなか手が出せない、などが考えられます。
- 「離脱候補者層」には、愛着を抱いてもらえるような訴求をする
- 「広報担当者層」には、利用しやすくなるような施策を検討する
大まかに言うと、このようにアプローチを分けられます。
顧客のレベルに応じた育成をすることで、より多くのロイヤルカスタマーを創出できるでしょう。
アンバサダーマーケティング
アンバサダーは「大使」を意味する言葉です。
アンバサダーマーケティングとは、顧客(ロイヤルカスタマー)に商品やサービスの普及活動をお手伝いしてもらう手法です。
商品を無料で提供する代わりにSNSで使用感や魅力を発信してもらう、といったやり方がよく使われています。
アンバサダーマーケティングは、インフルエンサーマーケティングと混同されがちですが、両者には違いがあります。
アンバサダーマーケティングは主に、口コミの「質」を重視するもので、インフルエンサーマーケティングは主に、拡散「量」を重視しています。
つまりアンバサダーに選ばれる顧客は、インフルエンサー並みのフォロワーを抱えていなくてもいいわけです。
影響力がないのに企業から特別な存在として扱われたら、より愛着が深まることにもつながるので、ロイヤルカスタマーの維持施策にも有効です。
ロイヤルカスタマーの育成に役立つマーケティングツール
ロイヤルカスタマーの育成に役立つマーケティングツールを紹介します。
CRM
CRMとは「Customer Relationship Management」の略称で、顧客管理システムを意味します。
顧客の名前や住所、電話番号、性別、居住地、誕生日、商品の購入履歴、対応履歴、最終利用日など、あらゆる情報を一元管理できるツールです。
ロイヤルカスタマーを見分けたり特徴を掴んだりするためには、蓄積された顧客情報が必要不可欠です。
顧客管理ができていない場合は、ぜひ導入を検討してみてください。
MA
MAとは「Marketing Automation」の略称で、マーケティングを自動化するためのツールです。
MAを導入すると、メール配信やスコアリングの自動化ができます。
メールの自動化で言うと、自社商品を購入する際にメールアドレスを登録したら、当該メールアドレスに対して、自動でステップメール※が開始されるイメージです。
※あらかじめ用意した複数のメッセージを、ユーザーの登録日に合わせて、順に配信する仕組みのこと。
サンクスメール、商品の使い方、商品に関する豆知識、次回のお買い物で使えるクーポンなど、一定の間隔で自動配信ができます。
送り忘れがなくなり、コミュニケーション頻度にバラつきが出るのを防げます。
ロイヤルカスタマーの育成には「Lステップ」がおすすめ
LINEで顧客とコミュニケーションを取りたい方には、「Lステップ」の導入をおすすめします。
Lステップとは、CRMとMAの役割を併せ持つ、LINE公式アカウント専用のマーケティングツールです。
具体的には、以下のようなことがLINEでできるようになります。
- 顧客情報の収集と管理
- メール配信の自動化
- 顧客ごとのスコアリング
- 顧客の行動分析
アンケートの作成と配信ができるので、LINEでNPSの実施も可能です。
スコアが高い人にだけ特別オファーを送ったり、顧客の属性ごとにステップメールの配信内容を分けたり、One to Oneマーケティングに欠かせない機能が備わっています。
LINEを使ってロイヤルカスタマーの育成がしたい方は、ぜひLステップをチェックしてみてください。
まとめ
今回は、ロイヤルカスタマーとは何か?意味や定義、創出するメリット、育成方法などをまとめて解説しました。
ロイヤルカスタマーは売上の増加だけでなく、新規顧客の増加、そして商品やサービスの改善にも影響を及ぼす、非常に貴重な存在です。
ぜひ本記事を、自社のロイヤルカスタマーの創出と育成にお役立てください。