経済産業省の調査によると、2022年度のBtoC‐EC(通販)事業の市場規模は約22兆円。EC事業は2013年以降、常に右肩上がりで拡大中のビジネスです。
- 通販を始めたけど売上が上がらない…
- LINEの機能を使ってECサイトを運営できる?
- LINE公式アカウントでEC事業を効率化したい!
このように悩まれている方もいるでしょう。
今回は、LINE(LINE公式アカウント)を活用して、ECサイトを運営するコツを解説します。事例も踏まえて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
EC(通販)サイトでLINEを活用する方法
LINEをECサイトに活用する方法は、大きく分けて以下の3つです。
- LINE公式アカウントを開設する
- LINEショッピングを活用する
- LINE広告に出稿する
それぞれみていきましょう。
LINE公式アカウントを開設する
LINE公式アカウントとは、LINEを介して顧客とコミュニケーションが取れる、ビジネス用のアカウントです。
友だち追加したユーザーと直接やり取りができるため、商品のアプローチやブランドイメージの向上に活用できます。
その他クーポンやショップカードなど、EC事業に役立つ機能が豊富に備わっている点も特徴でしょう。
企業だけなく個人でも利用でき、無料での開設も可能です。LINEをビジネスに取り入れるなら、まずはLINE公式アカウントの開設をおすすめします。
LINEショッピングを活用する
LINEショッピングとは、LINEを経由してお買い物ができるサービスです。
公式アカウントの友だち登録数は約4,700 万人(2024年3月時点)と、利用者数の多さが特徴。
商品購入後には、スタンプや着せ替えに利用できるLINEポイントが還元されるため、ユーザーの購買意欲を促進させられるのもメリットです。
ただし、LINEショッピング自体に決済機能はありません。ユーザーが気になる商品をタップすると、商品が出品されているECサイトに遷移する仕組みとなっています。
つまり、LINEアプリを使ったポイントサイトのようなイメージですね。自社サイトへと送客できるので、商品ブランドの認知にも役立ちます。
LINE広告に出稿する
LINE広告とは、LINE内のコンテンツや関連するサービスに広告を出稿できるサービスです。掲載できるエリアは、トークリストやLINE NEWS、LINEショッピングなどさまざま。
精度の高いターゲティングが特徴で、年齢や性別だけでなく、興味関心から対象者を絞り込めます。
また表示される広告は、オークション形式で決定される仕様となっており、少額からでも始められる点も魅力でしょう。
LINEをEC(通販)事業に導入するメリット
LINEをEC事業に導入するメリットを解説します。
ユーザーとの接点を増やせる
LINEの国内月間利用者数は9,700万人(2024年3月末時点)以上と、ユーザー数の多さが最大の特徴です。
また利用者数だけでなく、各種SNSの中でもLINEのみを使うユーザーが多いのもポイント。
引用:LINEのユーザーはどんな人? - LINEキャンパス
どのような商品を販売するにしても、最大数を狙うのであればLINEの活用は必須といえるでしょう。
メッセージの開封率が高まる
届けたい情報を高確率で訴求できるのも、LINEならではの魅力です。
自社の調査では、LINEのメッセージ確認率は他のSNSと比較し、群を抜いて高い傾向にあると判明しています。
中には、通知音が鳴ると反射的にスマホを確認してしまう方もいるのではないでしょうか。
それだけ世間に浸透したLINEだからこそ、ユーザー側も気軽にメッセージを確認してくれるのです。
お客様対応を効率化できる
LINE公式アカウントの機能を活用すれば、さまざまな業務を効率化できます。
一例を挙げると、同じメッセージを一括で配信できる一斉配信や、密接なコミュニケーションが取れる1対1のチャット機能など、柔軟な顧客対応が可能です。
また事前に設定したキーワードに反応し、自動でメッセージを配信する自動応答機能を活用すれば、問い合わせに費やされる運用負担も軽減できます。
対応にかかるコストを削減できる分、売上アップ施策に注力できるようになるでしょう。
LINE公式アカウントでECサイトを運営する7つのコツ
LINE(LINE公式アカウント)でECサイトを運営するコツを解説します。
売上アップやリピーターを獲得できずに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
①認知度を上げる
LINEを活用してECサイトを運営するなら、まずは商品やLINE公式アカウントの存在を認知してもらう必要があります。認知度を上げる際に考えられる課題としては、
