工数削減とは?メリットや進め方、成功のポイント、事例を解説
考えている様子
  • 毎日仕事に追われ、時間が足りない…
  • もっと効率的に業務をこなして、残業を減らしたい…
  • 人手不足なのに、業務量は増えるばかりで困っている…

 

このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?多くの企業が抱えるこれらの課題を解決するには「工数削減」が必要です。

 

この記事では、工数削減の基本的な意味から、具体的な進め方、事例まで解説します。さらに、日々の業務を効率化するためのツールについても紹介します。

工数削減とは?

工数削減とは、業務にかかる時間や人数、手間を減らし、効率よく仕事を進める取り組みです。単なる作業の削減ではなく、「いかに少ない時間や人数で同じ成果をだすか」に注目した改善活動と言えます。

 

多くの企業で工数削減が注目されている背景には、以下のような社会的・経済的な要因が挙げられます。

 

  • 労働人口の減少
    少子高齢化の影響で働き手が減り、人材確保が難しい状況が続いている。限られた人員でも業務を回せる体制づくりが求められ、工数削減が現実的な解決策となっている
  • 2025年の崖とDX推進の遅れ
    古いシステムが限界を迎える「2025年の崖」問題により、多くの企業で業務のデジタル化(DX)が急務となっている
  • 採用コストや外注費の高騰
    人員を増やすにはコストがかかりすぎる今、既存の人材で業務効率を上げるのが最も効果的。外注費も上昇傾向にあるため、自社内でムダを削減する動きが加速している

工数削減で得られる4つのメリット

ここでは、工数削減によって得られる4つのメリットを紹介します。

①コストが削減できる

工数削減は、企業にとって最も実感しやすい「コスト削減」効果をもたらします。

 

たとえば、同じ業務にかかる時間を半分に短縮できれば、それにともなう人件費や残業代の抑制が可能です。

 

また、外注していた業務を内製化できるようになれば、外注費削減にもつながるでしょう。

 

近年は、人件費や業務委託費の高騰が、企業の大きな負担になっているため、限られた予算の中で利益を確保するには、工数削減が不可欠だと言えます。

 

重要なのは、単なるコストカットではなく、業務の質を維持・向上させながら、コストの最適化を図ることです。

②生産性の向上につながる

工数削減によって、限られた時間や人員でも高い成果を上げられるようになると、組織全体の生産性が向上します。

 

たとえば、手作業で行っていたデータ入力を自動化すれば、社員はより付加価値の高い業務に時間を割けるでしょう。

 

また、業務フローが整理されると「何を優先すべきか」が明確になり、迅速な対応が可能です。

 

とくに、多くの業務を抱える部署では、ムダな工程を省けると、大幅な効率アップにつながるでしょう。

③従業員の負担軽減につながる

工数削減による業務効率の向上は、従業員一人ひとりの肉体的・精神的な負担軽減にもつながります。

 

繰り返し作業や非効率な作業が続くと、社員のモチベーションが低下して、ストレスや疲労の蓄積にもなりかねません。

 

業務が効率化できると、残業時間が減り、プライベートの時間が確保しやすくなるため、ワークライフバランスが改善されるでしょう。

 

また、業務が効率化され、不安や迷いが減少すると、従業員が安心して働ける環境を整えられます。

 

工数削減は、離職防止や人材の定着にも効果的だと言えるでしょう。

④品質向上につながる

工数削減は「ただ早く終わらせる」ための施策ではなく、業務の品質向上につながる取り組みです。

 

ムダな工程を省くと、本当に重要な作業やチェック工程に、より多くの時間とリソースをかけられます。

 

たとえば、書類作成やデータ集計などのルーチンワークを効率化すれば、ダブルチェックや内容の精査などの品質管理の時間を確保できます。

 

また、業務が属人化している場合は、フローの標準化によってミスの発生を防げるでしょう。

 

こうした工数削減の取り組みが、結果として顧客満足度や企業の信頼性向上にもつながります。

工数削減に役立つシステム・ツール

工数削減には、業務の自動化・効率化に役立つシステムやツールの導入が欠かせません。

 

ここでは、4つのカテゴリ別に工数削減に役立つシステム・ツールを紹介します。

ERPシステム

ERP(Enterprise Resource Planning)システムは、会計、人事、販売、在庫など、企業活動に必要な業務データを一元管理できるシステムです。

 

複数の部署間でデータ連携ができるようになるため、情報のやりとりにかかる時間や作業の重複を大幅に削減できます。

 

たとえば、「freee統合型ERP」は、中小企業向けのクラウドERPで、人事労務や販売管理、会計情報などの一元管理が可能です。

 

