
実店舗やECサイトなど、BtoCビジネスでリピーターを増やすには「顧客のことをどれだけ理解できているか」が重要なカギになります。
たとえば、来店頻度や購入履歴、好きな商品、過去の問い合わせ内容などを記録しておけば、

- 次回はどんな商品をおすすめすべきか
- どのタイミングで再来店を促すべきか
といったアプローチがしやすくなります。
本記事では、顧客データとは何か、どんな情報を集めればいいのか、収集・管理の方法や便利なツールについて、BtoC視点でわかりやすく解説します。
美容室や飲食店、ECサイトなど、幅広い業種で活かせる内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
顧客データとは
顧客データとは、「お客様に関するあらゆる情報」のことです。
たとえば名前や性別以外にも、
- 美容室:年齢・来店日・施術内容
- カフェ:来店頻度・よく注文するメニュー
- ネットショップ:メールアドレス・購入履歴・お気に入り登録した商品
などが含まれます。
こうした情報を記録・活用することで、「この方には新メニューをおすすめしよう」「そろそろ再来店のタイミングかも」といった、より個人に寄り添った接客や販促ができるようになります。
その結果、リピーター増加や売上アップにもつながるでしょう。
最近では、LINE公式アカウントやメルマガ、Webフォームを活用し、こうした顧客データを自動で収集・管理できるツールも登場しています。
顧客データに含まれる主な情報
顧客データと一口にいっても、その中身はさまざまです。
単に名前や年齢といった基本情報だけでなく、購入や来店の履歴、どんな商品に興味を持っているか、これまでのやり取りの内容など、幅広い情報が含まれます。
ここでは、顧客データを大きく4つのカテゴリに分けて、それぞれの特徴と活用のヒントを紹介します。
属性データ(基本情報)
属性データとは、お客様の「基本的なプロフィール情報」のことです。
具体的には、
- 名前
- 年齢
- 性別
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
などが該当します。
これらは最初の会員登録や来店時のアンケートなどで得られることが多く、顧客管理のベースになる重要な情報です。
活用例として、年代や性別によっておすすめする商品を変えたり、住所に応じて店舗ごとの情報を出し分けたりと、マーケティングの第一歩として活用できます。
また、名前や誕生日を登録しておけば、バースデーメッセージや限定クーポンを送るなども可能です。
こうした基本情報の蓄積が、リピートやファン化につながるきっかけになります。
行動データ(動的情報)
行動データとは、お客様が「いつ・どこで・何をしたか」といった行動履歴を記録した情報です。
単なる基本情報とは異なり、実際の利用状況や関心を可視化できます。
たとえば、業種別に見ると以下のようなものが該当します。
- 美容室:来店頻度、毎回選ぶ施術メニュー
- カフェ:よく来る曜日、お気に入りのメニュー
- ネットショップ:購入履歴、閲覧した商品、カートに入れたままの商品
こうしたデータを分析すれば、

この人は1カ月ごとにカラーをしているから、次回予約を提案しよう

最近いつものドリンクを注文していないから、新作と一緒に紹介してみよう
といった、行動に基づいたきめ細やかなアプローチが可能になります。
感覚や勘に頼らず、実際の行動をもとにした提案は、お客様にとっても自然に受け入れやすく、再来店や購入の後押しにつながります。
心理データ(意識・価値観)
心理データとは、お客様の「考え方」「好み」「価値観」など、心の中にある情報を指します。
たとえば、以下のような情報が該当します。
- 商品選びの決め手(価格重視か品質重視か)
- 美容やファッションの志向(ナチュラル派かトレンド重視か)
- 購入の動機(自分へのご褒美、人に見られるため、実用性など)
こうした情報は、アンケートやヒアリング、カウンセリングなどを通じて得ることができます。
たとえば美容室でいつも「おまかせ」のお客様でも、実は「清潔感を大事にしている」「流行よりも自分に似合うことを重視している」といった心理的なニーズがあるかもしれません。
心理データを把握すれば、個人に寄り添った提案ができるようになります。表には見えにくいけれど、信頼関係を築くうえで欠かせない、深いレベルの顧客理解につながる情報です。
接触・対応履歴(コミュニケーションログ)
接触・対応履歴とは、お客様とのやり取りを記録した情報のことです。
電話やメール、対面での会話はもちろん、LINEやSNSなどチャットでの対応もすべて含まれます。
たとえば、美容室のLINEで「前回のカラーの色味が気になった」とメッセージが残っていれば、次回は色味を変える提案がしやすくなります。
こうした履歴を記録・活用すれば、お客様ごとに最適な対応ができます。
「覚えてくれている」「ちゃんと見てくれている」と感じてもらえる対応は、信頼感の構築やリピート率の向上に直結するはずです。
また、この履歴をスタッフ間で共有しておけば、担当者が変わってもスムーズな引き継ぎが可能となり、サービスの質が安定します。
なぜ顧客データが必要なのか?