- 顧客の新規開拓
- 既存顧客をLINE公式アカウントへ誘導
の2つに分けられるでしょう。それぞれの施策を解説していきます。
顧客の新規開拓
顧客を新規開拓する場合、友だち追加広告がおすすめです。※未承認アカウントでは利用できません。
友だち追加広告とは、LINE公式アカウントへの友だち追加を目的としたLINE広告の1つ。
テキストとビジュアルを組み合わせられるため、クリエイティブによっては商品自体の認知度も高められます。
また、友だち追加された分だけ費用を支払う課金方式なので、手軽に始められやすいのもポイントです。
既存顧客をLINE公式アカウントへ誘導
既存顧客をLINE公式アカウントに誘導できれば、訴求したい情報をタイムリーに届けられるようになります。
自社の調査では、ユーザーがLINE公式アカウントの存在を知るきっかけの上位2つは「店舗」と「ホームページ」です。
ECサイトと並行して実店舗を運営している場合、店舗でのお声がけや、販促物にQRコードを設置するなどの施策が効果的でしょう。
一方店舗を持たない事業者の場合、ホームページ内にLINE公式アカウントへの導線を設置する方法や、商品にQRコードを同梱するなどの施策が考えられますね。
それぞれの状況に応じて、アプローチ法を使い分けてみてください。
②リッチメニューを工夫する
自社商品やサービスのブランディングには、リッチメニューの活用がおすすめです。リッチメニューとは、トーク画面下部に表示される固定のメニュー。
ボタンAに自社ECサイトのリンクを設置し、ボタンBにはSNSを設置するなど、自由度の高い組み合わせが可能です。
クリエイティブ次第では、ユーザー側からの自発的な情報収集にも期待ができるため、時間とコストをかける価値は高いといえるでしょう。
また「よくある質問」などの項目を設置しておけば、ユーザー側の利便性も高められます。
③初回購入のハードルを下げる
EC運営において、初回購入の役割は重要です。スムーズな購入体験はユーザーの信頼度を高め、リピート促進へとつながります。
実際に、ECモール内に同一の商品が並んでいた場合、以前購入したショップを選ぶ方も多いのではないでしょうか。
初回購入のハードルを下げる施策としては、クーポンやキャンペーン情報の配信が代表的です。
また「LINE登録でクーポンプレゼント」などの広告を打ち出せば、新規ユーザーの獲得にも期待ができるでしょう。
④顧客を育成する
ネットビジネスにおける売上は、以下の要素の掛け合わせにより成り立ちます。
- ユーザー数 :ECサイトに訪れた人数
- CVR(購入率):訪問数から商品が購入された割合
- 客単価 :一度の購入で支払われる平均金額
つまり、いくら集客に成功し購入率が上がったとしても、客単価が低ければ安定した収益は見込めません。
客単価を上げるには、まとめ買いやセット購入につながりやすい、リピーターを増やす必要があります。
LINE公式アカウントのステップ配信では、ユーザーの段階に応じて訴求したい情報を提供できるため、顧客の育成に効果的です。
例えば友だち追加時のあいさつメッセージでクーポンを配信し、翌日に商品説明、2日後にセール情報を配信するなど、継続的なアプローチを行えます。
シナリオ次第では、初回購入のハードルを下げると同時に、リピーター獲得までの流れをスムーズに構築できるでしょう。
⑤買い忘れを防止する
EC事業において、カゴ落ち対策は不可欠です。カゴ落ちとは、一度カートに入れられた商品が、決済されずに放置された状態を指します。
EC事業の調査を行っている「Baymard Institute」の調査によると、2023年の世界カゴ落ち平均は70.19%。約7割のユーザーがカートに入れた商品を放置しているわけです。
カゴ落ち対策として効果的なのが、LINE公式アカウントのトラッキング(LINE Tag)機能。LINE Tagとは、外部サイトにタグを設置し、ユーザーの行動を計測する機能です。
例えばLINE Tagの活用により、以下のような流れを構築できます。
- ECサイトにLINE Tagを設置
- 未購入ユーザーを抽出
- 購入促進メッセージを配信
流入数に比べCVRが低いと悩まれている方は、カゴ落ち防止策を取り入れてはいかがでしょうか。
⑥顧客データを分析する
顧客データの分析は、売上アップを目指す上で重要な指標となります。ユーザーニーズを把握していなければ、自社の強みや改善点も発見できません。
LINE公式アカウントの分析機能では、年齢や性別といった属性や、メッセージの開封率などを分析できます。
クーポンの使用率も確認できるので、どの商品に需要が集まっているのかも判別可能です。
ただし、LINE公式アカウント上の属性は、ユーザーの行動履歴を基に、LINEヤフー社が独自に付与したものになります。