また、「NetSuite(ネットスイート)」は、世界シェアNo.1のクラウドERPで、会計、受注処理、在庫管理、生産、サプライチェーン、倉庫業務などを一元管理できるオールインワンの統合基幹業務システムです

 

ERPの導入により、経営の可視化が進み、素早い意思決定やリソースの最適配分も可能になるでしょう。

RPAツール

RPA(Robotic Process Automation)ツールは、繰り返し作業や定型業務をソフトウェアロボットに代行させる自動化ツールです。

 

人の手で行っていた入力作業や集計処理などを自動化すると、工数削減とヒューマンエラーの防止に役立ちます。

 

RPAツールは主に2種類あり、デスクトップ型RPAは個人のパソコン上で動作するため、比較的小規模な業務の効率化に適しています。

 

代表的なツールである「WinActor」は、直感的な操作性と充実した日本語サポートが特徴です。

 

一方、サーバー型RPAは複数のロボットを一元管理できるため、全社的な業務自動化に向いています。「BizRobo!」は高い拡張性と安定した運用実績を持ち、大規模な導入にも対応可能です。

AIツール

近年注目されているのが、AIツールの活用です。たとえば「ChatGPT」は自然な対話形式で文章生成や要約ができるAIで、問い合わせ対応や社内文書の下書き作成などに活用できます。

 

また、「KARAKURI」はカスタマーサポートに特化したAIチャットボットで、よくある質問への自動応答が可能です。

 

これにより、問い合わせ対応の工数を大幅に削減でき、スタッフはより重要な業務に専念できます。

メッセージ配信スタンド

顧客への案内やフォローアップを自動化し、工数削減するには、メッセージ配信スタンドの活用が効果的です。

 

例えば、BtoB企業の場合、メールの自動配信や配信先の管理が行える、メルマガ配信スタンドを導入している企業も多いでしょう。

 

また近年では、多くの企業がマーケティングやカスタマーサポートに活用しているツールの一つにLINE公式アカウント」があります。

 

LINEは国内で多くのユーザーに利用されており、メッセージが読まれやすい点がメリットです。

 

LINE公式アカウントは、一斉配信応答メッセージリッチメニューステップ配信など、工数削減に効果的な機能が充実しています。

 

これらの機能により、手作業での配信にかかっていた時間や手間を削減できるため、業務の効率化に役立ちます。

ECRS(改善の4原則)で効果的に工数削減を実現

業務のムダを見つけ、効率的に工数を減らすためには、体系的な視点が欠かせません。そんなときに役立つのが、業務改善の基本フレームワーク「ECRS(改善の4原則)」です。

 

ECRSは、Eliminate(排除)・Combine(結合)・Rearrange(入れ替え)・Simplify(簡素化)の4つの観点から業務を見直す方法です。

 

ここでは、4つの観点を詳しく解説します。

 

工数削減とは?

 

Eliminate(排除)

Eliminate(排除)とは、「本来必要のない作業や付加価値を生まない業務プロセスを取り除くこと」です。

 

過去の慣習で続けているだけの報告書作成や、形骸化した確認作業など、付加価値を生まない業務は意外と多くあります。

 

不要な作業は思い切ってなくすと、リソースを本当に必要な業務に集中させられるでしょう。

 

必要ない作業は思い切ってなくす。ムダを見つけて削るのが、工数削減につながります。

Combine(結合と分離)

Combine(結合と分離)とは、「複数の作業を統合したり、逆に分けたりして、業務を効率化すること」です。

 

情報共有の手段が多岐にわたり管理が煩雑になっている場合、ツールの統一が効果的です。似たような複数の作業は一つにまとめ、効率化を図りましょう。

 

たとえば、別々に行っていた社内連絡とタスク共有を、1つのチャットツールにまとめると、情報の見落としや確認ミスを防げます。

 

逆に、1人で多様な業務を抱えていた場合には、専門性で分離すると、無理やムラがなくなり、チーム全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。

Rearrange(入れ替えと代替)

Rearrange(入れ替えと代替)とは、「作業の順番や手段を変更し、より効率的な進め方を実現すること」です。

 

業務の流れや順序を変えるだけでも、ムダを省ける場合があります。

 

たとえば、申請業務で上司の承認を毎回待つ必要がある場合、承認プロセスを自動化したり、事前にまとめて申請する仕組みに変えたりするだけで、待ち時間を減らせるでしょう。

 

また、データ入力作業を手作業からシステムに切り替えるなど、アナログな手段を効率的な方法に置き換えるのも有効です。

Simplify(簡素化)

Simplify(簡素化)とは、「業務の内容や手順を見直し、より単純でわかりやすい形にすること」です。

 

複雑な手順やムダに多い確認項目は、作業ミスや時間ロスを招きます。

 