顧客との関係づくりや売上アップを目指すうえで、なぜ顧客データが必要なのでしょうか?
ここでは、顧客データを活用する具体的なメリットについて、3つの視点から解説していきます。
チーム間で顧客情報を共有できる
顧客データを記録・共有しておくことで、チーム全体で一貫したサービスを提供できるようになります。
たとえば飲食店なら「常連Aさんは辛口が好み」、アパレルショップなら「〇〇さんは、以前、黒系のアイテムを探していた」といった情報を共有していれば、誰が対応しても自然な声かけや提案ができます。
こうした情報が引き継がれていると、担当者が変わっても「覚えてくれている」と感じてもらえ、信頼や満足度の向上につながります。
顧客情報の共有は、属人化を防ぎ、チーム全体で顧客を支えるための土台となるでしょう。
顧客に合わせた提案ができる(パーソナライズ)
顧客データを活用すれば、「この人にはこれが合いそう」と提案できます。
たとえば、前回オーダーした商品やサービス、アンケートで答えた悩み、クリックしたページなどをもとに、最適な商品や情報を届けられます。
これが、いわゆる「パーソナライズ」です。
実店舗であれば、「前回おすすめしたワイン、お口に合いましたか?」といった会話ができるだけでも、顧客満足度はぐっと上がります。
オンラインでも、「乾燥肌向けの美容液をお探しの方へ」といったセグメント配信をすると、興味関心にぴったりの提案が可能になります。
実際、Google Cloudの導入事例では、英国の大手オンライン小売業者Ocado Retailが、大規模なパーソナライズ施策を展開したところ、キャンペーン実施回数を10倍に増加させ、アクティブユーザーが13%増加、顧客離れも抑制することに成功したと報告されています。
このように、一人ひとりに合わせた対応ができると「ちゃんと自分のことを見てくれている」と感じてもらえ、信頼感にもつながります。
既存顧客のLTV(生涯価値)を最大化できる
「LTV(顧客生涯価値)」とは、一人のお客様がその商品やサービスを通じて、どれだけの売上につながるかを示す指標です。
つまり、

- 今後どれくらいの期間
- どれくらいの頻度で
- どんな商品を購入してくれそうか
という視点で考えるものです。
LTVを最大化するためには、新規の集客だけでなく、既存のお客様との関係を丁寧に育てていくことが重要になります。
たとえば、過去の購入履歴や相談内容をもとに、タイミングよくLINEでおすすめ商品を案内すれば、再購入やリピートにつながるはずです。
「またここで買いたい」と思ってもらえる関係性を築けば、自然とLTVは伸びていきます。
顧客データの収集方法(オフライン)
顧客データというとWeb上での取得をイメージしがちですが、実店舗や対面営業などのオフライン環境でも、顧客情報をしっかりと集められます。
ここでは、オフラインで実践できる代表的な顧客データの収集方法を具体例とともにご紹介します。
アンケート用紙の記入(店頭・イベント・展示会)
店頭やイベント、展示会などでは、アンケート用紙を使って顧客の声を直接集められます。サービスの満足度や興味のある商品、現在抱えている悩みなど、リアルな情報を把握する手段として有効です。
たとえば、「どんな悩みを抱えているか」「過去に利用したサービスは何か」といった設問を設ければ、その後の提案やフォローにつなげやすくなります。さらに自由記述欄を用意すると、予想外のアイデアや気づきが得られるケースもあります。
ただし、アンケートに回答してもらうには、記入の動機づけが重要です。割引クーポンや抽選キャンペーンなどを提示すると、回答率が上がります。
回収後は紙のままで放置せず、デジタル化して社内で共有・活用できるよう整理しておくと安心です。
名刺交換・顧客カードの記入(営業・店舗)
営業現場や店舗での名刺交換や顧客カードの記入は、オフラインでもっとも手軽に顧客情報を集められる方法の一つです。
名刺には氏名・会社名・役職・連絡先などが記載されており、商談後のフォローや属性の分類に役立ちます。
