

- カルテの記入や管理に時間がかかる…
- 紙カルテだと探すのに手間がかかる…
- 施術履歴を整理できず困っている…
美容サロンの現場で、こんな悩みはありませんか?
そんな時におすすめなのが電子カルテです。
電子カルテを導入すれば、顧客情報や施術内容をデジタルで一元管理でき、検索やスタッフ間の共有もスムーズに。業務効率を改善し、顧客の満足度向上が期待できます。
とはいえ、電子カルテのツールは多種多様で、無料で始められるものから専門的な有料ツールまで存在します。どれを選ぶべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、コストを抑えつつ試しに始められる、美容室・ネイル・エステ・マツエクサロンで使える電子カルテツール(無料あり)をご紹介します。
目次
電子カルテとは?紙カルテとの違い
電子カルテとは、従来の紙カルテをデジタル化し、顧客や患者の情報をパソコンやタブレットで管理できる仕組みです。
紙カルテとの大きな違いは、情報の検索や共有が瞬時にでき、記入漏れや紛失のリスクも減らせる点です。
近年は、紙カルテのようにイラストやメモを手書きできる機能や写真添付、同意書などの電子化に対応したシステムも登場しており、スタッフ間や顧客との情報共有が格段にスムーズになっています。
厚生労働省の調べによると、令和5年時点で一般病院の65.6%が電子カルテを導入済みです。
美容サロン業界においても、業務効率化や顧客満足度向上を目的とした活用ニーズが高まっており、今後さらに普及が進むでしょう。
電子カルテを使うメリット
電子カルテを使うメリットをご紹介します。
カルテ検索が素早くできる
紙カルテでは、顧客の基本情報や来店履歴、施術内容を探すのにどうしても時間がかかりがちです。ファイルを一枚ずつめくったり、字が読みづらくて確認に手間取ったりすることも。
電子カルテなら顧客の名前や電話番号を入力するだけで、必要な情報を素早く呼び出せます。
さらに施術履歴や使用した商材などをまとめて確認できるので、接客前の準備がスムーズになり、提案の幅も広がります。
検索スピードが上がれば無駄な時間が減り、顧客対応の質をより高められるでしょう。
スタッフ間での情報共有がスムーズ
紙カルテはスタッフごとに記入方法が異なり、字が読みにくい、記録が抜けているといった問題が起こりがちです。
その結果、引き継ぎがうまくいかず「前回どんな施術をしたのか分からない」という場面も少なくありません。
電子カルテなら入力フォーマットを統一し、誰が見ても分かりやすい状態で情報を管理することが可能です。
さらに複数人が同時に閲覧でき、施術履歴や注意点をリアルタイムで確認しやすいのも利点です。
担当者が変わっても引き継ぎがスムーズで、接客品質の維持につながります。
施術中でもスマホやタブレットで確認できる
紙カルテの場合、施術中に過去の履歴を確認したいときはバックヤードまで取りに行く必要があります。
急いでいるときほど探すのに手間取り、接客の流れがスムーズにいかないことも。
電子カルテならスマホやタブレットからその場で開けるため、施術を止めずに過去の施術内容や使用商材を確認できます。
ネイルならデザインの写真、美容室ならカラー履歴を見せながら相談できるので、顧客にとっても安心感につながるでしょう。
予約・顧客情報を一括管理できる
予約とカルテを別々に管理していると、「予約表と照合が手間」「入力漏れで履歴が残らない」といった問題が起こりがちです。
電子カルテの中には、予約システムと顧客情報をまとめて管理できるものもあり、来店前に施術履歴を確認して準備を整えられます。
当日の予約状況とカルテ情報を同時に把握できれば、ダブルブッキングの防止や記録漏れの解消にも役立ちます。
特にリピーターの多いサロンでは、対応をひとつの画面で完結できる仕組みが大きなメリットになるでしょう。
紙や保管スペースが不要になる
紙カルテは顧客が増えるほど棚やキャビネットを圧迫し、整理や検索に時間がかかります。
紛失リスクもあり、スタッフの負担やファイル・棚といった備品コストも増加しがちです。
