日本病院会を含む3団体が行った調査「2023年度病院経営定期調査」によると、医業利益における赤字病院の割合は、2022年時点で約7割。
病院やクリニックを運営される方にとって、コスト削減や業務効率化は何より優先すべき課題といえます。
結論ですが、病院やクリニックの課題解決には、LINEのビジネス用アカウント「LINE公式アカウント」がおすすめです。
本記事では、LINE公式アカウントの活用方法や運用のポイントなどを解説します。導入事例も併せて紹介しますので、医院運営の参考にしてください。
目次
病院やクリニックがLINEを活用するメリット
まずはLINEを取り入れるメリットを解説します。
ユーザーに偏りがない
LINEは国内9,700万人以上(2024年3月末時点)と、月間利用者数の多さが特徴です。
しかし他のネットビジネスと異なり、病院やクリニックはただ認知されるだけでなく、実際に足を運んでもらわなければ意味がありません。
その点LINEは年代や性別の幅広さだけでなく、エリアに偏りなく多くの利用者が存在している点がメリットです。
特に地域に根差した医療機関を運営する方にとって、LINEの導入は大きな利点となるでしょう。
メッセージの開封率が高まる
弊社の調査では、LINEのメッセージを「ほぼすべて確認する」と回答したユーザーは、男女ともに約60%。他のSNSと比較しても、大きく差を付けているのが分かります。
また即時性の高さもポイントです。
LINEヤフー社の調査によると、LINE公式アカウントのメッセージを即日確認する、と回答したユーザーは、約8割といった結果が出ています。参照:LINE for Business
休診や代診など、重要なお知らせを即座に届けられるため、情報の食い違いによるトラブル防止にも効果的です。
医療系アプリのダウンロードが不要
治療用やヘルスケアなど、近年では多くの医療系アプリが提供されています。
一見すると便利にも思われがちですが、わざわざ専用のアプリをダウンロードしなければならず、ユーザーにとっては面倒に思われてしまうケースも少なくありません。
その点LINEでは、予約やポイントの付与など、さまざまな機能をLINE上に集約できます。
ユーザーの利便性を考えた場合、LINEの活用に行き着くのは半ば必然ともいえるでしょう。
病院・クリニックのLINE公式アカウント活用法5選
LINE公式アカウントの活用方法を5つ解説します。
①業務を効率化する
LINE公式アカウントの機能を使えば、業務の効率化が可能です。
例えば一斉配信を使えば、同一のメッセージをすべての友だちに送信できるため、メッセージを個別に送る手間が省けます。
また事前に設定したキーワードに反応し、自動でメッセージを返信する、自動応答メッセージもおすすめです。
「駐車場」や「診療時間」など、よくある質問を網羅しておけば、お問い合わせ対応の効率化につながるでしょう。
②予約への誘導をスムーズにする
予約への導線を整えておけば、顧客の利便性を高められます。
情報の整理に役立つのが、トークルーム内に固定で表示できるリッチメニューです。
ボタンのタップにより外部サイトへと遷移する設定ができるので、HPや予約システムへと自然な流れで誘導できます。
またリッチメニューにはテキストも設定できるため、自動応答メッセージに「予約」などのキーワードを設定して、自動で予約フォームを送信する設定も可能です。
③患者を教育する
集患施策のひとつとして、ユーザーを教育(ナーチャリング)し、ファン化につなげる方法が挙げられます。
顧客の教育に役立つのが、ステップ配信です。ステップ配信とは、前もって用意したメッセージを、指定した順番通りに自動で配信する機能。
例えば歯科クリニックの場合、
友だち追加翌日:医師の紹介やクリニックの特徴を解説
2日後:デンタルケアの基本的な情報を紹介
3日後:利用者の声を紹介
4日後:クーポン配布
など、友だち追加されたタイミングに合わせて、段階的に教育していけるのが特徴です。
信頼できる病院、安心して通えるクリニックと思ってもらえれば、集患率のアップに期待ができます。
なおステップ配信の最短開始日は、友だち追加されてからの翌日からです。友だち追加直後に配信できる、あいさつメッセージとは異なりますのでご注意ください。
④密なコミュニケーションを取る
患者と密接なコミュニケーションを取って、集患率を高めましょう。
例えばLINE公式アカウントのチャット機能では、個人のLINEでいうところのトークを利用できます。
テキスト以外にも画像やスタンプ、その他さまざまな機能と組み合わせられるので、患者の心理的なハードルを下げられるのがメリット。
また個別問診や再診までのヒアリングなど、目的によってチャット機能の用途は多岐にわたります。
⑤再診率を高める
再診患者が増えなければ、安定した経営は見込めません。
リピート施策としては、クーポン機能の活用やキャンペーン情報の配信が定番です。
例えば月の初めにクーポンを配布するような施策を行えば、アカウントの存在を定期的に思い出してもらえるだけでなく、再来院のきっかけにもつながります。
またQRコードの読み込みによりポイントが付与される、ショップカード機能では、段階に応じた特典の設定が可能です。
5ポイント獲得で「次回施術20%オフ」などの特典を取り入れれば、再診率の向上に期待が持てます。