店舗では、初回来店時に「来店のきっかけ」「気になるメニュー」「施術歴」などを顧客カードに記入してもらえば、次回来店時にスムーズな対応が可能になります。
紙のままでは共有しづらいため、顧客管理ツールに記録しておけば、誰が対応してもサービスレベルを保てます。
対面ヒアリング・接客中の会話
対面でのヒアリングや接客中の会話では、顧客の関心や悩みをその場で把握できます。
アンケートでは得にくいリアルな情報が多く、パーソナルな提案やサービス向上に直結します。
たとえば、アパレルショップで「普段はカジュアルな服が多いけど、今日は仕事用の服を探していて…」という話があれば、ビジネスシーンに合うスタイリング提案につながるでしょう。
さらに会話でのやり取りは、信頼関係の構築にもおすすめです。
ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)によると、対面でのリクエストはメールよりも34倍成功率が高いと報告されています。これは、対面のやり取りが非言語的な手がかり(表情・声のトーン・身振りなど)を通じて、信頼感や親近感を高める効果があるためです。
会話内容をチームで共有すれば、顧客との関係性が深まり、リピートや紹介にもつながりやすくなります。
紙のカウンセリングシートの記入
紙のカウンセリングシートは、美容院やクリニック、エステサロンなどの実店舗でよく使われている顧客情報の収集方法です。
初回来店時に名前や連絡先だけでなく、体質、過去の施術歴、好みなどを詳しく記入してもらうと、以降のサービス提案がスムーズになります。
たとえば、エステサロンで「肌が敏感」と記入があれば、強い刺激を避けたメニューを案内できますし、クリニックなら「内服薬を服用中」と書かれていれば、処方内容の調整に役立ちます。
こうしたシートは、紙のまま保管するだけでなく、スタッフ全員が閲覧できるようデジタル管理しておくと便利です。定期的に内容を見直すことで、サービスの質を維持しながら、顧客ごとの変化にも柔軟に対応できます。
イベント参加・セミナー受付票
イベントやセミナーでは、受付時に記入してもらう参加票を通じて、顧客情報を効率よく収集できます。
名前や連絡先に加えて、「どこでイベントを知ったか」「興味のあるテーマ」「抱えている悩み」などの項目を設ければ、今後の提案やフォロー施策に活用できます。
たとえば、住宅関連のセミナーで「子どもが生まれるので住み替えを検討中」と書かれていれば、ファミリー向け物件の案内や資料送付につなげやすくなるはずです。
こうした受付票は、イベント後に放置せず、必ずデジタル化して管理するのが理想です。参加者の関心や悩みを整理し、今後の提案やフォローに活用しやすくなります。
あわせて、LINE公式アカウントへの登録もその場で促しておくと、イベント後のコミュニケーションもスムーズです。受付時にQRコードを提示したり、「登録で特典あり」などの一言を添えたりするだけでも、登録率を高めやすくなります。
顧客データの収集方法(オンライン)
オンライン上でも、顧客データはさまざまな方法で取得できます。
WebサイトやSNS、チャットツールを通じて集まる情報は、興味関心や行動履歴などが反映された貴重なデータです。
ここでは、代表的なオンラインでの収集手法を紹介し、それぞれの活用ポイントもあわせて紹介します。
Webフォーム入力で基本情報を取得(資料請求・問い合わせ)
資料請求や問い合わせの際に入力してもらうWebフォームは、オンラインで基本情報を取得する王道の方法です。
名前やメールアドレス、電話番号のほか、「興味を持ったサービス」「業種」「希望内容」などを選択肢や自由記述で入力してもらえば、ニーズの把握にもつながります。
実際に、Chili Piper社の調査によると、フォーム入力後に即座にスケジュール予約を可能にすると、平均コンバージョン率が30%から66.7%に向上したと報告されています 。
このデータは、ユーザーの興味が高まっているタイミングで次のアクションに導くのが、いかに有効かを示しています。
特に、多くの人が使い慣れたLINEを活用するのが効果的です。