電子カルテならすべてをクラウドで管理できるため、保管スペースは不要。カルテがどれだけ増えても検索ですぐに呼び出せ、整理や入れ替えの手間もかかりません。
結果として業務効率が上がり、スペースやコストを削減できます。特に限られたバックヤードを有効活用したい個人サロンにとって、大きなメリットとなるでしょう。
電子カルテを使うデメリット・注意点
電子カルテを使うデメリットや注意点を解説します。
無料プランには制限が多い
電子カルテは無料で使えるサービスもありますが、実際には多くの制限があります。
たとえば登録できる顧客数が限られていたり、写真保存の枚数が少なかったりと、無料プランでは物足りなくなるケースも。
無料プランはお試しとして魅力的ですが、長期的に利用するなら有料プランへの移行も視野に入れる必要があります。
「どの機能が必要か」「無料でどこまで使えるか」を事前に確認しておきましょう。
ネット環境に依存するリスクがある
電子カルテは、どうしてもインターネット環境に依存します。
Wi-Fiが不安定だとカルテが開けない、更新に時間がかかる、といった不便さが生じることも。
また、オンラインで顧客情報を扱う以上、情報漏洩や不正アクセスといったセキュリティ面のリスクも考慮が必要です。
さらに停電や災害で電気が使えない状況になると、データにアクセスできなくなる恐れもあります。
紙カルテのように手元に残るわけではないため、バックアップやオフライン対応の準備をしておくことも大切です。
スタッフが慣れるまで時間がかかる
電子カルテは便利ですが、導入時にはいくつかのハードルがあります。
まず、初期設定や紙カルテからの移行では顧客情報を一件ずつ登録する必要があり、顧客数が多いサロンでは長期的な負担になりかねません。
これを減らすには、優先度を決めて段階的に移行したり、専用の作業時間を確保したりするとよいでしょう。
また、導入直後はスタッフが操作に慣れず、更新が滞ったり紙にメモして後から転記するなど二度手間になる場合もあります。
スムーズに定着させるには、ツールの研修を行い、入力ルールを統一して環境を整えることが大切です。
電子カルテを選ぶ前に押さえるポイント【業種別】
電子カルテを選ぶ前に押さえるポイントを美容系の職業別に解説します。
美容室向け電子カルテ|施術履歴
美容室で電子カルテを導入する際に重要なのは、カラーやパーマの履歴、使用した薬剤の配合、施術後の仕上がり記録です。
顧客は「前回と同じ色で」「少し明るめで」のようにリクエストをするため、過去のデータを正確に参照できる機能が欠かせません。
また、前回の施術時の仕上がり写真を見せながらカウンセリングに活用すると、イメージの共有がしやすくなり、顧客満足度の向上にも直結するでしょう。
項目 | 内容例 |
基本情報 | 氏名、連絡先、来店歴、担当者名 |
施術履歴 | 施術内容、カラー剤の配合比率、購入商品、所要時間、仕上がり写真 |
髪・頭皮の状態 | 髪質、アレルギー、伸びる速さ、色持ち、注意点 |
生活スタイル | 髪型の自由度、関心事 |
ネイルサロン向け電子カルテ|デザイン履歴
ネイルサロンで電子カルテを活用する際に大切なのは、デザインや爪の状態の記録です。
施術中の会話時間を活かして顧客の好みや爪の特徴を記録しておくと、安全性の確保や仕上がりの質向上につながります。
また「仕事柄シンプルなデザインを好む」「短めの長さを希望」といったライフスタイルに基づく情報を蓄積しておけば、次回の提案にも役立つでしょう。
項目 | 内容例 |
基本情報 | 氏名、連絡先、来店歴、担当者名 |
施術履歴 | 施術内容、商材番号、購入商品、仕上がり写真 |
爪の状態 | 強度、アレルギー、持ちの良さ、注意点 |
生活スタイル | 職場や家事でのネイルの自由度・関心事 |
エステサロン向け電子カルテ|カウンセリング記録
エステサロンでは、電子カルテに記録するべき内容が幅広く、特にカウンセリング記録は重要です。
来店歴や普段利用している施術メニューを把握すると、顧客のライフスタイルや美容習慣を理解できます。
