
近年、自治体におけるSNSの活用は、情報発信の手段として不可欠な存在となっています。防災情報の迅速な共有や地域の魅力発信など、活用範囲はますます拡大しています。
しかし、

- SNSを効果的に活用できているのか?
- 成功事例や失敗事例は?
- 成功事例や失敗事例は?
といった疑問や悩みを抱える広報担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、自治体がSNSを活用するメリット、成功例や失敗例を交えて効果的な運用方法を解説します。
また、初心者の方でも理解しやすいよう、SNS運用を始める際のポイントもまとめています。ぜひ、参考にしてみてください。
目次
自治体がSNSを活用するのは当たり前?
自治体のSNS活用状況について解説します。
国内のSNS利用率は全体の8割
2010年に世界初の4G対応スマートフォンが登場し、データ通信速度が大幅に向上しました。スムーズな動画視聴とパケット定額制により、SNSの利用が一層促進されました。
現在、国内の主要なSNSにはLINE、YouTube、Facebook、X、Instagramが挙げられます。
総務省によると、2022年のSNS利用者数は約1億200万人で、2027年には約1億1,300万人に達すると予測されています。
全人口の80%以上が利用している計算となり、SNSは現代社会において欠かせない情報ツールと言えるでしょう。
自治体のSNS活用状況
行政管理センターによる令和5年の調査では、自治体の各SNSプラットフォームの導入状況は以下のとおりです。
- LINE:79.5%
- YouTube:74.8%
- Facebook:74.7%
- X:65.7%
- Instagram:56.8%
主要なSNSプラットフォームの多くが、全国の自治体で広く活用されています。
自治体がSNSを活用するメリット
自治体がSNSを活用するメリットをご紹介します。
育児、防災、医療など必要な情報を配信できる
自治体がSNSを活用すると情報提供がより効果的かつ迅速になります。
例えば、育児イベント、防災フェア、お祭りをSNSで紹介すれば、孤立しがちな保護者同士の交流を促進できます。
防災面では、大雨が予想される際に、避難所の開設状況や避難経路の地図をリアルタイムで共有でき、住民の安全確保に役立つでしょう。
さらに、地域の健康相談会や検診のスケジュールを告知すれば、住民の健康維持につながります。SNSは自治体と住民をつなぐ重要なツールとして機能しています。
地域の魅力を国内外に拡散し観光客を増やす
株式会社MERYによると、Z世代女性が旅先を決める情報源は、1位「SNS(個人)」で、2位「旅行サイト」、3位「SNS(企業)」でした。若年層の女性は旅先を決めるときにSNSを参考にする人が多い結果となりました。
なお、参考にするSNSは写真中心のInstagramが7割を超え、言語の壁を越えて魅力を伝える手段として国内外に有効です。
ハッシュタグの活用により、投稿の検索性が高まり、コストを抑えつつ効果的なインバウンド集客が可能となります。
自治体がSNSを活用して地域の魅力を発信すると、観光客の増加や地域活性化が期待できます。
移住者を増やすための地域情報を発信できる
近年は、SNSを通じた情報発信で、移住を考えている人の不安を解消しやすくなっています。家にいながら地域の魅力や生活情報を簡単に把握できるのは大きな利点です。
香川県では、2020年の移住者数が過去最多の2,721人となり、前年から異例の751人増加を達成しました。
この背景には、若年層を中心とした移住促進の取り組みがあります。例えば、県外に進学した学生やその保護者を対象に、Instagramを活用した情報発信を行い、香川県の魅力を積極的に発信しています。
地域の人の意見をチェックできる
自治体がSNSを活用すると、地域住民の意見を収集し政策立案に取り入れることができます。
例えば、東京都はX上でハッシュタグ「#シン東京2050」を用いて、2050年代の東京を見据えた長期戦略策定に向け、都民からの意見を募集しました。
SNSの機能を活用して意見を集めたり、日頃から住民の投稿をチェックしたりすれば、多様な視点を政策に取り入れることができるでしょう。
低コストで広範囲に情報発信が可能
従来、自治体の広報活動は、新聞などの印刷物を主な媒体としていました。そのため、広報活動を行う上で、印刷費や配布費などの予算面での制約が課題となっていました。
しかし、SNSの活用により課題は改善されています。
インターネット環境さえあれば、無料または低コストで情報を発信でき、地域内外の多くの人々に迅速に届けられるようになりました。
例えば、リアルタイム情報の発信に優れたXを活用して災害時の緊急情報を発信し、住民の安全確保に役立てられます。