たとえば、LINE公式アカウントの拡張ツール(例:Lステップなど)を使えば、こうした仕組みも簡単に導入できます。
LINE上でアンケートを実施し、その回答後すぐに個別面談やセミナー予約へ誘導。見込み顧客の離脱を防ぎ、自然な形でリピートや成約につなげられます。
【Lステップで作成したアンケート】
この「回答→予約」の流れを自動化すると、少人数でも効率よく関係を深め、LTVの最大化が目指せます。
メールマガジンの登録
メールマガジンの登録は、オンラインで顧客と継続的に接点を持つ方法です。
フォームで「名前」「メールアドレス」「興味のあるテーマ」などを入力してもらえば、属性に合った情報を届けられます。
たとえば、健康食品のECサイトで「40代」「疲れやすさが気になる」と登録していれば、その悩みに合わせた商品やコラムをメールで定期的に配信できます。
さらに、登録直後に自動で届くステップメールや、条件に応じて切り替わるシナリオ配信を使えば、関心度の高い内容をタイミングよく届けられるはずです。
弊社の調査では、メルマガは「気になった内容だけ確認している」と答えた人が54.1%と最多で、内容次第でしっかり読まれる媒体であることがわかります。
文字数や表現の自由度が高いため、サービスの魅力や考え方をじっくり伝えたい場合に有効です。
LINEに比べて開封率は低い傾向にありますが、メールを好むユーザーも一定数おり、用途に合わせた併用が効果的です。
LINE公式アカウントの友だち追加
LINE公式アカウントの友だち追加は、今やオンラインでの顧客データ取得の主流となりつつあります。
メルマガより開封率が高く、日常的に使われているLINEは、顧客との継続的な接点を築くうえで非常に優れたチャネルです。
弊社の調査においても、メッセージや投稿が最も確認されやすいSNSは「LINE」という結果が出ています。
これは、LINEが生活の中で自然に確認されやすいツールであることを示しています。
LINEは登録のハードルが低く、スマホひとつで完結する点も大きな強みです。特典やクーポンを用意すれば、友だち追加の導線も自然に設計できます。
チャットボットによるヒアリング
チャットボットは、ユーザーとのやりとりを通じて自動的に情報を集められる便利なツールです。
Webサイト上に設置すれば、営業時間外でも対応でき、問い合わせ対応や見込み顧客の情報収集に役立ちます。
たとえば、「年齢」「興味のあるサービス」「現在の悩み」などを選択式でヒアリングすると、スムーズに回答を得ながら顧客の属性を把握できます。予約や資料請求の導線にチャットを組み込めば、離脱を防ぎながら情報を引き出せるでしょう。
また多くの人が利用するLINEと連携する場合、Messaging APIを活用すると、自動のチャットボットを構築できます。
※Messaging APIとはユーザーとのコミュニケーションをスムーズにするための機能。この機能によって、外部のアプリケーションとも連携が取れるようになっています。
美容室のLINEに登録した場合、「髪質のお悩みは?」「希望の施術メニューは?」と自動で聞いていくフローを作れます。
ユーザーはLINEで気軽にやりとりでき、事業者は自動で属性データを収集できるため、非常に相性の良い組み合わせです。
会員登録・決済フォームとの連携
会員登録や購入時に入力される情報は、顧客の属性や興味を把握できる、質の高いデータソースです。
たとえばECサイトでは、次のような情報を取得できます。
- 年代
- 性別
- 購入履歴
- 配送エリア
- 決済方法 etc
これらを活用すれば、「20代女性に人気の商品をピックアップ」「中部エリア限定のキャンペーンを案内」といったパーソナライズ施策が可能になります。
さらに、上位顧客を抽出して、限定クーポンや先行案内を配信すれば、特別感のあるコミュニケーションができ、ロイヤルカスタマーの育成にもつながります。
このように、購入時に得られるデータは、売上に直結する、非常に重要なものといえるでしょう。
顧客データの管理方法
顧客データは、ただ集めるだけでなく、どのように管理するかによって活用の幅が大きく変わります。