マニュアルやフォーマットの見直し、承認フローの簡略化など、小さな改善の積み重ねが、大きな工数削減につながるでしょう。

 

たとえば、これまで電話やメールで行っていた社内連絡を、LINEに置き換えるだけでもスムーズな情報伝達が可能です。LINEは利用者が多く、操作に慣れている人も多いため、導入への抵抗も少なくすみます。

 

また、ビジネス向けの「LINE WORKS」を使えば、チャットだけでなくカレンダーやタスク管理機能なども活用でき、業務全体の効率化に役立ちます。

 

業務を見渡して「もっとシンプルにできる部分はないか?」という視点でチェックしてみましょう。

 

工数削減の進め方

工数削減は、やみくもに取り組んでもうまくいきません。

 

現状の把握から改善、検証までのステップで進めると、効果的かつ持続的な工数削減が可能です。

 

以下の6つのステップに沿って進めていきましょう。

STEP1:現状の工数を把握・可視化する

まずは「どの業務に、どれだけの工数や時間がかかっているのか」を明らかにしましょう。

 

作業時間を計測したり、業務フローを書き出して見える化したりすると、ムダな作業や非効率な部分が浮き彫りになります。

 

Excelや業務分析ツールを活用して、定量的に把握するのがポイントです。

STEP2:削減する業務の優先順位を決める

すべての作業を一度に見直すのは現実的ではありません。

 

業務の重要度や発生頻度、かかっている工数の大きさを基準にして、改善すべき業務の優先順位をつけましょう。

 

「効果が大きく、着手しやすい業務」から取り組むと、改善の成果を実感しやすいでしょう。

STEP3:ECRS(改善の4原則)でプロセスを見直す

工数削減には、ECRS(排除・結合・入れ替え・簡素化)の考え方が有効です。

 

不要な作業の排除や、手順の統合・分離、順番の見直し、簡素化を行うと、業務プロセスそのものを効率化できます。

 

また、LINE公式アカウントの活用で、Combine(結合)やSimplify(簡素化)も実現可能です。

 

たとえば、電話やメールなど人力で対応していた業務をLINE公式アカウントで自動化すると、大幅な時間短縮が可能です。

 

【LINE公式アカウントでできること】

 

このように、複数の業務を1つに集約(Combine)し、作業内容をシンプル(Simplify)にできます。

STEP4:担当者と作業範囲を明確にする

改善後のプロセスに対して、誰がどの作業を担当するのかを明確にしましょう。

 

責任の所在が曖昧だと、作業が重複したり、対応漏れが発生したりするリスクがあります。役割分担を明確にして、ムダのないスムーズな進行を目指しましょう。

STEP5:新しいプロセスで作業を実施する

実際に新しいプロセスに基づいて業務を実施してみましょう。

 

この段階では、現場の反応や戸惑いなども出やすいため、フォロー体制を整えておくのも大切です。

 

効果を測定するために、事前にKPI(目標の達成度を図る指標)や評価基準を設定しておくと、後の検証がスムーズです。

STEP6:効果を検証し、PDCAを回す

改善施策の結果を振り返り、工数削減の目標が達成できたかを確認します。

 

数値の変化や担当者の声などをもとに、さらに改善すべき点があれば再度見直し、PDCAサイクルを回して継続的な向上を目指しましょう。

 

定期的な見直しによって、業務はより最適化されていきます。

工数削減を成功させるためのポイント

ここでは、工数削減を成功させるためのポイントを4つ紹介します。

①目的と効果を明確にする

「なぜ工数削減を行うのか?」を関係者全員が理解している状態が理想です。

 

目的が曖昧なままだと、「なぜこの作業をやめるのか」「変更の意味がわからない」といった疑問や反発を招き、現場に浸透しにくくなります。

 

たとえば「●●業務を30%短縮して、別業務にリソースをあてる」といった具体的な目標と、その結果得られる効果(コスト削減、残業削減、顧客対応力の向上など)を明示して共有するとよいでしょう。

②社内の理解と協力を得る

工数削減は一人の努力では完結しません。部署をまたぐ業務であればなおさら、関係者の理解と協力が不可欠です。

 

「現場に負担がかかるだけでは?」という誤解が生まれないよう、改善の目的や背景、手順などを丁寧に説明し、共通認識を持てるようにしましょう。

 

改善案の立案段階から現場メンバーを巻き込むと、納得感が得られやすく、協力も得やすくなります。

③優先順位をつけて段階的に進める

すべての業務を一度に見直そうとすると、対応が追いつかず、改善そのものが形骸化するリスクがあります。

 

まずは「手間がかかっているが、改善の効果がでやすい業務」から手をつけ、段階的に進めましょう。

 

たとえば、LINE公式アカウントを使った問い合わせ対応の自動化など、すぐに取り組める部分からスタートすると成果が出やすく、社内のモチベーション維持にもつながります。