病院やクリニックでLINE公式アカウントを活用する手順
LINE公式アカウントを活用する手順は下記の通りです。
- LINE公式アカウントの開設
- 認証済アカウントの申請
- 友だちを増やす
- 有益な情報の配信
- 分析と改善
順に解説していきます。
手順1:LINE公式アカウントの開設
まずはこちらのページから、「LINE公式アカウントをはじめる」をクリックし、アカウントを開設しましょう。
LINE公式アカウントには無料と有料のプランがありますが、基本的な機能に差はなく、違いは無料で配信できるメッセージの通数と追加メッセージの有無です。
プランの変更は開設後でも可能なので、まずは無料のコミュニケーションプランから始めてみるのも悪くはありません。
手順2:認証済アカウントの申請
認証済アカウントとは、LINEヤフー社の審査に通過したアカウントに付与されるものです。
認証済アカウントを付与されると、
- LINEの検索に表示されるようになる
- 友だち追加広告を利用できる
など、より多くのユーザーとの接点を増やせられます。
また、信頼度の高さは病院やクリニックを選ぶ重要な指標のひとつ。認証済アカウントはLINEヤフー社の審査を通過した証明にもなるので、医院としての信用度も高まります。
手順3:友だちを増やす
友だちを増やす施策としては、来院者への声掛けや、院内ポスターにQRコードを設置するなどが代表的です。
また厚生労働省の「平成29年受療行動調査」によると、医療機関にかかる時の情報の入手先として、最も高いのが「家族や知人の口コミ」。
次いで「医療機関が発信するインターネットの情報」が、65歳未満の各年代で2位といった結果です。
上記のようにオンライン上での情報発信は、友だちを増やす上で有効なタッチポイントといえます。
HPやSNSにLINE公式アカウントへの導線を設置し、集客から教育までの流れを構築できれば、増患率アップの一助となるでしょう。
手順4:有益な情報の配信
弊社の調査では、ユーザーが期待する情報として「クーポンやセールなどのオトクな情報」が最多の回答です。
単純にクーポンを配布するのも有効ですが、健康情報やコラムなど、患者に役立つメッセージを配信するのもひとつの手段といえます。
また即時性の高さを利用して、キャンセル枠の案内などを行えば、患者の利便性を高めるのと同時に機会損失の防止にも効果的です。
手順5:分析と改善
LINE公式アカウントには、さまざまな数値を確認できる分析機能が備わっています。
一例としては、
- ステップ配信完了数
- メッセージの開封率
- クーポンの使用状況
など、データとして現状を把握できるため、どの施策が患者にとって有益だったのか、客観的に判断できるのが特徴です。
常に細かな数値を確認し、業務の改善を行っていけば、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
病院・クリニックのLINE公式アカウント導入事例
病院やクリニックのLINE公式アカウント導入事例を解説します。
皮膚科クリニックの導入事例
ニキビ治療の専門皮膚科「アクネクリニック(現:オラクル美容皮膚科)」は、新規ユーザーの獲得と予約対応の工数削減を目的に、LINE公式アカウントの運用を開始しました。
同社は予約対応の効率化として、リッチメニュー内に「予約」ボタンを常設しています。
引用:LINE公式アカウントの「友だち追加広告×ステップ配信」で予約数120%を記録した皮膚科クリニック
予約のタップによりチャットボット機能が起動し、簡単な問診に回答するだけで予約が完了する仕組みです。
また新規ユーザー獲得施策として「友だち追加広告」を出稿。新規の友だちを対象にステップ配信を行ったところ、LINE経由の予約が120%まで増加したと語ります。
健康センターの導入事例
地域住民に健康サービスを提供する、一般社団法人山口総合健康センターは、業務効率化を目的にLINE公式アカウントを開設しました。
同法人は友だち追加施策として、センター内の各所にLINE公式アカウントの告知物を設置しています。
引用:最小限の人員で安全に業務運営する、健診センターのLINE活用
結果、開設から1年で合計1,500人以上の友だちを獲得しました。また各種案内をLINE公式アカウントへ切り替えたことで、年間40万円の経費削減に成功。
その他、チャット機能を活用した業務効率化など、特筆すべきはこれらすべての施策を無料プランのみで行っている点です。※2021年時点。
稀なケースではありますが、運用コストを抑えたい事業者にとって、参考になる事例といえます。
医療法人の導入事例
内科や小児科などを専門とする水ノ江医院は、情報配信や患者とのコミュニケーション手段として、LINE公式アカウントを開設。
同医院はメッセージ配信とチャット機能を使用して、以下の施策を打ち出しました。
①メッセージ配信
- 一斉配信に予防接種や各種案内を記載
- HPへのリンクを設置し予約促進
- 月に2~3回の頻度で配信
②チャット
- チャットで予約ができることをあいさつメッセージで案内
上記の施策を行ったところ、Webやチャット経由での予約比率が増加したようです。
LINE公式アカウントの基本的な機能を活かした、シンプルながらも効果の高い運用法といえます。