また誰がメッセージを開封し、クーポンを使用したのかについても個別の特定はできません。
そのため大まかなニーズの把握には役立ちますが、LINE公式アカウントでできる分析は、あくまで推定値となる点には注意が必要です。
⑦SNSと連携する
ユーザーとのタッチポイントを複数持っていれば、売上の最大化を見込めます。
SNSの利用実態を調べた自社の調査では、最も利用数の多いSNSとして、男性で「YouTube.」、女性では「LINE」といった結果でした。
プラットフォームごとに利用するユーザーも異なるため、幅広い層を狙うのであれば間口を広げておいて損はありません。
またSNSの拡散力を活かすなら、影響力の高い人物に商品をPRしてもらう、インフルエンサーマーケティングもひとつの手段でしょう。
LINE公式アカウントは、各種SNSを繋げるハブとしての役割も担えるため、煩雑になりがちな顧客管理にも有効です。
LINEを使ったECサイト運営の導入事例
ここからは、LINE(LINE公式アカウント)を使ったECサイト運営の導入事例をみていきましょう。
LINE広告を使ったEC運営の成功事例
完全栄養食、「BASE BREAD」の開発と販売を行うベースフード株式会社は、LINE広告を活用した新規顧客の獲得に取り組んでいます。
同社は若年層から65歳以上の女性を対象に、それぞれのターゲットごとにさまざまなクリエイティブを配信。
引用:決めの一手!導入後、3万人の新規顧客を獲得したベースフードのLINE広告活用
ユーザーニーズに合わせた訴求を行なった結果、LINE広告を導入して以降、新規顧客の獲得数は累計で約3万人を突破しました。
LINE公式アカウントを使ったEC運営の成功事例
「自然の館」の屋号でEC事業を営む有限会社味源は、菓子類や自社ブランド商品の製造などを行う食品メーカーです。
同社はメールマガジンに代わる販売促進ツールとして、LINE公式アカウントを導入。事前告知とリマインド配信の活用により、メッセージ配信経由の売上が5倍に増加しました。
またLINE公式アカウントの機能の中でも、特に売上アップに寄与したのがカードタイプメッセージだといいます。
カードタイプメッセージとは、複数のコンテンツを同時に配信できるメッセージ機能の1つです。
上記のような施策を行ったところ、ECサイトへの遷移数はメルマガと比べ約2倍を記録したと語ります。
LINE公式アカウントでECサイトを運営する際の注意点
LINEを使ってECサイトを運営する場合、いくつか注意点があるので事前に確認しておきましょう。
LINEだけでECサイトは開設できない
LINEはEC事業に活用できますが、単体でECサイトを構築できるわけではありません。
そのため、まずは商品を掲載できるサイトを準備しておく必要があります。ECサイトを開設する方法としては、以下の3つが代表的でしょう。
- Amazonや楽天などの大手ECモールに出店
- Shopifyなどのプラットフォームを活用
- 自社ECサイトの構築
売上チャネルを拡大できる点で、理想は上記3つの複数展開です。
しかし予算の少ない事業者の場合、あえて1つに絞るとしたら、低コストで独自のECサイトを構築できる、Shopifyなどのプラットフォームの活用をおすすめします。
他の商品と比較されやすい
ネットショップを運営する上で、競合との比較は避けられません。
特に大手ECモールの場合、価格競争や商品レビューの小競り合いに巻き込まれ、余計な労力を消耗している事業者も少なくないはずです。
LINEショッピングにしても本質は変わりません。同じ商品を扱うECサイトがあった場合、ユーザーは価格やポイント数を比較し、購入先を選びます。
また同じ商品、値段、ポイント獲得数だとしても、ブランドイメージによって購入を見送られてしまうケースもあるでしょう。
詳細な顧客管理には不向き
LINE公式アカウントだけでの顧客管理は、以下のような制限があるため、あまり現実的とはいえません。
- 分析やアンケートのデータが友だち情報と結びつかない
- 友だちから反応を貰わなければ連絡先に登録されない
- 属性はあくまでLINEヤフー社の推定
またLINE公式アカウントの基本的な機能だけでは、LINE上の友だちとECサイトの顧客情報の紐づけは不可能です。
誰が何を購入したのかを特定できないため、ロイヤリティの高いユーザーだけに絞った配信も行えません。
顧客情報を紐づけるには、まずはユーザーからメッセージなどを送ってもらい、連絡先に登録された上で個別にヒアリングを行う必要があります。
余計な手間を省きたい方は、顧客管理に特化したCRMツールなどを導入するのが無難でしょう。
運用コストが掛かる
本格的にECサイトを運営するとなると、それなりのコストが掛かります。一例としては、