SNSは低コストで広範囲に情報を発信できるツールとして、自治体の広報戦略に重要な役割を果たしています。
自治体がSNSを活用するデメリット
自治体がSNSを活用するデメリットについて解説します。
炎上リスクがある
自治体に限らずSNSを運用する際は、炎上や誹謗中傷といったリスクがあります。
不適切な表現があったり、意図しない形で拡散されたりすると、信頼を取り戻すのは容易ではありません。
リスクを軽減するためには、投稿に対するガイドラインを定めましょう。万が一炎上した場合の対応策もあらかじめ準備しておくべきです。
投稿内容の慎重な検討や、炎上時の適切な対応策を事前に策定しておくのが重要です。
ITスキル格差による情報伝達の偏り
自治体によるSNS活用の課題の一つに、「ITスキル格差による情報伝達の偏り」があります。
特に高齢者や障がい者の中には、デジタル機器の操作に慣れていない方も多く、SNS利用のハードルが高いケースが多いでしょう。必要な情報が平等に行き渡らないケースも考えられます。
改善策として、「紙媒体とデジタル媒体を併用した広報誌」、「デジタルスキル向上を支援する無料イベントの実施」などが挙げられます。
業務量の増加による職員の負担
SNS運用は、従来の業務に加えて新たなタスクを生み出す場合があります。
例えば、SNS上での情報発信や住民からのコメント対応、データ分析などが追加され、職員の業務が複雑化・多様化する側面があります。
さらに、業務のデジタル化により、新しいシステムやツールの習得、運用に追われるケースも。
課題に対処するためには、業務プロセスの見直しや、適切なITツールの導入、職員へのサポートが重要です。
自治体のSNS運用の成功事例
自治体のSNS運用の成功事例をご紹介します。
LINE|横浜市のLINE公式アカウント
LINEは、日本国内で最も利用されているSNSとして幅広い世代に浸透しています。
横浜市のLINE公式アカウントは、リッチメニューを活用し、オンラインでの行政手続きに広く対応しています。粗大ごみ申込(ごみ分別案内)や広報の閲覧、住民票や戸籍抄本など様々な手続きが可能です。
住民のニーズに寄り添った結果、友だち登録数は85万人以上(令和7年3月)となり、市の人口の約22%が登録しています。
X|大阪府広報担当副知事
Xは、リアルタイムな情報発信と高い拡散力で、幅広い年齢層に利用されているSNSです。
例えば、大阪府は、公式キャラクター「もずやん」を広報担当副知事に任命し、X上で積極的に情報発信を行っています。
地域で親しまれている方言で発信し、堅苦しさを和らげ、府民との距離感を縮めています。
多くのフォロワーを持ち、投稿ごとに高いエンゲージメントを獲得している成功例です。
Facebook|沖縄県渡名喜村
Facebookは、実名でのユーザー同士のつながりをネット上で再現できます。
活用例として、沖縄県渡名喜村(となきそん)は、公式Facebook「渡名喜島のプロフィール」を通じて、観光情報や島の日常を発信しています。
フォロワー数が島民数を大きく上回るなど、成功例として有名です。 また、地域おこし協力隊の募集情報なども積極的に掲載し、地域活性化に取り組んでいます。
Instagram|群馬県前橋市役所
Instagramは、 国内外への画像や短編動画の発信に適したSNSです。
群馬県前橋市役所では、Instagramを通じて季節の風景や話題のスポットなど、群馬の魅力を積極的に発信しています。
また、ユーザーが「#maebashi_trip」のハッシュタグを付けて投稿した写真を紹介するなど、市民や観光客とのコミュニケーションを大切にしています。
YouTube|宮崎県小林市
宮崎県小林市は、公式YouTubeチャンネルを通じて、地域の魅力を積極的に発信しています。
YouTubeの国内の月間アクティブユーザー数は7,000万人を超えているため、地域の情報発信に最適です。
特に、2015年に公開した移住促進PRムービー「ンダモシタン小林」は、フランス語に聞こえる方言を用いたユニークな内容で話題を呼び、再生回数は300万回を超えました。
この動画の公開後、移住に関する相談件数は約4.5倍に増加し、市の公式ウェブサイトの閲覧数も8倍に跳ね上がるなど、大きな効果を上げました。
小林市公式チャンネル:「宮崎県小林市 移住促進PRムービー "ンダモシタン小林"」
失敗事例から学ぶSNS運用の注意点
SNSは自治体の情報発信にも役立つツールですが、運用を誤ると、さまざまなリスクが生じます。自治体の失敗事例から学ぶSNS運用の注意点を紹介します。
不適切な投稿による炎上
SNSでの炎上を防ぐには、公式アカウントの投稿内容を慎重にチェックすることが重要です。
公的な立場を意識し、中立的かつ客観的な情報発信を心掛けましょう。
例えば、A県が作成した文書は、女性の仕事と育児の両立についての表現が「なぜ女性だけ仕事と育児の両方をやることが前提になっているのか」といった批判を招きました。