管理の方法は、Excelでの手動管理から、CRMやMAツールによる一元管理までさまざまです。
ここでは、規模や目的に応じた顧客データの管理方法を3つ紹介します。
Excelでの手動管理
顧客データの管理を最も手軽に始められる方法が、ExcelやGoogleスプレッドシートを使った手動管理です。
たとえば、「名前」「電話番号」「初回来店日」「購入商品」などの項目を1行ずつ入力しておけば、最低限の管理は可能です。
個人やスタッフ数名の店舗なら、操作がシンプルなExcelはよい選択肢です。
ただし、顧客が増えると「誰が最新情報を更新したのか分からない」「ミスに気づけない」「必要な情報を探すのに時間がかかる」といった課題が出てきます。
継続的に顧客対応を行う場合や、リストが増えてきたタイミングで、より効率的な管理ツールへの切り替えをおすすめします。
CRM(顧客管理システム)での一元管理
顧客が増えてきた段階で有効なのが、CRM(顧客管理システム)の導入です。
CRMとは、顧客とのやりとりや情報を一元管理し、より良い関係づくりや業務効率化につなげるためのツールです。
CRMを使えば、「基本情報」「商談履歴」「資料請求の内容」「過去のやり取り」などを一元管理できます。
たとえば、学習塾やスクールなら「体験授業の参加履歴」「保護者とのやりとり」「入会の検討状況」などを記録しておくと、別の担当者でもスムーズにフォローできるでしょう。
チーム全体で顧客情報を共有すれば、属人化を防ぎつつ、質の高い対応を保てます。
MA(マーケティングオートメーション)ツールでの一元管理
MA(マーケティングオートメーション)ツールは、顧客へのアプローチや育成を自動化できるツールです。
ステップ配信やセグメント別の情報出し分け、行動データの蓄積といった機能を備えており、見込み顧客との関係づくりを効率化できます。
特に最近は、LINEでのリスト獲得や配信に対応したMAツールが注目されています。
中でも「友だち追加→アンケート→属性ごとにステップ配信」といった流れをすべて自動で行えるツールがおすすめです。
たとえば、ユーザーの回答やクリック履歴をもとに、「30代・乾燥肌」といったセグメントに自動で振り分け、それに合った商品提案やクーポン配信を行えます。
ExcelやCRMでは対応が難しいリアルタイムでの反応分析・自動対応も可能になるため、LINEを活用したい方は、専用MAツールの導入を検討してみてください。
顧客データの主な活用方法
顧客データは、集めたあとにどう活かすかが重要です。少しの工夫で、リピート率や顧客満足度を大きく高められます。
たとえば、以下のような活用方法があります。
活用シーン | 具体例 |
好みに合わせた提案 | 「敏感肌」と回答した人に保湿ケア商品を紹介 |
リピートのタイミングで連絡 | 来店から3週間後にLINEでクーポン配信 |
属性ごとの出し分け | 年代・性別で配信内容を切り替えて反応率アップ |
過去の履歴をもとに接客 | 「前回は○○を購入」といった会話のきっかけに話題を提供 |
優良顧客への特別対応 | 購入額の多い人に限定キャンペーンを案内 |
こうした活用を通じて、「このお店は自分のことを覚えてくれている」と感じてもらえれば、自然と信頼やリピートにつながるでしょう。
顧客管理におすすめのツール
顧客データを効率よく管理・活用するには、目的に合ったツールの導入が欠かせません。
ここでは、目的別・業種別におすすめの顧客管理ツールを3つご紹介します。
Lステップ
Lステップは、LINE公式アカウントと連携して使うMAツールで、顧客管理にも優れています。
たとえば、友だち追加された瞬間に「個人詳細ページ」が自動で作成され、メッセージ履歴やアンケートの回答、行動ログなどをひとりずつ確認・管理できます。
また、属性や興味関心に応じたセグメント配信も魅力のひとつ。「30代・乾燥肌・女性」などの条件で絞り込み、クーポンやリマインド配信の自動化も可能です。
さらに「予約管理」「オペレーター機能」など、複数人での運用にも対応しており、チームでのスムーズな連携も実現します。