LINE公式アカウントを運用する時のポイント
ここからは、LINE公式アカウントを運用する際のポイントをみていきましょう。
競合との差別化を意識する
病院やクリニック含め、現在は業種に問わずLINE公式アカウントを導入している企業も少なくありません。
そのため、より高い運用効果を得るには、自院独自の強みやベネフィットを打ち出していく必要があります。
またオンライン施策も重要です。弊社の調査では、お店や病院を探す時の調べ方として、「Web検索」と「地図アプリ検索」の2つが上位を占める結果となりました。
つまり、いくら質の高いサービスを提供していたとしても、オンライン施策の不備が仇となり、競合に埋もれてしまっているケースも考えられるわけです。
適切な予約システムを導入する
LINE公式アカウントには「LINEで予約」が存在しますが、飲食店に特化したサービスのため、病院やクリニックでは利用できません。
そのためLINE経由で予約を受け付けるには、別途外部の予約システムと連携させるか、独自の予約ページを構築する必要があります。
チャット機能を使った予約管理も可能ですが、工数削減を目的とするなら専用の予約システムを導入するのが無難でしょう。
特徴や料金を細かく比較して、自院に適したシステムを取り入れてください。
運用負担を考慮に入れる
LINE公式アカウントは集客に効果的なサービスですが、運用負担がかかるのも事実です。
チャット対応や定期的な情報配信はもちろん、訴求力の高いクリエイティブを継続的に考案していかなければいけません。
また本格的に運用するのであれば、先述した予約システムや顧客管理ツールなど、外部のシステムを導入する必要性も出てくるでしょう。
特に医療業界は人手不足が顕著な領域。あれもこれもと手を出し過ぎた結果、自院のリソースを圧迫してしまっては元も子もありません。
後になって後悔しないように、費やせる予算はあらかじめ決めておくのが無難です。
病院やクリニックの課題解決には「Lステップ」
- 結局どのツールを導入すればいいの?
- 運用するならなるべく失敗は避けたい…
- 低コストでLINEの効果を最大限活かす方法は?
このように思われた方は、「Lステップ」を検討してみてはいかがでしょうか。
Lステップとは、LINE公式アカウント専用の拡張ツール。競合との差別化や運用負担の削減など、病院やクリニックの障壁となるあらゆる課題に対応可能です。
実際にLステップを導入する医院は多く、
- 「そのだ内科糖尿病・甲状腺クリニック」様
- 「ハリヒト横手(美容専門の鍼灸院)」様
- 「芝アニマルクリニック」様
など、さまざまな現場で活用されています。ここからは、Lステップの機能と特徴の一部をみていきましょう。
口コミ獲得で競合と差別化できる
競合との差別化において、オンライン施策の重要性は先述の通りです。
特に地域性の高い病院やクリニックにとって、googleマップなどの上位表示を狙う、MEO(マップエンジン最適化)対策は必須といえます。
中でもローリスクで高い集患効果を見込めるのが、口コミの獲得です。MEO対策と聞いてピンとこなくとも、口コミの大切さは体感として頷ける方も多いのではないでしょうか。
施策はいたってシンプルです。
- 来院者にアンケートを自動配信
- LINE上で評価を確認
- 高評価ユーザーを対象にGoogleマップへ評価依頼
Lステップの導入により、上記の流れを半自動化できます。また低・中評価の意見を基に業務の改善を行えば、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
予約管理機能が備わっている
Lステップの予約管理機能は、病院や美容クリニック、飲食店など、さまざまな業種に対応可能です。
他の予約システムの場合、メールアドレスの認証などユーザーの負担となる工数が多く、結果として離脱の原因となるケースも少なくありません。
その点Lステップでは、予約の変更やキャンセルを含め、すべてのプロセスをLINE上で完結できるのがメリットです。
中でも特筆すべきは、リマインダ配信。リマインドに関する弊社の調査では、予約忘れの経験が「ある」と回答したユーザーの中で、「医療機関」が2番目に多い結果です。
例えばLステップでは、予約日の3日前、予約日の当日、など自動でメッセージを配信できるので、病院やクリニックの課題である予約忘れやドタキャンを防げます。
また予約完了時に当日の持ち物を自動で配信するなど、患者の利便性を追求した配信ができるのも魅力でしょう。
コスト削減に効果的
Lステップは複数の機能との組み合わせにより、自由度の高い設定が可能です。
スコアリングによる緊急度の測定や、電子カルテとの紐づけによる顧客管理など、複雑な仕組みを外部ツールを利用せずに構築できます。
またLステップでは、友だち追加された入口ごとに、個別のアクションを設定可能です。
例えばSNSに採用専用の入口をつくり、そこから友だち追加したユーザーに自動で求人案内を配信する流れを構築すれば、採用コストの削減に寄与します。
- ダイレクト採用
- 業務効率化
- 顧客管理
Lステップの導入により、これらすべてをカバーできるため、運用コストの削減に効果的です。
まとめ
今回は、病院やクリニックのLINE公式アカウントの活用法を解説しました。
本記事を参考に、効率的な医院運営を目指してみてください。