SNSを運用する際は、表現や内容が受け手にどのように解釈されるかを十分に考慮しましょう。
個人情報の漏洩
SNSを活用する際には、個人情報の取り扱いに細心の注意が必要です。
例えばB市が主催するイベントへの応募が多数寄せられたのを受け、公式Xアカウントで応募の反響を投稿しました。
しかし、投稿画像に応募者の個人情報が写り込んでおり、投稿は直ちに削除されました。
SNSでの情報発信前には、個人情報が含まれていないかを確認し、必要に応じて関係者の同意を得るなど、十分な配慮が求められます。
なりすましによる誤情報の拡散
以前、C市になりすました偽アカウントが、「キャンペーン当選に関するダイレクトメッセージ」を複数のユーザーに送信する事案が発生しました。
個人情報の詐取や詐欺被害のリスクが高まり、C市は公式SNSやホームページで注意喚起を行いました。
さらに、災害時などより正確な情報が求められる場面での誤情報は、大きな混乱を引き起こす可能性があります。
トラブルの際のガイドラインを設け、迅速に対応できるようにあらゆる状況を想定し、対策を準備しましょう。
SNS運用を始める5つのステップ
SNS運用を始める5つのステップをご紹介します。
SNS運用の目的を明確にする
自治体がSNSを活用する際、まず何のために使うのか、目的を明確にしましょう。
観光客を増やす、町おこし、防災情報の共有など、具体的な目的を定めると投稿内容や運用方針が明確になります。
例えば、「観光客を増やす」の場合、観光スポットを誰に向けてどのように紹介するかなどが見えてきます。
ブレない目的を持ち、地域の活性化や住民サービスの向上につなげましょう。
運用する媒体を決める
適切なプラットフォームの選定は情報発信の効果を大きく左右します。目的やターゲット層、コンテンツ形式(テキスト、短編動画、長編動画など)を考慮し、適切なSNSを選びましょう。
SNSを選ぶ時のヒントを簡単にまとめたので参考にしてみてください。
LINE公式アカウント | ユーザーが必要な情報にすぐにアクセスでき配信全般に適している。必要な情報をすぐに届けやすい。災害時には、デマ情報と混合されるリスクが低い点も魅力の一つ。 |
X | 生活情報や日々移り変わるイベント告知に便利。短文で気軽に配信でき、情報拡散に最適。災害時などにデマ情報を招きやすい点は注意が必要。 |
地域のニュースやイベント情報を詳しく配信でき、実名による信頼性の高いコミュニケーションも可能。若年層の利用が減少傾向にあり、ターゲット層を考慮する必要も。 | |
視覚的なコンテンツを中心とした配信に最適。特に観光や移住の促進として地域の風景などを短編動画で紹介するのに最適。 | |
YouTube | 長編動画の配信に最適。観光スポット、各種申請方法の解説、地域イベントのライブ配信など、多様なコンテンツを提供できる。 |
なお、各SNSの利用率やユーザー層は時代背景により変動するため、現場をよくリサーチしてから選定しましょう。
求められている情報をリサーチする
自治体がSNSを効果的に活用するためには、住民のニーズを的確に把握し、迅速な情報提供が重要です。
有益で関心の高い情報を発信すると、双方の信頼関係を築けるでしょう。
ニーズを把握する方法として、直接的、またはSNSでの意見収集が挙げられます。直接的には、イベントなど現地でアンケートを行い、意見や要望を収集できます。
SNSでは、ハッシュタグや検索機能を活用して、投稿から関心事やニーズを把握できるので便利です。
さらに、SNSのコメント欄や質問機能などを活用してアイデアを集められるケースもあります。
成果を測定する指標を設定する
自治体がSNSを活用する際、成果を測定するための指標を設定するのが重要です。
まず、SNS運用の目的に基づいて具体的なKPI(経過目標)を設定しましょう。
例えば、地域の観光情報を発信して観光客を増やすのが目的であれば、フォロワー数増加や投稿のエンゲージメント率(いいねやコメントの数)などがKPIとなります。
指標を設定すると、SNSの運用状況をどのように評価するか、設定した指標を定期的に確認し、改善点を見つけられます。
PDCAサイクルを回して継続的に改善する
PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(検証)、Action(改善)の頭文字を取ったもので、継続的な品質改善を促す手法を指します。
SNS運用において重要なポイントは、分析と改善を続けることです。
SNS運用は、一方的な情報発信では期待する効果は得られません。ユーザーの反応を分析し、企画やコミュニケーションを改善していきましょう。常にユーザー目線に立ち、継続的にPDCAサイクルを回すのが重要です。
自治体のSNS運用を成功させる秘訣