さらに、肌トラブルやアレルギー、禁忌事項の記録は安全性の確保に欠かせません。
項目 | 内容例 |
基本情報 | 氏名、連絡先、来店歴、担当者名 |
施術履歴 | 施術内容、購入商品、肌状態の測定、仕上がり写真 |
肌やボディの状態 | 強度、アレルギー、注意点 |
生活スタイル | ホームケア、食事、睡眠、運動量 |
マツエクサロン向け電子カルテ|デザインの記録
マツエクサロンで電子カルテを活用する際に欠かせないのがデザイン履歴です。本数・長さ・カール・太さなどを細かく記録すると、前回と同じ仕上がりを再現しやすくなります。
さらに持続性やアレルギー反応の有無といった情報があれば、安全性を高められます。
目元は印象を大きく左右するパーツだからこそ、丁寧なヒアリングと希望の記録が信頼につながるでしょう。
項目 | 内容例 |
基本情報 | 氏名、連絡先、来店歴、担当者名 |
施術履歴 | 施術内容、デザイン、仕上がり写真 |
持続性・注意点 | アレルギー、皮膚トラブル、持ち、施術での注意事項 |
悩み・希望の記録 | 自然な仕上がり、ボリューム重視、目元の乾燥などの相談内容 |
電子カルテに使えるツール5選(無料あり)
電子カルテに使えるツールを5つ紹介します。
Lステップ|LINEで顧客管理+マーケティング
Lステップは、LINE公式アカウントの機能を拡張できるB2C向けのマーケティングオートメーションツールです。誰でも、無料のフリープランから利用することができます。
施術内容は「個別メモ」に記録でき、仕上がり写真は直接LINEで共有できるため、顧客に寄り添った提案やフォローもスマートです。
また、LINE上で予約の受付や来店のリマインド送信を自動化できるのも大きな魅力です。
電話や手作業で対応していた業務を減らせるため、スタッフが施術に集中しやすくなります。
さらに、顧客の好みや施術履歴を残しておけば、次回の提案やフォローにも活かせます。
なお、有料の「プロプラン」であれば、アンケートが作成できる「回答フォーム」を利用して、スプレッドシート連携で自動転記し、より詳細な情報管理が可能です。
Lステップは顧客とのコミュニケーションの効率化に優れており、電子カルテとして活用しながら顧客満足度の向上が期待できます。
無料機能の例 | 有料機能の例 |
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Googleフォーム+スプレッドシート|シンプルな管理
Googleフォームとスプレッドシートを組み合わせると、無料でシンプルな電子カルテを作成できます。
初回来店時に顧客へフォーム入力をお願いすれば、基本情報やカウンセリング内容が自動でスプレッドシートに反映され、以降はスタッフが施術履歴を追記していくスタイルです。
運用面で課題となるのは写真管理ですが、Googleスライドを顧客ごとのアルバム代わりに使い、シートにリンクを貼れば一覧性を補えます。
予約システムとの連携や検索機能は専用ツールに劣るものの、導入コストがゼロなのは魅力です。「まずは無料で電子カルテを試したい」個人サロンや小規模店舗にとって、手軽に始められる選択肢のひとつです。
LiME(ライム)|美容室・ネイルに特化した電子カルテアプリ
「LiME」は、美容師が企画設計したサロン用アプリで、「カルテ管理」「予約管理」「顧客管理」などサロン運営に必要な機能がまとまっています。
無料プランでは、顧客名簿やカルテ管理などの基本機能を利用でき、予約受付の無制限やLINE連携などは有料プランで利用できます。
無料機能の例 | 有料機能の例 |
など |
など |
※カルテ管理は、「プロフィール登録」をすると無制限で利用できます。
SALON BOARD(サロンボード)|ホットペッパービューティー連携
「SALON BOARD」は、リクルートが提供する「ホットペッパービューティー」と連動した予約・顧客管理システムです。