④品質を維持しながら進める

工数削減に意識が偏りすぎると、業務の質や顧客満足度が下がる可能性があります。

 

効率化が目的になってしまわないよう、「品質を保ちながら工数削減する」視点が重要です。

 

たとえば、確認作業の簡略化を検討する際も、ミスを防ぐ仕組みを別の形で取り入れるなど、バランスを取りながら進めるとよいでしょう。

 

具体的には、紙の伝票を廃止してシステム入力に統一する場合、入力ミスにはリアルタイムでエラーが表示されるようにすると、品質と効率を両立できます。

 

品質の確保は、結果として工数削減にもつながります。

工数削減にはLステップがおすすめ

Lステップ」は、LINE公式アカウントと連携して顧客管理やメッセージ配信などを自動化できるマーケティングオートメーションツールです。

 

たとえば、電話やメールで行っていた予約受付や問い合わせ対応をLステップで自動化すれば、対応時間の短縮や対応漏れの防止が可能に。

 

LINEを使ってやり取りが完結するため、利用者側もスムーズに操作でき、満足度も向上するでしょう。

 

また、Lステップは以下のような機能を備えており、複数のツールを使い分ける必要がなくなります。

 

  • 予約管理:カレンダー連携や自動リマインドで、予約対応の手間を削減
  • 自動応答:よくある質問に自動で返答
  • 回答フォーム:アンケートやお申込みフォームなどを作成し、友だち情報を収集・蓄積
  • セグメント配信:年齢・性別・行動履歴などに応じて適切な情報を配信

 

これらの機能により、「別ツールで予約」「Excelで顧客管理」「メールで配信」といった分断された業務をLステップで一本化できます。

 

中小企業や個人事業主でも導入しやすく、すぐに工数削減できるのが大きなメリットです。

Lステップを使った工数削減の成功事例

ここでは、実際にLステップを使って工数削減に成功した3つの事例を紹介します。

信用組合の事例

群馬県前橋市に本店を置く「あかぎ信用組合」様は、定期的に開催しているセミナーの案内と出席確認を電話や訪問で行っており、アナログな業務が負担となっていました。

 

そこでLステップを導入し、案内はLINEメッセージで一斉配信、出欠確認は回答フォームで自動集計できるようになっています。

 

あかぎ信用組合

あかぎ信用組合

 

その結果、手作業の工数が約30%削減され、担当者は本来の業務に集中できるように。顧客側も手軽に回答でき、双方にとって効率的な結果となりました。

 

ガラス工房の事例

ハンドメイド作家として、作品の制作から販売、顧客対応までを一人で担っていた「ガラス工房Merhaba」様では、顧客管理やオーダー対応の煩雑さが大きな課題でした。

 

連絡先や住所は手書きで管理されていたため、やりとりのたびに再度情報を聞き直す必要があるなど、負担が大きかったといいます。

 

そこで、Lステップを導入し、必要な情報をLINE内に集約。リッチメニューと呼ばれるトーク画面下部のメニューに、オーダー相談・修理依頼・展示会情報など、やりとりの多いコンテンツを集約しました。

 

ガラス工房

 

さらに、顧客情報を自動で取得・蓄積できるフォームを設けたことで、対応の手間が大幅に軽減されました。

 

 

代表の方も「顧客管理がとても楽になった」と感じており、限られた時間をより創作活動に使えるようになったそうです。

 

LINE上でのやりとりもスムーズになり、展示会での友だち追加にも効果を発揮。オーダーメイド中心の運営スタイルにマッチした、顧客対応の効率化に成功した事例です。

 

オンラインサロンの事例

40代女性向けのビジネスセミナーやオンライン交流会を運営する「ララ・コンシェルジュ」様の事例です。

 

これまでは、面談の日程調整や決済案内、プロフィール画像の受け渡しといったやり取りは、Facebookのメッセンジャーを通じて個別で対応しており、多くの工数を費やしていました。

 

そこで、リッチメニューに「入会申し込み」を設置し、手続きから入会まで完結できる仕組みを構築。入会申請→面談案内→カレンダー予約リンク送信までを自動化しました。

 

入会申し込みフォーム

ララコンシェルジェ
スケジュール

 

入会前後のやりとりの他、イベント・セミナー管理を自動化した結果、業務工数を80%削減。LINEで一元管理でき、運営者の負担が軽減され、より多くの会員をスムーズに受け入れられるようになった事例です。

 

まとめ

工数削減は、単に業務量を減らすのが目的ではありません。

 

ムダな作業の削減により、働きやすい環境を整えたり、対応スピードや品質を向上させたりと、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。

 

Lステップを活用して、効率的に工数削減につなげましょう。

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