自治体のSNS運用を成功させる秘訣をご紹介します。
地域のニーズに沿った配信を行う
自治体がSNSを活用する上で特に大切なのが、ニーズに応じた情報提供です。
例えば、地域のイベント情報や防災情報、行政サービスの案内など、必要とされる情報を発信すると、信頼関係を築けるでしょう。
さらに、SNS上でタイムリーに声を収集し、政策やサービスに反映させれば、参加型の行政運営を叶えられます。
インフルエンサーに協力してもらう
近年、認知拡大に効果的な「インフルエンサーマーケティング」が注目されています。
自治体でも、観光客や特産品の購買者を増やすために、SNS上で影響力のあるインフルエンサーを積極的に起用するようになってきています。
例えば、福岡県北九州市のYouTubeでは、移住者や定住者を増やすために釣りで人気の「釣りよかでしょう。」さんを起用しました。公開5日間で再生40万回越えとなり、アプローチに成功しています。
地域の特性やターゲット層に合わせて、適切なインフルエンサーを選定し、タイアップを実施すれば、地域の魅力を広く発信できます。
キャラクターやマスコットを活用する
自治体が地域の魅力を効果的に配信し、住民との親近感を高めるためには、キャラクターやマスコットの活用が有効です。
キャラクターを活用すると、地域のPR活動やイベントでの活用、グッズ販売など多岐にわたる展開が可能です。
さらに、SNSやメディアを通じて情報発信を行えば、地域内外の人々との交流を促進し、地域活性化につなげられます。
例えば熊本県のPRキャラクター「くまモン」は、Instagramで写真や動画を通じて、熊本とくまモンの魅力を視覚的に伝えています。
LINE公式アカウントへの誘導
総務省の調査によると、日本国内のLINE利用率*は 約94%(令和4年)と最も高く、他のSNSよりも「情報が届きやすい」媒体として有効です。
※対象者:13歳から69歳までの男女1,500人
現在、多くの自治体がLINE公式アカウントを活用しています。LINE公式アカウントを活用すると、以下のようなメリットが期待できます。
- 幅広い世代にリーチできる
LINEは年齢層を問わず利用されており、多くの住民に情報を届けやすい。 - メッセージの開封率・即時性が高い
LINEヤフー社によると、約8割のユーザーがその日のうちに開封している。 - 緊急情報の正確な伝達
SNS上のデマ情報と混同されにくく、正確な情報を迅速に伝えられる。 - イベントや行政サービスの自動案内
事前に設定した情報を自動配信でき、職員の負担を軽減しながら住民への周知を効率化できる。 - 「自動応答メッセージ」で友だちへの対応を自動化できる
よくある質問を応答メッセージで対応すれば、職員の負担を減らし、住民も24時間いつでも情報を得られる。 - LINE公式アカウント「地方公共団体プラン」が利用できる
自治体は条件を満たせば基本機能を無料で利用でき、配信数の上限がないのが特徴。※申し込みの際は、LINE公式アカウント 地⽅公共団体プランの詳細をご確認ください。
LINE公式アカウントのポイントを押さえて、地域活性化につなげましょう。
LINE公式アカウントを活用した成功事例
自治体の活動には住民と双方のコミュニケーションが必要不可欠です。ただ、日常的なコミュニケーションや緊急時の情報伝達に課題を抱えている自治体は少なくありません。
LINE公式アカウントを効果的に活用している事例をご紹介します。
米沢市(山形県)のLINE公式アカウントは、リッチメニューを活用して情報を分かりやすく整理し、市民が知りたい情報にすぐアクセスできるのが強みです。
生活情報、防災、ごみの捨て方、市民バス、施設予約・電子申請等のほか、観光や移住情報もすぐに確認できます。知りたい情報がいつでも簡単に確認できるのはユーザーに寄り添った施策と言えるでしょう。
Lステップ導入で自治体の情報発信力を強化しよう
LINE公式アカウントを運用している場合、Lステップを導入すれば、より精度の高い情報発信や住民との円滑なコミュニケーションが可能になります。
Lステップは、LINE公式アカウントの機能を強化し、自治体の業務効率化や住民サービス向上が期待できるツールです。
- セグメント配信: 年代、関心、ライフステージなど、住民の属性情報に合わせて、最適な情報を配信。
- アンケートで意見を収集:地域イベントに関する希望、満足度調査などを実施し、結果を基に行政サービスの改善に役立てる。
- イベント予約:LINE上で講習会などの予約を完結させ、人件費を削減できる。
Lステップを導入すると、住民が必要な情報にアクセスできる便利なLINE公式アカウントを構築できます。
さらに、職員の業務負担を削減しながら、住民とのスムーズなコミュニケーションが可能になるはずです。
LINE公式アカウントをより効果的に活用するために、Lステップを取り入れてみてはいかがでしょうか?