LINEでの配信・対応・分析・管理が1つで完結する点は、他ツールよりも優秀な点といえるでしょう。
HubSpot CRM
HubSpot CRMは、無料で始められるクラウド型の顧客管理ツールです。
世界中の企業で活用されており、顧客の基本情報だけでなく、「商談状況」「メールのやり取り」「問い合わせ履歴」なども一元管理できます。
たとえば、不動産業なら「内見履歴」「検討中の物件」「次回連絡予定日」、スクールなら「体験授業の参加履歴」「保護者とのやり取り」など、細かな情報を自動で蓄積できるのが特徴です。
こうした情報をカスタム項目として追加することで、自社の業務にフィットした管理が可能になります。
さらに、フォーム作成、チャットボット、簡易的な自動化機能(Eメール通知など)も無料で利用可能。必要に応じて有料のマーケティング機能や自動配信も活用できます。
社内での情報共有や、チームでの営業・接客体制を整えたい企業におすすめのツールです。
Yappli CRM
Yappli CRMは、自社アプリを使って店舗運営やファンづくりを進めたい企業に最適なノーコード型のCRM(顧客管理システム)です。
会員登録、情報管理、ログイン認証などの基本機能を標準搭載しており、追加の開発や複雑な外部ツールなしでも、すぐに本格的なCRMを運用できます。
たとえばアパレルブランドであれば、「購入金額に応じたポイント付与」「会員ランク別の特典」「来店回数によるクーポン発行」など、アプリ内で完結するリピーター施策が可能です。
さらに「雨の日限定クーポン」「誕生日当日のポイント付与」といった、シナリオに応じたプッシュ通知も設定でき、ユーザーごとのタイミングに合わせたメッセージ配信ができます。
アプリ内に蓄積された行動データは、MAツールやメール配信ツールと連携することで、マーケティング施策にも活用できます。
連携には多少の設定や手間がかかる場合もありますが、その分、ユーザーごとの行動に合わせたパーソナライズ施策が可能になるはずです。
顧客データ管理でよくある失敗
顧客データをうまく活用したいと思っていても、現場ではうまくいかないケースも多くあります。
ここでは、よくある3つの失敗パターンをご紹介します。
顧客情報が散らばって管理が難しくなる
顧客情報がLINE、Excel、紙のアンケートなどにバラバラに分かれていると、管理がどんどん複雑になります。
たとえば、
- LINEではニックネームなのに、予約表には苗字しか書かれていない
- アンケートに書かれていた興味関心を、誰も把握していなかった
- 前回の購入内容が記録されておらず、同じ提案を繰り返してしまった
といったように、情報が断片化していると、確認や対応に手間がかかるだけでなく、ミスや対応の重複、伝達漏れなどのリスクも高まります。
特に複数人で顧客対応している場合、引き継ぎがうまくいかず、お客様の信頼を損なってしまう可能性も。
こうした状況を防ぐには、すべての顧客情報を1つのツールやシステムにまとめておく「一元管理」が大切です。
集めただけで活用しきれていない
顧客データを収集しても、「集めただけ」で止まっているケースは意外と多くあります。
「年齢」「性別」「興味のあるサービス」などをアンケートで取得しても、それを使って配信内容を変えていなければ、せっかくのデータが埋もれたまま。「また来たい」と思ってもらうには、一人ひとりに合った情報をタイミングよく届けることが重要です。
たとえば、「〇〇商品に興味がある」と答えた人に、その商品のキャンペーンを案内するだけで、反応率がグッと上がる可能性があります。
データを活用するには、タグ付けやセグメント分けをして、配信や対応に反映させる仕組みが欠かせません。
MAツールを使えば、アンケートの回答内容をそのまま友だち情報として保存し、そこから自動で出し分け配信を行うことも可能です。
「集めて終わり」ではなく、「活かして次につなげる」仕組みを意識するだけで、売上やリピート率にも大きな差が出てきます。
属人化していて担当者が変わると回らない

そのお客様の情報は〇〇さんに聞かないと分からない
そんな状態になっていませんか?