- LINEショッピングの利用料
- 自社ECサイトの構築費
- LINE広告への出稿費
- CRMツールの導入費
- ECモールへの手数料
- 各種SNSの運用費
などが挙げられるでしょう。また企業規模で運営する場合、人件費も考慮に入れなければなりません。
確実に元を取れるのであれば別ですが、資金の少ない事業者にとって、EC事業への参入はある程度のリスクがあるのも事実です。
EC(通販)サイト運営なら「Lステップ」もおすすめ
LINEを使ってEC(通販)サイトを運営するなら、LINE公式アカウント専用のマーケティングツール、「Lステップ」の導入をおすすめします。
Lステップを簡単に説明すると、LINE公式アカウントの強みを最大限に引き出し、弱点を補完できるツールです。EC運営にLステップを活用するメリットは、主に以下の4つ。
- 競合と差別化できる
- 顧客を一元管理できる
- 費用対効果よく集客できる
- 販売を自動化できる
順に解説していきます。
競合と差別化できる
Lステップでは自由度の高いカスタマイズが可能なため、競合他社との差別化を図れます。
中でもリッチメニューは、LINE公式アカウントにはない「タブ分け」によるコンテンツの切り替えが特徴です。※Lステップのリッチメニューはスタンダードプラン以上で利用可能です。
ブランドヒストリーや商品の豆知識など、独自性のあるコンテンツを充実させていけば、顧客のファン化促進にもつながるでしょう。
また購入前と購入後で、リッチメニューの表示を変更できるのも魅力です。トークルームをVIP感のある演出で彩れるため、顧客満足度の向上にも期待ができます。
リッチメニューからダイレクトに自社ECサイトへと送客できるようになれば、価格競争に巻き込まれずに、安定した収益化が見込めるでしょう。
顧客を一元管理できる
Lステップは、CRMツールとしても優秀な機能を兼ね備えています。
例えば、LINE公式アカウントにもアンケート機能はありますが、誰がどのような回答をしたのかまでは結びつかない仕様です。
一方Lステップでは、回答が自動的にユーザー情報へと反映されるため、顧客管理に掛かる工数を削減できます。
特に診断コンテンツの形でアンケートを行えば、ユーザー側からの自発的なアクションにも期待ができるでしょう。
またShopifyなどの特定のプラットフォームとの連携により、誰が何を購入したのかを自動で紐づけられる点もメリット。※プロプラン以上で行える設定です。
購買意欲の高いユーザーに絞った配信を行えるため、客単価の向上だけでなく、配信コストの削減にも役立ちます。
費用対効果よく集客できる
Lステップでは、さまざまな要素を具体的なデータとして計測できるため、費用対効果の高い集客が可能です。
例えば、インフルエンサーマーケティングを行うとしましょう。この際、ありがちな失敗パターンが「とりあえずフォロワー数の多いインフルエンサーに依頼する」ケースです。
当然フォロワー数が多い方がリーチも増やせますが、自社商品のニーズに合ったユーザーでなければ、直接的な売上アップには期待ができません。
その点Lステップでは、どの媒体から友だち追加されたのかを計測できるため、インフルエンサーごとの費用対効果を計測できます。※プロプラン以上で利用可能な機能です。
例えば、
- インフルエンサーA経由:50人
- インフルエンサーB経由:100人
といった結果が出た場合、インフルエンサーBに広告費を集中させるのが効率的だと判断できるでしょう。
表面上のフォロワー数だけでは判別できない、具体的なデータを取得できるため、予算を抑えた集客が可能になります。
販売を自動化できる
さまざまな機能の組み合わせにより、ビジネスを自動化し、継続的な収益化が見込めるのもLステップの強みです。
Lステップを活用し売上を伸ばした好例が、キャンプ用品を販売するFUTURE FOX様でしょう。同社が行った施策は、大きく分けて以下の2つです。
■顧客のファン化施策
20%オフクーポンをオファーに初回アンケートを実施。顧客情報の取得と同時に、見込み客の引き上げに成功したようです。
リッチメニューでは、ユーザーからの要望やお問い合わせなどを常設化し、ユーザーの利便性を向上させると共に、ニーズの分析を行っています。
■新商品のプロモーション施策
ステップ配信(シナリオ配信)を活用し、以下の流れを構築・配信しました。
- 商品の興味付け
- 商品紹介
- 前日リマインド
- 販売開始
結果、販売開始1時間で3,500万円の売上を記録したようです。つまり、
までの流れを、ワンストップで自動化できるのがLステップのメリットといえますね。
まとめ
LINEやLINE公式アカウントを使って、EC(通販)事業を運営するコツを解説しました。
本記事を参考に、効率的なECサイト運営を行ってくださいね。