ホットペッパーに掲載しているサロンであれば追加費用なく利用でき、実質的なコストは媒体の掲載料と予約手数料のみです。
予約が入ると自動で顧客カルテが生成され、施術内容や顧客ごとの写真を記録できます。
そのため美容室やネイルサロンなど、幅広い業態で活用しやすい点も魅力です。
予約ページとの連携に強く、新規集客からリピーター管理までを一元化できる点が大きな特徴です。
機能の例(※費用は記載料と予約手数料) |
など |
Aiony(アイオニー)|写真と手書きメモを残せる
美容サロン向け電子カルテ「Aiony」は、iPad専用の使いやすさと低コストを両立したシステムです。
スマホ感覚で施術履歴や顧客情報を簡単に管理でき、来店ごとに最大10枚の写真やイラストに手書きメモを加えられます。
紙カルテのような感覚で操作できるのが魅力で、スタッフ間の情報共有や施術の振り返りにも役立ちます。
無料機能の例 | 有料機能の例 |
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Lステップ導入事例|電子カルテ+マーケティング
電子カルテに使えるツールはいくつかありますが、この見出しではLステップに絞って事例を紹介します。
Lステップの強みは、顧客が日常的に利用しているLINEとマーケティングを組み合わせ、売上向上につなげられる点です。
美容サロンにおいても、電子カルテと連動させて業務効率化を実現しながら、リピーター獲得や売上アップを期待できるのが特徴です。
美容室|2通の配信で203万円の売上を達成
ReSPEC by personalSALON様はLステップを活用し、わずか2通の効果的なキャンペーン配信で203万円の売上を記録しました。
来店前にLINEでカウンセリング情報を収集し、電話対応の負担が削減されました。これにより、スタッフが施術に専念できる環境が実現したのです。
また、カルテ回答後に2,000円相当の商品プレゼントのインセンティブも功を奏し、既存顧客の約9割が積極的にLINE登録しました。
さらに、LINEから直接予約できる仕組みを整え、予約管理と顧客対応をスムーズにしています。
【カルテ回答者への特典について】
アイラッシュサロン|新規数5.5倍・売上2.4倍アップ
FAST LASH様はLステップ導入後、新規数・客単価・リピート数が伸び、売上は2.4倍に拡大しました。
業務効率化に注力し、カウンセリングシートの記入案内や来店前の事前案内送付を自動化しています。これにより、スタッフの負担を減らしつつ顧客満足度の向上につなげています。
また、来店後の経過日数をもとに、メンテナンスのタイミングで自動でリマインダ配信されています。
これにより、スタッフの手間を大幅に省きつつ正確な情報管理を実現。正確な情報管理と効率的な運営体制を実現し、成果につなげています。
【FAST LASH様のカルテ】
エステサロン|前年同月比900%の売上
二の腕デザイン®様は、「エステを体験したい人」と「エステティシャンになりたい人」という2つの顧客の属性が混合しているのが課題でした。
そこで、Lステップ導入し、LINE上でわかりやすいメニュー表示ができ、自動で顧客の希望に沿った内容を届けられるようになりました。
その結果、一人ひとりに最適な案内が実現し、成果へとつながっています。
【リッチメニュー(エステを体験したい人向け)】
またLINE上で「二の腕タイプ別診断」を行い、最後に体験エステへの申し込みへ誘導しています。
属性ごとに適切なアプローチを行えるため、熱量が高い顧客の集客が可能になりました。
このような工夫を重ねた結果、月商が前年比で900%伸びた月もあり、業務効率化と売上拡大を同時に実現しています。
【二の腕タイプ別診断】
まとめ
本記事では、美容室・ネイル・エステ・マツエクサロン向けに電子カルテのメリットや無料で使えるツールをご紹介しました。
中でもLステップは、カルテ管理に加えてLINEでの予約やリマインド配信などマーケティングまで一体化できるのが強みです。
電子カルテ導入の参考となり、サロン運営を一歩進めるきっかけになれれば幸いです。