たとえばエステサロンで、お客様が「前回おすすめされたフェイシャルコースを受けたいんですけど」と言ってきたのに、担当スタッフが不在で「どのコースをご案内していましたか?」と聞き返すしかない。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。
属人化していると、引き継ぎミスや対応のズレが起きやすく、お客様からも「また一から説明しないといけないの?」と不満を抱かれてしまいます。
チームで対応している以上、「誰が見てもわかる仕組み」が必要です。
属人化を防ぐだけでなく、スタッフ全員で一貫性のある対応ができる環境を整えれば、チーム全体の信頼感と顧客満足度を高められます。
顧客データの管理〜活用ならLステップ
顧客データを活かしたいけど、

- 情報がバラバラで見つからない
- せっかく集めたのに使えていない
- 誰が対応してるか分からない
などの悩みを持った人も多いでしょう。
そんな悩みを解決できるのが、LINE公式アカウントの機能を拡張できるLステップです。
よくある失敗 | 主な課題 | Lステップでの解決策 |
顧客情報が散らばって管理が難しい | Excel・紙などに情報が点在 | 顧客ごとの情報を自動で整理し、一元管理できる |
集めただけで活用しきれていない | アンケート結果や属性データが放置されている | 顧客の属性に応じて、表示するリッチメニューを切り替え、最適な体験を提供できる |
属人化していて担当者が変わると回らない | 担当者ごとの感覚・メモ管理 | 顧客メモをチーム内で共有し、誰でもスムーズに対応できる 閲覧権限や対応マークを活用し、担当の振り分けと属人化の防止ができる |
同じメッセージを全員に送ってしまう | セグメント配信ができず開封率が下がる | 顧客の行動履歴や属性に応じて、適切なセグメント配信できる |
顧客の温度感が把握できない | どの顧客が購入検討中か分からない | 顧客の関心度をスコアで見える化し、優先的に対応すべき人を把握できる |
Lステップは多機能なツールですが、最初から全部を使いこなす必要はありません。まずは次の3つの機能を使うだけでも、顧客管理が楽になります。
①「回答フォーム」で顧客情報の収集 → タグで自動整理 → 一元管理
Lステップでは、顧客の情報を回答フォーム(アンケート)で取得し、自動的に友だち情報に反映できます。
たとえば中古車販売・買取業者では、買取査定を希望したユーザーに対して、以下のような回答フォームを表示。
査定希望車両の車種や型式、年式などはすべてプルダウン形式で選択できるように設定し、アピールポイントや現状の不具合などは自由記述欄で入力可能です。
これらの導線を整備することで、お客様はスマホ1つで査定申し込みまで完結でき、スタッフ側もスムーズに対応できる設計になっています。
そして、取得した情報はタグで自動整理され、Lステップ上で一元管理できる仕組みです。 |
②興味に合わせて内容を変える「セグメント配信」
Lステップを活用すれば、ユーザーの興味や行動に応じて、LINE公式アカウントよりも細かくメッセージを自動で出し分けることができます。
たとえば「どの商品に興味がありますか?」という質問に対して
それぞれ個別にセグメント配信が可能です。
|
③顧客の対応状況を見える化できる「対応マーク」
Lステップの対応マークを使えば、友だち一人ひとりの対応ステータスを色付きラベルで管理できます。
たとえば、買取専門店では、以下のように「未対応」「対応済み」「確定」「リピーター」「購入者」など、ステータスごとにマークを付け、対応の抜け漏れや属人化を防いでいます。
|
この3つだけでも、十分に顧客対応の質が上がり、満足度の向上につながります。
その他にも、予約をした友だちの個別メモを確認したり、お客様の行動データを点数化してリピーターを洗い出したりすることも可能です。
Lステップは、今の課題に合わせて必要な機能から少しずつ活用できる設計になっているので、「使いながら育てていく」感覚で無理なく始められます。
まとめ
顧客データというと難しく感じるかもしれませんが、実は「名前を覚える」「購入履歴を残しておく」といった日常の積み重ねが、そのまま価値になります。
こうした情報をきちんと集めて整理しておけば、「この人には何をおすすめすべきか」「どんなタイミングで連絡すればいいか」が自然と見えてくるようになります。
大切なのは、情報をバラバラにせず、一元管理できる仕組みを整えること。それだけでも接客や提案の質が高まり、リピートや売上アップにつながっていくはずです。